「ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖!」レビュー
新卒はもちろん、既に社会人として活躍し転職を考えているような年齢の方でも、物心ついた頃にはすでにゲームはメジャーなカルチャーとして社会に浸透していました。
ゲーム業界は十年以上にわたって根強い人気を誇るだけでなく、業界規模にして3兆円を超え、世界規模での賞金が出る大会も開催されるようになるなど、ビジネスとして新たなステージに進もうとしています。
今回はそんなゲーム業界への就職・転職を夢見る方におすすめの一冊、 「ゲームクリエイターの仕事 イマドキのゲーム制作現場を大解剖!」(蛭田健司著・翔泳社出版) をご紹介します。
目次
1.ゲーム業界への就職・転職を考えている人にぜひ読んでほしい一冊
本書籍は、タイトルの通りゲーム業界に携わる人々の仕事内容を広く深く紹介しているものになります。
多くの人々が憧れを抱くゲーム業界ですが、実際にはどういった業種が存在し、どういった流れでゲームが制作されるのかまで詳しく知っている人はそれほど多くないのではないでしょうか。
1-1. 分かりやすいレイアウト
本書籍の基本的な構成は「左ページに説明、右ページに図解」といった形で、見開き2ページで1つのセクションとして説明しています。
このレイアウトが非常に分かりやすく、文章一辺倒ではなく丁寧に図解で説明してくれるため、ゲーム業界にあまり詳しくない人でもすらすらと読めるようになっています。
セクションの区切りも分かりやすいため、「理解が不十分なまま次の項目に進んでしまい、わけがわからなくなってしまった」ということもありません。
さらに嬉しいのが、説明に伴うゲーム業界特有の専門用語が都度ハイライトされ、同一ページ内で補足される点。「UI」「リギング」「サードパーティ製」といった多くの人にとって馴染みの少ない単語の意味がその場で分かるようになっているため、理解のテンポを崩すことなく読み進めていくことができます。
1-2. 専門性の高い内容
本書籍のストロングポイントとして、上記の読みやすさだけでなく、著者の専門性の深さも挙げられます。
ゲーム開発に携わり、ディレクター、プロデューサー経験を経て、事業の立ち上げや人材開発も行った著者は、まさに「ゲーム業界のどの現場も経験した」と言えるマルチプレイヤー。
いずれの項目も経験に基づいた説得力のある内容が展開されています。
さらにそれを後押しするように、各チャプターの最後に実際にプロとして活躍する人たちのインタビューも含まれています。
業界に携わることで経験した大変さややりがいなどが、読むにつれて今の仕事とオーバーレイする人もいるのではないでしょうか?
このように、ゲーム業界について詳しいと自負している人にとっても得るものがある、まさに「ゲーム業界に憧れを持つ人必読の一冊」となっています。
2. 2部構成でスムーズにゲーム業界を理解できる
本書籍は、「ゲームクリエイターの仕事とは」と「ゲームクリエイターに必要な知識とスキル」の2部構成でゲーム業界の仕事内容を説明しています。
それぞれのパートがどのような内容なのかを触れ、本書籍の魅力を紐解いていきます。
2-1. 「ゲームクリエイターの仕事とは」
2部構成のうちの前半は、「ゲーム業界の基礎知識」「ゲームクリエイターの種類」「あるゲーム会社の一日」「ゲーム開発の流れ」の4チャプターに分かれ、ゲームクリエイターの仕事内容を網羅的に説明しています。
2-1-1. ゲーム業界の基礎知識
「ゲーム業界の基礎知識」では、ゲーム業界の歴史やゲーム会社の分類の説明など、読者に「ゲーム制作をビジネスとして意識させる」流れができています。
ゲーム業界が求めている人材やゲームクリエイターのなりかたも触れられているため、この項目を読むだけでも「何を意識して就職・転職活動を行えばいいのか」がざっくりと分かるようになっています。
2-1-2. ゲームクリエイターの種類
続く「ゲームクリエイターの種類」では、ゲームを作る人達を「ゲームクリエイター」と十把一絡げで考えている人に、実際にはどのような業種に分かれているのかを説明。
プランナーやプログラマーなどはともかく、ディレクターとプロデューサーの違いが分からないという人も少なくないではないでしょうか?
いずれも分かりやすくまとめられているほか、後述する2部構成の後編「ゲームクリエイターに必要な知識とスキル」で各業種についてさらに事細かに説明してくれているため、自分に適した業種について見極めることにもつながります。
2-1-3. あるゲーム会社の一日・ゲーム開発の流れ
「あるゲーム会社の一日」「ゲーム開発の流れ」では、ゲームがどのように作られているかや、ゲーム開発に携わっている人たちの一日のスケジュールが具体性を伴って書かれています。
特に「あるゲーム会社の一日」では、あえて「月末が近いある日」を舞台設定としており、憧れに隠されがちなゲーム業界の多忙さをしっかりと伝えています。
ここまでで既に一冊の業界説明本としてまとまるレベルのボリュームなのですが、前述の通り「左ページに説明、右ページに図解」のレイアウトでテンポよく読むことができます。
「勉強のために読む」と肩肘張らず、まるでゲームの攻略本を読むかのように楽しく業界について知ることができるでしょう。
2-2. 「ゲームクリエイターに必要な知識とスキル」
2部構成のうちの後半、「ゲームクリエイターに必要な知識とスキル」では、以下の業種についてそれぞれ詳しく説明されています。
2-2-1. 紹介職種一覧
・プランナー
・プログラマー
・グラフィックデザイナー
・サウンドクリエイター
・ディレクター
・プロデューサー
2-2-2. 職種ごとの詳細な仕事内容
ゲーム好きであれば、それぞれの職種名を一度は見たことがあるかと思います。
本項ではそれぞれ具体的にどんな仕事をしているのか、そしてゲームのどの部分に関わっているのかが詳しく説明されています。
「グラフィックデザイナーがゲーム内のステージを作成する際、処理負荷を軽減するためにLODというものを活用します」といったように、平易すぎない内容がスパイスとなって知識欲をそそる作りとなっており、ある程度詳しい人にも興味深く読める構成です。
本項を読むだけでも、クリアしたゲームのスタッフロールなどがより一層感慨深いものになるのではないでしょうか。
もちろん趣味の面で理解が深まるだけでなく、ゲーム業界への就職・転職を考えている人が自分の適正を考える上でも大きなサポートになるでしょう。
3. 最後に
本書籍は、ゲーム業界に関する「知りたい」を飛び越え、「詳しくなりたい」というニーズに応えてくれる一冊です。
本書籍の最大の価値は、 「実績のあるプロフェッショナルが」「言葉を一つ一つ精査して編集し、書籍化している」ことにあるでしょう。
現在はWEB上で少し検索するだけで知りたいことがすぐ分かる、便利な世の中です。
しかし検索すればすぐ分かることがたくさんあるにも関わらず、教科書や参考書が要らないとは言われないように、一つの事柄について網羅的にまとめられた情報というのはそれだけで大きな価値があります。
知識欲を満たしてくれるだけでなく、ゲーム業界への就職・転職を考えている人の大きな助けにもなるでしょう。
著者は本の冒頭で、ゲームクリエイターという仕事を「こんなに楽しい仕事は他にない」と述べています。
本書籍は、まさにその思いを具現化した一冊と言えます。
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