人気の鉄板ジャンル「人狼系ゲーム」とは?由来や代表作、開発時の注意点
近年、「人狼系ゲーム」は非常に多く生み出されており、プレイしている人も多いので、ゲームをしない人でも聞き覚えはあるでしょう。とはいえ、だましたり、だまされたりするゲームという性質上、「近寄りがたい」と思う人も少なくありません。そこでこのコラムでは、まず人狼系ゲームの特徴や魅力、歴史などを解説します。
また、人狼系ゲームの代表的作品や、ゲーム開発時の注意点なども紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
1. 「人狼系ゲーム」とは
まず「人狼系ゲーム」がどんなものかを、おおまかな特徴と魅力、歴史というみっつの方向から解説していきます。
「人狼系ゲーム」の要素を大まかに分解すると、「村人」などの被害を受ける側が複数存在しており、それに対する「人狼」などの加害側で構成されます。人狼は村人に紛れ込んで正体がバレないように振舞い、村人を一人ずつ殺害していくことを目的としています。一方、村人は各プレイヤーから話を聞いて情報を整理し、人狼が誰なのかを推理して追放することを目的とします。
そのため、ゲーム開始時点で配役が決まること、その後は与えられた役割をこなしながら、それぞれの目的達成を目指すことが基本です。個々の役割をしっかり果たさないとゲームの緊張感が保てないので、対人ゲームとして行う場合は配役になりきることも要求されます。
また、だます側(人狼)とだます人を発見して追い出す側(村人)の協力プレイを重視するゲームも多いので、多人数の対戦ゲームとして捉えることもできるでしょう。
1-1. 人狼ゲームの魅力(楽しさ)
人狼系ゲームの魅力は、だます人とだまされないようにする人との間で繰り広げられる心理戦にあります。現実であれば耐えられない設定ですが、ゲームのルール内であれば緊張感を伴う展開を楽しむことができます。また、深い緊張の中で、それぞれの役割が持つ目的を成し遂げれば大きな達成感もあります。
さらに配役は毎回変わるので、ある時は人狼側、ある時は村人側といった具合に立場が変わるのも人狼系ゲームの魅力です。だます側とだまされる側、特殊能力を持った配役など、いろいろなポジションを楽しめる点も楽しさの材料となります。
1-2. 人狼ゲームの歴史とブームのきっかけ
「人狼系ゲーム」の始祖は、1986年にロシアの学生が作った『マフィア』というゲームだと言われています。この段階では「人狼」というファンタジー要素はありませんが、基本ルールはおおむねこの段階でできています。
「人狼」というファンタジー要素が加えられたのは1997年です。ここまではオンラインゲームではなく、仲間同士で顔を突き合わせて行うパーティーゲームでした。
2000年以降はオンライン化やカードゲーム化が盛んにおこなわれ、欧米各国で派生作品が生まれていきます。現在もカードゲームとしてPCやゲーム機を使わない人狼系ゲームは多数存在しますが、ネット上で人狼系ゲームが最初に行われたのは2000年だと言われています。
日本でも2000年代初頭からじわじわと広がっていましたが、広く流行するきっかけとなったのは、2012年のニコニコ生放送や2013年にテレビ番組で扱われたことだと言われています。
近年は多数の人狼系ゲームが出ていますし、リアル空間でのイベントもあるので、さまざまな形で人狼系ゲームが楽しまれる環境が形成されています。
2. 人狼系ゲームの代表的な作品
人狼のルールと歴史を紹介してきましたが、ここからは人狼系ゲームの代表的な作品を紹介しましょう。なお、「人狼系」として扱う基準はだます側(人狼ポジション)とだまされる側(村人ポジション)が存在し、それぞれ勝利条件が異なることをベースとしています。
2-1. Among Us
『Among Us』は宇宙船内を舞台にした人狼系ゲームです。2018年11月にInnerSloth LLCという会社からリリースされ、2021年には日本語にも対応している、人狼系ゲームを代表する人気タイトルです。
ゲームは「クルー(一般的な人狼系ゲームの村人に相当)」と「インポスター(人狼に相当)」に分かれて進められます。クルー側は宇宙船内の決まったタスクを終了させつつ、インポスターをすべて追放することを目的とします。一方のインポスター側は、クルーを脱出させないこと、クルーを殺害してインポスターと同数まで減らすことが勝利条件です。
追放されたインポスターと殺害されたクルーは幽霊として味方に貢献できるので、ゲームが終わるまで全員がプレイを楽しめる魅力があります。
2-2. グノーシア
『グノーシア』は、SF要素が強い人狼系ゲームです。開発はPetit Depottoというゲーム制作サークル、パブリッシングはインディーゲームを多数扱うPLAYISMが行っています。
2019年にPS Vita向けのダウンロードタイトルとして初リリースされたタイトルです。
初回のプレイでは誰もが衝撃的なストーリーに驚きますが、何度プレイしても楽しめるように作り込まれているので、リリースから年数が経っても多くの人に楽しまれ続けています。
また、人狼系のゲームは対人プレイが多いですが、『グノーシア』はソロプレイ専用です。そのため、画面の向こうの他者を気にせず、自分のペースで気軽にプレイできるメリットもあります。
2-3. ProjectWinter
『ProjectWinter』は、サバイバル要素が強い人狼系ゲームで、2019年2月にリリースされています。開発はアメリカのインディペンデント系ゲーム会社Other Ocean Interactiveです。
雪山での生き残りを目指す「サバイバー」と、サバイバーを殺すことを目的とする「トレイター」に分かれてプレイします。誰がトレイターなのかわからない点や、サバイバーは協力プレイが必要な点、トレイターは上手に嘘をつく必要がある点など、多くの人狼系ゲームに共通する楽しみがあります。
一方、トレイターに殺されたサバイバーは幽霊となって、仲間の勝利に貢献するなど、特徴的な設定で差別化されています。
2-4. マーダーミステリーJ
『マーダーミステリーJ』は、2020年12月にリリースされたミステリーサスペンスゲームです。開発、パブリッシングは『人狼ジャッジメント』を生み出したそらいろ株式会社で、どちらのタイトルもゲーム内の役職が多いことを特徴としています。
屋敷で起こる殺人事件に対して、犯行を暴こうとする「一族」側と「殺人犯」側にわかれてゲームを進めていきます。最大12人まで参加可能なオンライン対戦ゲームですが、独自の判断で犯人を告発できる点は非常に斬新です。ただし、告発が間違いだった場合は自分自身が追放されるので、高い緊張を伴います。
また、役職ごとのミッションが設定されており、ランキングの上位を目指す楽しみもあります。
2-5. 人狼 ジャッジメント
上記の『マーダーミステリーJ』と同様に、そらいろ株式会社がリリースしています。2018年のリリース以来、600万ダウンロードを超えるほど高く評価されており、日本の人狼系ゲームの中では代表的なタイトルのひとつと言えるでしょう。
人狼系のゲームは個別の役割があるものも多いので、初心者にとっては参加のハードルが高いと感じることもあるでしょう、その点、『人狼ジャッジメント』には見学システムがあるので、ほかのプレイヤーがどのように立ち回るのかを見て慣れることもできます。
3. 人狼系ゲームを作る際のポイント
この項目では、ゲーム開発者に向けて、人狼系ゲームを作る際のポイントを解説しましょう。
3-1. 既存の代表作と差別化できるアイデアがベースになっているか
人狼系ゲームはすでに多数開発されていますから、個性がないと多くのゲームの中に埋もれてしまうリスクがあります。「だます側とだまされる側の間で繰り広げられる緊張感」という基本的な構成があるので、どうしても似たようなゲームになりがちなことも注意点のひとつです。
そのため、プレイヤーにとって何か「斬新」と感じさせるものがなければヒットは難しいでしょう。
3-2. ゲームバランスは適切か・強すぎる定石が存在しないか
人狼系ゲームの面白さは、人数の設定やどのような役割を用意するかで大きく変わります。特殊能力を持つ人の存在はゲームの個性になりますが、強すぎるとゲームの緊張感を減らしてしまうので、「ちょうど良いところ」を設定することが非常に重要です。
そのため、既存の人気タイトルの要素を分析して、ゲーム内のパワーバランスがどのように保たれているのかをしっかり把握しましょう。
3-3. 議論にどれだけ重きを置くか
人狼系ゲームは、他のゲームにはあまり存在しない「議論」の時間があります。村人側は「誰が人狼なのか」を考える意味で重要ですし、人狼側としてはだますことの楽しさと嘘を見抜かれないかと思う緊張感を味わうので、議論はゲームの醍醐味ともなる部分です。
とはいえ、議論の時間が苦手なユーザーもある程度存在するという事実もあります。そのため、開発するゲームでは、議論にどの程度重点を置くのかを決めておくことをおすすめします。
3-4. 1ラウンドの経過時間(カジュアルさ)はどれぐらいか
人狼系ゲームを開発する際は、1回のラウンドに要する時間を想定して作ることが重要です。1ラウンドが長いと気軽にプレイできませんし、プレイヤーの疲労も伴います。とはいえ、緊張感が重要なゲームでもあるので、あまりにもカジュアルだと人狼系ゲームとしての魅力が見いだせない可能性もあります。
そのため、じっくり緊張感を楽しむゲームを目指すのか、空いた時間に気軽に楽しむゲームを目指すのかをはじめに決めておくべきでしょう。
4. まとめ
人狼系ゲームの特徴や歴史、代表作などを紹介したうえで、人狼系ゲームを開発する上での注意点などをまとめました。
人狼系ゲームはすでにジャンルとして確立していますし、多くの人にプレイされている背景もあるので、新たに開発を目指す人も多いでしょう。しかし、緊張感を伴う心理戦がジャンルの大きな要素になっているため、ある程度の規則性が存在しており、しっかり考えないと「どこかで見たようなゲーム」として相手にされない可能性もあります。そのため、人狼系ゲームならではの緊張感を盛り込みながら、独自の要素を加えていくことが非常に重要です。
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