ゲーム会社同士が合併・吸収する理由は?実際の合併ケースもあわせて紹介
ゲーム業界では過去にさまざまな会社間の合併が行われてきました。
このコラムは、ゲーム会社における合併の意味を知りたい人に向けて、合併やM&Aが行われる背景にはどんなものがあるのか、また実際に起こった合併の例を紹介していきます。
目次
1.ゲーム会社同士が合併・吸収をする理由
まずこの項目では、ゲーム業界での合併やM&Aがどんな事情で行われているのか、理由について解説しましょう。
1-1.それぞれの会社の強みを吸収し、市場に参入するため
比較的資本が潤沢な大手企業が新規参入する場合などに、すでに技術やユーザーを確保している中小企業を吸収することはどの業界でもありがちな話です。
その中でもゲーム業界には常に最先端の技術が導入されますから、トレンドやニーズの変化が激しいことは業界の宿命と言えます。
しかし、新しい技術が登場するたびにゼロからノウハウを学んだり、人を育てたりする余裕を持てる会社は多くはありません。
そのため教育や学習に力を割くよりも、積極的に合併吸収やM&Aを行う方が有利なことが多いのです。
1-2.市場の競争に対応するため
上記は比較的大手の目線で解説しましたが、中小企業にとっても合併やM&Aは旨味があることが少なくありません。
技術はあっても資本力が無ければヒットタイトルを出し続けることは困難ですし、大手ならではの知名度や宣伝力、販売網などは中所企業にとっては大きな魅力です。
また、中小企業同士が合併することは、得意な部分と不得意な部分を補い合うことや、業界内の大手に拮抗する力を得る機会にもなります。
1-3.人材不足を解消するため
ゲーム会社の多くは慢性的に「熟練者が足りない」状況にあります。
新しいプラットフォームの登場や、ニーズの変化が激しいためです。
そのため合併やM&Aで人材不足を補う動きも珍しくありません。
2.ゲーム会社同士が合併することによる影響
この項目では、ゲーム会社同士が合併することで発生する影響を、ブランディング、株価、開発体制などのいくつかの側面から見ていきましょう。
2-1. ブランディングへの影響
企業の合併や吸収の際、両社に業界内で大きな実績があれば、企業名をつなげて新しい社名にする例が多いようです。
例えばスクウェア・エニックスやバンダイナムコ、セガサミーなどがそのパターンです。
両社に既に多くのユーザーが存在する場合、ブランド力をなくさないための有効な方法と言えるでしょう。
一方、小さい会社や業績が思わしくなかったことから大手に吸収されたケースでは、社名やブランド名は無くなってしまうこともあります。
社名もブランド名も消えてしまった例としては、北海道でソフト開発・販売を行っていたハドソンがあります。
1980年代からファミコン向けのソフトを作り、「桃太郎電鉄」シリーズなどで人気を獲得した会社ですが、ある時期から経営状態が悪化します。
一時はコナミの子会社となってハドソンのブランド名は残っていましたが、2014年にはブランドとしても消滅しています。
しかし、いったんは消えた社名が復活する例もあります。
現在「ペルソナ」シリーズや「真・女神転生」シリーズなどで人気があるゲーム会社のアトラスは、合併吸収などの影響で一時はアトラスという社名は消滅していましたが、セガサミーグループの傘下として復活しています。
2-2. 株価への影響
ゲーム業界に限らず、企業同士の合併吸収があれば株価は変動します。
実際に株価が上がるのか下がるのかということについては、合併の経緯や株式市場が合併をどう評価するかによって大きく変わります。
合併に向けた交渉の際に会社間の対立構造が見えたり、何らかのマイナスイメージが強かったりすれば株を手放す人が増えますから、株価は低下する可能性があります。
逆に合併後の業績アップが期待出来るなど、期待値が強ければ株価は上昇します。
合併時にいったん上昇した株価も、実績が伴わなければ遠からず下落します。
そのため、株価が上昇して高い数値が維持されるには、合併自体がプラスに働いたと判断される材料を提供し続けることが重要です。
2-3. 開発体制への影響
合併には、自社が持っていない技術を補強する目的が強いケースも見られます。
既存のタイトルや得意のジャンルに新しい技術を加えることで作品としての質が上がれば、ユーザーにとっては喜ばしい面が強いでしょう。
ただし、既に人気があるタイトルの良い面が薄れて、新しい作風に代わってしまう場合は既存ユーザーが離れてしまうこともあり得ます。
技術補強を目的としたゲーム会社での合併の例としては、2019年に「戦国修羅SOUL」などの代表作を持つクリーク・アンド・リバー社が、CG技術やコンテンツマーケティングなどに優れたスタジオリボルバーという会社を子会社化した例があります。
3.実際のゲーム会社同士の合併・吸収の歴史と意図
ここでは実際にゲーム業界で行われた比較的大きな会社間での合併・吸収の例を紹介していきましょう。
3-1.スクウェア×エニックス(2003年)
2003年に合併したスクウェア社とエニックス社は、それぞれ「ドラゴンクエスト」、「ファイナルファンタジー」というヒットタイトルを持っています。
合併後の現在も日本で有数のゲーム会社として知られています。
合併に至る経緯として、スクウェアは「ファイナルファンタジー」をはじめとするヒットタイトルは多数あったものの、劇場版のファイナルファンタジーで50億円以上の記録的な大赤字を出してしまいました。
また、当時スクウェアが設立したデジキューブという事業が失敗したことも大きな痛手になりました。
一方のエニックスは「ドラゴンクエスト」というヒットタイトルはあるものの、他の資金源に乏しい状況にありましたからヒットタイトルが豊富なスクウェアと合併する価値があったのです。
3-2.バンダイ×ナムコ(2005年)
バンダイは以前から日本のアニメの代表作品として知られる「機動戦士ガンダム」をはじめ、キャラクター事業のノウハウがありました。
また、ナムコは「鉄拳」や「エースコンバット」など、ゲームの開発力に強みを持っていました。
それぞれに違うストロングポイントを持ち、重複する部分が少ない二つの企業の合併は、変化の激しいゲーム業界を生き残る手段として大きな価値があったようです。
3-3.サミー×セガ(2004年)
セガはアーケードゲームの老舗という立場から1980年代に家庭用ゲーム機の事業に乗り出しましたが、当時大ヒットした任天堂のファミコンには太刀打ちできませんでした。
「プリント倶楽部」や「UFOキャッチャー」などのアーケードゲーム事業は大きな収益を上げてはいましたが、家庭用ゲームではハード、ソフトともに事業的苦戦が続き、パチスロメーカーのサミーに吸収される形になりました。
3-4.スパイク×チュンソフト(2012年)
スパイクは「ダンガンロンパ」や「ファイプロ」、「侍」や脳トレゲームなどで一定のシェアを持っていました。
また、チュンソフトはデベロッパーとして「ドラゴンクエスト」の制作に参加したり、パブリッシャーとして「不思議のダンジョン」を発表するなどそれぞれに実績を持っています。
両社とも2005年にドワンゴの子会社化していましたが、さらなる効率化を掲げてドワンゴ傘下のまま合併を果たしています。
4.まとめ
ゲーム会社における合併・吸収、M&Aの意味や実例を知りたい人に向けて、さまざまな情報をまとめました。
常に技術革新やトレンドの最先端にあるのがゲーム業界の立ち位置ですから、合併吸収は絶え間なく行われています。
その内情としては経営不振などが理由になっていることもありますが、合併することで新しいものを生み出す基盤を作っている例も少なくありません。
ゲーム業界への就職を目指す人は、合併吸収、形態の変化などをあまりネガティブにとらえず、業界が発展していく一つの流れとしてポジティブにとらえることをお勧めします。
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