心地よい脱出ゲームの設計とは?『脱出ゲーム TimelessRoom』の挑戦


これまでに数々の名作を生み出してきた脱出ゲームジャンルですが、今も多くの最新作がリリースされています。

 

その中でも異彩を放つ『脱出ゲーム TimelessRoom』は、脱出ゲームのテンプレートを生かした、新しいゲーム体験の可能性を放っています。

 

神秘的な世界観の『脱出ゲーム TimelessRoom』

今作では通常の室内で始まる脱出ゲームとは違い、スケールの大きな物語が展開されます。

 

テーマは太陽系の脱出ゲーム

このゲームのテーマは、ズバリ言うと太陽系からの脱出です。

 

突如として現れるサイケデリックな空間の中に潜む謎を解明していきながら、次々と展開される物語がどのような結末を迎えるのかを楽しむことができます。

 

通常の脱出ゲームの場合、ある程度ストーリーやその後の展開を予想することができるものです。

 

というのも、見知らぬ密室や孤島など、どこかで見たことがあるような設定や場所が舞台として選ばれるためです。

 

例えストーリー上では主人公が「ここはどこだ」と混乱していたとしても、脱出ゲームに造詣のあるプレーヤーなら「いつものパターンか」と余裕を持って接することができるので、大きな混乱は生まれません。

 

一方、『脱出ゲーム TimelessRoom』で展開される物語は、従来の脱出ゲームや常識を超えた世界観で展開されることもあり、これまで脱出ゲームをプレイしてきた経験者でも、新鮮な体験を得られるよう設計されています。

 

遊び方は古典的なシステムを実装

基本的なゲームシステムとしては、一般的な脱出ゲームと大きな違いはありません。

 

次々と現れる場面の中で、気になる箇所をタッチしてヒントを探し、ギミックが必要な箇所はタップ操作で解除していくのが基本的な遊び方です。

 

テーマ設定こそアバンギャルドな世界観が目立ちますが、ゲームそのものの遊び方の複雑さや、難易度についてはごく平凡な仕様に仕上がっています。

少し頭を使ったり、周囲に気を配るだけで簡単に謎のヒントを得ることができるため、謎解きが難しくて先へ進めない、という問題にぶつかってしまうこともないでしょう。

 

むしろ、謎解きを簡単にすることで、どんどんと物語を進めていくことを促しているような設計であるとも言えます。

『脱出ゲーム TimelessRoom』が目指した没入感

今作では思わず作品の世界観に魅入られる没入感が見られますが、どのような設計からこのような効果が生まれているのでしょうか。

 

スムーズな遷移

『脱出ゲーム TimelessRoom』の優れているポイントとして、シーンの遷移が非常にスムーズでスピーディである点が挙げられます。

 

元々、脱出ゲームは紙芝居形式で展開される作品も多く、3Dアクションのように多くの情報を一度に読み込む必要がないため、軽量で快適な動作を期待できます。

 

逆に、脱出ゲームなのに読み込みが遅く、テンポが悪いとなると遊ぶための好奇心も削がれてしまい、先へ進もうという意欲は減退してしまいます。

 

今作は3DCGというよりも、イラストレーションによる紙芝居形式が採用されているので、読み込みに関しては全く問題はありません。

 

また、単なるロードの速さだけでなく、展開のダイナミックさやスケールの大きなテーマとの相乗効果により、高速で物語が進む感覚を体験することができます。

 

スピーディな展開とパフォーマンスは、プレイヤーがゲームから目を離せなくさせるための仕掛けとして機能します。

 

1カットごとの美麗さ

今作は非現実的な物語性もさることながら、物語を表す1シーンごとのクオリティの高さにも注目です。

 

謎解きばかりに注目しているとついつい見逃してしまいそうになりますが、背景画像などをまじまじと眺めていると、異様な書き込みの細かさに驚かされます。

 

色使いはカラフルで、グラデーションも豊かに採用されており、2Dのイラストレーションでありながら、深みのある画像を楽しめます。

 

陰影によるオブジェクトの立体感も2Dで表現されているため、3Dのような多彩な描写が特徴です。

 

『脱出ゲーム TimelessRoom』でビジュアルイラストだけでなく、音楽も楽しむことができます。

 

独特の世界観を目と耳で楽しめる今作は、脱出ゲームを楽しむというよりも、脱出ゲームというシステムをベースにしたアート作品とも言えそうです。

 

併せて読みたい記事

→「シンプルで奥深いゲーム」の作り方とは? 「DownWell」から学ぶ“多目的”ゲームデザイン

 

脱出ゲームの体験価値を高めるための設計

『脱出ゲーム TimelessRoom』の登場によって、新しい脱出ゲームの可能性も考えることができるのではないでしょうか。

 

高難易度の脱出ゲームが面白いとは限らない

脱出ゲームは数あるジャンルの中でも発展が著しいジャンルで、多くのクリエイターから次々と新作が生まれています。

 

そのため、脱出ゲームを差別化する方法も、難易度を高くしたり、新しいギミックを交換したりすることで、うまく棲み分けを作ろうという動きも見られます。

 

クリエイターも世の中に脱出ゲームが無数に存在していることを知っているため、オリジナリティを創出するためには知恵を絞らなければならないのです。

 

しかし、必ずしも高難易度の脱出ゲームが絶対に面白いとも限らないのも、難しいところです。

 

謎解きが明らかにワンパターンで、どこかで見たことのあるような仕掛けでは、脱出ゲーム好きの心を掴むことはできません。

 

彼らにはありきたりな謎解きはマンネリ化しているため、お金を払うほどの体験を提供することができないためです。

 

しかし、その一方で謎解きがあまりに難解すぎて、誰も正解にたどり着けないような仕組みも考えものです。

 

難しすぎてしまっては、正しい答えを見つけたときの快感を得ることができず、「これで正しかったのか」というモヤモヤを抱えたまま、ゲームが進んでしまうからです。

 

そのため、脱出ゲームの面白さは難易度に依存しない、別の部分で付加価値をつけることが求められる時代になっているとも考えられます。

 

脱出ゲームのテンプレートを生かしたゲーム設計を

そこで、今回の『脱出ゲーム TimelessRoom』の例を見てみましょう。

テンプレートとしては一般的な脱出ゲームのシステムを採用しているものの、謎解きそのものに目新しい面白さがみられるわけではありません。

 

むしろ、謎解きを体験する世界観や各シーンの美しさ、そしてBGMとのハーモニーを楽しむための空間として機能しており、ゲームというよりも美術館のような、鑑賞の時間と空間を提供しているようにも感じさせられます。

 

脱出ゲームというのは、必ずしも謎解き要素にこだわる必要がないジャンルでもあることを、自ら証明した作品と言えるでしょう。

 

併せて読みたい記事

→居心地の良い脱出ゲーム?『Discolored』の設計について

 

おわりに

脱出ゲームのように、わかりやすくカテゴライズされたジャンルには様々なクオリティの作品が集います。

 

しかし、ゲームジャンルというのはあくまでも基準です。多くのゲームが取り組んでいるシステムや方向性に則る必要はなく、自ら新しい世界観を創出していく可能性も残されています。

 

これまでになかった新しいゲームというのもまた、こういったクリエイティビティから生まれてくるものなのでしょう。

 

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『脱出ゲーム TimelessRoom』Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.enblocksound.EscapeGameTimelessRoom&hl=ja&showAllReviews=true

 

『脱出ゲーム TimelessRoom』開発者Twitter:https://twitter.com/enblocksound_g

 

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