「落ち物パズル」とは?代表作や歴史、開発の際のポイントなどを紹介
「落ち物パズル」というジャンルでは、『テトリス』や『ぷよぷよ』など、往年の名作シリーズがいまだにプレイされているにも関わらず、最近でも『スイカゲーム』などの新たなヒットタイトルが次々と生み出されています。
このコラムでは、「落ち物パズル」の歴史や代表作などを紹介したうえで、ゲーム開発の観点から面白い「落ち物パズル」を生み出すためのポイントを解説します。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
1. 「落ち物パズル」とは
「落ち物パズル」とは、画面上から落下してくるピースに対応していくゲームです。このコラムでは「落ち物」と表記しますが、「落ちもの」、「落ちモノ」、「オチモノ」など表記方法はさまざまですし、「落ち物パズル」や「落ち物ゲーム」、「落ちゲー」と書かれることもあります。
「落ち物パズル」の始祖である『テトリス』では、画面の上方から落ちてくるピースをプレイヤーが動かし、形状的な条件を整えることでピースが消え、得点が加算されます。しかしピースの動かし方でミスしたり、ほしいピースが落ちてこなかったりすると、どんどんピースが溜まっていきます。そして、ピースが画面の上限まで到達するとゲームオーバーとなるのが基本ルールです。
もちろん上記は『テトリス』の要素であって、その後登場した「落ち物パズル」はそれぞれに独自の工夫を凝らし、オリジナリティを追求しています。
落下してくるピースを色や形状などの要素を合わせて消していく、という部分を踏襲しているものが多いですが、『どうぶつタワーバトル』のように多く積むことを目的とするタイトルもあるので、多様化が進んでいるジャンルでもあります。
1-1. 落ち物パズルの歴史と代表作
歴史上、最初に登場した落ち物パズルは、『テトリス』です。とはいえ、『テトリス』の歴史だけでコラムが一つできるほどエピソードがあるのでここでは簡易な内容のみ記載します。
『テトリス』は1984年にソ連(現在のロシア)で教育用ソフトとして作られ、日本では1988年にBPSという会社からファミコン版とPC版が発売されて以降、大人気ゲームとなっていきます。つまり、落ち物パズルゲームの歴史は、2023年現在で、ほぼ40年に達しているわけです。
『テトリス』の人気を受けて、次々と落ち物パズルゲームが開発されたものの、大きなヒットは出ない状態が数年続きます。
そんな中で、1990年には任天堂から『ドクターマリオ』が登場、さらに1991年にはコンパイルという会社から『ぷよぷよ』がリリースされ、落ち物パズルゲームに新たな流れが生まれます。『ドクターマリオ』と『ぷよぷよ』はシリーズ化され多数の続編が作られていきます。
その後も『ZOO KEEPER』や『ツムツム』など、多数の人気作品が生み出されていますし、2023年現在は『スイカゲーム』の大ヒットも起こっています。
2. ゲーム開発者目線で見る落ち物パズルの特徴
この項目では、ゲーム開発者の目線から見る、落ち物パズルの特徴を解説します。
2-1. ゲーム開発の基本として学べることが多い
落ち物パズルはゲーム開発の基本となる要素が多いので、初期の開発課題としてしばしば利用されます。落ち物パズルの基本部分を作ることで、JavaScriptとHTML5の理解が深まるメリットがあるからです。また、開発の内容やクオリティにもよりますが、比較的短い期間で作ることができる点も、まだ経験が浅い人の学習に向いています。
そのためネット上にも落ち物パズルの作り方は多数上がっていますし、短期の講座なども開催されています。落ち物パズルの開発に興味がある人は、ぜひこの機会にトライしてみてください。
2-2. 落ち物パズルのジャンルは多岐にわたる
落ち物パズルゲームは、さまざまなジャンルに分けることができます。
例えば、『テトリス』のように落下するピースの形状が固定的なタイプと、『アクアラッシュ』のようにピースを変形させることが可能なタイプに分けることができます。
また、『テトリス』のようにひとつずつピースが落ちてきて、画面下側にたまっていくものだけでなく、『マジカルドロップ』のように上部からピースの集合体が落下してくるものや、『ヨッシーのクッキー』のように上と横から同時にピースが来るものなど、ピースの供給パターンでも分類できます。
さらに近年はオンライン環境が整ったことで、オンライン対戦で直接勝敗を競うものや、スコアの高さを競う要素も取り入れられています。ほかには、ストーリー性があるものと、そうでないもの、といった分類方法もあり、落ち物パズルの分類は多岐にわたります。
2-3. 独自性と中毒性がある落ち物パズルはバズりやすい!?
一見似たようなものが多い落ち物パズルゲームですが、バズるタイトルには間違いなく独自性と中毒性が盛り込まれています。
例えば『ツムツム』は、操作が簡単で短時間でプレイできるので、誰もが気軽に始められる間口の広さがあります。またその一方、キャラクターの可愛らしさや、「ツム」を育てるという独自性も加味されており、「何となく始めたけどいつの間にかハマってしまった」という人が続出しています。
『どうぶつタワーバトル』は、リアルな姿の動物をできるだけ積むという簡単なルールのタイトルです。しかし、基本的にピースを減らすことを目的とする落ち物パズルジャンルの中で、ピースを減らさずより多く積んだ方が勝ち、という独自性を取り入れています。さらに、オンラインリアルタイム対戦ならではの駆け引きや、どんな動物が来るかわからない緊張感も面白さに直結しています。ビジュアル的にも笑えますし、1~2分で勝負がつくことが多いので、わずかな空き時間でもプレイしたくなる中毒性があります。
『スイカゲーム』は、ルールがシンプルでわかりやすいので、年齢やゲーム熟練度を問わず始められるハードルの低さがあります。また、早くプレイすることもできますが、他の落ち物ゲームより比較的ゆったりプレイすることも可能です。この、自分のペースで楽しめるという点も『スイカゲーム』ならではの魅力と言えるでしょう。さらに、物理演算エンジンを使ったことで、「フルーツの動きが予想できそうでできない」という点が、期待と興奮を呼び、継続プレイしてしまう中毒性を生み出しています。
3. 落ち物パズルを開発する上でのポイント
この項目では、落ち物パズルを開発する際に盛り込むべきポイントについて解説しましょう。
3-1. 中毒性と爽快感を意識する
落ち物パズルを継続してプレイしてもらうには、「ちょうど良い難易度」を維持し続けることが重要です。難易度が低すぎるとすぐに飽きられますが、難し過ぎると多くの人にプレイしてもらえないからです。
また、落ち物パズルには視覚的に画面を見続けたくなる工夫が必要です。さらに、連鎖で一気に落ち物が消えるなど、不定期に大きな爽快感を差し込むことでプレイヤーは脳内物質の分泌による快感を獲得できます。
ほどよい難易度、画面を見続けることができるビジュアル、ときどきやってくる爽快感、などの具体的な仕組みが盛り込まれることで中毒性が増し、継続的にプレイしてもらいやすくなるのです。
3-2. 気軽にリトライできるゲームスピードを意識する
数分の休憩時間にストーリー性が高いゲームや、高難易度のゲームをする人は少ないと思います。しかし、1回のプレイ時間が数分程度の落ち物パズルであれば、「ちょっと気晴らしにプレイしよう」という気になります。
そのような「誰もが気軽に楽しめるゲーム」であるためには、適度なゲームスピードがどの程度なのかを考えることも重要です。
3-3. パズルの種類や世界観など、どこにオリジナリティを出すかを考える
1984年に開発された『テトリス』以来、落ち物パズルは約40年もの歴史を持っています。そのため安易なコンセプトで作ってしまうと、どうしても「過去の〇〇と似たようなゲーム」と言われがちです。
そのような評価を受けず、ユーザーに目新しさを届けるためには、何らかのオリジナリティを盛り込むことが欠かせません。
3-4. ゲームエンジンの物理演算エンジンと相性が良い
ゲーム開発に利用されるゲームエンジンには、「物理演算」という機能を持つものがあります。物理演算を行うと、ゲーム内の物体が落下したときや衝突したとき、重力などの物理法則に添った動きをしてくれます。
近年大ブレイクしている『スイカゲーム』は、まさに物理演算によって一般的なプログラミングでは難しい独特の動きを自然と行っています。つまり「物体が落下する」という要素が多い落ち物パズルでは、物理演算エンジンとの相性の良さも開発のしやすさにつながります。
3-5. オンラインで他の人とスコアを競える環境を用意する
落ち物パズルはソロプレイしても楽しいジャンルです。しかしより多くの人に継続的にプレイしてもらうには、オンライン対戦や、オンラインでスコアを競う要素を加えることをおすすめします。勝敗や目標スコアがあることで、プレイヤーは継続的にプレイする動機をより多く得ることができるからです。
特に近年はeスポーツが文化として定着してきたこともあって、PvP要素があるゲームの人気が高まっています。その点を踏まえて、オンライン要素を上手に活用することがヒットにつながるでしょう。
4.まとめ
「落ち物パズル」の歴史や特徴、代表作などを紹介したうえで、落ち物パズルゲームを開発するために役立つ知識も記載しました。
落ち物パズルは年齢やゲーム熟練度を問わずプレイを始めやすい特徴を持っています。しかしその一方で、落ち物パズルの元祖である『テトリス』が登場してから約40年も経っていることから、オリジナリティが強く求められるジャンルでもあります。
これらのことからヒットタイトルを生み出すにはさまざまな注意点がありますが、ぜひコンセプトや課題を明確にして、落ち物パズルの歴史に新たな潮流を刻むようなタイトルを生み出してください。
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