「STAYHOMER」や「Ghone is gone」に見る時事ネタとゲームの相性
近年に起きた政治、経済、国際、社会一般における事象を扱う“時事ネタ”は、漫画やドラマだけでなくゲームにも取り入れられています。
今回は、未経験からゲーム業界でプランナーを目指す人に向けて、時事ネタを取り扱うゲームの魅力やかかわる際の難しさについて紹介していきます。
目次
1.時事ネタを扱うゲーム事例
1-1.時事ネタを主軸に作成したゲーム
こちらは時事ネタをゲームの主軸やプレイ内容に直接据える例です。
直近の作品では、新型コロナウィルスの感染拡大やそれに対する一連の対策、発言を取り扱った「STAYHOMER」、「密です3D」などがあります。
- 「STAYHOMER」公開トレーラー
- 「密です3D」デモ映像
その他、Steamで発売中の海外タイトルでも時事ネタを使用したタイトルを見つけることができます。
2019年12月に秘密裏に日本からの国外脱出を図った元・某自動車社長がモチーフと思しき「Ghone is gone」は比較的記憶に新しいでしょう。
ここで紹介したタイトルに共通する最大の特徴は、いずれも時事ネタが広まってからすぐに発表されているという点です。
「Ghone is gone」は某社長の国外脱出から1カ月以内の2020年1月23日に配信されました。
また、「密です3D」は2020年4月22日、「STAYHOMER」は2020年5月17日と新型コロナウィルスの渦中での発表となっており、かなりのスピードで製作・配信されたことが伺えます。
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1-2.時事ネタを部分的に取り入れたゲーム
主軸やプレイ内容に据えず、部分的に時事ネタを使うケースもあります。
PC版「Surgeon Simulator」のアニバーサリーエディションでは、新コンテンツとしてなんと某国の大統領(当時は大統領候補)が心臓移植手術の患者として登場しました。
また、エイプリルフールの企画などで目にすることも多く、「Fate/Grand Order」(「Fate/Grand Order Gutentag Omen」)や「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(「がるぱタワーバトル」)といった人気アプリでの取り組みが印象的です。
2.時事ネタをテーマにすることのメリット
2-1.注目されやすい
ゲームにおいて時事ネタを取り扱うことの最大のメリットは、なんといっても注目されやすいことです。
時事ネタは世間に広く伝播しているので、普段ゲームに触れていない人の目にも止まります。
ここ最近でもっとも有名な例は、小池百合子東京都知事が「密です3D」をはじめとした「密です」という自身の発言をもとにしたゲームを認知している発言をしたことでしょう。
その他、SNSなどで拾われやすいことはもちろん、ゲームメディアなどに記事化してもらえるチャンスがある点も大きな強みといってよいでしょう。
2-2.必ずしもクオリティが重視されない
時事ネタを取り扱うゲームは、その性質から製作者のユーモアに評価の重点が置かれているといえます。
そのため、製作する際はいかにテーマにした時事ネタで楽しむかという発想力での勝負となります。
視点を変えれば、製作者のユーモアでユーザーを楽しませられれば、必ずしもゲームのクオリティを追求する必要はないともいえるでしょう。
3.時事ネタをテーマにすることの注意点
3-1.作ることを決めたらともかくスピード勝負
時事ネタをテーマにする際のもっとも大きな注意点は、ネタの鮮度です。
テーマにした時事ネタが風化していくにつれて注目度は落ち込んでいきますし、先駆者がいれば二番煎じとなってしまい、時事ネタをテーマにするメリットは薄れていってしまいます。
時事ネタをテーマにしたゲームを作ると決めたなら、ともかくスピード勝負でネタの鮮度が落ちる前に発表することが重要といえるでしょう。
3-2.炎上の危険性
時事ネタをテーマにする際、もう一つ気をつけておかなければならないのは炎上の危険性です。
政治、経済、国際、社会一般における事象を取り扱う性質から、モデルとなった人物が実在するケースが多く、自分ではユーモアを効かせたつもりでもユーザーに不快感を与えてしまい、批難される恐れがあります。
4.まとめ
時事ネタは、上手に扱えば注目されやすいメリットを持つ一方、ネタの風化や炎上といったデメリットを抱えており、まさしく諸刃の剣のような性質をしています。
もしも時事ネタでゲームを作ろうと考えているならば、情報収集を欠かさずに行い、素早く行動できるように準備することが重要だといえるでしょう。
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