“対戦アクションゲーム”の定義について考える【ゲームジャンル研究部 第10回】
さまざまなゲームジャンルの魅力と歴史について、連載形式でひも解いていく“ゲームジャンル研究部”。
第10回で取り扱うジャンルは“対戦アクションゲーム”です。
以前紹介した対戦格闘ゲームとの違いや本ジャンルが定着していった経緯などを紹介していきます。
なお、“ゲームジャンル研究部”のバックナンバーはこちらから確認できますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
目次
対戦アクションというジャンルについて
“対戦アクション”と“対戦格闘”の違い
対戦アクションゲームは、2人以上のユーザーによる対戦を目的としたアクションゲームのことを指します。
類似したジャンルに対戦格闘ゲームが、広義で見るとあてはまるジャンルにはスポーツゲームやレースゲームがありますが、“対戦アクション”という呼称を使う場合は基本的にこれらのジャンルは除外されます。
対戦格闘ゲームと比べた際に異なる点として挙げられるのは、“対戦方法がより自由である”という点です。
対戦アクションゲームにおける戦闘方法は多種多様であり、対戦格闘ゲームにあるような格闘攻撃の他にも、飛び道具やアイテムなど、さまざまな方法を駆使して戦うことができます。
また、キャラクター以外の戦闘にかかわる要素も豊富で、例えば前述したアイテムの他、ステージ自体のギミック(移動する足場やプレイヤーの操作に影響を与えるものなど)が存在しています。
もう一つの異なる点は、戦況の予測を妨げる要素が多分に含まれているということです。
ゲームに登場するアイテムやステージギミックがランダムに発生する他、多人数対戦によるプレイヤー同士の協力・敵対行為による“漁夫の利”のようなプレイヤースキルにかかわらないチャンスが発生します。
これらの要素によって、対戦の中にランダム性が発生するため、確実に勝利するためには臨機応変な対応が求められます。
“対戦アクション”と“対戦ゲーム”も違う?
1983年より稼働が開始された任天堂のアーケードゲーム『マリオブラザーズ』は、2人同時プレイ可能なアクションゲームでした。
本作における2人同時プレイは、“2人のユーザーが協力してステージクリアを目指す”という趣旨のものでしたが、操作によってはもう一方のキャラクターを妨害してミスに追いやることもでき、“いかに相手をミスさせるかという対戦プレイ”として楽しむこともできました。
このように、対人対戦を楽しめるアクションゲームは対戦アクションが本格的に普及する前からも存在しており、ジャンルとして誕生していないながらも、対戦アクションゲームはユーザーに楽しまれていました。
対戦アクションの歴史
1980年代:“対戦を楽しめるアクション”が存在していた時代
対人対戦を楽しめるアクションゲームは、対戦アクションが本格的に普及する前から存在していたということは前述のとおりです。
『マリオブラザーズ』のような、作品の楽しみ方の1つとして対戦アクションの要素を含む作品はある程度存在していました。
一方、ジャンル名こそ“対戦アクション”とされていないものの、対人対戦に比重を置いたアクションゲームも皆無ではありませんでした。
1986年にコトブキシステムより発売されたファミリーコンピュータ用ソフト『スパイvsスパイ』は、相手よりも早くステージ各所に隠された5種類のアイテムを探し出して脱出するというタイトルです。
本作では罠を使った妨害工作が可能な他、キャラクターが同じ部屋に入ると戦闘が発生するなど、対戦アクションの要素を備えていました。
1990年代後半:“対戦アクション”というジャンル名の定着
1990年代末期ごろになると対戦格闘ゲームの流行が下火になりはじめ、シンプルな操作に重点を置いたタイトルが登場し始めます。
大きな要因は、対戦格闘ゲームが敬遠された理由でもある“操作方法の複雑化に伴うユーザー離れ”です。
結果として、発表されたタイトルは格闘ゲームの要素を削ぎ落し“反射神経を重視する”、“キャラクター以外の要素を駆使する”といったプレイを重視する、アクションゲームに近しいものとなりました。
最終的にはこれらのタイトルを区分する際に“格闘”の部分が取り除かれるようになり、“対戦アクション”という呼称が普及するようになりました。
この時期に発表された対戦アクションゲームの中で代表的なタイトルとしては、1995年12月15日に稼働が開始されたセガのアーケードゲーム『電脳戦機バーチャロン』が挙げられます。
本作は、それ以前に存在したロボットを操縦するゲームよりも高いレベルの臨場感を持ちつつ、直感的な操作と高いゲームスピードによる爽快感を両立させたタイトルです。
本作は、当時対戦格闘ゲームが主流だったゲームセンターにおいて、格闘をメインとしない対戦ゲームでありながら高い人気を獲得しており、対戦アクション、ひいてはロボットゲームの方向性の1つを示した作品となりました。
1990年代末期~2000年初頭:2つの人気シリーズによって地位を確立
1990年代後半から徐々に定着してきた“対戦アクション”というジャンルは、『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズと『機動戦士ガンダム VS.』シリーズの2つのタイトルによって地位を確立したといってよいでしょう。
1999年1月21日に任天堂より発売されたNINTENDO64用ソフト『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』は、簡単な操作性やシステムながら高い爽快感やオリジナリティを維持しており、幅広いユーザーが楽しめるタイトルとなりました。
本作は日本国内だけで200万本近い出荷数を達成し、現在までシリーズ作品が発表される人気作となっています。
『機動戦士ガンダム VS.』シリーズは、『電脳戦機バーチャロン』に始まる3Dロボットアクションゲームの流れを汲むタイトル群です。
バンプレストより2001年3月27日から稼働開始となったアーケードゲーム『機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオン』は、原作ファンを中心に幅広い層のユーザーを惹きつけました。
特に、アッパーバージョンの『機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン DX』は家庭用版の売上が92万本と『機動戦士ガンダム』のIPを取り扱ったゲームとしてはトップクラスの記録となっています。
対戦アクションの今
アニメ・漫画のゲーム化でも活躍?
最近では、『NARUTO -ナルト- ナルティメットヒーロー』シリーズやバンダイナムコエンターテインメントより2015年12月17日に発売されたPS4/PS3用ソフト『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』のようなアクション性が高いコンテンツをゲーム化する際に本ジャンルが取り扱われることも珍しくありません。
これは、システムを簡略化し遊びやすくすることで、コンテンツのファンではあるが、ゲームに触れたことがあまりないという人でもプレイしやすい内容にするという狙いがあります。
まとめ
対戦アクションゲームは、アクション性が高いコンテンツをゲームに落とし込む際に選ばれることが多いことから、近年では目にすることが多いジャンルです。
また、その傾向から元となったコンテンツの再現や遊びやすいシステムの構築が重視されることが多く、意外にも制作するとなると難しい部分の多いジャンルです。
本ジャンルの作品に触れる際には、そういった部分も意識してプレイしてみると違った楽しみ方ができるかもしれません。
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