ゲームの「サウンドトラック」とは?世界観を作る上で欠かせないゲーム音楽


 
ゲームファンであれば、「プレイしているときに流れるBGMやゲームのテーマ曲を聴くと、気持ちが上がる」という体験は少なからずあるでしょう。ゲームの「サウンドトラック」はゲームの世界観を作ることに大きく貢献していますし、音楽そのものとして注目されることもしばしばあります。
 
また、2021年の東京オリンピックでゲーム音楽が大きく扱われたことからしても、ゲームのサウンドトラックはもはやひとつの「文化」と呼んでも過言ではありません。
 
このコラムでは、ゲームのサウンドトラックについて、その全体像やファンがサウンドトラックを望む理由などを解説していきますので、ぜひ最後まで読んでゲームのサウンドトラックに対する知識を深めてください。
 

1. ゲームの「サウンドトラック」とは

この項目では、まずゲームの「サウンドトラック」そのものについて解説します。
 
そもそも「サウンドトラック」とは映画やテレビドラマ、ゲームなどのBGMやSEを指すもので、「サントラ」と略されることもあります。
 
ゲームのサウンドトラックが商品として発売されるようになったのは1980年代からですから、まさに任天堂の「ファミコン」がブレイクし、ゲーム自体が日本や世界の文化になっていった歴史と重なると考えて良いでしょう。
 

1-1. ゲーム音楽はなぜ心に残りやすい?

ゲーム音楽はなぜプレイヤーの心に残るのか、という考察はゲーム関係者や音楽関係者、ユーザーの間で何度も考えられてきたことなので、そこには複数の回答があるでしょう。
その中で比較的多く語られていることとして、「ゲームの音楽はゲームのプレイ体験と密接に紐づいているから」という説があります。
 
多くのゲームにはBGMやテーマソングがあり、ユーザーにとってはゲームをプレイするたびにその音楽を聴くことになります。そのためたくさんプレイしたゲームであるほど、そのゲーム音楽も聴いていることになりますから、まず耳に残るという効果があります。
 
そして、強敵を苦労して攻略したときやショッキングな展開が起こったとき、クリアやトロフィーコンプリートしたときの感動など、忘れがたい体験の際にもやはりゲーム音楽は流れています。そのため、単純に聴くだけの音楽体験とは異なり、心を揺さぶられた記憶が伴う音楽として、深く記憶に残るのでしょう。
 

1-2. ゲーム音楽を制作する上で大事にされるポイント

ゲーム音楽は、ゲームを盛り上げること、没入感を高めること、などの役割を担っています。そのため、ゲームの世界観を重視した音楽づくりをすることが重要です。
 
よりわかりやすく言えば、明るく楽しいゲームであれば陽気な音楽が多くなりますし、恐怖や絶望を背景とするゲームなら、あまり明るい音楽は必要とされません。
 
また、音楽はゲームのテンポを左右するので、ゆったりと楽しむゲームにハイテンポなBGMが流れるのはミスマッチです。さらに、気軽にプレイするタイプのゲームに重厚なオーケストラは合いませんから、重さや軽さ、演奏方法や使用する音・楽器を意識することも重要です。
 
もちろん比較的暗い場面が多いゲームでも、場面によっては希望や明るさを感じさせる音楽も必要ですから、ゲーム音楽を作る際には引き出しの多さも求められます。
 

2. ファンからゲームのサウンドトラックが望まれる理由

この項目では、ゲームファンがサウンドトラックを望む理由を解説します。
 

2-1. ゲームを遊んでいた時の楽しい思い出を振り返りたいから

ゲームで感動した体験を持つ人なら、そのゲームのサウンドトラックを聴くだけでその感動がよみがえるという体験もあるのではないでしょうか。
 
ゲームのサウンドトラックは、プレイヤーにとってゲームの感動とともに心に深く刻まれます。そのため、サウンドトラックを聴くことで、ゲームで心を震わされた際の記憶を反芻できるという魅力があります。
 

2-2. 好きなゲームのグッズとして収集したいから

好きなタイトルのグッズが発売されれば、収集したいと思うのがファンの心理です。そしてサウンドトラックには取集して飾って楽しむアクリルスタンドやタペストリーなどとは別に、体験や感動を収集できるというメリットがあります。
 
仮にゲームのサウンドトラックが販売や配信されていない場合、その音楽を聴くためにはゲームをするしかなくなります。車を運転しているときや勉強しているときにはゲームをプレイすることはできませんが、サウンドトラックであればほかの作業と並行して聞くことができますし、場所も比較的選びません。
 
そのため、好きなゲームといつでも接していられる存在として、ゲームのサウンドトラックは特殊な存在と言えるでしょう。
 

2-3. 好きなゲーム音楽の作曲家を応援したいから

プレイするゲームを決める際に、制作会社やクリエイターを参考にする人は少なくないと思いますが、作曲家に着目する人も存在します。有名な作曲家が手掛けた作品なら、ゲームはプレイしなくても作曲家を応援するためにサウンドトラックを購入するという人もいます。
 

3. ゲーム会社がサウンドトラックを出すときのポイント

この項目では、ゲーム会社がサウンドトラックを世に出すときのポイントについて解説しましょう。
 

3-1. 媒体とリリース手段をどうするか

まずサウンドトラックをどのような媒体に乗せるか、どうやってリリースするかは大きな検討事項です。
 
物理的な媒体を選択する場合は、CDやブルーレイディスクを作成し、販売または配布する手段があります。この場合、CDなどを販売する音楽専門店で購入する人はそれほど多くないので、自社サイトで通信販売をすることが多いでしょう。
 
また物理的な媒体で販売する場合には、ジャケットデザインもファンにとっての大きな楽しみとなっていることも特筆しておくべきでしょう。
 
配布方法については、イベント時の限定特典にする手法も見られますし、ゲーム内のポイントを曲と交換する形で入手を可能にしているゲームも存在します。
 
さらに、近年はサウンドトラックを配信で提供しているケースもありますし、Steamでもサウンドトラックの単体購入ができるようになっています。
 

3-1-1. インディーゲームではデジタルアルバムを「ゲーム本体代+α」でリリースすることが多い

インディーゲームであっても、魅力あるサウンドトラックを使っているものは多数あります。また、ゲームの知名度が上がればサウンドトラックが単体で発売されることはありますし、サブスクリプションなど配信サイトで聞くことができるものもありますので、気になるタイトルがあればぜひ検索してみてください。
 
また、サウンドトラックをデジタルアルバム化してゲームの本体価格+αで入手できるようにしているケースも多数見られます。
 

3-2. ループ曲をどう収録するか

ゲームのBGM曲はプレイ中に途切れることがないように、ループするよう作られることが多いです。そのため、サウンドトラックとして収録する場合にはそのままでは使えません。そんな時は1~2ループしてフェードアウトしながら終わらせるという手法が多く取られます。
 
ただし、もともとインタラクティブミュージック(ループが続くのではなく、シームレスに別の曲調に変わっていく音楽)として作られている場合、収録時の処理は異なります。
 

3-3. どこまで収録するか(ボツ曲やDLCなど)

ゲームを作る際にはかなりの数のBGMを作ることが多いので、サウンドトラックとして世に出す場合、どこまで収録するのか、という問題も起こります。CDなどの1枚の作品として出すのであれば、流れが重要になるので、曲も厳選することが多いでしょう。
 
とはいえ、コアなファンであれば多くの曲が収録されていること自体が喜びになりますし、特定の場面やキャラクターに紐づけられた曲が入っていない場合、不満がでることもあります。
 
また、作ったもののゲーム本編で流れていないボツ曲や、DLCとしてすでに別ルートで入手可能な曲を入れるか、といった点も考えどころです。
 
「とにかく全曲収録したコンプリートアルバム」とアピールして販売促進する方法もあるので、この点はゲームごとに考えるべきでしょう。
 

3-4. 曲目順はどうするか

近年、楽曲をランダム再生して聞くユーザーが多いですが、ゲームのサウンドトラックに関しては曲目順が重要と考える人は少なくありません。それは、ゲームの流れに沿って曲が流れることで、ゲームプレイを追体験できるからです。
 
例えば最初はゲーム全体のテーマを示す音楽で始まり、ゲームの展開に沿って戸惑いや喜び、怒りや悲しみ、激しい戦いなどの場面で使われた曲が次々と流れ、ゲームのエンドロールで流れる曲で閉めるといった流れが王道です。
 

3-5. 違法アップロードに対してどう対策するか

近年、ゲーム実況動画が流行していることもあり、プレイ画像が多数配信されています。ただし、楽曲を許可なく使用する行為は著作権に触れるので注意が必要です。また、動画ではなくてもサウンドトラックを無許可にアップロードすることも違法です。
 
ゲーム会社としては、サウンドトラックの著作権を自社で管理している例が多いので、対策もそれぞれの会社で行う必要があります。
 

4.まとめ

ゲームの「サウンドトラック」の概要や、なぜサウンドトラックが心に残るのかを解説した上で、ゲームのサウンドトラックを作る際の注意点などを解説しました。
 
ゲーム音楽はプレイを盛り上げる演出のひとつとして扱われることもありますが、単体のコンテンツとして商品化されることもあります。
 
それだけにゲーム会社としては、サウンドトラックをどのように扱っていくかは、開発するゲームごとに考えなければなりません。ぜひ当コラムを参考にして、ファンの期待や要望に答えつつ、売上や利益につながるコンテンツとして大切に扱ってください。
 

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