ガチャにおける「天井」とは?意味やガチャ(ルートボックス)実装に伴う問題を解剖!


 
このコラムでは、ガチャの「天井」について解説します。ガチャの天井とは何なのか、どのような経緯で実装されるようになったのか、などの概要を紹介したうえで、実装する場合に開発側が注意すべき点も記載しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
 

1. ガチャにおける「天井」とは

この項目では、まずゲームのガチャにおける「天井」というシステムについて解説します。
 
そもそもガチャはゲーム内のキャラクターやアイテムなどを獲得するためのシステムです。ソーシャルゲームであれば、無料のガチャもありますが、有料ガチャを実装しているものがほとんどと言っても良いでしょう。
 
ガチャは基本的に中身がわからないので、ほしいキャラクターやアイテムを獲得するまで、無限に課金してしまう人もいます。「天井」とはそのような無限の課金を防ぐために作られたもので、一定回数ガチャを引くことなどで、レア度が高いアイテムやキャラクターの獲得を保証するシステムです。
 
ガチャの問題について詳しく書いたコラムがあるので、以下もご参照ください。
「「ルートボックス(ガチャ)」とは?システムや問題点などを解説」
 

1-1. 「天井」の概念が生まれた経緯

ゲーム会社側が「天井」を設定するようになったのは、2016年以降です。ゲーム上のレアアイテムやレアキャラクターを獲得するために、ガチャに高額課金をしてしまう問題は以前からありましたが、2016年に某ソーシャルゲームの期間限定キャラクターを獲得するために70万円も課金した人がその過程を動画配信したことで社会に注目されました。また、ほかにも同じレアキャラを獲得するために80万円使った、という話がマスメディアでも取り上げられ、業界全体を巻き込む大きな問題となったのです。
 
この件が炎上したことで、運営会社にも批判が集まったため、◯回ガチャを回すと指定キャラを確定で獲得できるという「天井」システムを導入し事態が鎮静化されました。これ以来、ほかのゲーム会社も何らかの天井を設ける傾向が増えています。
 

2. ガチャの天井として課せられる代表的な条件

この項目では、ガチャの天井となる条件を記載します。
 

2-1. 有料石のガチャ回数

有料の石を使ってガチャを引く場合に、一定回数を超えるとレア度が高いアイテムやキャラクターを獲得できるシステムです。例えば有料石によるガチャを100回引いたらSSRのアイテムやキャラクターが1回入手できるとなれば、青天井(無限の課金)を防ぐきっかけとなります。
 
ただし、上記の回数はゲームによって異なるので、天井に到達するまでに使う費用はそれぞれ異なります。また、天井によって特定のアイテムやキャラクターの獲得を保証する場合と、SSRなどの高レアリティを保証する場合に分けられます。後者の場合、同レアリティの別キャラクターが出るなど必ずほしいものが入手できるとは限りません。
 

2-2. 重複した排出レアリティに応じたチケットとの交換

同じキャラクターを重複して入手した場合、レアリティに応じてほかのキャラを獲得できるチケットやメダルなどのトークンに変換できるシステムを導入しているゲームもあります。このトークンが一定数あれば、希望のキャラを入手できるシステムです。これがあることによって、ガチャに高額課金するリスクを低減できます。
 

3. ガチャ天井を実装するにあたっての注意

この項目では、ゲーム開発者側の目線で、ガチャの天井を実装する際の注意点を解説します。
 

3-1. 利益追求のための「青天井ガチャ」は絶対にやめる

日本のソーシャルゲームは、「基本無料」でゲームを始めてもらい、ガチャ課金によって利益を上げるというシステムが定着しています。そのため、短期的には青天井で課金する人がいれば利益が上がるので、ゲーム会社としては歓迎したくなる気持ちもあるでしょう。
 
とはいえ、高額課金が問題視されている昨今では、天井などの救済システムが無く、青天井を放置することは好ましくありません。
 
目先の利益を追ったことで、そのゲームや会社そのものの評価が低くなれば、長期的には会社の利益にもマイナス影響が出てしまうからです。
 

3-2. 天井が低すぎるとユーザー好感度は高くなるが課金に支障が出る

天井システムがなく、無限に課金できることは好まれませんが、ゲーム会社としては利益を上げなければ会社が存続できません。ガチャの天井が低ければユーザーは喜ぶでしょうが、その分1ユーザーあたりの平均課金額は下がってしまうでしょう。企業として必要な利益を確保するためのバランスを考えることが重要です。
 

3-3. 「ピックアップ」「ピックアップ外(すり抜け)」への対応は丁寧に行う

近年、「ピックアップ」ガチャを導入するゲームも増えています。ただし、ピックアップという言葉もゲームによって違うので注意が必要です。
 
まず、特定キャラの排出率が上がるケースがあり、この場合はほしいキャラを獲得するまでのガチャ回数はわかりません。一方、ピックアップガチャの中身が見えていて、例えば特定の10体の中からどれかが排出されるタイプもあります。この場合、表示されていないキャラは排出されないことが保証されています。
 
前者のタイプでは、「すり抜け」に注意する必要があります。すり抜けとはピックアップ外の高レアキャラが排出されることです。
 
例えば「原神」ではキャラ獲得ガチャを90連すると星5キャラの獲得が確定しますし、ピックアップキャラが50%の確率で入手できます。50%なので、半数は欲しいキャラ以外の星5である可能性があります(いわゆるすり抜け)。しかし、90連ごとに天井がリセットされるのではなく、180連するとピックアップキャラが必ず獲得できるシステムが組まれています。
 
このように丁寧な対応をしておけば、ユーザーが過剰に課金して炎上騒ぎにつながるような事態は防ぐことができるでしょう。
 

3-4. P2W(ペイトゥウィン)になりすぎないように注意する

P2W(Pay to Win:ペイトゥウィン)とは、課金するほど強くなるゲーム性を指しています。課金するユーザーが課金しないユーザーより優遇されるのは自然なことですが、課金さえすれば無限に強くなるゲームや、課金しなければ全く勝ち目がないゲームは好ましいとは言えません。
 
イベントや強力アイテムなどで過度な課金をあおれば、瞬間的には利益が上がるでしょう。しかし、課金についていけないユーザーが離れたり、SNSなどに悪評を書かれて新規ユーザーが獲得できなくなったりすると結果的には利益を失います。
 
そのため、P2W(ペイトゥウィン)におちいらないように、バランスを保って運営することが重要です。
 
P2Wについては詳しく書いたコラムがあるので、併せてご参照ください。
「Pay to Win(ペイトゥウィン)とは?ゲーマーが忌避する課金とバランス」
 

4. 天井が実装されている代表的なゲーム

ここからは天井が実装されている代表的なゲームを紹介します。
 

4-1. 原神

「原神」は中国のmiHoYo(HoYoverse)が提供しているオープンワールドRPGです。2020年のリリース以来多くのファンを獲得しており、日本でも多数の賞を獲得しています。
 
キャラガチャについては90連で星5の獲得が確定、ピックアップの場合は50%の確率に設定されており、180連すればピックアップの星5キャラの獲得が可能です。
 

4-2. Fate/Grand Order

「Fate/Grand Order」は2015年にアニプレックスがリリース(開発はディライトワークス)したRPGです。ストーリーの面白さやキャラクターの魅力で多くのユーザーを獲得しています。
 
天井については、「確定召喚」というシステムがあり、ガチャを329回引く間に星5キャラを獲得できなかった場合、330回目にピックアップ対象の星5を獲得できる仕組みになっています。
 

4-3. グランブルーファンタジー

Cygamesが2014年にリリースしたオンラインRPGです。王道ファンタジーとバトルの両面を楽しめるゲームで、リリースから年数が過ぎた現在でも多くのユーザーがプレイを続けています。
 
300連でガチャ天井が設定されており、ほしいキャラを指定して獲得することができます。300連すべてを課金で行えば9万円ほどかかりますが、イベントなどで獲得したガチャチケットを含めることができるので、無課金や微課金の人でも時間をかければ利用可能です。
 

4-4. ウマ娘 プリティーダービー

Cygamesが2021年にリリースした育成シミュレーションゲームです。リリース年に多くの賞を獲得、アニメ化もされて大きな話題となりました。
 
天井については200回のガチャに1回、サポートカードを入手してピックアップ中のキャラを獲得できるというシステムがあります。天井到達までには最大6万円が必要ですが、期間限定ジュエルパックなどでお得にジュエルを入手すれば、4万円程度に抑えることも可能です。
 

4-5. プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク

2020年にセガがリリースしたリズムゲームです。さまざまなボカロの曲が楽しめるだけでなく、書き下ろしの楽曲でミュージックビデオも作れるなど遊び方が豊富です。
 
1回ガチャを回すと1枚もらえるガチャシールを300枚ためると、ピックアップキャラ1体との交換が可能です。これにかかる金額は最大9万円ですが、お得なパックなどでガチャを引けば費用を抑えることはできます。
 

4-6. アークナイツ(明日方舟)

「アークナイツ(明日方舟)」はHypergryphが開発、Yostarが2020年にリリースしたゲームです。気軽にタワーディフェンスゲームを楽しめますし、キャラクターの魅力でも評価されています。
 
このゲームでは100回に1回は星6キャラが出る、という天井システムを設定しています。通常星6キャラの排出率は2%ですが、51回目から1回で2%ずつ排出率が上がるというシステムです。100回に到達しなくても星6キャラが排出されれば、排出率はリセットされて2%に戻ります。
 

4-7. ヘブンバーンズレッド

「ヘブンバーンズレッド」は、2022年8月にWFSがリリースしたアドベンチャーゲームです。シナリオの面白さやキャラクターの魅力、ビジュアルの美しさなどで高い人気を得ています。
 
天井としては、1回の開催ガチャで200回に1回ピックアップキャラから1体を獲得できるシステムがあります。開催ガチャの期間が過ぎると別のポイントに変換されてキャラの育成に利用できます。
 

5. まとめ

ゲームのガチャにおける天井について、概要や適用条件を解説し、天井を実装しているゲームを紹介しました。天井は、過剰な課金ガチャを抑えるシステムとして実装されることが増えてきています。とはいえゲームごとにシステムが異なるので、プレイするゲームに天井があるのか、ある場合どんなシステムなのかを確認しておきましょう。
 
また、ゲーム開発者であれば、会社としての利益と社会的な評価のバランスを踏まえて天井を設定するようにおすすめします。
 

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