スマホゲームにおける“求められるシナリオライター”とは ―『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』を例に―


「今、どんなシナリオライターが求められているんだろう?」

ゲームのシナリオライター志望者や、求人に応募しようとしている人は、頭を悩ませているのではないでしょうか。

 

もちろん、『今日求められる唯一のシナリオライター像』なんてものは存在しません。

世の中には多種多様なライターがいて、それぞれ得意分野が違います。

だからこそバリエーション豊かなゲームシナリオが生み出されているのです。

しかし、そうは言っても全くの無法地帯というわけではなく、ある程度求められるライターの方向性みたいなものは存在しています。

 

そこでこの記事では、制作会社が求めるシナリオライター像の一つの方向性――「同社がリリース済みのゲームを熟知しているか」について考えていきます。

ライター採用の際には、ライターとしての高度な実力よりも、その会社の作品に対する愛着や知識が優先されることもあり得るのです。

 

なぜその会社の作品が好きなライターが求められるようになっているか。

『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(以下、『ガルパ』)を例に考察していきましょう。

 

・1:「わたし、初めてなの…」はNG。これまで求められていたシナリオライターの技術

 

『ガルパ』を実例として取り上げるための前提として、スマホゲームのシナリオにおける、ひとつの“タブー”を紹介します。

 

キャラクターに「これ、初めて」と発言させるのはNG――これが現在のスマホゲームにおけるシナリオ制作のセオリーです。

日々ストーリーが更新されるスマホゲームにおけるシナリオは、通常複数人で制作されています。

季節のイベントに合わせてシナリオを発表しなければいけない場合は、制作期間も短いですし、その割に文章の量も多いため、ひとりでは到底制作しきれないからです。

そして複数人でシナリオを執筆する際には、きちんと設定や資料を制作・共有して、各人のシナリオ間でブレや矛盾が生じないようにする必要があります。

 

その上で、『キャラクターに「これ、初めて」と発言させるのはNG』について考えてみましょう。

あるキャラクターに「わたし、○○するのは初めてなの…」と発言させることは、『そのキャラクターは○○という行動を過去にしたことがない』という設定を勝手に付け加えることを意味します。

複数人でシナリオを制作している際に、このように勝手に設定が付け加えられてしまうと、矛盾やキャラブレが発生する可能性が非常に高くなってしまうのです。

例として、AさんとBさん、ふたりのライターがシナリオを制作している際に、こんなことになってしまった場合を考えてみます。

 

・Aさんのシナリオ

ヒロイン

「私、カレー大好きなの!」

 

 

・Bさんのシナリオ

ヒロイン

「私、カレーって初めて食べるの」

 

極端な例ですが、「○○するの初めて」と不用意に書いてしまうとこのような矛盾が発生する恐れがあるのです。

 

また、キャラクター個別のシナリオや、期間限定のイベントシナリオなど、全てのプレイヤーが読むわけではない・読むタイミングがバラバラなシナリオは、特に矛盾の発生に気を遣います。

特定のシナリオを読まなければ、他のシナリオの意味がわからない……という構造にしてしまうと、ゲームに多くの時間を費やせないライト層や、途中からゲームを始めたプレイヤーがストーリーについてこれなくなってしまうためです。

 

スマホゲームのシナリオライターに求められているのは、「どんなタイミングで、どのシナリオを読んでも楽しめるように書くこと」――言い換えれば、既存のキャラクター設定を守ったまま、キャラクターを変化させないまま面白いシナリオを書くことです。

 

・2:タブーに挑んだ、『ガルパ』

 

キャラクターを変化させないまま面白いシナリオを書く――このセオリーを破った作りをしているのが『ガルパ』です。

『ガルパ』の制作現場では、登場するキャラクターをひとりの人間としてとらえることを方針としており、「キャラクター」という言葉を使わず「メンバー」と呼ぶ徹底ぶりだそうです。

 

当然、人間であれば時間の経過と共に成長や変化していくもの。

『ガルパ』に登場するキャラクターたちも日々成長し、関係性を変化させ続けています。

このことで、プレイヤーたちはキャラクターと一緒に同じ道を歩んでいく、そんなゲーム体験を楽しむことができます。

 

成長し変化していくキャラクターを、いかにシナリオで描くのか。

前述の通り、複数のライターが制作にあたる際には、矛盾が生じないようにできるだけ設定からずれないように書くのがセオリーでした。

『ガルパ』の制作会社であるCraft Eggは、社内にライターのチームを持つことでこの問題に立ち向かっています。

 

外注に頼らずに、チーム内で話し合いながらシナリオを制作、情報共有をすることで、イベントシナリオやキャラクターシナリオであっても、「キャラクターが変化する」シナリオを矛盾を生じさせずに成立させているのです。

『ガルパ』シナリオチームリーダーの沢村英祐さんによれば、シナリオチームは定期的に合宿をするほどの情報共有の徹底ぶりだそうです。

 

「チームメンバーのキャラクターへの理解を深めるために、シナリオチームでは半年に一度、合宿を行っています。

「あの子はこんなことを将来の目標にしているのでは?」「この子はこんな性格だからこんな風に考えるのでは?」と、バンドを越えた関係性や未来を考えて、“ファンに届けたい/届けるべきシナリオ”を模索している」 *1

 

・3:ゼロから作品を知るのは大きなコスト

 

これまで見てきたように、『ガルパ』ではチーム内で密に情報共有をすることで、キャラクターが成長するシナリオを成立させているようです。

しかしこの制作体制は、いくつか課題を抱えています。

そのひとつが「新しいライターを参加させることが難しい」という問題です。

 

『ガルパ』に限らず「キャラクターが変化する」作品に、シナリオライターとして途中から参加するのは大きな労力がかかります。

過去のシナリオや資料を読むだけでも膨大な時間がかかりますし、期間限定のイベントが実装された際のその場の雰囲気などは、資料などで共有することはできません。

まったくその作品について知らない人、作品についての知識に乏しい人に、必要な情報や知識を教え込み制作にあたってもらうのは大きなコストがかかってしまいます。

 

そんな状況で『ガルパ』シナリオチームはどのような対策をしているのでしょうか。

様々な対策をしていると思うのですが、公開されている情報から読み取れるのは「すでに知識を持った人をライターとして採用する」という方法です。

制作会社であるCraft Eggのシナリオライター求人情報は以下のように書かれています。

 

求める人物像 *2

  • 「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」の世界観やキャラクターが好きで、ゲームをやりこんでいる方
  • 日々の業務を地道に改善できる方
  • チームとして成果を出すことを大切にできる方

 

「『ガルパ』が好きな人」「チームで制作できる人」を重視して採用することで、途中参加にかかるコストを下げつつ、クオリティを保とうとしているのではないかと予想できます。

 

・まとめ

シナリオライターには様々な技術や知識が求められる時代です。

しかし、シナリオライターとして募集に応募したいけど、技術がない……とあきらめることはありません。

ゲームのシナリオライターが募集された際には、応募する会社の作品に対する愛着も武器になることもあるのです。

 

特に昨今はSNSが発達・普及し、ゲームの体験を周囲のユーザーと共有することが一般的になってきました。

その作品が、ファンと共に作品を育てていくという方針をとる場合には、「作品に対する愛着」が有用になる傾向も、より高まると予想できるのです。

 

【引用】

*1:クリエイターのための総合情報サイト CREATIVE VILLAGE 2018/07/11

「ガルパ × シナリオ塾 ~【ガルパ】ゲームと一緒に成長するキャラクターについて~」Craft Eggシナリオチームが語るシナリオの書き方

https://www.creativevillage.ne.jp/43023

 

*2:株式会社Craft Egg

「RECRUIT(キャリア採用)|株式会社Craft Egg」

https://www.craftegg.co.jp/recruit/job/

 

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