ゲームの「早期予約特典」とは?特典の種類やユーザーが求めるものを考える


 
ゲームをプレイする人なら、さまざまなシーンで「早期予約特典」という言葉を目にすると思います。とはいえ、「気にはなるけど早期予約はしたことがない」、「特典は欲しいけど、事前に縛られるのは気が進まない」という人もいるでしょう。
 
そこでこのコラムでは、まずゲーム予約特典がどんなものかを解説し、比較的多い特典の種類を紹介します。また、ゲーム開発者の目線から、早期予約特典を実装する際の注意点も解説しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
 

1. ゲームの「早期予約特典」とは

早期予約特典とは、ゲームがリリースされる前からプロモーションを行い、興味を持ったユーザーに予約を促して、予約してくれたユーザーに何らかの特典を提供することを指します。以下で、ゲーム会社が早期予約特典をつける理由を記載します。
 

1-1. ゲームに早期予約特典をつける理由

ゲーム会社がリリース決定したゲームの早期予約特典を行うのは、以下の理由によるものです。
 
①リリース前のプロモーションに注目してもらい、売上や利益の向上につなげる(特典があることで、流した情報がスルーされにくい。注目されればSNSでの拡散も見込める)
 
②リリース前からユーザーの熱気を高め、コアなファンを育成する
 
③リリースと同時に多くのユーザーが存在すれば注目度が高いことをアピールでき、さらなるユーザー獲得につながる
 
④「特典がある」という「お得感」でユーザーを増やす
 
ゲーム会社にとって、早期予約特典をつけるためには、それなりのマンパワーや費用を必要とします。それでもなお、予約特典を実装するゲームが多いのは、会社として売上や利益が上がることを見込めるからです。
 
また、App StoreやGoogle Playなどのゲーム販売プラットフォームや、パッケージ版を販売する店舗やECサイトでは、毎日のように新作ゲームがリリースされています。そのため、何の仕掛けもないままリリースしても、多くのタイトルの中で埋もれてしまうのが実情です。それに、この情報化社会において、事前のポジティブな情報がないゲームを入手する人はほとんど存在しません。そのため、リリース前にゲームの情報を拡散しておくこと、話題になっている雰囲気を作ることは非常に重要なのです。
 

2. ゲームの早期予約特典として選ばれる傾向にあるもの

この項目では、早期予約に対する特典として選ばれる傾向が高い物品やサービスを紹介します。
 

2-1. インゲームアイテム(コード)

早期予約の特典として、ゲームダウンロード後にすぐ使えるゲーム内アイテムをつける例は多数あります。コードを使ってアイテムを獲得できるようにすれば、物品の製作や梱包、輸送などが発生しないのでゲーム会社としては手間がほとんどかかりません。また、ユーザーとしては、予約特典がない人よりも序盤の展開を有利に進めることができます。
 
ただし、ゲーム内アイテムは形に残らないことや、ゲームをある程度進めるとあまり意味がなくなること(強力すぎるアイテムを特典にするとゲームバランスが維持できない)などから、ほかの特典が良いと考える人も多数存在します。
 

2-2. 設定資料集・序盤攻略ガイド

設定資料集や序盤の攻略ガイドも選択されることが多い特典です。知識を重視するユーザー、文字情報や視覚情報が好きなユーザーにとって、特に喜ばれやすい特徴があります。
また、特典でだけ知ることができる知識や、美麗なイラストなどがあることで、作品の世界観を深めることができる点でもコアなファンにとって魅力とされがちです。
 
ただし、前項のインゲームアイテムとは逆に、物理的な特典、保存時に場所を取る特典を好まない人にとっては、あまり好まれないようです。
 

2-3. ミニサウンドトラック

プレイ中に流れる音楽を収録したミニサウンドトラックも、ゲームならではの特典です。
 
また、音楽ではなくても、ディスクを扱うという点で共通する特典として、ゲームに登場する声優が演じるドラマ音源を収録したディスクや、オリジナルアニメを収録したディスクをつけるタイトルもあります。
 

2-4. 各種オリジナルグッズ

フィギュアやクリアファイル、タペストリーやアクリルスタンド、缶バッジや手帳、エコバッグやポーチなど、オリジナルグッズも実に様々です。
 
特典として何をつけるかはゲーム会社側が考えなければなりませんが、ゲームの世界観にあったもの、時代の流れを踏まえたものを選ぶことが重要です。また、大きいものや重いものは、梱包や輸送のコストが上がりますし、扱う小売店も嫌がるので、ゲーム会社としてはこれらの点にも配慮しましょう。
 

3. ゲームの早期予約特典を実装する上での注意点【インゲームアイテム】

この項目では、インゲームアイテムを予約特典とする場合の注意点を解説します。
 

3-1. 早期予約特典がバランスブレイカーにならないように注意する

早期予約特典としてゲーム内アイテムやキャラクターを配布する場合、その存在がバランスブレイカーにならないよう配慮が必要です。
 
バランスブレイカーとは、文字通りゲームの均衡を崩してしまうもので、この場合強すぎるアイテムやキャラクターを指します。早期予約をしたプレイヤー側から見ると強力なアイテムを入手すれば嬉しいでしょうが、それ以外のプレイヤーが全く勝ち目がないようではゲームが成り立ちません。そのため、ゲームバランスを踏まえたアイテムとして設計するよう気を付けましょう。
 

3-2. 早期予約特典は入手方法を別で用意したほうがよい

コアなファンにとって、ゲーム内アイテムの収集は大きな喜びですし、それがレアであればなおさら収集欲は上がるでしょう。しかし、入手方法があまりに限定されていると、コレクターにとっては大きなストレスになります。
 
また、「リリース前にはあまり注目していなかったが、後からファンになってグッズ収集を始めた」というプレイヤーもいるので、別ルートで販売すれば会社の利益向上につながります。
 
これらを踏まえて、予約特典は別のルートで購入できるようにしておくことをおすすめします。
 

3-2-1. 後から早期予約特典を配布する際の入手手段

インゲームアイテムであれば、DLC(ダウンロードコンテンツ)として有料で販売する手があります。また、ゲーム内で何らかの成果を上げたときの特典にしたり、ガチャに実装したりする手もあるでしょう。
 

3-3.世界観を壊しすぎないものを実装する

「特典」という要素に引っ張られて「お祭り感」ばかりが先行すると、ゲームの世界観にそぐわなくなってしまうことがあります。
 
そのような場合、もらった側としても、ゲームの雰囲気にあっていない特典は素直に喜べません。また、ゲームの世界観にあっていない特典は、コアなファンから見ると「ゲーム会社のゲームへの理解や愛情が薄い」という評価を受けることもあります。
 
逆説的に、ゲームの世界観や内容にしっかりマッチした特典があれば、「制作者側が深くゲームを愛していることが感じられる」と高評価されることもあるので、特典選びは販促を担当する人の腕の見せ所として取り組むことをおすすめします。
 

4. ゲームの早期予約特典を実装する上での注意点【各種グッズ】

この項目では、物理的なグッズを予約特典とする場合の注意点を解説します。
 

4-1. ゲームの価格で店舗別に購入特典を分けると反感を買う傾向にある

早期予約特典がサウンドトラックなどであった場合に、「購入する小売店によって特典が異なる」というキャンペーンも行われます。この手法の良い面を見れば、「いろいろな特典があることで、キャンペーンサイトを見たとき豪華感が上がる」、「ユーザーは複数の特典から好きなものを選べる」といったメリットが考えられます。
 
しかしその一方で、「複数の特典で販売数を上げようとする商法」と感じる人もいて、ユーザーの不満を買うケースもあります。購入単価が数百円のマンガなどならともかく、数千円のゲーム本体を何本も買うのは経済的負担が大きいですから、その分ユーザー側の反発も大きくなりがちです。
 

4-2. 魅力的すぎるとユーザー間で争奪戦になり転売の対象になったりクレームにつながったりする可能性がある

提供する側としては「できるだけユーザーがよろこぶ良い特典をつけたい」という気持ちもあると思います。しかし、特典があまりにも魅力的すぎると、ユーザー間で争奪戦になることもあります。
 
そのような場合、ファンでない人が転売目的で購入して高価格で売ることもあり、どうしてもその特典が欲しいファンは相場より高いお金を払っても入手する、という問題も起こります。
 
こうなると結果的にゲーム会社にクレームが来たり、ゲーム本体のイメージが悪くなったりするリスクがありますから注意が必要です。
 

4-3. しっかりしすぎるものを作ると予算を圧迫してしまう

サイズが大きいもの、重いものは梱包や輸送にコストがかかるなど、ゲーム会社側として捻出すべき予算が膨らむので得策とは言えません。早期販売特典はあくまでも販売促進のキャンペーンであることを重視して、コスト意識をもちましょう。
 
また、大きいものや重いものは小売店にとっても扱いにくいので、大きすぎない、重すぎないという配慮は販売ルートを守るうえでも重要です。
 

5. まとめ

ゲーム会社はなぜゲームに早期予約特典をつけるのか、特典の種類にはどんなものがあるのかをまとめました。また、「ユーザーがどんなものを欲しがっているのか」を踏まえたうえで、早期特典を実装する上での注意点も記載しています。
 
早期予約特典はゲームの販売戦略として有効なので、今後も実装されていくでしょう。とはいえ、インゲームアイテムと物理的なグッズの双方に好む人、好まない人がいて、その人たちの好みもさらに細分化されますから、全員を満足させる特典は残念ながら存在しません。また、インゲームアイテムでもグッズでも、それぞれに注意点があるのでゲーム会社としては様々な配慮をする必要もあります。
 
これらの点を踏まえて、どんな特典がユーザーに喜ばれ、会社の利益につながるかをしっかり吟味しましょう。
 

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