
ゲーム業界で就職・転職を成功させるための履歴書・職務経歴書・ポートフォリオの書き方
ゲーム業界への就職・転職を目指すとき、多くの人がつまずくのが履歴書・職務経歴書・ポートフォリオの書き方です。「何をアピールすればいいのかわからない」「応募先に響く見せ方がわからない」と悩む人は少なくありません。
本記事では、志望動機の考え方から、職務経歴書で評価されるポイント、そして職種別のポートフォリオの作り込み方までを具体的に解説します。読み終えるころには、他の応募者と差をつけ、即戦力として評価されるための書類づくりの指針が得られるはずです。
1. 履歴書の志望動機
まずは履歴書の要となる志望動機です。ここでは、採用担当者に「この人と会ってみたい」と思わせるための3つのポイントを解説します。
1-1. なぜゲーム業界で、なぜ貴社なのかを分かりやすく説明する
志望動機を書くときは、「数ある業界の中でなぜゲーム業界を選んだのか」「その中でもなぜこの会社を志望するのか」という2点を、明確に伝えることが大切です。
「ゲームが好きだから」という動機の人は多いですが、それだけでは軽い憧れと受け取られかねません。ゲームを好きになったきっかけや、のめり込んだ経験など、自分にしか語れない具体的なエピソードをもとにアピールしましょう。
さらに、熱意だけでなく、ゲームをビジネスとして捉える視点も欠かせません。たとえば「スマートフォンの普及でゲームがより身近になり、市場としてのポテンシャルが高い」といったように、業界の現状を理解していることを示すと、説得力が増します。
第一志望でない会社を受ける場合、志望理由を書きにくいと感じるかもしれません。しかし重要なのは、応募先の特徴を事前にきちんと調べられているかどうかです。企業研究を丁寧に行うことで、第一志望でなくても本気度は十分に伝わります。
1-2. 自分を採用した場合のメリットをしっかりアピールする
熱意を伝えるだけでなく、会社が自分を採用することでどんなメリットがあるのかを、はっきり示す必要があります。
自分の強みは何か、その強みを応募先の業務でどう活かせるのかを、採用担当者がイメージできるように説明しましょう。とくに、「応募する職種に必要な能力を理解していること」と「その能力が実際に備わっていることを裏づけるエピソードが適切であること」の2点が重要です。内容に説得力があるかを意識しながら書き進めてください。
1-3. 志望者が多い業界だからこそ、他の候補者との差別化を意識する
ゲーム業界は人材が不足していると言われる一方で、非常に人気が高く、憧れを抱く志望者が数多く集まる業界でもあります。つまり、あなたが応募するポジションには、同じように熱意を持った複数のライバルがいると考えるべきです。
採用は相対評価です。「ゲームが好き」「頑張ります」といった、誰でも書ける内容だけでは、多くの応募者の中に埋もれてしまいます。選ばれるためには、他の候補者にはない自分ならではの強みを明確にし、それが応募先にどう貢献できるのかを具体的に打ち出すことが不可欠です。
自分のスキルや経験を棚卸しし、「同じ志望職種の応募者と並んだとき、自分の何が抜きん出ているのか」を言語化しておきましょう。この視点を持てるかどうかが、書類選考を通過できるかの分かれ目になります。
2. 職務経歴書でアピールするポイント例
職務経歴書でアピールしたいポイントは、大きく分けて次の4つです。
・業務内容
どんな業務を経験したかだけでなく、その経験を通じて何が身についたか、どのような評価を受けたかといった実績まで書くと、よりアピールになります。ゲームはチームで作るものなので、チームの人数や、その中で自分がどんな役割を担っていたかも添えると効果的です。
・使えるツールと経験年数(個人制作含む)
「Adobe Illustrator:5年」のように、扱えるソフトの名称と使用年数を忘れず記載しましょう。業務での使用期間だけでなく個人制作での使用期間も含めて構いませんが、その場合は個人使用を含む旨を明記してください。
・活かせる経験
応募する職種に対して、これまでの経験をどう活かせるかを具体的に書きましょう。汎用的な経験と専門的な経験を切り分け、応募職種の業務内容を踏まえて活かせそうな経験を選び出すことが大切です。
・自己PR
自分の強みを業務の中でどう活かせるのかをアピールします。過去のトラブルや課題を、自分の強みを使ってどう解決したのか、具体的なエピソードと絡めて説明できると説得力が増します。
2-1. 応募ポジションに合わせてアピール内容を変える
さらに職務経歴書は、どの職種に応募するかによって、強調すべきポイントが変わります。同じ書類を使い回すのではなく、応募ポジションに合わせて内容を最適化することが重要です。
たとえば同じ「ゲーム制作の経験」でも、デバッグ職なら正確性や検証力、デザイナー職なら表現力や見せ方、企画職なら課題解決や仕様設計の力、エンジニア職なら実装力や技術選定の判断といったように、評価される切り口が異なります。
本記事では、デバッグ・デザイナー・企画・エンジニアの4職種を例に取り上げます。職種ごとに何を重点的に見せるべきかは、後述の「3-5. 職種ごとの注意点を押さえる」で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
3. ポートフォリオを書く上で注意したい点
クリエイター職を志望する場合、履歴書・職務経歴書に加えてポートフォリオが欠かせません。むしろクリエイターにとっては、この2つ以上に重要なものと考えて作り込むべきです。ここでは、評価されるポートフォリオにするための注意点を解説します。
3-1. 即戦力性が伝わる作品を選定する
ポートフォリオでまず意識したいのは、「絵がうまい」ことを見せるだけでなく、「入社後すぐに戦力になれる」ことを伝える作品選びです。採用担当者は、あなたが自社の現場でどれだけ早く活躍できるかを見ています。
どの作品を、どんな構成・順番で並べるかによって、伝わる印象は大きく変わります。応募職種で求められるスキルが端的に伝わる作品を前半に配置し、「この人ならすぐに任せられそうだ」と感じてもらえるように整理しましょう。単なる作品の羅列ではなく、即戦力性を示すという明確な意図を持って見せ方を設計することが大切です。
3-2. 応募ポジションと親和性の高い制作物を見せる
ポートフォリオには、自分の「描きたいもの」「作りたいもの」だけを載せてしまいがちです。しかし採用側が見たいのは、応募ポジションの業務と親和性の高い制作物です。
たとえばキャラクターデザイナーを志望するなら魅力的なキャラクター表現を、背景美術を志望するなら空間や世界観の描写を、というように、応募先が求める領域に沿った作品を中心に据えましょう。
もちろん、人物だけでなく動物・背景・クリーチャーなど幅広いモチーフを描けることは強みになります。ただし「何でも描ける」ことをアピールする場合も、応募職種で実際に必要とされる制作物をきちんと含めたうえで、対応力の広さを補足として見せるのが効果的です。応募ポジションとの接続を意識した作品選びが、評価につながります。
3-3. ポートフォリオを使い回す際は「全体の統一感」の欠如に注意
ポートフォリオは、志望する会社ごとに毎回すべてを作り替える必要はありません。ベースは使い回しつつ、コメント部分だけを応募先に合わせて調整すれば、熱意を保ちながら効率よく就職・転職活動を進められます。
ただし意識しておきたいのは、個々の作品だけでなく、ポートフォリオ全体のまとまりや統一感そのものも、一つの「作品」として評価されるということです。使用するフォント、余白の取り方、ページの流れ、キャプションの書き方などに一貫性があるかどうかは、制作物を整理・構成する力の表れと受け取られます。
バラバラな見た目の作品を寄せ集めただけのポートフォリオと、全体が一つの世界観で統一されたポートフォリオとでは、同じ作品を載せていても印象が大きく異なります。全体を通して「見る人に伝える設計ができているか」を意識して仕上げましょう。
3-4. 制作環境や即戦力性が伝わるよう、ツール・工程を明記する
作品ごとに、使用したツールや制作工程を明記しましょう。Illustrator、CLIP STUDIO PAINT、Live2D、Mayaなど、何を使って制作したのかを具体的に示すことが大切です。
ここでのポイントは、単に「いろいろなツールを使える器用さ」を見せることではなく、応募先の制作環境との親和性や即戦力性を伝えることです。応募企業が使っているツールや開発環境と近い環境で制作した実績があれば、採用側は「教育コストをかけずにすぐ現場に入ってもらえそうだ」と安心できます。使用ツールを書く際は、応募先の環境を意識して記載するとよいでしょう。
なお、制作にかかった時間を実際より短く盛るのは避けましょう。最初の印象は良くても、入社後にその制作時間を前提とした依頼をされ、自分が苦しむことになりかねません。「入った後に快適に働く」ことも考え、正直に記載することをおすすめします。
3-5. 職種ごとの注意点を押さえる
ポートフォリオで評価されるポイントは、志望する職種によって異なります。ここでは代表的な4職種について、それぞれ押さえておきたい点を解説します。
3-5-1. デバッグ志望の場合
デバッグ職では、提出物における正確性と確認力が厳しく見られます。誤字脱字、表記ゆれ、ファイル名のミスといった細かな点も、業務品質の表れとしてチェックされます。まずは自分の提出資料そのものにミスがないかを徹底的に確認しましょう。
また、テスターとしての基礎力を示すために、再現手順・期待結果・実際の結果・優先度の付け方などを整理した資料を用意し、誰が見ても同じ状況を再現できる読みやすさを意識すると評価されます。
あわせて、20代後半以降の応募や経験者の場合は、テスト設計、工数・スケジュール管理、タスクの采配、メンバー教育といった、リーダーやサブリーダーとしての上流工程の経験をしっかり記載しましょう。単に不具合を見つけるだけでなく、テスト全体を設計・管理できる人材であることを示せると、評価が大きく変わります。
3-5-2. デザイナー志望の場合
デザイナー職では、個々の作品だけでなく、ポートフォリオ全体のデザインも評価対象になりやすい職種です。
罫線のズレ、余白、文字の読みやすさ、画像の配置、ページの流れなどに注意し、提出物そのものが「相手に読ませる配慮ができているか」を見られていると意識しましょう。ラフ、清書、差分、使用想定画面などを添えると、制作意図が伝わりやすくなります。
近年のデザイナー採用では、特定のテイストだけを追求するよりも、幅広い作風に対応できる力が重宝される傾向があります。プロジェクトごとに求められる絵柄に寄せる「絵柄寄せ」や、既存キャラクターの雰囲気に似せる「キャラ似せ」といったスキルが注目されており、さまざまなテイストを描き分けられることは大きな強みになります。得意な作風に加えて、対応の幅広さも見せられると効果的です。
3-5-3. 企画志望の場合
企画職では、企画書、仕様書、画面遷移図、レベルデザイン、イベント設計などを掲載します。単なるアイデアの提示ではなく、「なぜその仕様にしたのか」という意図まで説明できると、思考の深さが伝わります。
ユーザー体験、運営改善、課題解決、チームへの伝えやすさといった観点をアピールし、仕様づくりで工夫した点や、他職種と連携しやすくした工夫があれば必ず書きましょう。
仕様書を掲載する際は、単に「仕様書作成」と書くのではなく、一段掘り下げて記載することが重要です。それがインゲーム(ゲーム本編)の仕様なのかアウトゲーム(メニューやショップなどの周辺部分)の仕様なのか、さらにその中でも何の機能・画面の仕様なのかまで明記しましょう。
たとえば同じ「仕様書作成」でも、インゲームのコアとなるゲームシステムの仕様なのか、ヘルプ画面の操作方法表示の仕様なのかで、求められるスキル感はまったく異なって見えます。具体的に書くことで、自分の経験を適正に評価してもらいやすくなります。
3-5-4. エンジニア志望の場合
エンジニア職では、実装した機能、担当範囲、使用言語、ゲームエンジン、ライブラリ、開発環境を明記します。そのうえで、機能実装の中で工夫した処理、負荷軽減、拡張性、保守性、デバッグ対応などをアピールしましょう。
ここでも、単に「機能実装」と書くのではなく一段掘り下げることが大切です。それがインゲームの機能なのかアウトゲームの機能なのか、さらにその中でも何の機能・画面を担当したのかまで記載することで、自分の経験領域や得意領域をイメージしてもらいやすくなります。
また、ソースコードや自主制作ゲームなどをポートフォリオとして提出する場合は、プレイ動画、デモURL、GitHub、READMEといった確認しやすい導線を、上記のスキル記載とは分けて用意すると親切です。採用側がスムーズに成果物を確認できるよう整えておきましょう。
なお、AIによるコード補助を活用した場合でも、最終的な設計判断・検証・修正を自分で行ったことが伝わるようにしておくことが重要です。ツールを使いこなしつつ、自分の頭で判断できるエンジニアであることを示しましょう。
3-6. 20代後半以降はリーダー経験も記載する
20代後半以降の転職では、プレイヤーとしての個人スキルだけでなく、チームの中でどんな役割を果たせるかも見られやすくなります。リーダー、サブリーダー、教育担当、レビュー担当、進行管理、外注管理など、チームに関わる経験があれば積極的に書きましょう。
明確な肩書きがなかった場合でも、実質的にメンバーを支援したり、チーム内の調整役を担ったりした経験があれば、自己PRに含める価値があります。「一人で成果を出せる」ことに加えて「チームの成果を高められる」ことを示せると、任せられる人材として評価されます。
3-7. 提出前にポートフォリオのチェックリストを確認する
完成したと思っても、提出前の最終確認を怠ると評価を下げてしまうことがあります。次のようなチェックリストで、抜け漏れがないか確認しましょう。
・基本の品質チェック
誤字脱字、表記ゆれ、罫線のズレ、リンク切れ、画像の粗さ、PDFの容量などを確認します。応募職種と関係のある作品が前半に配置されているかも見直しましょう。
・記載漏れのチェック
AIツールを使用した箇所、担当範囲、制作時間、使用ツールの記載に漏れがないかを確認します。
・表示・動作のチェック
Webポートフォリオの場合はPC・スマートフォンの両方で表示を確認します。ゲーム作品を提出する場合は、起動方法、操作方法、推奨環境を明記しておきましょう。
4. まとめ
ゲーム業界の就職・転職で使う履歴書・職務経歴書・ポートフォリオについて、望まれるスキルとアピール方法を解説しました。すべてに共通する大切なポイントは、「自分ならではの強みや特徴を把握できていること」と「書類や作品を見る人の気持ちを踏まえて伝えられていること」の2つです。
とくにポートフォリオは、即戦力性が伝わる作品選び、応募ポジションとの親和性、全体の統一感、そして職種ごとの見せ方の工夫が評価を左右します。応募先が「この人と一緒に働きたい」「すぐに戦力になってくれそうだ」と感じられるように、見る人の視点で作り込みましょう。
それでも書き方に自信が持てない場合や、書類選考がなかなか通らない場合は、転職エージェントにアドバイスを求めるのも一つの手です。応募企業の選考傾向や書き方のコツを教えてくれるので、上手に活用してください。
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