「ホラーゲーム」のあるべき姿とは?恐怖体験を提供するポイントや名作などを紹介


 
「ホラー」や「怪談」は、古今東西あらゆる国や民族の文化に見られる分野ですから、ゲームタイトルとしても多数生み出されています。しかし、その「怖さ」という特徴から、「興味はあるけどまだ体験していない」「チャレンジしてみたいけど二の足を踏んでいる」という人も多いでしょう。
 
そこでこのコラムでは、まずホラーゲームの歴史やジャンルを解説したうえで代表的なホラーゲームを紹介し、ゲーム開発者の目線も加えて語ります。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
 

1. ホラーゲームとは

この項目では、まずホラーゲームの歴史とジャンルについて解説します。
 

1-1. ホラーゲームの歴史

そもそも「ホラー」、「怪談」などは、日本でも海外でも「物語」の歴史と深く関わりながら生み出されてきました。そのため「ゲーム」という新しいジャンルにおいても、恐怖感を与える作品は初期から存在したので、どの作品が最初の一本とは言いにくい現状があります。
 
そのためホラーゲームの最初の一作の定義には諸説ありますが、1982年にアタリVCSでリリースされた「Haunted House」は明確にホラー要素を前面に出したゲームと言えるでしょう。
 
1990年代には、ゾンビなどが襲い掛かってくる展開を生き残るという「バイオハザード」などのゲームが世界を席巻します。また、日本ならではの「怪談」を題材にした「学校の怪談」なども’90年代以降に多数輩出されています。
 
2000年代以降はホラーゲームのジャンルも増え、演出方法も分派しながら、現在まで数えきれない数のホラーゲームが生み出されています。
 

1-2.ホラーゲームのジャンル

ホラーゲームのジャンル分けにも様々な語り口があるので一概には言えませんが、ここでは主に4つの分野に分けて解説します。
 
まずホラーゲームの初期から現在まで多数作り続けられているのが「サバイバルホラー」です。このジャンルは、「バイオハザード」シリーズに見られるように、ゾンビなどの襲撃を回避したり倒したりしながら生き残りや脱出を目指すことを特徴としています。
 
2つ目のジャンルとしては、「ステルスホラー」が挙げられるでしょう。このジャンルは「SIREN」に見られるように、戦うシチュエーションは少なく、逃げる、隠れるという行動しか与えられない(場合によっては対抗策が用意されているが数が限られている)ことを特徴としています。
 
3つ目に紹介するのは「アクションホラー」です。こちらは「ステルスホラー」とは対照的に、アクションで敵を倒していくゲーム性が特徴です。敵を倒す部分には快感も伴いますが、全体的な演出で恐怖感を出すものが多いです。代表的な作品として「DEAD RISING」などがあります。
 
最後に挙げるのが「サウンドノベルホラー」というジャンルで、プレイヤーが画面の文字を読むことで脳内に恐怖のイメージが作られるという種類です。代表作には「かまいたちの夜」などがあります。
 

2. 国産ホラーゲームの名作

この項目では、日本のゲーム会社が生み出したホラーゲームの名作を解説します。
 

2-1. 「バイオハザード」シリーズ

1996年に、カプコンからシリーズ第1作である「バイオハザード」がリリースされています。ウイルスによってゾンビと化した人々と戦いながら、大きな陰謀を暴いていくというのが主なストーリーです。(作品によって敵は異なる)
 
世界中で人気を得たうえに映画としても親しまれているので、ゲームをしない人でもタイトルを知らない人は少ないと言えるほどの超人気シリーズとなりました。日本でサバイバルホラーゲームを語るうえでは欠かせないシリーズとしても知られています。
 
2022年7月現在、正式なナンバリングタイトルとしては0~8(8はVILLAGEとする)が存在しており、ナンバリングタイトル以外も複数存在しています。
 

2-2. 「サイレントヒル」シリーズ

1999年にコナミから第1作である「SILENT HILL」がリリースされ、映像や演出による恐怖感と謎解きの面白さが評価されてシリーズ化されました。霧やラジオのノイズといった不安要素に満たされた世界の中で、人間の深層心理が生み出す恐怖と向き合うのが作品の特徴となっています。
 
ナンバリングタイトルとしてはZEROから4が存在し、日本未発売の「SILENT HILL:HOME COMING」や「SILENT HILL:DOWNPOUR」をナンバリングタイトルに数える解釈もあります。カナダとフランスの合作で作られた劇場版もあって、海外でも大きな人気を得ているシリーズです。
 

2-3. 「SIREN」シリーズ

2003年にソニー・コンピューターエンタテインメントから第1作「SIREN」がリリースされています。奇怪な因習のある日本の集落を舞台に、複数のキャラクターが謎の怪異に巻き込まれていくというストーリーです。
 
日本が舞台であることもあって、ジャパニーズホラーの要素をふんだんに盛り込んだ作風で人気を獲得しました。また、普通にクリアするだけでは解明されない謎もあり、アーカイブ情報を獲得しながら物語の深みを楽しむ作り込みもファンの心をくすぐりました。
 

2-4. 「零」シリーズ

2001年にテクモ(2022年7月現在はコーエーテクモゲームス)から第1作である「零~zero~」がリリースされています。ホラーゲームは洋風の世界で繰り広げられるものが多いですが、本作は古い日本家屋で繰り広げられる和風ホラーを特徴としています。おどろおどろしい演出で怖さが引き立てられていますが、カメラを使って敵を倒すというアクションも楽しめるゲーム性でも人気を獲得しています。
 
リマスターを除けば6作品が作られており、各作品で過去キャラクターが登場するサービスも多く、シリーズとして楽しめる作りも秀逸です。
 

3. 海外ホラーゲームの名作

この項目では、海外で作られたホラーゲームについて解説しましょう。
 

3-1. 「DeadSpace」シリーズ

2008年にアメリカのエレクトロニック・アーツから第1作である「DeadSpace」がリリースされました。ジャンルとしてはサバイバルホラーに分類されるシリーズです。
 
SF要素が強い設定を背景にしているものの、死体と戦うことや恐怖感をあおる演出が多いことなどから、狙いがホラーに向いていることは明らかです。戦略的にクリーチャーの体を切断するなどグロテスクな描写が多く、日本では正規発売はされていません。2作目が2011年、3作目が2013年に発売されています。
 

3-2. 「Outlast」シリーズ

カナダのRed Barrels Games社が開発したサバイバルホラーゲームのシリーズです。2013年9月に第1作がリリースされました。病院での人体実験、カルト宗教などサイコホラーな世界観を特徴としています。
 
2014年に前日譚が発売されて以降、2017年に「Outlast 2」もリリースされています。「The Outlast Trials」が2022年にリリースされるという情報がありますが、このコラム執筆中の2022年7月時点では明確な日程は公開されていません。
 

3-3. 「Five Nights at Freddy’s」シリーズ

スコット・カーソン社が開発・リリースしているホラーゲームのシリーズです。第1作「Five Nights at Freddy’s」は2014年8月に発売されています。プレイヤーは夜間の監視員として一つの部屋から動かず、”だるまさんがころんだ”の要領で複数の監視カメラを操作するゲーム性が特徴。監視していない間に部屋に敵が来てしまうとゲームオーバーになってしまうので、いかに生き残るかを工夫する必要があります。
 
2022年5月までに10タイトルがリリースされており、1作目から4作目までを1年間でリリースした点でギネスブックにも載っているそうです。
 

4. ゲーム開発者から見るホラーゲームのあり方

この項目では、ゲーム開発者の視点から、ホラーゲームのありようについて解説しましょう。
 

4-1. 他のジャンルとは違う「面白さ」を追求する必要がある

多くのゲームは快感や楽しさ、感動などの「陽」の部分を引き出すことを目的としています。特に笑いや明るさは無く、強力な敵を相手にするゲームであっても、敵を倒す快感を求める点ではやはりポジティブな感情が得られます。
 
一方、ホラーゲームは恐怖や不安という「陰」の感情を前面に出すため、明らかに異なる作り方が要求されます。クリアの喜びはあっても、意図的に不安や恐怖を残す終わり方をする作品が名作と言われることもあるので、クリエイターには一般的なゲームとは違う面白さを追求しなければならないのです。
 
TangoGameworksの三上真司氏は上記のような特異性を乗り越えながら、新たな話題作を作り続けている意味で、日本のホラーゲームの第一人者とも言える存在です。日本のサバイバルホラーゲームの金字塔である「バイオハザード」のディレクターを務めたうえに「サイコブレイク」シリーズもヒットさせていますし、直近では「Ghostwire: Tokyo」でも大きな話題を呼んでいます。
 
日本のホラーゲームの牽引者である三上真司氏について詳しく書いたコラムがあるので、ぜひ以下もご参照ください。
「ゲームデザイナー、三上真司とはどんな人?経歴や代表作についてご紹介!」
 

4-2. 怖すぎるとニッチになるというジレンマを抱えている

ホラーゲームが追及するのは、その名称の通り「ホラー」であり、その要素は「恐怖」や「不安」です。つまりホラーゲームとして名作と呼ばれるには、どれだけユーザーに恐怖を与えたか、が重視されますが、ここには大きなジレンマがあります。
 
怖すぎるゲームは、ホラーゲームファンからは称賛されるものの、一般的なゲームファンは手が出せなかったり、プレイ中に脱落してしまったりするという宿命的な課題があるのです。そもそもホラーというジャンルだけで、年少者をはじめとする一定層のユーザーは手を出しませんから、メガヒットを期待しづらいジャンルであることは言うまでもありません。
 
そのため、クリエイターとしては「恐怖」がプレイヤーにとってストレスであるという点を踏まえながら、バランスを取るのか、マイルドとハードのどちらかに振り切るのか、という選択を常に迫られることになるでしょう。
 

4-3. インディーゲームと相性が良い

ホラーゲームには、ある程度プレイヤーの行動や視点、視界を制限することで怖さを増幅できる特徴があります。また、細かいところまで微細に観察できるクリアな画像よりも、全体をぼかした画像が演出として有効ですし、アイデア次第で勝負できるという点を踏まえれば、実はインディーゲームこそホラーゲームとの相性が良いと言えるでしょう。
 
例えば高校生がひとりで作ったことで話題になった「QuietMansion2」はホラーの要素を十分に堪能できますし、Snymという学生たちの集団が作った「PREDATOR AND WRECK 捕食者と崩壊」はステルスホラーとしての「楽しみ」を満たしています。
 

5. まとめ

ホラーゲームの歴史やジャンル、国内外の代表的なシリーズを解説したうえで、ゲーム開発者の目線からホラーゲームのありようについても考察しました。
 
ホラーゲームは怖すぎると商業的ヒットは難しいという側面を持っていますが、その難しいバランスの中で名作を作り続ける日本のホラーゲームクリエイター:三上真司氏には今後も注目したいところです。
 
また、ホラーというジャンルがグラフィックや処理能力に左右されにくいという点を踏まえて、インディーズからホラーゲームの傑作が生み出されていくことにも期待が持てます。
 

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