ゲーム開発に役立つ資格“応用情報技術者試験”について徹底解説!


“情報処理技術者試験”は、ITの知識レベルや技術力に対する、共通的で客観的な評価指標として活用されている国家試験です。
プログラマーとして活動する、あるいは目指している人にとって非常に役立つ資格であり、ゲームプログラマーをはじめとしたプログラミングの分野でゲーム業界に進もうとする人にも有用な資格となっています。
今回は、以前の記事で紹介した“基本情報技術者試験”の上位にあたる“応用情報技術者試験”について、両者の違いにも注目しつつ解説していきます。

※記事の性質上、以前掲載した記事“ゲーム開発に役立つ資格“基本情報技術者試験”について徹底解説!”と重複した内容がありますのでご注意ください。

 

応用情報技術者試験とは?

運営団体

応用情報技術者試験は国家試験である“情報処理技術者試験”の区分の1つです。
情報処理技術者試験は独立行政法人“独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)”が実施しており、応用情報技術者試験も同様となります。
IPAは、日本のIT国家戦略を技術面・人材面から支えることを目的とした独立行政法人で、“特別認可法人 情報処理振興事業協会”を前身としています。
コンピュータウイルスやセキュリティに関する調査・情報提供の他、中小企業に対するソフトウェア開発補助事業、人材発掘を目的とした未踏ソフトウェア創造事業、人材育成事業などを行っています。

試験の概要及び目的

応用情報技術者試験は、IPAが実施する国家試験“情報処理技術者試験”の区分の1つであり、高度なIT人材としての方向性を確立し、必要な応用的知識・技能を持った人材を対象者像としています。

 

ITエンジニアとして応用的な知識・技能を有することを証明する試験で、高度なIT人材について人材像、能力、役割の観点から定めた“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル3(応用的知識・技能)に位置付けられています。

 

また、後述する“基本情報技術者試験”の次に目指す試験区分として認知されています。
ある程度の業務経験を積み、IT技術や企業活動への深い知識を持つ人材に向けた試験になっていることから、受験者はすでに社会で活躍しているプログラマーやシステムエンジニアと想定されていることがわかります。

合格によるメリット

応用情報技術者試験合格のメリットとして最初に挙がるものは、やはり知識の蓄積と合格によるスキルの証明であり、この点は基本情報技術者試験と同様です。
国家試験であり、合格者への報奨金制度や採用における試験合格の考慮などといった形で組織におけるIT人材育成に活用されています。

 

プログラミングに関わらないセクションからゲームクリエイターを目指す場合は、活躍する機会に欠けるケースがあるという点も基本情報技術者試験と同様です。

必要となる職種

基本情報技術者試験と同じく、応用情報技術者試験が必須となる職業は基本的に存在せず、プログラマーとエンジニア職に進むうえで役立つという立ち位置と考えて問題ありません。

 

対象者像に対する役割と業務は、“企業経営や社会システムが直面する課題に対する、情報技術を活用した戦略の立案”、“システムの設計・開発または汎用製品の最適組合せによる信頼性・生産性の高いシステム構築。また、その安定的な運用サービスの実現”と表現されています。
このことから、プログラマーとエンジニア職の中でもある程度の実力と経験を兼ねそろえた人材にとって必要な資格であるともいえます。

 

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その他の主な情報処理技術試験の区分

 

ITパスポート

“職業人が共通に備えておくべき情報技術に関する基礎的な知識をもち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務に対して情報技術を活用していこうとする者”を対象像とした試験で、“共通キャリア・スキルフレームワーク”はレベル1(最低限求められる基礎知識)に位置付けられています。

 

応用情報技術者試験と同じ範囲の内容をより基礎的にした内容となっており、難易度の低い分資格に対する評価も相応のものとなっています。
この点から応用情報技術者試験を合格するための足掛かりとして挑戦することも視野に入りますが、後述の基本情報技術者試験でもある程度同じ役割を持つことができます。
そのため、“初学者で自身がない”、“目標として基本情報技術者試験も設定している”といった人でなければ、受験を見送って問題ないかもしれません。

 

基本情報技術者試験

高度なIT人材となるために必要な基本的知識、技能、実践的な活用能力を身に付けた人材を対象者像とした試験で、“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル2(基本的知識・技能)と位置付けられています。
内容としては、コンピュータの科学基礎やシステムの他、システムの開発と運用、ネットワーク技術、データベース技術、プログラミング言語など、広い範囲から問題が出題されます。

 

本試験もプログラマー向けの能力認定試験として重要視されており、応用情報技術者試験合格を目指す上でのキャリアパスにもなっているため、先んじて挑戦することも選択肢に入ります。
なお、詳細は後述しますが、試験内容の違いにより応用情報技術者試験に対する完全な予習としては機能しないため、それぞれの試験範囲を正しく把握して勉強する必要があります。

 

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ネットワークスペシャリスト

コンピュータネットワークに関する技術的な専門性を認定する試験で、“共通キャリア・スキルフレームワーク”ではレベル4(高度な知識・技能)に位置付けられています。
堅牢で大規模なネットワークシステムの構築・運用ができるネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアを目指す場合に推奨される試験ですが、国内に数あるネットワークエンジニア関連の試験のなかでもトップレベルの難易度を誇ることでも知られています。

 

応用情報技術者試験に合格すると午前Iの科目免除を受けられる他、同試験の上位試験にあたることから、更なるステップアップを望む場合に挑戦を考えることとなる試験です。
しかし、本試験は非常に難易度が高く、合格率は例年10%台となっています。
“共通キャリア・スキルフレームワーク”の観点で見れば、受験者(あるいは受験が視野に入る人材)は応用情報技術者試験に合格できる実力を有していることになるので、初心者が簡単に目指す試験ではないということは理解しておきましょう。

試験について

試験日程・時間

応用情報技術者試験の試験概要は、基本情報技術者試験とほぼ同様です。
そのため、基本情報技術者試験に合格してから受験する人はスムーズに受験することができるでしょう。
試験は春期試験と秋期試験の年2回行われており、前者は例年4月第3日曜日、後者は10月第3日曜日に実施されます。
試験は午前と午後の2部に分かれており、試験時間は合計で300分(午前:150分、午後:150分)という点も基本情報技術者試験と同様です。

 

強いて注意点をあげるとすれば、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験は同日の同時間帯に行われるため、一度に両方受験することはできないという点です。
試験の立ち位置からあまり重要なことではありませんが、頭の片隅に置いておきましょう。

受験料

受験料に関しても応用情報技術者試験と基本情報技術者試験で差異はなく、受験手数料は5,700円(税込)で、振込手数料は各自負担となります。
支払方法はクレジットカード決済、ペイジー(Pay-easy)による払込み、コンビニ利用による払込みの3種類で、領収書は受験票に同封されます。

受験資格・申込日程

受験資格・申込日程に関しても基本情報技術者試験と同様となっています。
受験する上で年齢、国籍、障がいなどの制限はなく、車椅子対応の会場や時間延長などの特別措置が行われています。
申込期間は春期試験が1月中旬、秋期試験が7月中旬からの約1カ月で、期間中に公式サイトから申込画面にアクセスして、必要事項を入力、受験料を支払うことで申込が完了します。

合格発表日

応用情報技術者試験の合格発表日は基本情報技術者試験よりも遅くなっており、試験日からおよそ2カ月後に発表されます。
発表日以外の点は同様で、試験結果はIPA公式サイト(発表日以降)や官報、官報の公式サイトから確認できます。
合格者には合格証書が送付されますが、試験結果の通知がないという点も同様なので注意しましょう。

試験難易度について

出題形式・合格基準

出題形式以外は基本情報技術者試験と応用情報技術者試験で大きな差はありません。
合格基準は午前・午後どちらの部でも60点以上の獲得で、配点は午前試験が1問につき1.25点、午後試験は大問1つに付き20点となっています。
午後の部は回答数が少ない分1問あたりの比重が大きい点も基本情報技術者試験と同様です。

 

出題形式は、午前の部が多肢選択式(四肢択一)で解答数、出題数ともに80問という点は同じですが、午後の部は記述式となっている点が異なります(出題数および回答数は、11問から5問解答と同様です)。

合格率

IPAが発表した応用情報技術者試験の合格者に関するデータは下記の通りとなっています。
もっとも高い合格率が令和2年度10月試験の学生全体(24.2%)で、いずれも25%以下となっています。
前提として、本試験を受ける人は基本情報技術者試験に合格できるレベルの実力を持っていることになるため、初心者にとっては非常に高い難易度であることがうかがえます。

 

また、受験者数は社会人に対して学生の割合が非常に低いということも注目すべき点です。
合格率こそ社会人と同じ割合となっていますが、前述した通り応用情報技術者試験はある程度業務経験を積んだ人材を想定した試験となっているため、学生にとっては輪をかけて難しい試験だと考えるべきでしょう。

 

その他、基本情報技術者試験と比べると、受験者および合格者の数が約半分となっていますが、合格率の差はそこまで大きくないことも印象的で、受験者層に対する難易度としてはどちらも同じような塩梅になっていると考えられます。
社会人と学生それぞれの受験者数については、基本情報技術者試験が大体2:1程度の割合になっているのに対して応用情報技術者試験はいずれも6:1以下となっており、このような点からも応用情報技術者試験が学生にとってハードルの高い試験であることを感じさせます。

 

●応用情報技術者試験における受験者・合格者内訳(平成30年度~令和2年度)
■平成30年度春期
受験者数:30,435
合格者数:6,917
合格率:22.7%

 

■平成30年度秋期
受験者数:33,932
合格者数:7,948
合格率:23.4%

 

■平成31年度春期
受験者数:30,710
合格者数:6,605
合格率:21.5%

 

■令和元年度秋期
受験者数:32,845
合格者数:7,555
合格率:23.0%

 

■令和2年度10月
受験者数:29,024
合格者数:6,807
合格率:23.5%

 

●基本情報技術者試験における受験者・合格者内訳(平成30年度~令和2年度)
■平成30年度春期
受験者数:51,377
合格者数:14,829
合格率:28.9

 

■平成30年度秋期
受験者数:60,004
合格者数:13,723
合格率:22.9
平成31年度春期

 

■受験者数:54,686
合格者数:12,155
合格率:22.2

 

■令和元年度秋期
受験者数:66,870
合格者数:19,069
合格率:28.5
※令和2年度は、基本情報技術者試験は未開催。

 

●令和2年度の応用情報技術者試験における受験者・合格者の詳細
■社会人
受験者数:25,195
合格者数:5,881
合格率:23.3%

 

■学生
受験者数:3,829
合格者数:926
合格率:24.2%
※令和2年度に行われた応用情報技術者試験は、令和2年度10月試験のみとなっているため、実質的に同試験のデータとなっています。

 

●基本情報技術者試験、応用情報技術者試験における受験者層
平成29年度 春期・秋期
基本情報技術者試験:社会人 31,377/学生 17,498
応用情報技術者試験:社会人 27,834/学生 4,098
平成30年度 春期・秋期
基本情報技術者試験:社会人 33,915/学生 17,462
応用情報技術者試験:社会人 26,646/学生 3,789
平成31年度 春期・令和元年度 秋期
基本情報技術者試験:社会人 36,521/学生 18,165
応用情報技術者試験:社会人 26,611/学生 4,099

過去問

IPAの公式サイトから過去の試験問題をダウンロード可能で、午前・午後それぞれの部における問題冊子、解答例、採点講評(午後の部)が公開されています。
なお、問題冊子と午前の部の解答例は試験日のうちに公開されますが、午後の部の解答例と採点講評はある程度の期間を置いた後に公開されます。
掲載時点で最新の試験となる令和3年度春期試験では、問題冊子と午前の部の解答例が4月28日、合格発表が6月25日正午予定、午後の部の解答例が6月22日、採点講評が7月9日と非常に長いスパンとなっています。
最新の問題で練習を行いたい人は見落とさないように注意しましょう。

まとめ

応用情報技術者試験は、以前紹介した基本情報技術者試験寄りも難易度が高いため、プログラミングの分野を志望しているかすでに勉強している人でなければオススメしづらい試験となっています。
難易度相応に役立つ資格となっているため、プログラミングにかかわる職を何年か続けているということであれば、挑戦することも選択肢に入ってくるかもしれません。

 

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