ゲームにおける「アバター」とは?ユーザーに愛着を持ってもらうためのポイント


 
SNSやメタバース、そしてゲームの世界において、「アバター」が使用される頻度が上がってきています。とはいえ、ユーザーとして「まだアバターを使ったことがない」という人もいるでしょうし、ゲーム開発者の中には、「アバターを実装するためのポイントは何だろう?」と思っている人もいるでしょう。
 
そこでこのコラムでは、ゲームにおける「アバター」の意味や使われ方を紹介し、ゲームにアバターを実装するにはどんな点に気を付けるべきかを解説していきます。
 

1. ゲームにおける「アバター」とは

この項目では、まずゲームにおける「アバター」の意味や使われ方などを解説します。
 
ゲームにおける「アバター」とは、ゲーム内で自分の分身として使用できるキャラクターのことを指します。なお、「アバター」という言葉の語源は、サンスクリット語で「神や仏の化身」を意味する「アヴァターラ」であると言われています。
 
ゲーム以外の分野でもすでにアバターは多くの場所で使われていますが、ゲームにおけるアバターは仮想的なキャラクターというよりは「もう一人の自分」という意味を強く持ちます。
 
オンラインゲームではアバターを介して他のプレイヤーとコミュニケーションを取りますし、アバターの姿でゲーム内の世界を過ごします。例えば『あつまれ どうぶつの森』などは、ゲーム内でアバターとしての生活を楽しむこと自体が目的となっています。また、『FINAL FANTASY XI(XIV)』や『モンスターハンター』シリーズでは、ユーザーはアバター(自キャラ)を通じて、冒険やアクションを楽しみます。
 
そのためアバターは、一般的なゲームで操作するキャラクターとは大きく異なります。ゲーム内のキャラクターはストーリー上の登場人物であり、動作を操ることはあっても精神面ではユーザーとは別の存在です。一方アバターは、プレイしていく中で、次第にユーザーの意思を反映した存在に変わっていくのです。
 
2009年にサービスを開始した『アメーバピグ』で、アバター作りに熱中したり、アバターを使ったコミュニケーションを楽しんだりした人は少なくないと思いますが、近年またアバターへの注目が高まっています。
 
今再びアバターが着目されているのは、世界中でオンライン環境が整ったことや、メタバースが構築されてその世界に触れる人が増えてきたことなどに起因しています。
 

1-1. 一般的にゲームの「アバター」は2Dのキャラクターを指すことが多い

アバターは2Dで作られる場合と3Dの場合がありますが、ゲームの世界では、一般的に2Dが多いようです。2D、3Dそれぞれにメリットがありますが、2Dならマンガやアニメ的なデフォルメが容易ですし、ユーザーの好みを反映しやすいメリットがあります。
 

1-2. メタバースの台頭により「自分の分身」という意味合いが強くなってきている

近年、アバターの存在感が増しているのは、メタバース時代が到来しつつあることが大きな理由です。
 
メタバースは3次元空間内に作られた仮想世界で、観光、ゲーム、ショッピングなどのさまざまな体験ができることが期待されています。そして、その世界に入っていくためには、自分自身の分身であるアバターの存在が不可欠なのです。
 

2. アバターが実装されている場所

この項目では、2023年現在、アバターが実装されている場所を紹介していきます。
 

2-1. ゲーム内の自分のキャラクターとして

ゲームの中では、自分自身の分身としてアバターを動かせるタイトルが増えています。
 
例えば『FINAL FANTASY XI(XIV)』や『モンスターハンター』シリーズなどは、アバターを介して物語やアクションに接すること、仲間と共闘していくことで、その世界で冒険しているような臨場感が高まります。
 
また、『あつまれ どうぶつの森』などは、アバターがあることでゲーム内の世界を自由に満喫できるように作られています。
 
他にも、『恋するコーデ ペアリウム』や『ピュアニスタ』などは着せ替えを楽しむ要素が強いので、自分の分身であるアバターを個性的にコーディネートしていく喜びがあります。
 

2-1-1. アバターをただのアイコンとして扱うか、成長させられる分身として扱うか

ゲーム内のアバターの扱いはそれぞれで大きく異なり、アバターとは言っていても比較的一般的なゲーム内のキャラクターと同様である例もあれば、自分の分身度が高いゲームもあります。
 
例えば『モンスターハンター』 シリーズのアバターは武器や装備を更新することで新しいプレイ体験(発動スキル)を得られるので、ゲーム内での自分が成長しているような感覚を体験可能です。
 
なお、レベルや装備などで成長させられる分身は「アバター」と呼ぶよりも「自キャラ(自分のキャラクター)」と呼ばれることが多いです。
 

2-1-2. 最近はメタバース内の自分のキャラクターとしても使われる

メタバースの世界では、アバターを自分自身の分身として観光したり、ショッピングをしたりできます。また、メタバースが普及、拡張していけば、メタバース内でしか会わない人も増えていくでしょう。
 
メタバース内で知り合った人と、リアル空間での交流を行う場合もあるでしょうが、「メタバース内だけでの知人とは、アバターを介する方が自然」と感じる時代もやってくるかもしれません。
 

2-2. SNSやゲームポータルにおける自分のアカウントとの紐づけとして

利用しているSNSや、ゲームポータルのアカウントとアバターを紐づけすることもすでに行われています。
 
SNSはもはや日常世界に浸透していますが、知らない人と交流する場合に自分の姿を含む個人情報を出すことへのためらいもあるでしょう。そんなときアカウントに紐づいたアバターがあれば、個人情報を守りやすくなるメリットがあります。
 
また、人種や年齢、性別や障がいの有無などの要素を超えて「人間」としてコミュニケーションしやすいという大きな利点もあります。
 
一方、ゲーミングプラットフォームのひとつである『Roblox』では、一度アバターを作ればどのゲームにも共通して使えるので、自分の分身としての存在感があります。『Roblox』のアバターは顔や髪型、体系を変えられるだけでなく、おしゃれも楽しめます。
 

3. ゲーム開発者から見るアバターの存在と必要性

この項目では、ゲーム開発者の目線で、アバターを実装する場合どのようなことに配慮すべきなのかを考察していきます。
 

3-1. ユーザーに愛着が湧いてもらうように工夫する必要がある

ゲーム内のアバターは、ユーザーにとっては自分の分身となる存在です。そのため、使用する人自身が愛着を持てる者であることが欠かせません。
 
「愛着」の持ちようは人それぞれではありますが、リアルの自分自身に似せてアバターを作ることで愛着を持つ人は多いでしょう。あるいは、「なりたい自分」や「理想の姿」を形にすることでそこに愛着を見出す人もいるかと思います。
 
上記の表層を考えると、結局「人それぞれ」という結論になるかもしれません。しかし上記は、アバター作りにある程度の自由度があることで達成できるという共通点があります。
 
他者との差別化ができるのも愛着を深めるための重要な要素ですから、どの程度キャラメイクできるアバターを実装するかは、開発上の重要な検討要素と言えるでしょう。
 

3-2. アバターのキャラデザインはできるだけ万人受けするものを意識する

アバターのデザインは微調整できるように実装されるでしょうが、基本的なデザインが万人受けするものであることは重要です。オンリーワンの凝ったアバターを望む人は、キャラメイク機能を使って作りこんでいくでしょうから、それほどこだわらない人に向けた一般的なデザインがある方が高感度を持たれやすいのです。
 
とはいえ、ゲームの世界観を反映することも忘れてはなりません。例えば『モンスターハンター』であれば力強いアクションをしなければなりませんから、リアルなアバターが要求されますし、装飾品も武装的なものになるでしょう。一方『あつまれ どうぶつの森』には、リアルさは一切求められません。そのため、等身が低く、子どもから大人まで好まれるようなデザインが行われています。
 
ちなみに、三菱総合研究所が2023年4月20日に発表した「メタバースに関する動向等 (利活用事例、事業者インタビュー、利用者・市場 等)」という調査報告によれば、海外ではリアルなアバターが好まれるが、日本では女性のアニメキャラクター的アバターが多い、という結果が出ているそうです。
 
メタバースはまだ黎明期なので、今後ユーザーの傾向は変化していく可能性がありますが、このような調査にアンテナを張っておくことも開発者としては必要でしょう。
 

3-3. アバターの着せ替えは、ゲームバランスを崩さずやりこみ要素や課金要素として追加するのに適している

ゲーム会社としては、利益向上のために課金要素も実装しなければなりませんから、アバターに関しては着せ替えが課金の候補となるでしょう。実際にアバターのコーディネート自体がゲームのメイン要素であるゲームも存在していますし、やりこみ要素としてうまく機能しているタイトルも多数あります。その点を踏まえて、プレイヤーにとって楽しみになるような着せ替え要素を随時実装していくのも、開発や運営の腕の見せ所です。
 
とはいえ、課金の着せ替えによってゲーム内での「強さ」や「有利さ」が極端に上がるようだと、「Pay to Win」(多く課金することが勝利に直結するゲーム)として批判されますから、課金をあおり過ぎないように注意しましょう。
 

4. まとめ

ゲームにおける「アバター」について、その意味やクローズアップされている理由のほか、使われ方を紹介しました。また、ゲーム開発者目線で、アバターを実装する際に考えるべきポイントもまとめています。
 
ゲームのアバターはすでに多くの人に認知されていますし、メタバースが普及・発展しつつある現在、使用頻度が上がっていくことは確実視されています。それだけに、現状アバターを採用していないゲームにも実装を迫られる可能性が高くなっているのが実情です。
 
アバターの実装には多数の注意点がありますから、ぜひこのコラムの内容を検討したり、世の中の動きにアンテナを張ったりして、ユーザーに愛されるアバターを実装できるよう、備えてください。
 

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