株式会社イリンクス代表の田中様に、イリンクスの事業内容、ゲーム開発を支える高い技術力について聞いてみました!

 

コンシューマーゲームを中心に、企画、開発、運用までをワンストップで提供する株式会社イリンクス。
今回は株式会社イリンクスの代表取締役である田中宏幸様に、イリンクスを設立したきっかけやご経歴、イリンクスの強みであるコンシューマーゲームの開発技術について、詳しくお話をお伺いしました!

高い技術力でコンシューマーゲーム開発を行う株式会社イリンクスとは?

 

――まずは田中様のご経歴についてお聞かせください。

 

株式会社イリンクス代表取締役の田中宏幸です。
京都出身で学生時代は学校法人・専門学校HALの大阪校に通い、卒業後は日本ファルコムに就職し、その際に上京することとなりました。
そして、日本ファルコムでいくつかのタイトルにかかわった後、カプコンに転職し、そこからまたしばらくした時に、当時カプコンの専務取締役だった岡本吉起さんに誘われて、初期メンバーとして株式会社ゲームリパブリックの立ち上げに参加しました。
ゲームリパブリックでは開発部長を務め、ゲームリパブリックに在籍していたメンバー十数人程度と株式会社イリンクスを設立することとなりました。

 

“イリンクス”という社名の由来は、社員でコンペを行った際に、設立メンバーの1人からの案からきています。
大元は、フランスの哲学者ロジェ=カイヨワの著書『遊びと人間』の内容にある、4つに分類した遊びの要素の1つ“Ilinx(イリンクス/眩暈)”で、これは現在でいうブランコやジェットコースターのような三半規管を刺激する遊びを指しています。
現在こそVRによってこの要素を持ったゲームがありますが、当時は存在しなかったことから、“五感のすべてを刺激するゲームを作る”という思いからこの社名となりました。

 

――元々ゲーム開発には興味があったのですか?

 

私は1976年生まれのファミコン世代で、小学生のころには『ドラゴンクエスト』や『スーパーマリオブラザース』といった名作が存在しました。自分もそれらに影響されてゲームが好きになり、その時からゲーム開発に興味が出てきましたね。自分が仕事として何十年と働くならば、自分が好きなゲーム開発で仕事をしていきたいと思っていました。

 

中学生の頃にプログラムを始めましたが、それが自分の性に合っていることに気づきました。元々プラモデルやレゴなど、ゼロからこねくり回して1つのものを作る遊びが好きだったのですが、その過程がプログラムと似ていまして、よりゲーム開発に興味を持つようになりました。

――株式会社イリンクスの事業概要について教えてください。

 

イリンクスの事業はコンシューマーゲーム(家庭用ゲーム)の開発事業です。
社内にはディレクター、エンジニア、デザイナー、プランナーなどすべての職種が存在しているため、企画から開発まで全てワンストップで行うことが出来ます。

 

――コンシューマーゲームの開発をメインとしている理由はありますか?

 

これは私がコンシューマーゲームの開発という道を選んだ理由でもありますが、色々なエンターテイメントの中で私はコンシューマーゲームが一番好きでして、コンシューマーゲームでなければできない表現を追求したいというこだわりがあります。

 

幼少期は、ファミリーコンピュータの全盛期で『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』といった人気コンシューマーゲームに触れてきたので、自分も作り手に回ってみたいと思ったことも理由の一つですね。
先日のPS5発表しかり、コンシューマーゲームはワクワクするテクノロジーの塊だと感じています。ワクワクするハードウェアをフルに駆使して、ゲームを作るということはとても楽しいです。

 

現在ではスマートフォン用のゲームも登場していますが、立ち位置としてはコンシューマーゲームが映画、スマートフォン用ゲームがテレビというように例えられるのではないかと思います。
スマートフォン用ゲームは、現在のテレビのようにある程度タイミングを選ばずに楽しめる一方、コンシューマーゲームは映画のように腰を据えてより高いクオリティを楽しむことができるものだとイメージしています。

 

――イリンクスのゲーム開発では、『アジャイル開発』を採用しているとお聞きしました。CEDECでの講演においてご自身でも語られている、アジャイル開発について紹介いただけますか?

 

アジャイル開発を紹介する前に、開発現場でよく用いられるマネジメント手法のウォーターフォール開発について触れておこうと思います。

 

ウォーターフォール開発は、物を作る時に工程を1つずつ完了させてから進めていく方法です。設計が全て完了したら、次は開発という具合ですね。
この場合は工程ごとにチェックが行われるので抜け漏れがないか確認できるというメリットがあるのですが、前の工程に戻ることができないため、建築などには適しているものの、ITといった試行錯誤しながら新しいものを作るには向かない手法でした。

 

アジャイル開発は、設計、開発、チェックの流れをコンパクトにして、細かく方向転換していく方針の開発手法です。
1980年頃に、野中郁次郎さんという経営学者が日本の新規開発で成功している製造業の開発手法をまとめ、発表した論文などが、この手法の元になっています。

何度も計画やテストを行いますから一見無駄や手間に見えますが、新製品の開発を行う上では、やはりこちらのほうがスピーディーに開発を行えます。

 

この手法を始めたのは2009年頃なのですが、当時、締め切りオーバーや徹夜などを無くすことが出来ないかとマネジメントを色々勉強していた中で、偶然アジャイル開発を見つけました。その内容がゲーム開発にピッタリでして、既にアメリカではこの手法で何本ものゲームが作られている事を知り、取り入れることにしました。
また、当時はゲーム業界各社それぞれ独自のマネジメント手法でゲーム開発を行っており、知見を共有するのが難しい状況でした。そこで、多くの人に知ってもらおうと2010年にCEDECでアジャイル開発の講演を行いました。その後多数のゲーム会社でアジャイル開発は取り入れられ、知見が集まるようになりました。去年のCEDEC2020では「アジャイル開発10年間の軌跡」という講演を行っています。

 

アジャイル開発を導入したのはイリンクスの立ち上げ前、ゲームリパブリックに在籍していた時で、半年程実践しました。なので、2010年のCEDECでの講演はゲームリパブリックでの経験によるものとなります。
本格導入前に弊社設立の動きが起きたという形なので、本格的にアジャイル開発を導入したのは弊社が設立してからですね。

 

今ではアジャイル開発手法スクラムの公認資格である「認定スクラムマスター」やプロジェクトマネジメントの国際資格である「PMI認定Project Management Professional」を有している社員も多く、技術力と併せて強みになっています。

 

――アクションゲームの開発実績が多い理由は何かありますか?

 

私や設立メンバーがアクションゲームを作った実績が多数あったため、最初のお仕事はアクションゲームとなりました。そこからアクションゲーム好きのメンバーが集まるようになったため、更にアクションゲームの依頼が増えました。今ではアクションゲームを作り続けて10年といったスタッフが沢山居ます。また、開発規模が大きいコンシューマーゲームは必然的に全世界がターゲットとなるため、アクションゲームが多くなるという傾向もあります。

〇同社が開発を担当した魔法バトルアクションゲーム「ブラッククローバー カルテットナイツ」

 

――数多い競合他社の中がいる中でも、株式会社イリンクスの強みはどのような点がありますか?

 

コンシューマーゲームの開発会社は多いですが、弊社のように企画から運用までワンストップで行う会社はそれほど多くないため、それだけでもかなり競合他社との差別化に繋がっているのではないかと感じています。

 

一番のポイントは技術力の高さに定評がある事ですね。
先述の通り弊社はシリコンスタジオの関連会社なのですが、同社と共同開発で『Orochiエンジン』という独自エンジンを共同開発していました。現在は時流もありUnreal Engine 4にシフトしましたが、ゲームエンジンの基礎部分から開発していた経験が開発にも十分に生かされています。

 

例えば、Unreal Engine 4は汎用的なエンジンなので、そのまま使用するのではパフォーマンスが出ない事が多々あります。そこで、PS4といったハードのスペックを100%出せるようにエンジンをハード毎に改造したりしています。また、独自シェーダーの制作や開発効率を高めるためのツール制作なども積極的に行っています。

 

最近ではネットワークにも力をいれており、P2Pはもちろんのこと、Unreal Engine4のデディケーデッドサーバーなどを活用したゲームなども制作しています。

 

これらのゲームはもう少ししたら発表できるようになると思います

 

――これまでの中で印象深かった案件があればお聞かせいただけますか?

 

PlayStation®VRの基礎研究をお手伝いしたことがあり、プロトタイプ版のPlayStation®VRをお借りして色々な物を作ったのですが、これが3D酔いが非常に厳しくて。
まだプロトタイプ版だった事もあり、ちょっと被っては気持ち悪くなって…を繰り返しながら開発していました。
三半規管が弱いスタッフは開発に参加できず、私なんかもちょっとテストプレイしただけでギブアップでした。
まさかゲーム開発で身体機能が問われるとは思っても見ませんでしたね。
ただ私達が研究した内容がPlayStation®VRにフィードバックされ、酔い軽減などの参考にもなったそうですし、何より新しいハードを触ることが出来たのは非常に刺激的でした。

 

また、コンシューマーゲームの案件全般に言えることですが、自分達の開発したゲームがTVCMで流れたり、TOKYO GAME SHOWや店頭などでイベントが開催されたり、店頭に商品として並び、それをみんなが買ってくれたりするのを見ると、感動や誇らしさで胸が一杯になりますね。

 

イリンクスで活躍するのは“コンシューマーゲームが好き”な人材

 

――田中様が考える、イリンクスで活躍する人材の特徴などはありますか?

 

弊社で長く働いてくれる人はコンシューマーゲームが好きということが多いと思います。
やはり好きなものを作るということが長続きする秘訣のようで、結果として成果物も痒い所に手が届いているものになります。
例えば、どれだけプランナーが入念な企画書を作成したとしても、気持ちよさといったニュアンスを伝えるのは難しいです。しかしゲームが好きなエンジニアだと「こう作ったら気持ち良いだろうな」とニュアンスを捉えることが出来るので、狙い通りのものが出来上がり、周囲からの評価も高くなります。

 

また、多くのタイトルに触れているということも大切なのかなと思います。
コンシューマーゲームは規模が大きいですし、クライアントへの納得も必要となりますから大量の資料や企画書を作成することになります。たくさんのタイトルに触れていると、たくさんの引き出しを持っていることになりますので、それらを素早く作成することが出来ますし、差別化などにも気を配ることも出来ます。

 

弊社に入社する理由も“コンシューマーゲームを作りたい”、“コンシューマーゲームが好きだから”というものが圧倒的です。
エンジニアだと新しいもの好きの人材が多く、PS5やUnreal Engineのタイトルを開発したいという理由での応募が多いです。

 

――教育制度や環境整備など、社員に長く働いてもらうために意識していることはありますか?

 

制度としては、住宅補助や交通費補助がある他、オフィスで飲み物の無料提供もあります。例えばエスプレッソマシンで豆から挽くコーヒーなども無料です。

 

また開発整備ですと、これは私のこだわりの様なものですが、できる限り時間をお金で買いたいと思っているのです。時間を買うというのは、より従業員の効率が上がる設備を整えるという意味です。

 

実際、ソフトにも資金を投入していますし、作業効率のために必要な機材もしっかりそろえています。
最近の例では、Ryzen Threadripperを複数台購入しました。
Ryzen Threadripperはスタッフの提案により導入したもので、非常に高価なマシンのですが、お陰でビルドやライトマスなどの時間を大幅に短縮することが出来ました。

 

これ以外にも、ユニークな取り組みとしては、“ご飯面談”というものを実施しています。言葉の通り私と社員2人で、会社のおごりで美味しいお昼ご飯を食べつつ、色々雑談をするという内容です。

 

ご飯面談の話題は、やりたい仕事からプライベートの困りごとのような些細なものまで千差万別です。しかし、こういったやり取りの積み重ねが、心理的安全性やひいては仕事のパフォーマンスにもつながります。
今は新型コロナウイルスの流行で中止していますが、事態が収束したらまた実行したいですね。

 

――今後の展望を含め、どのような人材に入社してほしいか教えてください

 

人材としましては、コンシューマーゲーム開発が好き、興味がある、作ってみたいという方に来てほしいですね。
正直に言うと、コンシューマーゲーム制作のハードルは高く、技術力も必要ですし覚えることも多いです。例として品質管理は一番厳しいといっても過言ではありません。
パッケージで売るということは、ネットにつながらない環境でも遊べる必要がありますから、不具合があると最悪の場合は回収騒ぎになってしまうこともあります。
しかし、ハードルの高さの先にはコンシューマーゲームでないと体験出来ないような充足感や誇らしさ、感動などがありますし、そういった気持ちに勝るものはないと感じています。
“ハードルが高くてもチャレンジしたい!”という人にはぜひ来てほしいです。

 

具体的な職種としては全職種を増やしたいところですが、特にプランナーとエンジニアの人に来てほしいですね。
弊社の強みとしてはやはり技術力の部分になるので、コンシューマーゲーム開発を学びたい、もっとスキルアップしたいという方にとっては最適な場所ではないかと思っております。

 

――最後に、ゲームクリエイターズの読者に向けたメッセージをお願いします。

 

サラリーマン人生はすごく長いです。
私は20歳の時に就職して今は44歳ですから、24年間働いている計算になりますが、それでもやっと折り返しのタイミングですし、今後定年が伸びたらもっと長くなります。

 

その長い時間と付き合っていく上で仕事の選択は非常に重要だと思います。
ゲーム業界は何かしら技術が必要なので、入るハードルは高いですが、華々しい職業でもあるので、ゲームが好きな方は是非目指しては如何でしょうか?
またスマホゲーム業界の方も、最新技術が学べますし全世界に発売されるので、より深く学びたい方にとって非常に面白い業界だと思います。

 

――ありがとうございました。

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