「こんな組織が良かった」を実現させたAiming第二事業部・Team CARAVAN。新拠点、熊本で求める人材は“スキル”より“思い”

昨年12月、完全新作3DアニメーションRPG『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』(カゲマス)が全世界100万DLを突破。本作の開発を担当したのが、今回紹介する株式会社Aiming第二事業部・Team CARAVAN(チームキャラバン)だ。

 

本事業部は、2017年にリリースされた日本で最初のフル3D大規模MMORPG『CARAVAN STORIES』の開発チームが中心になっている。今回はそんな第二事業部が展開を予定している熊本サテライトオフィス「Team CARAVAN熊本ベース」について話を伺った。

 

Team CARAVANとはどんな事業部?なぜ熊本への展開を決めたのか?Team CARAVAN熊本ベースで採用したい人物像とは?ハイエンドなゲーム開発を手掛けながら、業界経験者・未経験者も問わないというその採用スタンスに込められた、チームの理念とメッセージを紐解いていく。

 

●今回のインタビューに参加してくれた方々(以下、敬称略)

久保貴美:第二事業部 副事業部長/アートディレクター。アート作成のリード、部内デザイナー管理から、事業部の採用活動や育成プロジェクトの策定も担当。

竹内正彦:第二事業部 副事業部長/プロデューサー。Aimingではディレクターを経て、『カゲマス』のプロデューサーも担当。

吉田正広:第二事業部 エンジニア部部長/シニアマネージャー。『カゲマス』ではサーバーサイドエンジニアのリードを担当。熊本サテライトオフィス「Team CARAVAN熊本ベース」の代表を務める。

板井諒輔:第二事業部 アート部部長/シニアマネージャー。『カゲマス』『CARAVAN STORIES』ではエフェクト及びチームの取りまとめを担当。「Team CARAVAN熊本ベース」の副代表を務める。

齊藤亮輔:第二事業部 運営部部長/シニアマネージャー。『CARAVAN STORIES』のPS4版リリースを担当し、現在は運営部の統括を担当。

藤尾一樹:第二事業部 品質管理課/セクションチーフ/デバッグリーダー。Aimingに品質管理課セクションが立ち上がるタイミングに入社。

「自分たちが若い頃にありたかった組織像」を実現させた第二事業部(Team CARAVAN)

●まずは第二事業部について教えてください

久保:Aimingの第二事業部である“Team CARAVAN”は、ハイエンドスマートフォンゲーム『CARAVAN STORIES(キャラバンストーリーズ)』の開発チームが母体になった事業部です。2021年、Aiming組織体制の変更により新たに生まれました。

 

チーム名にCARAVANとあるように同作がもたらした影響は大きく、スマホゲームでありながらテレビ画面に映しても遜色ない、まさに“スマホスペックの限界に挑戦した”作品でした。グラフィック面をはじめ、当時スマホゲームではありえないスペックと言われる中リリースでき、日本で最初のフル3D大規模MMORPG としてAimingの大きな一歩にもなった作品です。

○2017年にスマホ版がリリースされた『CARAVAN STORIES』 ©Aiming Inc.

 

●2021年に事業部制になった経緯についても教えてください。
斎藤:事業部ごとの裁量を明確化するために、事業部制が導入されました。事業部制になる前から各人に大きな裁量はあったものの、会社が伸びる過程で、考えの近い各プロデューサーたちが組んだほうが進行しやすいこともあり、現在の事業部制に至りました。おかげで事業部ごとのルール策定も自由になり、働いている部下にチームとしての方向性も提示しやすくなりました。

 

●Team CARAVANでは、ほかにどんなゲームを開発しているんですか?
久保:『剣と魔法のログレス いにしえの女神』といったオリジナルタイトルをはじめ、『無職転生~ゲームになっても本気だす~』、先日リリースされた『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』(以下文中、カゲマス)、これからリリース予定の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル』といったIP系のゲーム開発・運営も手掛けています。

○昨年リリースされ、わずか1か月で100万ダウンロードを達成した『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』

 

●現在、Team CARAVANの人数はどれくらいになるのでしょう?
竹内:台湾にアートスタジオを構えており、協力会社の人員も含めると500人くらいでしょうか。毎年100人規模の採用を続けていて、今後も100人、200人と増やしていきたいところです。

 

職種としては、企画・エンジニア・デザイナー・運営・バックオフィスと満遍なく在籍しています。また台湾スタジオにはデザイナーが200人くらいおり、制作時はかなり密にやり取りしています。

 

●かなり大規模ですね、どのように制作を進めているのでしょう?


久保:まずは少人数でしっかりゲームの基盤を作り、そこから一気にプロジェクトの人数を増やし、効率の良い量産体制を作っています。『CARAVAN STORIES』で築いた開発フローをしっかり引き継いでいるため、スピード感のある制作を実現させています。

 

●複数のプロジェクト(以下、PJ)が進む中、どのようにスピーディーな開発を進めているんですか?
竹内:職種別の管理組織とプロジェクト別の管理組織の2軸で組織を分け、流動的な体制を構築しています。特に幹部、上位層のスタッフは複数プロジェクトに関係し、Team CARAVANが作るゲームの品質は、安定した内容になるような体制を目指しています。

 

プロジェクトの大切な時期にはヘルプを行いあう文化があることや、製品開発とは別組織の研究開発チームで、サポートする体制もしっかりしています。

 

●大規模な組織でありつつ、かなりフレキシブルですね。風通しも良さそうです。

藤尾:チーム全体として風通しが良い環境ですね。特に、情報の透明性が本当に高い。
自分も何社か経験してきましたが、基本的に自分のPJ以外はほとんど見えず、“タイトル名だけ把握している”という状態がほとんどです。

 

その点、弊社は定期的に「事業部会」を行っています。事業部会では、他のプロジェクトの状況や開発進捗、実際の数値データが共有され、契約社員以上は希望すれば出席することができます。自分が携わっている担当以外のグループチャットも希望すれば入れるので、“今は別のプロジェクトで忙しいけど、いずれ『カゲマス』に入りたい!”などの希望があればチャットに参加することができます。

 

●基本は専任のイメージですが、ここまでオープンなのは珍しいですね。しかもまだ立ち上げて間もない事業部で……!
竹内:働くうえで、お金や福利厚生もですが、モチベーションは本当に重要です。“やりたいことをやりたい!”という思いを叶えてあげられる組織であるために、「自分たちが若い頃、こうでありたかったな」という部分を共有したうえで、この体制にしています。なかなか上手くいかないこともあり試行錯誤しながらですが(笑)。

 

代表である椎葉の志向もあり“大きな裁量”と“自由な環境”がAimingには前提としてあります。事業部制になったのはつい最近ですが、5年前くらいから実質的な運営はしており急に始めたわけではありません。会社とチームの拡大に伴い、現在の体制を築いてきました。

 

●チームとしてどのような理念を大切にされているのでしょうか?


斎藤:「面白いゲームを作る」というのは大前提であり、そのうえで「世界中で楽しまれるゲーム」を理念に開発・運営をしています。では、「世界中で楽しまれるゲーム」は何を実現するべきかを考えると、言語はもちろんプラットフォームも多岐にわたる必要があります。

 

スマートフォンゲームだけを作り続けていれば世界に届くのかというとそうではなく、家庭用ゲームが主流の国もあれば、富裕層しかスマホを持っていない場合もある。

 

現在『カゲマス』は165か国同時配信で、PC・スマートフォンどちらでも遊べますし、『CARAVAN STORIES』はPC・スマ―トフォンでリリースしたのち、PS4/Nintendo Switch版もリリースしました。

 

先ほど久保から話があった“テレビ画面に映しても遜色ないクオリティ”で世の中にゲームをリリースする姿勢がTeam CARAVANには根付いているので、その礎を明確に理念にしたうえで「世界中で楽しまれるゲーム」づくりを目指しています。

 

城下町を拠点に「Team CARAVAN熊本ベース」がついに始動!

●続いて、熊本サテライトオフィス展開について教えてください。

吉田:熊本サテライトオフィスは、「Team CARAVAN熊本ベース」という名前で2023年の夏以降に展開される予定(4月正式発表予定)です。もともとサテライトオフィスの話自体は2年前くらいからあり、半年前ほどから明確に情報収集などの準備をし始めました。拠点代表を私が務め、副代表は板井が担当します。

 

●サテライトオフィスを熊本にした理由はなんですか?
吉田:第二事業部の事業拡大を目的としており、熊本にした理由としては
○競合が少ない
○人口が多く良い人材を確保できる
という点です。

 

拠点として、3年以内に100人以上の人員を集めることが目標にあり、かなり広い場所を借りています。場所も熊本城の隣で、城下町のシンボル的な存在になれたらと思っています。

 

●ほかの都道府県の候補がある中、なぜ熊本にしたのでしょうか?

吉田:熊本出身の方にお話を聞くと地元愛が強く、Uターン/Iターン志向がある人も多いことがわかりました。

 

Team CARAVANが開発拠点を立ち上げることで、都市にいる人が熊本に帰ってゲームに携わりたい……という動きも増えてくると思うので、すでに東京にある教育PJを熊本にも活かしたり、その教育内容を東京でも活かすという動きにも繋がるのかなと考えています。

 

最近、熊本の阿蘇くまもと空港も新しいターミナルビルが開業し、TSMC熊本(※)も話題になっています。産業として熊本の土地がどんどん伸びている今、他のゲーム企業が熊本に進出する前に何とかAimingとして陣取りをしておきたいところです。

※TSMC熊本:台湾の世界的な半導体メーカー「TSMC」が、日本で初めての工場建設を熊本県菊陽町で進めている

 

●Team CARAVAN熊本ベースの拠点計画はありますか?


板井:3年を一区切りとした計画を定めております。

 

1年目は熊本べースの基礎構築。人材確保と教育を行い、熊本という土地でどのような人が集められるのか、様子見という側面が強いかもしれません。/2年目は既存PJの開発運営への積極的参画を行いゲーム開発拠点としてしっかり成果を上げていきます。/3年目で新規PJの開発運営への参画を行い4年目以降に向けて熊本で独自のモノづくり/4年目からはオリジナルタイトルの開発を行うことができるよう準備を進めるという流れを想定しています。

 

数を集めることも重要と考えているので、最初は着手のしやすい品質管理やデバッグ、スクリプターの採用と教育を進め、エンジニアやアート、運営等の応募を待つという形になると考えています。

 

●熊本も“Team CARAVAN”としてのカルチャーに変わりは無く?
吉田:まったく変わりないです。部分的な開発を……という話もありましたが外注のような立ち位置にするつもりはないので、“Team CARAVAN”の良い文化が熊本にもしっかり流れるよう、組織構築を目指していきます。

 

経験・年齢不問。「思い先行型」採用の意図とは?

●熊本ベースが採用したい職種は決まっていますか?
藤尾:まず職種として、先ほど板井からあったように品質管理やデバッグ、スクリプターの採用を進めていきます。エンジニア部長の吉田を中心に採用活動を進めていきますが、業務内容に東京との違いはありません。

 

●「こんな人を採用したい!」というポイントはありますか?
吉田:ゲームを作りたい!という思い何よりも大事なポイントですね。事業部内では日々、沢山のPJが動いており、社員間のコミュニケーションが頻繁に発生します。ただ任されたことを黙々と作業する……というより、周りの動きに目を配りつつ、「ここはこうした方がいい!」と相談や発信ができる人がいいかなと思います。

 

熊本ベース自体が新しい取り組みなので、自分で何か立ち上げたい!という姿勢があればいいですね。経験や年齢についても問わず、思い先行というスタンスです。

 

竹内:すでに定年を迎えた業界経験者の方も大歓迎です。長く働いていて、今後は地元でゲームに携わりたい人だからこそ、組織にもたらす影響は強いと思っていて。そういう意味で、年齢にも制限は設けていません。

 

久保:未経験の方でも楽しく働けるような教育プログラムを現在策定中です。東京社員が熊本に一定期間で熊本に出張し、その教育内容を東京でも伝えていく……熊本・東京双方がメリットのある教育環境を目指しています。

 

●スキル面などで、「こんな経験があればうれしい」などはありますか?
久保:デザイナー目線で言うとやはり絵を描くのが好き、という部分でしょうか。ただ、デザイン/企画/品質管理などセクションによって求められるものは変わりますが、やはりゲームが好きであることが一番。これまでのゲームプレイ経験が業務に活かせるシーンも沢山出てくるはずです。

 

吉田:エンジニアの場合、最近は他業種からゲーム業界に入るエンジニアも増えてきています。ゲーム開発の現場では、日々色んな技術を取り込んで常に新しい体験を創り出そうとしているので、AI研究、グラフィック研究などひとつの技術をしっかり習得してきた人であれば、活かせる所は沢山あるのかなと。

 

●面接のときに必ずこれは聞きたい!という質問はありますか?
吉田:「どんなゲームが作りたいですか?」と聞きたいです。回答への解像度や整合性は特に求めていませんが、自分なりにゲーム作りへの思いがあり、ゲームを沢山プレイしてきた人であれば、世の中のゲームと照らし合わせて新しいアイデアを考えることはできます。

 

それ以外にも、プログラミングやデザインなど特定のスキルがあれば、「こんな技術でこんなゲームが作れます!」という意見も聞いてみたいです。思いをいかに言語化できているか?は重視するようにしています。

 

竹内:熊本ベースの取り組みは、ITスタートアップ企業のような側面もあると思っています
新しいことを0から作るのは当然大変なことじゃないですか。なので、その環境を楽しめて、ゲーム作りへの気持ちが強いかどうかが働く中でも重要視されます。逆に、スキルや経験があっても熱量が無く、業務も受け身の人が100人以上になってしまったら大変ですからね(笑)。そのあたりは吉田がしっかり見極めてくれるかなと思います。

●“Team CARAVAN”全体としても、「ゲーム作りへの思い」が強く「積極的な姿勢」な人が多いですか?
板井:多いですね。自分からしっかり提案したり、その提案をどう進めるか?誰に話すべきか?を考えて動ける人、PJ関わらず協力できる人は社内でも活躍しています。

 

竹内:Team CARAVANでは開発フェイズでレビュー会をやるのですが、ゲームの課題や悪い点をフィードバックしあうので、どうしても批判的な内容になりがちですし、委縮するかもしれません。でも、その際に自分のゲーム作りへの思いを、立場を気にせず言えるかどうか。ユーザーを楽しませるゲームをつくるための本当のコミュニケーション能力が問われる環境だと思います。

 

また意見を聞くときに「年下にこんなこと言われた!」と突っぱねるのではなく、素直に受け入れるベテランの存在も大事です。意見をまずは受け入れ、これまでのビジネス経験を活かして論理的に考えられたら一番ですね。

 

●Team CARAVAN熊本ベースで得られる経験にはどんなものがありそうですか?
吉田:スタートアップの段階で企業に入れるチャンスはなかなか無いと思います。Team CARAVANが手掛けるゲームはジャンルも多岐にわたり、自分の興味のあるタイトルに関われるのはモチベーションにも繋がります。今後もっと新しい技術やルックも必要になりますし、事業部としても社員からの提案は積極的に受け入れるので、得るものは大きいかなと思います。

 

板井:運営だけでなく新規でゲームを作ることで得られる体験は、今後のキャリアにも大きな意味を持つはずです。多くの企画が立ち上がる新しい環境で、数々のプロジェクトの中から興味のあるゲームを探せるのも大きいですね。

 

●チャンスが多い分、いかに「積極性」を出していくかが、キャリアを築くうえで大事になりそうですね。
斎藤:そうですね。入社半年ほどで新規タイトルのディレクターに抜擢される人もいたりと、各人の意欲をしっかり尊重するスタンスです。その人は企画コンペに参加した際も意欲が高く、複数の企画の中から竹内に選ばれてプロジェクトが進みました。

 

あくまでひとつの例ではあるものの、そういったチャンスやスタンスは熊本でも同じように広げていきます。積極性は大事にしたいし、そういう人を採用したいです。面白いゲームを作りたいという思いが強ければチャンスの多い環境です。

 

竹内:しっかり効率的に働けば、普通の人よりも履歴書が2倍、3倍になると思います。通常のゲーム会社で数年かけて経験するようなことを1年以内に経験することも可能です。1年で3本ゲーム作ったわ!みたいな(笑)。PJにどれだけ深く関わったかによってスタッフロールの掲載位置も考えたりするので、理想のキャリアを積むには抜群だと思います。

人材の城・Team CARAVANの今後

●熊本拠点長の吉田さんから、今後の事業部の展望を教えてください!
吉田:Team CARAVANの全ての工程は、理念である「世界中で楽しまれる、ほんとうに面白いゲームをつくる」へ向かうための戦略であり、オリジナルゲームで世界トップのゲーム制作を目指すために規模も技術もアップデートしていきます。今はIPゲームに特化している印象があるかもしれませんが、すべての経験を今後オリジナルタイトルにも挑戦するための開発技術向上に繋げていきたいです。

 

●ありがとうございます。それでは、最後に皆さんに一言ずつメッセージをお願いします!
斎藤:世界に向けて面白いゲームを作る集団の一員として、一緒にゲームが作りたいと思う人に門を叩いてほしいです!

 

藤尾:ゲーム作りへの思い、そして向上心がある人にはめちゃくちゃ働きやすい環境です!

 

板井:熊本・東京問わず今後も広く募集していきたいので、皆さんと一緒に仕事ができればと思っています。

 

吉田:熊本に関しては未経験でもしっかり教育していくので、安心してお問い合わせください。熊本には熊本城がありますが、Team CARAVAN熊本ベースを、クリエイターの人材の城にしたい。ぜひ興味を持ってくれればうれしいです。

 

竹内:門戸は広く構えているので、迷ったら気にせず応募してください(笑)気軽にお話しましょう!

 

久保:今までゲーム業界を考えていない人にとってもぜひ見に来てほしいですし、“働きたい!”と感じてくれたらぜひ一緒に良い環境を作り上げたいと思います。

 

●ありがとうございました!