ゲームのプレイ時間は何時間がちょうどいい?忙しい現代向けの最適解とは


 
ゲームのボリュームやプレイ時間は、ユーザーの評価を左右する重要な要素のひとつです。かつては「長時間遊べること」が求められていましたが、近年は異なる傾向も見られます。
 
そこでこのコラムでは、ゲームのプレイ時間について深掘りし、現代人がゲームに何を求めているかも解説します。
 

1. 「ゲームのプレイ時間」とは何を指す?

ゲームのプレイ時間をクリアまでにかかる時間と捉えることは多いですが、その「クリア」にも以下の三つの考え方があります。
 

1-1. ストーリークリアのみ

メインシナリオの結末、いわゆる「エンディング」に到達すれば「クリア」と考える人は多数存在します。
 
サイドストーリーやサブクエストは含まれないので、「クリア」の概念としては最短と考えてよいでしょう。ストーリーがある多くのゲームでは、サイドストーリーはメインストーリーに深みを与えるものである一方、見ていなくてもメインストーリーの理解に支障がないように作られています。そのため、メインストーリーをすべて見終えたところでクリアと考えるのは妥当です。
 

1-2. サブクエストなどの寄り道を含んだクリア

メインストーリーだけでなく、サブクエストまですべてやり遂げることを「クリア」と考える人もいます。
 
「クエストはゲーム側がプレイヤーに与える課題なので、その残りがある状態ではクリアと言えない」という考え方です。また、「サイドとはいえストーリーがあるなら全部見なければそのゲームを十分に味わったとは言えない」という人もいるでしょう。
 
当然この考え方をする場合、メインストーリー制覇で「クリア」と考えるより、必要とする時間は増えます。
 

1-3. 各種やり込みを全て含めたプレイ

ゲーム内のやり込み要素やエンドコンテンツを残さず終え、実績(トロフィー)などをすべて集めた状態を「クリア」とする考え方です。
 
隠しボスの撃破や希少アイテムのコンプリートなどもすべて成し遂げることを前提とするので、コアゲーマーやそのタイトルの熱烈なファンだけが到達するケースが多いです。
 
これは「100%クリア」や「コンプリート」とも呼ばれ、メインストーリークリアと比較して数倍もの時間を要することもあります。
 

2. 【ジャンル別】プレイ時間目安

ゲームジャンルによって平均的なプレイ時間は大きく変動します。ここでは、対戦形式や運営型のタイトルを除いた、シングルプレイ中心の目安を解説します。(オンライン対戦形式のFPSや格闘ゲームにはそもそも「クリア」の概念がなく、運営型のタイトルは終わらないことを目指すものが多いため)
 

2-1. JRPG・コマンドRPG

JRPG(日本の伝統的ロールプレイングゲーム)やコマンドRPG(コマンド入力式のターン制RPG)のプレイ目安時間を以下に記載します。
 
・メインストーリーのクリア:25〜60時間
・サブクエストなどを含めたプレイ:60〜120時間
 
ただしこのジャンルでは、キャラクターの育成、装備の収集や強化、NPCとの会話量、そしてダンジョンの密度などでプレイ時間が大きく左右されます。近年は、ムービーシーンのスキップや戦闘演出の倍速化などで時間短縮できるタイトルが多いです。
 

2-2. アクションRPG

アクションRPGは、コマンド選択だけでなく、キャラクターの操作を重視するRPGです。
 
・一般的な難易度のタイトル:8〜20時間
・高難易度のタイトル:30〜60時間
 
このジャンルでは、ゲームの難易度設定や探索時のアイテム等の回収率などがクリアまでの時間を左右します。難易度が高く、「死にゲー」と呼ばれるような強敵が多いタイトルであればプレイ時間は自然と長くなります。
 
また、移動スキルがゲーム進行中に解放されていくタイプのタイトルなら、その解放によってプレイ時間が短縮可能です。
 

2-3. オープンワールドRPG・サンドボックス

オープンワールドとはいえ、RPGであればメインストーリーのエンディングは存在します。ただしオープンワールドを採用したタイトルは広大なマップを自由に歩き回れるため、自然とプレイ時間が長くなります。そのため、プレイヤーが満足した時点を区切りとする考え方もあります。
 
サンドボックスゲームはエンディングがないものもありますが、クリアの概念があるものを対象としています。
 
・満足感を得るクリア:40〜80時間
・徹底的なやり込み:80〜150時間
 
このジャンルでは、地図の密度がクリア時間に影響します。イベントや仕掛けが多いタイトルほど、探索中に立ち寄ることになるからです。また、エリアが広いためファストトラベルを採用するタイトルがありますが、そのような移動の利便性もプレイ時間変動の要素です。
 

2-4. FPS・TPS(キャンペーン)

FPSやTPSはオンライン対戦に関して「クリア」の概念がありませんが、キャンペーンモード(一人用モード)に関してはクリアが存在します。
 
・クリア目安:6〜15時間
 
FPS、TPSのキャンペーンモードは比較的コンパクトに設計されていますから、クリアまでに要する時間はさほど長くありません。ただし、その時間は難易度やリトライ回数に大きく左右されることもあります。
 

2-5. ノベルゲーム・ADV

文字表記と音声によってストーリーが進んでいくジャンルです。そのため、ゲームボリュームが文字数で示されることも少なくありません。
 
・クリア目安:5〜25時間
 
音声(フルボイス)や文字表記をスキップしながらプレイするかどうかで、クリア時間のばらつきが生じます。また、ストーリー分岐があるタイトルの場合、すべてのエンドを回収するには大きな時間を要します。
 

3. 【規模別】大作・インディー別プレイ時間目安

プレイ時間はゲームの開発規模や予算にも左右されます。
 
・AAAタイトル(大作)
大手パブリッシャーが巨額の予算を投じて開発するタイトルは、販売価格も高く、金額に見合うボリュームが期待されます。
 
メインストーリーだけで25〜60時間、やり込み要素を含めると60~120時間程度が標準的です。しかし近年はボリュームの肥大化傾向があり、それに伴う開発コストの増大も問題となっています。
 
・インディー作品
小規模なスタジオや個人が開発するインディー作品の多くは、大手がリリースするようなボリュームと比べると比較的コンパクトに収まるケースが多いです。なかには、1〜6時間程度でクリアできるものもあります。
 
インディー作品の場合、ボリュームで満足させるのではなく、アイデアで興味を引くことでヒットを狙います。そのため多くはワンアイデア、ワンテーマで、サブクエストややり込み要素に力を入れる例は少数です。
 

4. 現代人の可処分時間とゲームのプレイ時間の関連性

この項目では、現代人の可処分時間をまず明確にしたうえで、その可処分時間をどのように配分しているかを解説します。
 
ここでいう可処分時間とは、睡眠や食事などの生命維持に必要な時間と、仕事や家事などの生活維持に必要な時間を引いた残り時間です。総務省の「令和3年社会生活基本調査 生活時間及び生活行動に関する結果 結果の要約」によれば、日本人の1日の平均的可処分時間は約6時間と報告されています。以下ではこの数値をベースに解説します。
 

4-1. 可処分時間の競合は「別のゲーム」だけではなく「エンタメ全般」

上記の可処分時間は、娯楽や休養、趣味や学業以外の学習、交際や療養などにあてる時間の合計なので、すべてをゲームに充てている人は少数と考えられます。実際に趣味・娯楽にあてられている平均時間は48分でしかありません。
 
さらに、その趣味・娯楽もゲーム以外のエンタメ全般に向けられていることが考えられます。そのため、Aのゲーム時間を削ってBのゲームをする、というよりも、ゲームか他のエンタメか、という人も多いことでしょう。
 

4-2. 現代において「前提プレイ時間が長いタイトル」は避けられる?

過去にはゲームボリュームが大きく、長くプレイできるゲームが高価値、という考え方もありました。コアゲーマーであれば、今もその考え方は持っているでしょう。
 
しかし、忙しい現代人の多くにとって、長時間かけないと満足感が得られないゲームは娯楽として魅力的とは言いにくくなっています。また前提プレイ時間が長いゲームは、購入してもプレイされないリスクもあります。
 

4-3. 現代人に合った「ゲームのプレイ時間」とは

近年、「短時間で楽しめるゲーム」、「サクッと遊べるゲーム」といった具合に、スキマ時間で遊べるゲームを求める人が増えています。
 
ライフスタイルが細分化された現在、好まれるのは1プレイが短いゲームです。その流れもあり、FPSでも短時間で1プレイできるクイックマッチが実装されるケースが増えています。
 

4-4. 「長く遊べるゲーム=コスパ(タイパ)が良い」という考え方

かつては「1円あたりのプレイ時間」がコスパとして語られましたが、現在は「費やした時間に対してどれだけ密度の高い体験ができたか」というタイパ(タイムパフォーマンス)の概念が主流です。
 
どれほど長く遊べても、単調なクエストの繰り返しや、理不尽な時間消費を強いるゲームは「タイパが悪い」と切り捨てられます。一方、プレイ時間が短くても記憶に残る濃密な体験であれば、ユーザーは高い満足度を示します。
 
現代におけるゲームの価値は、ボリュームよりも質に移行していると言えるでしょう。
 

5. まとめ

ゲームクリアに要する時間は、過去には長い方が良いとする風潮がありましたが、近年はボリュームより質にこだわる流れが強くなっています。大手ゲーム会社がリリースするプレイ時間100時間超えのタイトルは常に話題になりますが、1プレイが短いゲームを求める人が多いのも事実です。
 
エンジニアとして開発に携わる人は、上記のような傾向を踏まえて、どのユーザー層を狙っているのかを踏まえた開発が重要です。
 
一方プレイする人は、自身の可処分時間を見極めて無理のないプレイをするのか、可処分時間の多くをゲームに充ててプレイを謳歌するのかを考えてみてはいかがでしょうか。
 

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