オクトパストラベラー 大陸の覇者に学ぶあえてスマホ最適化しないという選択肢


「オクトパストラベラー 大陸の覇者」は2020年10月にスクウェアエニックスよりリリースされた本格RPGアプリです。

元々2018年にNintendo Switchでリリースされ、世界累計出荷・ダウンロード販売本数200万を突破した「オクトパストラベラー」を前身に持つ、根強いファンがいるRPGです。

コンシューマー機向けに開発されたゲームの派生作品をスマホゲームとして開発するのは、ゲームブランドのライフタイムバリューを考慮すると実に費用対効果が高い取り組みです。

新規ブランドでゲームをいちから売り込むよりも、既に一定の作品人気、作品認知がとれている状態で新たなマネタイズができるからです。

また、売り切り型のパッケージソフトと課金型のソーシャルゲームという組み合わせは長期的な収益性において、どちらかだけよりも期待値を高く持つことができます。

本記事ではそういったパッケージソフトの派生作品をスマホアプリで開発する際のポイントや、飽和したゲームジャンルでの戦術をオクトパストラベラーから見ていきます。

 

オクトパストラベラー大陸の覇者とは

本ゲームは中世ヨーロッパを想起させる架空の大陸を舞台に、様々な主人公が目的達成の為に旅をし、その過程で大陸を牛耳る強大な勢力との戦いに身を投じるゲームです。

スマホのRPGとしてはあまり見かけない、8人パーティの戦闘スタイルが特徴となっています。

また、主人公は前作で8名だったものが64名に増え、これに伴って戦術の組み合わせはプレイヤーの数だけ作れる、という独自性も打ち出しました。

ドラマパートにも独自性を発揮し、幻想的で退廃的な世界を舞台にした濃密な人間模様が醍醐味です。

 

伝統的なJRPGと最新技術の折り合い

オクトパストラベラーでは、JRPGのオールドファンが好む要素をそのまま活用しつつ、現代のゲーム習慣に順応した要素をバランスよく取り入れたのが成功要因といえます。

ゲームデザインはJRPGの代名詞とも言える2Dのドット絵で描かれ、戦闘シーンではファイナルファンタジーシリーズに見られる3人称視点。

キャラクターへの命令はウィンドウが都度表示されるコマンド式のメニューが採用されています。

これらはいずれもハードの進化とプレイヤー側の文化醸成で失われた懐古主義な表現という印象が強く、ともすれば古めかしくとっつきにくい心象を与えてしまいかねません。

しかし、本作ではドット絵デザインに3DCGの画面効果を追加、奥行きのある多重構造のレイヤー分けをすることで懐かしくも新しいゲームデザインを実現しています。

綺麗でリアルなデザインの実現は既にハイエンド機だけでなく、スマホゲームでも実現できる時代になっています。

そこで競うのではなくレトロゲーマーはもちろん、オールドゲーム文化を知らないユーザ層の深堀ができる様なデザイン設計がなされています。

また、従来の2Dドット絵時代のゲームではメモリの制約上実装されていなかった、ボイスデータの使用も懐かしくも新しいという体験に一役買っています。

 

これらの成功要因を余すことなくパッケージソフト版からスマホ版に引継いでいることで、シリーズを通しての世界観形成が行われています。

これまでのスマホゲームでは手軽さや遊びやすさといった、いわば「使い勝手」の部分が重要視される事が多かった中で、没入感を与えた質の高い体験を提供しています。

 

スマホで死にゲーというジレンマ

オクトパストラベラーシリーズの特徴として「死にゲー」という側面があります。

「死にゲー」とは、圧倒的な戦力差を持つ敵が登場する難易度が高すぎるゲームで、何度も死にながら少しずつパターンを掴んで勝てる様を楽しむゲームの俗称です。

最近だとフロムソフトウェア社製の「SEKIRO」「ダークソウル」などが有名です。

オクトパストラベラーシリーズではゲーム性こそ違えど、この「何度も死にながら敵の法則を見破って戦略を立て、攻略する」という醍醐味がハマる魅力と言えます。

 

初戦ではまず敵の弱点、攻撃パターンを全滅前提で学びながら攻略し、何度も死にながらPDCAを回して行きます。

この過程でだんだんとプレイヤー自身が成長していき、それに伴う快感や達成感によりもっと次の展開、次の強い敵を欲していくように設計されています。

単純にレベルを上げればよいといった単純なRPGとは異なり、パズルゲームの様にも戦略シミュレーションの様にも楽しめるからこそ実現できたゲーム性と言えます。

この「噛めば噛むほど味が出る」タイプの遊び方をメインに据えていると、スマホゲームのメインユーザには難解さや取っ付き辛さが先行してしまいます。

 

しかしここも前述したデザイン性同様、シリーズの根幹となる要素と判断し、あえてそのまま取り入れられています。

スマホゲームへの移行に伴ってこうした要素を「スマホ最適化」と称してライトさに振ってしまうメーカーも数多くいます。

数多くあるスマホゲームの中から選んで遊んでもらう為に、何を捨てて何を残すかは死活問題と直結する為、シビアな判断が求められます。

 

一人プレイに特化したスタイル

スマホゲームの醍醐味として、ネット通信を利用した協力プレイ・対戦プレイが挙げられます。

これらはプレイヤー同士のコミュニケーションを活発化させることでゲームへの帰属意識を高めたり、実況者を介した認知度向上活動ができるなど、多岐に渡る効果を期待できます。

しかし本ゲームではそういった要素はなく、ストイックにソロプレイ用として設計されています。

また、課金も自分のプレイアブルキャラクターを追加する際のみという異質なマネタイズも特徴的です。

これらはスマホゲームとしての収益性よりもゲームが持つ世界観や没入体験を優先した全体設計がなされている証拠と言えます。

 

スマホ最適化の勘所

一方でスマホ最適化されている箇所もあります。

フリック操作により、キャラクターがオートで移動したり、マップ内のアイコンをタップすることでそこまでオートで移動する、といった移動に伴う快適性。

また、街道沿いにある案内板をタップすることで該当する街へ移動できる、といったアレンジまで加わっており、世界観を崩さずに遊びやすさを成立させています。

そこまでアレンジするのであればマップ移動自体をカットしそうなものですが、本タイトルにもある様にこのゲームではトラベラー=旅人がテーマになっています。

従って本ゲームにおいて戦闘行為やキャラクター間のコミュニケーション以外に大切な要素として「移動」という行為は切っても切れない存在となります。

ゲームのアイデンティティを形成するものは何か、を明確に定義した上でそれを成り立たせる要素はそのままに、それ以外の箇所はデバイスへ最適化していることがわかります。

 

まとめ

スマホゲームの特性である「広めやすさ・始めさせやすさ・快適性」を活かしつつ、ゲーム自体は「1人でじっくりプレイスタイル」というバランス。

この遊びやすさと世界観尊重のバランスは、こうした雰囲気を大切にするゲームにおいてはスマホ最適化する際の取捨選択の判断基準となります。

「オクトパストラベラー大陸の覇者」では既にブランドが確立しているゲームタイトルをスマホ最適化する際のバランス取りに重要な要素が多分に含まれています。

 

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ライター名:ビットリズム

 

プロフィール:国産ゲームで産湯を使ったロムネイティブなゲームエバンジェリスト。QOL向上に必要なのはワーク・ライフ・ゲームバランスだと信じている。

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オクトパストラベラー大陸の覇者

https://www.jp.square-enix.com/octopathtraveler_SP/

 

GooglePlay

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.square_enix.android_googleplay.octopathj&hl=ja&gl=US

 

Appstore

https://apps.apple.com/jp/app/id1438083823

 

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