ゲームにおける「エンカウント」とは?意味や種類、実装にあたっての注意点などを解説


 
このコラムでは、ゲーム内で使用する「エンカウント」という言葉の意味や、エンカウントの種類などを説明します。また、ゲーム開発に関わる人の目線で、エンカウントシステムを実装する場合の注意点も解説します。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
 

1. ゲームにおける「エンカウント」とは

ゲームにおいて、「エンカウント」という言葉は、「遭遇する」、「出会う」といった意味で使用します。例えば「敵にエンカウントした」、「このステージは敵とのエンカウント率が高い」といった具合です。
 
このエンカウントという言葉はいかにも英語のようですが、「encount」という単語を英和辞典で引いても該当する言葉は出てこないか、和製英語と表記されています。これはエンカウントが「encounter」という英単語から派生した和製英語だからです。
 
とはいえ、encounterという英単語には出会う、遭遇するという意味があり、意味についてはおおむね同様と考えることもできるでしょう。
 
また、ゲームの開発者にとってはどのような制御でゲーム内のキャラクターが敵と遭遇するかを決めるための言葉としても使用されます。その種類については、次の項目で解説していきます。
 

2. 代表的なエンカウントの種類

この項目では、ゲーム内で敵と遭遇する際のエンカウントシステムの種類を解説します。
 

2-1. ランダムエンカウント

敵の出現とゲーム内のキャラクターが歩く歩数が紐づけされておらず、ランダムに出現する方式です。しかし、完全なランダムにすると、極端な場合一歩ごとに敵が出る可能性も含んでしまいます。そのため円滑にゲームを進められるように、ある程度の制御は行われています。
 
ランダムエンカウントの場合、プレイヤーは敵が出現する予測がつきませんが、マップに紐づけられて敵が出現するように制御するゲームもあります。そのためプレイする側としては、地形的な条件から敵との遭遇を予測できるケースもあるでしょう。
 

2-1-1. 歩数エンカウント

ゲーム内のキャラクターが決まった歩数を移動することで、敵と遭遇する制御方法です。1980年代や1990年代にはあまり多く使われていませんでしたが、近年はランダムエンカウントの使用が減って、歩数エンカウントが増えています。
 
これはランダムエンカウントを採用した場合、予告なく敵が出現することがストレスになるためです。そのため、近年のゲームに慣れている人がレトロゲームをプレイすると、だるさを感じることも多いようです。
 

2-2. シンボルエンカウント

プレイヤーにとって見える「シンボル」に接触することで戦闘が始まるタイプです。シンボルが見えていることで、敵の種類や属性、強弱などを事前に認識できます。このため、プレイヤーは十分な準備をしてから戦闘状態に入ることが可能です。
 
また、シンボルに触れなければ交戦状態になりませんから、不要な戦闘を避けることができる特徴があります。
 

2-3. 確定(固定)エンカウント

特定の場所にキャラクターが移動したときに敵が現れる方法です。ボス級の敵との遭遇条件として使われることが多いです。
 
弱い敵との遭遇条件にはあまり使われませんが、あえて使用する場合はマップ上の場所に付随する演出を伴う敵であることが多いです。また、宝箱だと思って触れると箱に擬態した敵との戦闘に突入する、といった演出にも使用できます。
 

2-3-1. エンカウント呼び出し

ドラゴンクエストシリーズにおける「くちぶえ」など、任意で敵を呼び寄せエンカウントを発生させる手段が実装されているケースもあります。ランダムエンカウントよりも早く敵と交戦できるため、レベル上げなどに使われます。「任意エンカウント」と呼ばれる場合もあります。
 

3. エンカウントを避ける手段

ゲーム内でエンカウントを避ける手段を意図的に設定している場合があります。ドラゴンクエストシリーズにおける「せいすい」「トヘロス」など、アイテム・スキル(魔法)効果でエンカウントを回避・抑制できるというものです。このようなアイテムやスキルは、マップ上をゆっくり探索したいときなどに便利です。
 
また、プレイヤーの側がある程度エンカウントの予測ができている場合、エンカウントが起こりやすい場所を歩かないことなどで敵との遭遇を避けることも不可能ではありません。
 

4. ゲームにおけるエンカウントシステム実装時の注意点

この項目では、ゲーム開発者の目線で、エンカウントシステムを実装する場合の注意点を記載します。
 

4-1.【ランダムエンカウントの場合】エンカウント頻度が高すぎるとストレスにつながる

ランダムエンカウントは、プレイヤーにとって敵の出現が予想できない特徴があります。そのため、突然敵と遭遇することがストレスにつながり、ゲームを楽しみにくいと感じることもあります。
 
さらに、ランダムなうえにエンカウント率が高いと、プレイの継続を困難に感じることすらありますから、開発者としては注意が必要です。
 

4-2.【ランダムエンカウントの場合】ランダムエンカウント自体が前時代的な点を認識する

ファミコン全盛期だった1980年代中盤から1990年代は、ランダムエンカウントのソフトが多く作られていました。ランダムエンカウントは予告なく敵と遭遇して驚かされることが多いので、敵との遭遇をストレスに感じているプレイヤーが多かったそうです。
 
現在でも意図的にランダムエンカウントが使われることはありますが、多用すると前時代的な作りになりがちな点を踏まえておきましょう。
 

4-3. 【シンボルエンカウントの場合】シンボルの大きさや当たり判定に注意する

シンボルエンカウントは特定のシンボルに触れることで発動しますから、極端に小さいシンボルであった場合、プレイヤーにとっては意図せずエンカウントしてしまう可能性があります。演出としてわかりにくくするような場合でなければ、シンボルのサイズや当たり判定はあまりシビアにしない方が良いでしょう。
 

4-4.【シンボルエンカウントの場合】シンボルのポップ(出現)頻度に注意する

シンボルエンカウントは触れなければ戦闘を回避できるので、操作がうまいプレイヤーにとっては好まない戦闘を避けられる利点があります。しかしそれを裏返すと、操作が苦手な人は敵との遭遇を避けにくいとも言えます。また、ポップ(出現)直後の敵に触れても戦闘にはならないなど、理不尽さへの配慮も欲しいところです。
 
また、シンボルエンカウントで移動する敵が多い場合、プレイヤーが取り囲まれて対応できなくなることもあります。これらの点を踏まえるとシンボルエンカウントの出現頻度には注意すべきでしょう。
 

4-5.【シンボルエンカウントの場合】レア敵を実装する場合、工夫が必要

シンボルエンカウントで移動するようなレア敵を実装している際には、そのレア敵のシンボルだけと戦闘をすればよい、となりがちです。レア感を演出したければ、「レア敵はシンボルとしては出現せず、通常モンスターのシンボルでエンカウント時に稀に一緒に現れる」「特定の条件を満たす必要がある」などの設定をすべきでしょう。
 

5. エンカウントシステムを採用した代表的なタイトル

ここからはエンカウントシステムを採用している代表的なタイトルを記載します。
 

5-1. ドラゴンクエストシリーズ

ゲーム好きなら知らない人はいないであろうJRPGのシリーズです。1作目が1986年に発売されており、30年以上も作り続けられているため、エンカウントの使用方法も時代に沿って変化しています。
 
初期のドラクエシリーズでは、マップを区分けしてあらかじめ出会う敵を指定し、ランダムエンカウントで敵と遭遇する制御が多数行われていました。例えばあるエリアでは、スライムとスライムベス、ドラキーが登場することが決められており、その中で遭遇率がある程度定められているという法式です。その一方で、遭遇するまでの歩数は決められておらず、ランダムに遭遇するように作られています。
 
しかし、時代と共にランダムエンカウントが使われなくなったことから、ドラクエの3、4のリメイク版などでは歩数エンカウントが使われています。また、6以降は歩数エンカウントの使用がさらに増え、9以降はシンボルエンカウントも採用されています。
 

5-2.ファイナルファンタジーシリーズ

こちらもJRPGの双璧をなすシリーズです。ドラゴンクエストシリーズと同様に、1980年代から作り続けられているシリーズなので、エンカウントの使い方もタイトルごとに異なっています。
 
ナンバリングタイトルの10以前では、ランダムエンカウントが多く使用されています。その後、エンカウントシステムを使わないシームレス方式(敵と戦う際に画面遷移せずフィールド上でそのまま戦う)もありましたが、13ではシンボルエンカウントが採用されました。
 
このような経緯から、初期の作品では何もないところで予告なく敵と遭遇するストレスがありました。また、FF1に関してはリメイク版の方がオリジナル版よりエンカウント率が高いという点も多くの場所で語られています。
 

5-3. ポケットモンスターシリーズ

ポケットモンスターシリーズはバトルだけでなくポケモンをゲットすることも目的としているので、前述のドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズとは遭遇の意味合いが異なります。
 
ポケットモンスターシリーズでは、特定のエリア(多くの場合「草むら」)でのランダムエンカウントを採用しつつも、シリーズによってはシンボルエンカウント方式も併用しています。また、「あまいミツ」などのアイテムを使うことでエンカウント率を上げる演出があります。
 
さらに、一部シリーズでは特定の日に特定のポケモンとのエンカウント率が上昇するという設定も行われるなど、遭遇条件の考え方も、ドラクエやFFとは大きく異なります。
 
ほかにも、ミュウツーやルギアなどの伝説ポケモンに関しては、固定エンカウントを出現条件とするなどの工夫が行われています。
 

6. まとめ

ゲームにおいての「エンカウント」という言葉を解説し、エンカウントの種類や実装する場合の注意点などをまとめました。
 
ドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズのように戦闘を中心とするゲーム内では、エンカウントは敵と遭遇するきっかけとして使用されますが、ポケモンのように遭遇すること自体が目的のゲームに関してはエンカウントの扱い方も大きく異なります。ゲーム開発に関わる場合、このように目的に応じた選択を行うことが重要です。
 
また、プレイする人は、エンカウントの方式や頻度を意識しながらプレイすると、これまでとは違った楽しみ方もできるでしょう。
 

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