スマホゲーム『Bendy™ in Nightmare Run』が示す広告以外の収益獲得方法
スマホのようなカジュアルゲームはその制作費を賄うための収入をどこかで産まなければいけないわけですが、『Bendy™ in Nightmare Run』は面白いアイデアで収益を賄おうとしています。
目次
カートゥーンアクションの『Bendy™ in Nightmare Run』
Bendy™ in Nightmare Runでは、古き良きカートゥーン調の世界で繰り広げられるアクションゲームを楽しむことができます。
公式サイト:https://joeydrewstudios.com/run
硬派なやりごたえが満載のアクションゲーム
Bendy™ in Nightmare Runはスクロール系のアクションゲームですが、クラッシュバンディクーやソニックにも見られた、奥から手前へと主人公が駆け抜けていくタイプの設定をベースとしています。
主人公は上下左右の移動とジャンプを駆使しながら追いかけてくるボスキャラクターの魔の手をかいくぐり、隙を見てモノを投げつけながらダメージを与え、撃退しながらクリアを目指します。
直接対峙するわけでもなく、背後にものを投げながら大きな敵を倒すというシステムもある意味独特ですが、そんな及び腰の設定がよく似合うほど、このゲームは難易度が非常に高いことも特徴です*1。
プレイヤーは逃げるだけとはいえ、流石に背を向けて退散していることだけあり、ボスが仕掛けてくる攻撃は壮絶です。
多彩かつその物量も凄まじい上、小型の敵キャラクターまで召喚してしまうため、プレイヤーは初見でステージをクリアすることはかなり厳しい設計になっています。
何度もプレイしながらボスの行動パターンを把握し、効率よくダメージを与えながら最小限の動きで攻撃を回避する器用さが必要になります。
どこか昔懐かしいキャラクターが登場
その硬派なゲーム性もさることながら、Bendy™ in Nightmare Runは登場するキャラクターたちの豊かさもポイントになっています。
モノクロテレビが主流だったアメリカの戦前のアニメーションをモチーフにした、クラシックなキャラクターたちが織りなすアクションゲームとなっているため、ゲームプレイはハードコアでもビジュアルがファンシーと、どこか憎めないところもあります。
愛らしいキャラクターたちが展開するハードなゲームという、落差の激しいギャップを楽しめるのもこのゲームの特徴です。
カートゥーンゲームならではのキャラクター性
カートゥーン系のキャラクターと激しいアクションが魅力の作品ですが、このような方向性を持ったゲームはBendy™ in Nightmare Runが初めてではありません。
『Cuphead』がブームの火付け役
2017年に発売された、カナダ発のインディーズゲームである『Cuphead(カップヘッド)』は、その名の通り頭がカップになっている兄弟が織りなす2Dスクロールのシューティングゲームです。
https://www.youtube.com/watch?v=NN-9SQXoi50
ご覧の通り、このゲームもまた高いアクション性が求められるとともに、カートゥーン調のキャラクターたちが繰り広げるハードコアアクションになっています。
元はPC向けに発売されたゲームでしたが、すでにニンテンドースイッチのような大手コンシューマー機向けにも販売が開始されており、売り上げ本数も500万本を超える記録的な大ヒットを叩き出しています*2。
そのビジュアルのユニークさのみならず、クリエイターとプレイヤーに大きな影響を与えたこの作品は、他のゲームにも多大な影響を与えたことも容易に想像がつきます。
Bendy™ in Nightmare Runまた、その影響下にある作品の1つということができるでしょう。
キャラクター性の高さはゲームのブランドにも
ゲームにおいて最も大切なのは、ゲームそのものの面白さにあることは間違いありません。
しかしCupheadやBendy™ in Nightmare Runのように、ビジュアルのユニークさやキャラクター性が高いゲームは、そのゲームのブランドを高める上でも非常に大きな役割を果たすことになります。
1つは前述のように、キャラクターのコミカルさと高い難易度というギャップを生み出し、プレイヤーにとって印象的な作品となることができるという点、2つ目にゲームに興味がない人でも、そのキャラクターのルックスが気に入り、ゲームをプレイしたいという動機が生まれる点です。
敵味方問わずこのゲームのキャラクター、ひいては世界観がゲームらしからぬポップさを持っているため、話題性という意味では非常に高いと言えるでしょう。
クリア報酬は「グッズを購入する権利」
Bendy™ in Nightmare Runの大きな特徴は、ゲームをクリアしたプレイヤー向けにグッズを購入する権利が用意されているというところです。
ゲームをクリアしたプレイヤーのみが入手可能
高い難易度もこのゲームの魅力の1つですが、ただ難しいだけではゲームクリアのモチベーションの低下を招いてしまいます。
そこでクリアしたプレイヤーには単なる実績だけではなく、実際に購入できるグッズの購入権を与え、それを買ってもらうことでクリエイターの収益につなげ、プレイヤーにもゲームクリアの満足感を味わうことができるようになっています。
イベントや大会などでオリジナルグッズがもらえたり、購入できたりする機会は様々なゲームで見かけましたが、ゲームクリアで購入権がもらえるという特典は、かなりユニークな施策と言えます。
キャラクター性の強いゲームならではの施策
ただ、この施策はBendy™ in Nightmare Runのキャラクター性の高さを生かしたものであるとも言えます。
ゲームクリアでもらえるのはあくまで購入する権利であって、無料でグッズがもらえるわけではありません。
そのためプレイヤーにいくら権利を渡しても、欲しいと思えるような商品でなければ買ってくれることはありませんが、このゲームはゲーマー以外にも評価されるようなポップなキャラが盛りだくさんです。
だからこそ物販に落とし込んでも多くのプレイヤーが買ってくれる期待も抱けますし、商品の購入と着用を通じて、さらなるプロモーション効果も期待することができるのです。
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おわりに
魅力的なキャラクターをゲームに登場させるには、優秀なアニメーターやアーティストを起用する必要があります。
しかしBendy™ in Nightmare Runのようなキャラクター施策の例を考えると、アニメーションや画力に自信のあるクリエイターにとって、自分の強みがヒット作品に導き得ることをアピールするチャンスにもなるでしょう。
出典:
*1 ゲームキャスト「殺意あふれるカートゥーンアクション『Bendy™ in Nightmare Run』レビュー。Bendyの手応えはスマホでも健在」
http://www.gamecast-blog.com/archives/65924669.html
*2 Automaton「『Cuphead』の売り上げが500万本を突破。発売から2年経過も3か月で100万本積み上げる」
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20190930-102887/
ライター名:Satoru Yoshimura
プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。
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