ドラゴンクエストウォークに学ぶwithコロナで試される位置情報ゲームのピボットな開発スタイル


2020年9月、ドラゴンクエストウォークはサービス開始から1周年を迎えました。

田中圭、中村倫也を使ったイメージPVや、その発表会を兼ねた大々的なイベントも話題を生んでいます。

 

ドラゴンクエストウォークは位置情報ゲームと呼ばれる、スマホの位置情報を取得してゲームにフィードバックします。

 

つまり「如何に歩かせるか」が面白さとなるゲームです。

その為、昨今のCOVID-19による各自治体からの緊急事態宣言や自粛ムードはサービスにとって致命的なダメージとなるはずでした。

 

しかし、まさしくwithコロナとも言える施策を張り巡らせることでアイデンティティ喪失のリスクをはらみつつアクティブユーザーの離脱を免れています。

 

コロナ禍におけるドラゴンクエストウォークの一挙手一投足は、ゲーム開発・運用という面でとても示唆に富んだ事例になります。

 

最悪のタイミングと重なった人気イベントの実装

ドラゴンクエストウォークの目玉となるイベントに「ナンバリングタイトルコラボ」があります。

 

これは既存のドラゴンクエストシリーズ1〜11のキャラクターや世界背景をドラゴンクエストウォーク内に期間限定で登場させるイベントです。

 

これまで2019年9月の「ドラゴンクエスト1コラボ」、2019年12月の「ドラゴンクエスト4コラボ」があり、いずれも往年の人気装備を実装したことでファンからの好評を受けました。

 

そして2020年3月、「ドラゴンクエスト3コラボ」の予告がリリースされます。ドラゴンクエスト3と言えばシリーズの中でも屈指の人気を誇るビッグタイトル。

 

1987年当時、マスメディアではドラゴンクエスト3を買う為の行列やゲーム欲しさによる恐喝といった報道がされるほど、シリーズの社会的認知を広めたドラゴンクエスト人気の立役者とも言えます。

 

そんな人気タイトルのコラボイベントがドラゴンクエストウォークに実装されることにプレイヤーは胸を躍らせましたが、かねてからのCOVID-19による緊急事態宣言が発令されます。

 

イベント実施事態の中止を危ぶまれましたが、限定的な機能実装と一部機能の実装見送りによりドラゴンクエスト3コラボは実施されました。

 

状況を鑑みて実装を見送るという判断

まず機能実装を見送られたのが「一緒に冒険機能」。

 

ドラゴンクエストウォークはメガモン討伐というレイドバトル時にのみ自分以外のユーザと協力プレイが可能になります。

 

一緒に冒険機能では通常プレイ時にパーティを組む事ができ、パーティを組んだユーザ同士で戦闘に参加したり、フィールドで使用するアイテムの効果を共有できます。

 

しかし、この機能は複数のユーザを外出させて至近距離で居させることとなります。

 

その為、緊急事態宣言発令前のセンシティブな状況下では実装が見送られ、2020年9月のアップデートでようやく日の目を見ることになりました。

 

もし当初の予定通り機能実装していたら、仮にユーザ間でクラスター感染が起きなかったとしても複数人で出歩くユーザに対して風評被害が集まるなどリスクが想定されます。

 

そうした社会に対する影響を鑑みた、機能実装の取捨選択に耐えうる開発・運営スタンスが功を奏した実例です。

 

ゲームのアイデンティティ喪失リスクとのトレードオフ

一緒に冒険機能実装見送りに合わせて限定的に実装されたのが「どこでもメガモン討伐」という機能です。

 

通常メガモン討伐は特定の位置情報から半径およそ50m~100m程度で参加可能となります。

 

どこでもメガモン討伐ではそういった距離の制約を解除し、各地域ごとに電波がある範囲では必ずアクセスできる場所にメガモンを出現させることでディスタンス確保をしました。

また、これにあわせて「どこでも目的地」という機能も実装されました。

 

ドラゴンクエストウォークでは自分の現在地から半径約100m以上のスポットにクエストの目的地を設定し、そこに向かって歩くことでクエストが開放されます。

 

これによりボスバトル開始やクエストクリアのきっかけとなります。

 

どこでも目的地機能はこの「最低限歩かせる」というユーザへのアクションを無くし、自分がいる同じ座標の位置に目的地設定を行えるようにしました。

 

これにより、出歩かずに家の中でクエストを受注し、クリアし続けるというプレイスタイルを実現しました。

 

これに伴い、通常では全回復する際は1時間待たなくてはいけなかったのが、30分待てば全回復できる様に機能追加されたり、モンスターを呼び寄せるアイテムが配布されました。

 

他にもマップ内に点在するイベントが発生するポイントのタップ可能領域を通常よりも広げることで、より家の中からのプレイを快適にしていました。

 

これらは一見便利な機能追加に見えますが、本来は歩かせてなんぼの位置情報ゲームです。

 

この手軽さを提供することはひいてはサービスの寿命を短くしかねません。

プレイヤーは便利さ、楽さを一度知ってしまうとそれが無くなった時に思いがけないストレスを感じます。

 

しかし結果としてどこでもメガモン実装、どこでも目的地は緊急事態宣言発令下において、ユーザの継続的なサービス利用へ寄与しました。

 

なお、コロプラが発表した2020年9月期第3四半期累計(19年10月~20年6月)の連結決算では、営業利益が前年同期比18.9倍の92億9400万円に伸びたとあります。

 

この数字から、白猫など既存のゲームタイトルの好況はあるものの、ドラゴンクエストウォークがコロナ禍に足を引っ張られず、利用されている、ということがわかります。※1

 

ピボットな開発スタイルが前例を作る

何より目を見張るのは、これらの機能追加が現実世界で日々移り変わるコロナ禍でスピード感を持って実装されているという事です。

 

通常のスマホゲームであれば、あまり世論や情勢にゲーム自体が左右されることはありませんが、位置情報ゲームでは現実世界の社会問題や災害からダイレクトに影響を受けます。

 

その為、あらゆるケースを想定した機能実装、システム開発が求められます。

 

こうした不測の事態にどれだけバッファーを持った設計を行い、情勢に応じて素早く取捨選択をできるか、というのがサービスの寿命を左右する開発側の手腕となります。

 

ドラゴンクエストウォークはまるでドラゴンクエスト本編の様に、コロナという目に見えないモンスターにコンテンツ産業はどう立ち向かうのか、という問いへの一つの答えを体現しました。

 

これまでのゲームプレイ様式が通用しなくなるかもしれない、という状況の中で、いかに柔軟に、サービスレベルを落とす事なくゲームを開発・運営していくか。

 

そのケーススタディとしてドラゴンクエストウォークのwithコロナ・スタイルは学びの多い事例になります。

 

ライター名:ビットリズム

 

プロフィール:国産ゲームで産湯を使ったロムネイティブなゲームエバンジェリスト。QOL向上に必要なのはワーク・ライフ・ゲームバランスだと信じている。

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ドラゴンクエストウォーク公式サイト

https://www.dragonquest.jp/walk/

 

GooglePlay

https://sqex.to/dHR2w

 

Appstore

https://sqex.to/f8GEE

 

※1 コロプラ、3Q累計で営業利益が19倍に コロナ禍でも「ドラクエウォーク」「白猫」好調

https://news.yahoo.co.jp/articles/fa173866aa36070bc843a66d6b013f22141c67b6

 

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