「フリーミアム」とは?ゲーム業界におけるフリーミアムの例も紹介


 
このコラムは、オンラインサービスでよく聞く「フリーミアム」について、言葉の意味やメリット、注意点などを解説します。ビジネス的に向いている例や向かない例も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
 

1. 「フリーミアム」とは?

「フリーミアム」とは基本的に無料でも有効利用でき、一部から課金を得る仕組みです。言葉としては自由を意味するフリーと、高度さを意味するプレミアムから生まれた造語で、2000年代以降に提唱されています。
 
オンライン上では全ユーザーの多くが無課金でも、5%が課金してくれれば成立するという数値もしばしば紹介されており、Webが浸透した現在では有効なビジネスモデルとして広く定着しています。
 
当コラムはゲームに関連した内容を主として記述しますが、ビジネスモデルとしてはゲーム以外でも多用されています。例えば、オンライン会議のツールとして広まっているZoomや、コミュニケーションツールとして利用されているSlackなどもフリーミアムの事例です。
 

1-1. フリーミアムとサブスクリプションの違い

フリーミアムと似た言葉として「サブスクリプション」があります。違いは無課金でも使い続けられるかどうかと、課金のシステムにあります。
 
サブスクリプションは定額を継続的に課金する点が特徴です。例えばNetflixやAmazonプライムなどは無料のお試し期間はあっても、基本的に課金しなければサービスを楽しみ続けることが出来ませんから、サブスクリプションに分類されます。
 
一方、フリーミアムの例でしばしばあげられるZoomやDropboxは無料のままで使い続けることが可能です。つまり、フリーミアムは無料の範囲でサービスの有効性を把握してもらい、プラスアルファの機能を求める人の課金によって収益を集めるという仕組みなのです。
 

2. フリーミアムが持つメリット

この項目では、フリーミアムのビジネスモデルが持つメリットを紹介します。
 

2-1. 新規ユーザーの獲得ハードルが低い

フリーミアムのサービスは無料で利用できるので、新規ユーザーを獲得しやすい点にメリットがあります。有料のサービスに対しては誰もが導入をためらいますが、無料であればハードルは非常に低くなります。
 
また、企業であればお金を支払うことに一定の手続きが必要ですし、費用対効果を検討する必要もあります。しかし、無料で業務を効率化できるサービスがあればむしろ歓迎されるでしょう。
 

2-2. 改善の際に課金の有無に関わらず幅広い意見をもらうことができる

フリーミアムモデルを利用すれば、有償のサービスより多数のユーザーを獲得できます。ユーザーの母数が多ければそれだけサービスに対する意見を得やすいメリットがあります。ユーザーの声が多ければ、喜ばれている点を伸ばしたり、改善すべき点を確認したりしやすいのでサービス向上が容易です。
 

2-3. 納得の上で課金(購入)をしてもらえる傾向にある

課金や購入した後初めて利用するサービスの場合、ある程度は「期待外れ」や「ガッカリ」という評価があります。低評価を下したユーザーは、同社のサービスにお金を払うことをためらうようになりますし、積極的に不満足の理由を世間にアピールする可能性も否定できません。
 
一方、無料で試したうえでお金を払うユーザーは、そのサービスを必要としており、金額にも納得して払うことが多いので、継続利用してくれる見込みが持てます。
 

3. フリーミアムが持つ注意点

この項目ではについてフリーミアムモデルの注意点を解説します。
 

3-1. 黒字化するかどうかが不安定な上、軌道に乗るまで時間がかかる

フリーミアムはサービスを無料で提供するため、初期には利益を得にくいビジネスモデルです。そのため、サービス開始時点では赤字であることが多く、利益を上げて黒字化するまでに時間を要することは覚悟しておく必要があります。
 

3-2. ある程度体力がなければ運用を続けられない

フリーミアムは、無償で提供するサービスに課金する価値を見出してもらうことに特徴があります。そのため、無償であってもレベルが低いサービスを提供するわけにはいきません。
 
「タダだから使うけど金を出すほどの価値はない」と評価されればビジネスが成り立たないからです。つまり、フリーミアムは、高品質なサービスを提供し続ける体力がある会社でなければ、採用できないビジネスモデルなのです。
 

3-3. ビジネスのジャンルによっては向いていない場合がある

フリーミアムは初期段階では利益が見込めない特徴を持っています。そのため、リアル空間で場所や人手を必要とする事業や、物理的な物品の販売などコストがかかり続ける事業には向いていません。基本的にWeb上のサービスで、いったん作ったものを多くの人に提供できるジャンルでなければ成り立たないと考えて良いでしょう。
 
上記の要素を踏まえれば、ネット上で運営するオンラインゲームならフリーミアムのビジネスプランと親和性が高いと言えます。
 

4. ゲーム業界でフリーミアムとされているスタイル

オンライン上で運営される「基本無料」型のゲームは、フリーミアムを利用したビジネスモデルだと言えます。基本無課金で多くのユーザーを獲得し、その中の2~5%が課金に移行してくれれば利益が見込めるわけです。
 
日本の主流である課金ガチャは海外では批判されることが多いですが、批判されないように注意し、シーズンパス制度を採用するなどの工夫をしていれば、オンラインゲームとフリーミアムの親和性は非常に高いと言えるでしょう。
 

5. まとめ

オンライン上のサービスのビジネスモデルのひとつである「フリーミアム」について、意味や特徴、メリットや注意点を解説しました。
 
フリーミアムはゲーム業界では「基本無料」という形ですでに広く利用されていますから、課金の形態は変化するとしても、今後も有力なビジネスモデルとして利用されていくでしょう。
 

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