【ゲームのチート対策】チートの種類や具体的な対策方法などを企業目線で説明!
このコラムでは、ゲームで行われているチート行為の種類や損害、対策などを解説します。
「チート(cheat)」とは、「だます」、「詐欺」、「不正行為者」という意味の英単語で、ゲーム内では不正行為として扱われます。チートが発覚すればアカウントを凍結されることもありますし、悪質な場合は刑事事件として逮捕されたチーターも存在します。
その不正行為によってユーザーやゲーム会社がこうむる被害を紹介し、ゲーム会社が行っている対策も解説します。
目次
1. ゲームにおけるチートの種類
この項目では、まずゲームにおけるチートの種類を解説します。また、FPSなど特定のジャンルでどのように使用されているか、どんな害があるのか、といった点も具体的に記載しますので参考にしてください。
1-1. ハードウェアに干渉するチート
ゲームのコントローラー、PCのキーボードやマウスなどの周辺機器などに手を加えるタイプのチートです。
例えばマクロ機能によって、人間には不可能な速度で操作ができるようにする手法があります。FPSで連射不可能なはずの武器を連射できるようにするなどの効果がありますから、ゲーム開発者が考えたゲームバランスが破壊されてしまいます。
また、キーボードとマウスを、コンバーターと呼ばれる機器を使うことでゲームパッドと誤認させるチートもあります。そもそもキーボードとマウスはゲームパッドより有利とされていますが、そこにゲームパッドだけができる操作も可能になってしまうと、正当な機器を使っている人が勝利するのは非常に難しくなります。
FPSのゲームでは、キーボードとマウスの組み合わせよりゲームパッドはエイムが難しいとされているので、ゲームパッドを使うプレイヤーの不利を軽減するためにエイムアシストという機能がゲームパッドを使う場合のみ利用できます。ところが、上記のコンバーターを使用することで、キーボードとマウスを使うプレイヤーもエイムアシストが利用できてしまい、ゲームバランスを大きく壊すほどの害が生じるのです。
1-2. ソフトウェアに干渉するチート
ここからは、ソフトウェアに干渉するチートの手法を紹介します。
1-2-1. メモリの改ざん
コンピュータは何らかの動作をする際に、メモリに格納した数値を見に行くように作られています。そのメモリを人為的に改ざんする悪意のあるプログラムを使用すると、アイテムやゲーム内通貨の数を増やすことができるのです。
ネット上にはメモリの書き換えを行うためのツールが公開されているため、メモリを改ざんするチート行為は比較的容易に行えてしまうことが問題となっています。
1-2-2. パケットの改ざん
スマートフォンなどにダウンロードしてプレイするタイプのネイティブアプリゲームは、プレイによって生じた結果を常にサーバーに送っています。この送信データを解析して改ざんすることで、メモリの改ざんと同様にゲーム内のアイテム数や通貨数を増加させることができます。
またパケットの改ざんは、本来所持していないはずの武器の効果を発動したり、プレイヤー名を改ざんしたりすることにも悪用されます。これによって、チャットでほかのプレイヤーに成りすまして心無い発言をするなど、愉快犯のような手法も見られます
1-2-3. バイナリの改ざん
「バイナリ」とはコンピュータが扱うデータで、2進法で表されています。そのため、一般の人がバイナリデータを見ても数値の羅列としか認識できません。しかし、バイナリデータを書き換えるツールを使えば、所持するアイテムやゲーム内通貨の数を変えることができます。また、本来獲得している能力を強化するといった不正にも使われます。
2. チートによって受ける主な損害
この項目では、チートが行われることでどんな被害が出るのかを、ユーザー側とゲーム運営会社側の両面から解説します。
2-1. ユーザーが受ける損害
例えばFPSにおいてチートを悪用しているプレイヤーと対戦した場合、チートを利用せずに正当なプレイをしている人が不利になります。
チーターは本来設定された以上にエイム能力を上げていたり、本来は射撃が困難な壁越しからでも狙ってきたりするからです。また、本来はあり得ない速度で移動したり、設定された以上の連射を行ったりするタイプのチートもあります。このように対戦が圧倒的不利な状態では、ゲームを楽しむことができません。
また、なりすましによって心無い発言をされると、ゲーム内での信頼を失うこともあります。さらに、他者のプレイに干渉するタイプのチーターに狙われると、自分の意志に反した動きをされてプレイ自体ができなくなることもあります。
これらをまとめると、勝敗を不正に操作される場合や、自分の意志とは異なる発言や行動をされる場合があり、どちらにしてもゲームの本来の楽しみを味わえなくなるのです。
2-2. 企業(ゲーム運営)が受ける損害
ゲームを運営する会社にとってもチート行為はさまざまな損害につながります。
チートによって本来はあり得ない動作などが行われると、開発者が想定したゲームバランスが崩れてしまいます。例えば開発者は、プレイの幅を楽しんでもらえるように、強い威力がある武器は連射できない、といった設定を考えます。この設定によって、ユーザーは攻撃力が強いものの連射はできないアイテムを選ぶか、連射はできるが威力が弱い武器を持つか、という選択をします。このように、まず考えてプレイを行い、そのプランがうまくいけばプレイヤーは楽しさを味わうことができます。
一方、チートによって大ダメージを与える攻撃が連射可能になると、チーターは楽しいかもしれませんが、普通にプレイしている人はゲームを楽しめません。すると、プレイヤー離れが起きてしまい、企業は想定していた利益を上げることができなくなります。
また、チートが横行するとそのタイトル、ひいてはゲーム会社の信頼を失ってしまいます。この信用失墜も被害のひとつですし、チートを防ぐことに費用や人的リソースを割くことも大きな被害です。これらはチート行為がなければかからないのですから、ゲーム会社としては不要なところに費用を投じなければならないわけです。
3. 企業が取るべき代表的なチート対策
この項目では、チートによる被害を抑えるために企業側が取るべき対策を複数紹介します。
3-1. チートが発覚したプレイヤーへの処置
チート行為を行ったことが明確になったプレイヤーに対しては、アカウントの停止や抹消などを行うことが一般的です。アカウントの停止や凍結は「BAN」または「垢BAN」と呼ばれます。アルファベット3文字なので何らかの英文の略語と思われることもありますが、banとは、禁止、破門、追放などを示す英単語です。
アカウントをBANしてそれを告知すれば抑止効果もありますが、BANされても別のアカウントでゲームを再開し、再度チート行為を行うユーザーもいます。そのため『Apex Legends』や『PUBG』などハードウェアBANという方法を導入しているゲームもあります。ハードウェアBANは、ゲームのアカウントではなくパソコンのIDを認識して再度のプレイ参加を拒みます。この方法なら、パソコンを変えなければプレイに参加できなくなるので、アカウントだけをBANするより効果が上がります。
また、悪質なチートに対しては刑事事件として訴える方法もあります。
3-1-1. 処置の実例
2016年6月、『パズル&ドラゴン』の運営を行うガンホーが、チートを可能とするツールの作成者を警察が逮捕した、という報告を行いました。逮捕された容疑者は、自己が所有するモンスターのデータを改ざんして強化したことで、「著作権法違反」という罪を問われたのです。
また、2022年1月には、『にゃんこ大戦争』のサーバーに虚偽情報を流してアイテムを不正に獲得したとして、「私電磁的記録不正作出・同供用」という疑いで5人を書類送検しています。
3-2. チートが使えない環境の構築
ゲームを開発、運営する会社としては、行われたチートに対して処罰を行うだけでは問題の解決ができません。そのため、チート行為ができない環境を構築することにも力を注いでいます。
オンラインゲームであれば、ユーザー側のすべての行動をサーバーに送るシステムを作れば、多くの不正は監視、抑制できるでしょう。ただし、すべての動作を監視すればそれだけ扱う情報量が増えますから、遅延の問題も起こりやすくなります。そのため、現時点ではこの方法を取れないゲームが多いのが実情です。
これらを踏まえて、現段階で実装され、効果も上げているチート対策を、次の項目で紹介します。
3-2-1. 環境構築の実例
例えば『Apex Legend』や『フォートナイト』などでは、ゲームの演算を外部に把握されにくくするメモリ保護が行われています。
また、『VALORANT』には、Vanguardというチート対策ソフトウェアが用意されています。Vanguardはウイルス対策ソフトのように、既知のチートツールを確認した場合にそれを止める機能を持っています。
さらに『コール オブ デューティ』では、チート行為を行うプレイヤーを検知した場合、その不正プレイヤーが他者にクリティカルダメージを与えられなくなる機能を実装しています。これによってチーターは不正を行っていることが周囲にさらされる上に、チートによって倒そうと思っていた相手にみじめに倒されるという「罰」も与えることができます。
4. まとめ
今回はゲーム内で行われているチートについて、種類や損害、対策の例などを解説しました。
チート行為はゲームのバランスを崩してほかのプレイヤーに不快感を与えますし、ゲーム会社が得られる利益を妨害する悪質な行為です。そのため、プレイヤーとしては絶対にチートに手を染めないこと、見かけたら通報することなどを徹底しましょう。
ゲーム会社としては対策を練り、多くの人が楽しくプレイできる環境を維持することが重要です。チーターは次々と抜け道を見つけて不正を行ってきますが、それぞれの状況にあった対策を行って、自社の利益やユーザーが安心してプレイできる空間を守っていきましょう。
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