「放置ゲー」とは?忙しい現代人に愛される放置ジャンルの魅力とポイント
近年、「放置ゲー」と呼ばれるゲームが増えています。名称の通り、操作せず放置している間にキャラクターが強化されていたり、何らかの成果が上がったりするのですが、「プレイする楽しみが無いのでは?」と思う人もいるでしょう。
そこでこのコラムは、「放置ゲー」の魅力や代表作を紹介したうえで、ゲーム開発者の目線から見た「放置ゲー」というジャンルを解説します。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
1. 「放置ゲー」とは
この項目では、まず「放置ゲー」とは何かという点や、ゲームとしての魅力について解説します。
1-1. 放置ゲーの魅力
そもそも「ゲームはプレイを楽しむものなのに、放置することが前提で楽しめるのか?」という人も多いでしょう。しかし、放置ゲーは一定のジャンルを形成するほど世の中に受け入れられていますから、需要があるのは間違いありません。
放置ゲーは放置することを前提としていますが、ユーザーが何もしないというわけではありません。放置ゲーは、バトル要素を持つゲームや何かを収集するゲームなどジャンルは多彩ですが、それぞれにユーザーは放置する前の工夫を行い、放置後に喜びを得られるように作られています。
そのため、放置ゲー登場以前の感覚でプレイを始めると馴染みにくいと感じる人もいるかもしれませんが、得られる喜びの方向性に納得がいけば、誰もが楽しめるジャンルと言っても良いでしょう。
1-2. 通常のソーシャルゲームの中にある放置ゲーの要素
「放置」という言葉に抵抗を感じる人もいるでしょうが、従来のゲームの中にも「放置」の要素は多数ありました。
例えばバトル要素をもつゲームなら、ボスバトル以外はオートバトルで時短しているという人もいるでしょう。また、オート周回機能を持つゲームも、放置ゲー的な要素を盛り込んだものということができます。
つまり、「放置ゲー」は何もしないのではなく、プレイヤーの負荷を減らして「おいしい部分」を楽しめるゲームと言うこともできます。
多くのゲームが画面の前にいる時間を長くとることを強要する中で、放置ゲーは短時間で喜びを得られるという利点を持っているのです。そのため、日々を忙しく過ごしている人が、ちょっとした時間でもしっかり楽しみたいという場合や、テクニックを競うことに興味はないけどゲームは好き、という人などに受け入れられているのです。
2. 放置ゲーの代表的なタイトル
この項目では、放置ゲーとしてリリースされているゲームの中で、代表的な5タイトルを紹介します。
2-1.クッキークリッカー
クッキークリッカーは2013年にインディー開発者であるJulien Thiennot氏がブラウザ向けに開発したゲームです。画面上のクッキーをクリックするとクッキーの数が増えていくので、それを元手として自動でクッキーを量産する体制を強化していき、どんどんクッキーを増産していくというシンプルなゲームです。
とはいえ、面白みが無ければ話題にはなりません。このゲームの面白さに、インフレし続ける数字やかなりシュールな演出などがあります。クッキーを作る設備を拡充していく際に、「農場」や「工場」などが登場するのは理解できますが、ほかの星からクッキーを運ぶ「宇宙船」や、お金をクッキーに変える「錬金術」、過去から現代にクッキーを持ってくる「タイムマシン」など、意味不明またはシュールとも言える言葉が普通に出てくる点がこのゲームならではの面白みとなっています。
また、それらを活用し続けているといつのまにかクッキーの数が億や兆を超えて聞いたことがない単位まで膨れ上がるのも、なんともいえない快感があります。
2-2.放置少女
「放置」という言葉を使っていることからわかる通り、「放置ゲー」であることをセールスポイントにしているタイトルです。2017年3月にC4gamesがサービス開始していますが、2021年3月以降はC4connectに運営が移管されています。
ゲーム全体は三國志の世界観を背景にしていますが、主将や副将などのキャラクターは基本的に美少女系で、ビジュアル的な美しさ・かわいらしさが大きな魅力です。選択したステージで放置することでキャラクターの育成が進み、ボスキャラとバトルをしながらさらに強化していくというシンプルな流れでゲームを進めていきます。ボスに勝利すれば新たなステージが解放される、といった展開は従来のゲームでも見られるものです。
リリース時点から美少女キャラが登場する設定でしたが、画像のクオリティが徐々に上がっているので美少女度はかなりアップしています。また、無課金でもそれなりに楽しめることも魅力の一つと言えるでしょう。
2-3. AFKアリーナ
中国のLilith Gamesが、2020年6月にリリースしたファンタジーRPGです。まずこのタイトルは、ビジュアルの美しさやアニメーションの動きが良いことだけでも多くのユーザーを獲得しています。
とはいえ、絵的な部分だけでなく、放置ゲームでありながらも、育成と戦略の両面でのやり込み要素が強い点もこのゲームの人気を支えています。また、デザインやアニメーションが秀逸なことで、退屈になりがちなオートバトルを見ている時間にも退屈しない効果があります。
さらに、ガチャ機能を持つゲームでは、「何度引いても欲しいキャラが出ない」という悩みがつきまといますが、AFKアリーナでは、「英雄ウィッシュリスト」という機能でこの悩みを少なくしています。欲しい英雄をリストに登録しておくと、出現率をアップするという便利な機能だからです。
2-4. なめこ栽培キットDeluxe 極
Beeworks Gamesが2020年4月にリリースしたタイトルです。前作であるなめこ栽培キットDeluxeは2012年にリリースされて、多くのユーザーを獲得していましたが、なめこの種類増加や高画質化を果たして再登場しています。
なめこが生える原木を育成してなめこを増やすゲームで、環境を整えた後は「放置」する工程が重要です。収穫は簡単なので、つい成長が浅い段階で収穫したくなりますが、しっかり成長したなめこを収穫するときの快感を得るためには「放置」を続ける必要があります。
前作よりもレアななめこが増えており、なめこ図鑑の完璧さを目指す人は課金する手もありますが、そうでなければ無課金でも十分に楽しめます。難しい操作も無いので、通勤・通学の途中やちょっとした休み時間にもプレイができる点も魅力です。
2-5. ねこあつめ
ねこあつめは愛知県に本社を置く株式会社ヒットポイントが、2014年10月にリリースしたタイトルです。餌やネコが好むグッズを置いたあとは放置して、やってきたねこを眺めることがゲームの目的です。
ねこを捕獲して育成するといった方向ではなく、写真を撮って眺めたり、ねこ手帳に記録したりする楽しみがあります。のんびりほっこりしたゲームですが、レアなねこがやってきたときには大きな興奮を得ることも可能です。
簡単な操作でゲームが進むことや、ねこがやってくるという成果を上げたことが癒しになることなど、「日々仕事や学業、育児や家事に追われる中で、小さくてもいいからうるおいが欲しい」と思うような人におすすめしたい放置ゲームです。
3.ゲーム開発者視点で見る「放置ゲー」というジャンル
この項目では、ゲーム開発者から見た「放置ゲー」というジャンルのポイントについて解説しましょう。
3-1. 様々なジャンルとの組み合わせがしやすい
「放置ゲー」は攻略を考える必要はあっても、操作テクニックや素早さなどを要求しないことがほとんどです。そのため今回紹介した5作品のように、食べ物の製造や美少女育成、ファンタジーや歴史もの、バトルや癒しなどさまざまなジャンルとの融合が可能であるという大きなメリットがあります。
例えば一見相性が悪そうなハックアンドスラッシュ系のゲームとも組み合わせ可能なことは、「放置系ハクスラモンスターズ」で実証済みです。
「放置系ハクスラモンスターズ」を開発したShinnosuke Fujita氏のインタビューでも「放置ゲー」について語られているのでぜひ参考にしてください。
→「知的に楽しめる放置ゲーム 『放置系ハクスラモンスターズ』はなぜ面白いのか」
3-2. 放置明けにどれだけ魅力的なリワードを用意できるかが大事
「放置ゲー」を開発する際にポイントとなるのは、放置した後にどのようなリワード(報酬)を用意するかという点です。例えば、一定時間放置した後に、なかなか倒せないボスキャラに対抗できる要素を得られるなど、「放置」することに意味を感じる仕組みを作る手もあります。
従来のゲームであれば、ユーザーはプレイ時間内の工夫や努力で強くなろうとします。しかし放置後になんらかの報酬があれば、ユーザーは放置している時間を楽しむことができますし、ゲームに再度アクセスする際にワクワク感を持つことができるのです。
3-3. 飽きやすいジャンルのため、継続性を持たせる要素を盛り込む必要がある
「放置ゲー」は「放置」することが前提ですが、ユーザーにとって喜びが得られなければ、すぐに飽きられてしまいます。
一般的なゲームでは、ユーザーがプレイして何らかのコツを習得することに喜びが見出せますが、放置ゲーは単調な作業になりがちです。そのため、操作テクニックを要求しない分、考える工程を盛り込むことや、画像の美しさ、キャラクターの魅力、予想外の展開など何らかの工夫を盛り込むことが欠かせません。
今回紹介した代表的な放置ゲー5タイトルは、個々に飽きさせない工夫を盛り込んだからこそ成功しているのです。
4. まとめ
近年増え続けている「放置ゲー」というジャンルについて、魅力や代表作、開発者目線のポイントなどを解説しました。
「放置」という言葉がテレビコマーシャルなどで前面に出ていることから、「プレイの楽しみが無いのでは?」と避けている人も多いかもしれません。しかし、「放置ゲー」が増殖している背景には、開発者の取り組みと、ユーザーの需要があります。
今まで「放置ゲー」を避けていた人や、「少しプレイしたものの魅力を感じられなかった」という人も、それらの点に注目しながら、ぜひ「放置ゲー」に挑んでみることをおすすめします。
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