「間違い探しゲーム」とは?アイデアによって進化するジャンルを紐解く
昨今、間違い探しの要素を盛り込んだゲームのリリースが増えており、幅広い層から人気を獲得しています。
とはいえ、「2枚の絵を見比べて違うところを探す」というゲームは、雑誌などの紙媒体で以前から存在しているので、ジャンルとしては決して新しいわけではありません。では、最近ブームと言ってもよいほどリリースが増えているのはなぜなのでしょうか?
このコラムは、そもそも間違い探しゲームがどんなものかを解説した上で、間違い探しゲームの特徴や最近注目されている目新しい間違い探しゲームを紹介します。
目次
1. 「間違い探しゲーム」とは
この項目では、まず「間違い探しゲーム」がどんなものかを解説します。
ひとくちに間違い探しゲームと言ってもいくつかのパターンがあります。代表的なのは、2枚の絵を見比べて違う点を探すというもので、比べる絵が並んでいるものや、先に見た絵を覚えて、2枚目の絵は記憶を頼りに間違いを探す、というものなどがあります。
また、同じに見える字や絵が並んでいる中から、ひとつだけ違うものを探すというパターンも定番ですし、外観だけでなくカテゴリーが違うものを探すゲームも存在します。
さらに、最近の流れとしては、画面の中に発生する異常な事態を見つけることを目的とするゲームもあります。
ゲームとしては、前述したような間違い探しを得点制にしたり、時間制限を加えたりすることで、娯楽性を高めることも多いです。また、オンライン対戦でスピードや得点を競うタイトルも多数リリースされています。
2. 間違い探しゲームの特徴
この項目では、間違い探しゲームがジャンルとしてどんな特徴をもっているのかを紹介します。
2-1. キャラクターものを採用しやすい
間違い探しゲームは、スヌーピーやハローキティ、クマのブラウンなど人気キャラクターを使ったものが数多く存在します。これは、間違い探しゲームというジャンルが、ルールがシンプルであること、字を読む必要が少ないこと、ストーリー性がなく誰でも理解できることなどの要素が強いので、子どもをターゲットにしやすいことがあるでしょう。
また、有名キャラクターではなくても、かわいらしくデフォルメされた人間や動物などのキャラクターを採用しているタイトルが多数あります。これらはどの年齢にも親しみやすく、気軽なゲームであると強調する役割を果たしているようです。
2-2. スキマ時間に遊びやすいのでスマートフォン向けアプリと相性が良い
間違い探しゲームはストーリー要素が少なく、短時間で遊べるものが多いことを特徴としています。また、間違い探しを上手にクリアできればスッキリ感を得られるので、仕事や勉強の合間に、頭や心をリフレッシュできるメリットもあります。
さらに、間違い探しゲームはデータ容量的に軽めに作ることができますから、通勤・通学の電車やバスの中で気軽にプレイすることにも向いています。そのため、スマートフォンと相性が良いことも、プレイ人口が増えている理由となっているようです。
2-3. 基本的に有料タイトルは少ない
有料タイトルが少ないのも間違い探しゲームの大きな特徴です。2枚の絵を比べて間違いを探すようなオーソドックスなものであれば、比較的容易に開発できることも無料でリリースできる理由でしょう。(ネット上には、「間違い探しゲームは簡単に作ることができる」という趣旨の記事が多数存在しています)
課金要素が少ないことは多くの人が気軽に楽しめるというメリットとなっていますから、この点も間違い探しゲームを楽しむ人が増える追い風になっています。
3. 2枚の絵の違いを見つけるだけではない!?進化する間違い探しゲーム
最近の間違い探しゲームは、2枚の絵を見比べるものばかりではありません。ここでは新たな要素を持つ間違い探しゲーム3選を紹介します。
3-1. 小さな世界
Hyper Three Studioというインディーゲーム会社が開発し、Maple Whispering社が2021年にリリースした間違い探しゲームです。日本語訳で『小さな世界』としても知られていますが、原題の『TINY LANDS』という名称でも広まっています。
左右2つの画面を見比べて間違いを探すという手法はオーソドックスですが、『小さな世界』は平面ではなく3DCGであることを特徴としています。角度を変えなければ見つけられない間違いも多いので、視点を変える操作を行いながら間違い探しをする点で従来のタイトルとの差別化ができています。
また、間違い探しの題材となる画像はすべて温かみのある色合いで作られているので、見ているだけで癒されるという良さもあります。
3-2. I’m on Observation Dutyシリーズ
Notoviaが2018年にリリースした『I’m on Observation Duty』は、アノマリー(異常現象)を確認して報告する調査員としてプレイするゲームです。突然ゴーストが出現したり空間にゆがみが生じたり、といったホラー要素が強いゲームで、モノクロームな画像で不気味さが強調されています。
アノマリーが次々と発生する中で、3つ以上のアノマリーが溜まるとゲームオーバーになるというシンプルなシステムで人気を獲得し、2023年12月現在でシリーズ6作品がリリースされています。
3-3. 8番出口
個人ゲームクリエイターであるコタケノトケケ氏が開発・リリースしているゲームです(Steamでは開発元とパブリッシャーにKOTAKE CREATEと記載されています)。
舞台は日本のどこかの地下鉄通路内で、「8番出口」を探して脱出する、異変を見つけたら戻る、異変がなければ進む、というシンプルなゲームです。
一見静かなゲームに見えますが、異変の中にはホラー要素もあり、驚かされる場面もあります。脱出のスピードを追求するプレイヤーもいれば、異変を探して楽しむプレイヤーもいるなど、自由度の高さも特徴となっています。
2023年後期に個人制作のゲームとしては異例とも言える爆発的なヒットを記録し、多くの配信者にプレイされました。
4. 間違い探しゲームを開発する際のポイント
この項目では、ゲーム開発者に向けて、間違い探しゲームを開発する上でのポイントを解説します。
4-1. 既存の間違い探しゲームとどう差別化するか
間違い探しゲームにもいくつかのバリエーションはありますが、ある程度フォーマット化されているのが実情です。そのため、今から間違い探しゲームを開発するのであれば、既存のタイトルとどう差別化するかが大きなテーマとなるでしょう。
そもそも、多くの間違い探しゲームはルールがシンプルなことや、短時間でも気軽にプレイできることなどをウリにしています。これを言い換えると、複雑化したり、やりこみ要素を加えたりするのは難しいということになります。
もちろん、間違い探しゲームの作り方に規定があるわけではないので、複雑化したり、難易度を上げたりすることもできるでしょう。ただしその場合、既存の間違い探しゲームのジャンルとは異なるものになってしまう可能性もあるので注意が必要です。
例えば、「間違い探しゲームの定型を破ろうとしたら、結果的に一般的な謎解きゲームになった」となっては何のための努力なのかがわかりません。
4-2. 「地味なゲームジャンル」というイメージをどう乗り越えるか
既存の間違い探しゲームの多くは無料であり、課金要素がないタイトルが主流です。無料がベースになっているということは、大きな開発費をかけることが難しいということでもあります。そのため、どうしても地味なゲームになりがちです。
また、無理に課金要素を加えても多くのユーザーに「課金してまで間違い探しゲームをする気はない」、「わざわざ課金しなくてもほかに無料の似たタイトルがある」と拒絶されるリスクがあります。
本コラムの「2枚の絵の違いを見つけるだけではない!?進化する間違い探しゲーム」の項目で紹介した『I’m on Observation Duty』シリーズや『8番出口』などは、上記の問題に一定の答えを出している見本です。
この2タイトルは「地味なジャンル」という制限を無理に超えようとせず、アイデアで勝負しています。また、Steamなどのプラットフォームを使って販売することで、ゲーム内に課金要素を加えにくい弊害も解消しています。
4-3. 対象年齢(想定ユーザー)によってゲームバランスが大きく変わる
間違い探しゲームは、比較的低年齢向きのものや、年齢を選ばないオーソドックスなものなどがあります。
低年齢向けであれば文字情報を少なくし、間違い探し自体も難易度を低めに作ることが要求されます。また、低年齢向けの場合そのゲームをプレイするために保護者の判断が介在することが多いので、子どもにとって害がなさそうなテイストにすることも重視されます。
一方、中高年者向けに脳の衰えを防ぐことをアピールする間違い探しゲームも多数存在しています。中高年向けであれば、キャラクター要素は低いですが、文字情報は多用できます。ただし、小さな字は読みにくいので、大きさや読みやすさへの配慮は必要でしょう。
5. まとめ
「間違い探しゲーム」について、一般的な内容や特徴を解説したうえで、近年の進化した間違い探しゲームも紹介しました。また、これから間違い探しゲームを開発する人に向けて、ポイントとなる点も解説しています。
間違い探しゲームはルールが簡単で、時間つぶしや息抜きにちょうど良いことなどからスマートフォンアプリに向いています。さらに、少ない予算でも作れることから、無料ゲームとして多くの人にプレイされています。このため近年非常に多くの間違い探しゲームがリリースされています。
そしてそんな中でも、『小さな世界』、『I’m on Observation Duty』シリーズ、そして『8番出口』など新たな可能性を感じさせるタイトルも生まれていますから、今後が楽しみなジャンルでもあります。「あまり間違い探しゲームはプレイしたことがない」という人も、ぜひこの機会に試してみることをおすすめします。
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