一発アイデアでも大丈夫。スマホゲームに求められる企画力とは


ゲーム制作となると、ついつい超大作の構想を練らなければと肩肘を張ってしまうこともありますが、個人制作の人気インディーゲームを眺めてみると、ちょっとしたアイデアをシンプルにゲームへ落とし込んでいるケースの方がよく目につくことがわかります。

 

UFOの決定的瞬間を捉える『UFO on Tape:First Contact』

例えばUFOが現れた決定的瞬間を捉えるだけの『UFO on Tape:First Contact』は、ただUFOの写真を撮るだけの簡単なゲームです。

http://www.revolutionaryconcepts.org/#/ufo-on-tape/

 

写真を撮って売るだけのシンプルなゲーム

『UFO on Tape:First Contact』はバカバカしいほどに単純なゲームで、ステージ上を浮遊する未確認飛行物体を撮影し、写りの良さや条件に応じた写真をうまく撮影することで、報酬(スコア)を稼ぐゲームになっています。

 

単純にUFOを捉えるだけでなく、「カメラに10秒間納め続ける」などの撮影条件をクリアしていくことで報酬額は変動していき、少しでも写りの良いものを限られたバッテリーの中で撮影することが、このゲームの根幹となっています。

 

ゲームはステージ制が採用されており、一定の報酬額をクリアすることで、次のステージ、もとい新しい撮影スポットへと赴くことができます。

 

ゲームそのものは単純ですが、撮影シーンに至るまでには簡単なムービーシーンが挟まれているなど、演出にはある程度のこだわりが見られます。

 

流石にカメラでUFOを撮影するだけでは世に出すのは申し訳ないと思ったのかもしれませんが、そんなクリエイターの計らいがうっすらと感じられるのも魅力の一つと言えるでしょう。

 

一発ネタで完結する潔さ

『UFO on Tape:First Contact』がすごいのは、本当にUFOを撮影するだけで完結してしまう潔さを持ち合わせているところです。

 

通常であれば、カメラのアップグレードが報酬額を貯金することで可能になったり、新しいタイプのUFOが現れたり、写真の撮影を続けていくことで壮大なストーリーが展開されて行ったりと、何かとボリュームを増やすための工夫が施されることが多いものです。

 

しかしこのゲームは現場に急行して写真を撮り、そのスコアを更新していくだけで全く展開などもなく、散発的にステージを進めていくだけなので、ある意味現実的な怪奇現象調査を行うことができるようになっています。

 

もちろんステージの背景はそれなりに作り込まれていたり、中には新宿をモチーフにしたであろうステージも存在するため、そういった面白さを見出すことはできますが、ゲームとしての面白さにはあまり関係しない部分でもあります。

 

ゲームとしての面白さは、UFOをカメラで撮影することに特化した作品となっているのです。

 

昨今ではスマホ向けとはいえボリュームのある作品が巷で見かけることも増えている中、このような単調なゲームをリリースすることにどのような意味があるのでしょうか。

 

スマホにちょうど良いミニゲーム性

そもそも、スマホゲームに求められているのは、映画のような超大作よりも、スキマ時間で気軽に楽しめるミニゲームだったりもするものです。

 

世のヒット作品には一発企画がわんさか

ミニゲームは誰でも簡単操作で楽しめるぶん、多くの人が気軽に遊べるという強みを持っています。

 

任天堂の名作、『メイドインワリオ』シリーズはわかりやすい例に挙げられます。

 

ゲームボーイアドバンス専用ソフトとして誕生した同作品ですが、中身はひたすらにミニゲームを詰め込んだゲーム集となっており、約5秒で完結するシンプルさと潔さ、そしてシュールさが話題となった作品です。

 

『メイドインワリオ』は携帯ゲーム機専用ソフトとしてパッケージに落とし込む必要があったため、ミニゲーム集という形でボリュームを出す必要はあったものの、スマホゲーム全盛となった今の時代においては、ミニゲーム一本一本で発売することも難しくありません。

 

誰でも親しめるミニゲームの需要は昔からありますが、採算の都合上、広く販売されることはありませんでした。

しかしスマホの登場によって、驚くほどシンプルなミニゲームは再び脚光を浴びることができるようになったのです。

 

ヒットしたインディーゲームの多くは一発企画

スマホゲームのヒット作品を眺めてみると、確かに家庭用ゲーム機顔負けのボリュームをスマホで実現している作品もありますが、全てのヒット作品がその限りではありません。

 

例えば少し前に大反響を呼んだ『どうぶつタワーバトル』は、一発企画で大ヒットを記録した代表作と言えるでしょう。

 

広告費ゼロで1位となったアプリ『どうぶつタワーバトル』はいかにして生まれたか?

https://game-creators.jp/media/column/096/

 

ただ動物を積み上げていき、先にタワーを崩してしまった方が負けというシンプルなゲームでしたが、ルールの明瞭さとビジュアルのシュールさが話題を呼び、SNSでは目にしない日はないほどの話題をさらっていった作品でもあります。

 

今回の『UFO on Tape:First Contact』もそうですが、ゲームだからといって隅から隅まで作り込む必要はありません。

とにかく自分が面白いと思ったものを形にして、作品として世に出すだけで、後の判断は世間に任せることもできてしまうのです。

 

一発アイデアをきちんと企画にしていくために

思いつきのアイデアをゲームとして作品に仕上げるためには、どのような姿勢が大切になるのでしょうか。

 

そのアイデアの面白い部分を作り込んでみる

とりあえず形にしてみれば良いとはいっても、ゲーム作品としての体を成すためにどれくらい作り込むべきかというのは悩ましい部分です。

 

そんな時は、まずは自分が面白いと思ったところをしっかりと満足のいくレベルまで引き上げてみるのが良いでしょう。

 

UFOの写真を撮影するゲームを作るのであれば、まずはカメラとUFOを用意し、UFOがカメラのフレームに収まったらクリアという仕掛けを作ります。

 

次に背景やUFOのビジュアルを作り込んだり、どうUFOが写ればスコアが高いかなどを固めていき、最終的に見た目を整えるために簡単なストーリーを用意してみるというプロセスです。

 

スマホゲームではありませんが、小島秀夫監督の新作、『デス・ストランディング』なんかはこの発想を非常にスケールの大きな作品に当てはめているようにも窺えます。

 

「デススト」の根幹は荷物運びですが、バランスをうまくとりながら少しでも多くの荷物を運び切ることが目標です。

 

こういった荷物運び遊びは言ってしまえばスマホでも出せそうなほどにシンプルなゲームですが、一本の大作として世に出すため、壮大なストーリーと美麗なグラフィック、そして魅力的なキャラクターたちなどを構成することで、世界が絶賛する作品へと昇華していったのです。

 

無理に複雑にする必要はない

「デススト」のような作品を一人で作ることは難しいですが、どんなゲームも元をたどれば至極単純な仕組みで成立していることがわかります。

 

一人でゲームを作るのであれば、まずはこの点に注目して、他の作品がどのような「遊び」を軸に成立しているかを見極めてみましょう。

 

そうすることでゲームに必要なシステム、いらないシステムを見極める審美眼が身につき、シンプルながらも面白く奥が深いゲームを自ら作り上げていくことも夢ではなくなるはずです。

 

ライター名:Satoru Yoshimura

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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