ゲームの「ログインボーナス」とは?今更聞けない意味や開発者目線でのポイント
ソーシャルゲームの多くには「ログインボーナス」が実装されています。ユーザーとしては空気のような存在として、あまり気にせずに獲得している場合もあるでしょう。しかし、ゲーム会社としてはさまざまな意味を込めて実装しています。
そこでこのコラムでは、ログインボーナスという言葉を解説したうえで、開発者目線で見るメリットや注意点を解説していきます。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
1. ゲームにおける「ログインボーナス」とは
この項目では、まず「ログインボーナス」の理解が深まるように、種類や獲得するための条件などを記載していきます。
1-1. ログインボーナスの名称の種類
そもそも「ログインボーナス」とは、オンラインゲーム(ソーシャルゲーム)に、その日の最初にゲームにログインしたタイミングで配布される報酬のことです。ログインと同時にもらえるケースが多いので、ユーザーとしてはゲームにアクセスするモチベーションの維持につながります。
また、獲得した報酬によってその日のプレイを楽しみやすくなるというメリットもあります。毎日もらえることや、1日ごとにリセットされることなどから、デイリーボーナスと呼ぶ場合もあります。
1-2. ログインボーナスの報酬の種類
ログインボーナスの報酬には、さまざまな種類があります。例えばガチャチケットやゲーム内のコイン、スタミナ回復アイテムや強化素材など、報酬は非常にさまざまです。
また、ログインしたときに、今後もらえるログインボーナスの内容が一括表示されることで、「明日は〇〇がもらえる」と明らかにしているゲームも多数あります。これによってログインボーナスの内容を細かく把握して、日々のモチベーションにする人もいますし、一括した表を見ることで何となく「毎日ひとつずつでもいろいろなものがもらえる」という程度に把握している人もいるでしょう。
さらに、周年記念などに関連してログインボーナスが豪華になったり、通常のログインボーナス以外にイベントに関連したログインボーナスを付与したりするゲームもあり、そのバリエーションは非常に豊富です。
1-3. ログインボーナスの条件の種類
ログインボーナスは、ログインした瞬間にもらえるものと、何らかのプレイをすることでもらえるものとに分けられます。
ログインしただけでもらえるタイプは、日々ゲームにアクセスすることを促します。一方、プレイをすることで付与するタイプは、ゲーム内に複数のコンテンツがある場合に、特定のコンテンツにしか関心が向かなくなることを回避する効果があります。
また、ゲーム内のコンテンツをプレイすればそれぞれにログインボーナス的なものを付与するうえに、特定数以上のコンテンツをプレイすることで経験値やガチャチケットなどを付与するタイプもあります。
他にも、課金に対してのデイリーサービスを出すゲームもあり、この場合毎日少額でも課金を続けてもらう効果が得られます。さらに、課金することでログインボーナスの量が増えるゲームもあるなど、ログインボーナスの獲得条件は非常に多様です。
ログインボーナスを新規ユーザーに向けて少し手厚く出す工夫も見られます。エントリー初期にはゲームに定着してもらうために、「いろいろもらえる」という感覚を持ってもらうことに大きな意味があるからです。
1-4. ログインボーナスの連続性
デイリーで付与するログインボーナスとは別に、ログイン回数が増えることで付与するタイプもあります。例えば、連続して10日間ログインすることなどでデイリーボーナスより価値が高いものがもらえるように設定されていれば、ユーザーは「とりあえず毎日ログインはしておこう」という気持ちになるでしょう。
また、連続性は問わなくても通算ログイン数でボーナスを出すこともあります。例えばログインしない日があったとしても、通算で30日ログインすればダイヤがもらえる、といった具合です。さらに、100日、200日と通算ログイン数が増えるごとにもらえる報酬が少しずつ上がるゲームも存在します。
2. 開発者目線で考える、ログインボーナスを実装するメリット
この項目では、ゲーム開発者やゲーム会社の目線から、ログインボーナスを実装するとどんなメリットがあるかを解説します。
2-1. ユーザー離れを食い止めるきっかけになる
ソーシャルゲームは、インストールした日を1日目として、2日目には半分程度のユーザーがアクセスしなくなるという報告があります。また、開始から1週間経ったころには、1~3割程度のユーザーしか残っていないことが一般的であることも知られています。
このように、ユーザー離れは間違いなく起こるものですが、運営や開発側にとってはユーザー離れを黙ってみているわけにはいきません。
ゲームに対して最初から強い興味を持っているユーザーなら報酬がなくてもログインしてくれるかもしれませんが、それほどの熱意を持つユーザーは非常に少数です。そのためログインボーナスは、それほど強い熱意がなくても「このゲームはいろいろもらえるからとりあえずログインしてみよう」というユーザーの引き留めに役立つのです。
2-2. ガチャ石を配布することでユーザーのガチャに対するハードルを下げられる
ソーシャルゲームは基本無料でエントリーしてもらい、ガチャや強化素材に課金してもらうことで利益を上げることが一般的です。つまり、ユーザーを無理なく課金に導くことが、ゲームの存続や利益の回収に直結します。
ログインボーナスでガチャチケットを配布すれば、ユーザーは「ガチャを引けば強化できる」と学習しますから、課金ガチャに対するハードルを下げることができます。
ガチャ以外に、回復アイテムや強化素材を購入することも同様です。「ゲームをもう少し続けたいけど、スタミナがない」というときにログインボーナスでもらった回復アイテムを使うことで、次回には「回復アイテムを購入してみようかな」という流れができるわけです。
3. 開発者目線で考える、ログインボーナス実装時の注意点
この項目では、ソーシャルゲームにログインボーナスを実装する際に、開発者が考えるべき注意点について解説しましょう。
3-1. ログインボーナスが魅力的すぎると課金の鈍化や途切れた際にモチベーション低下に繋がる
「このゲームはログインボーナスがすごい!」と実感するユーザーはあまりいないかもしれません。しかし、「このゲームは、ログインボーナスだけで十分楽しめるので、課金しなくていい」と実感されるようでは、ログインボーナスが魅力的すぎると言えるでしょう。ログインボーナスだけで満足されてしまうと、課金の鈍化が起こりますし、ログインボーナスが途絶えたタイミングでユーザーがゲームから離れてしまうこともあり得ます。
そのため、ログインボーナスが豪華になり過ぎないようにすることも、開発者側の大切な検討要素です。
3-2. ログインボーナス自体をプレイや課金に繋げられるようにする必要がある
ログインボーナスをたくさん付与すれば、とりあえずログインはしてもらえるかもしれません。しかし、ゲームをプレイしてもらうことや、課金してもらうことにつながらなければログインボーナスの目的は果たせません。
そのため、単純にログインさせるためのボーナスと、プレイしてもらうためのボーナスは別に実装する方法があります。例えばクエストに参加することや、対戦プレイをすることで報酬を出せば、とりあえず最低限のプレイを促すことができます。勝敗があれば、多くの人は「勝ちたい」と思いますから、課金する動機につながるでしょう。
また、とりあえずでもプレイしてもらうことでシナリオの面白さに気づいてもらえれば、回復アイテムへの課金が促せます。さらに、キャラクターに魅力を感じてもらえれば、課金ガチャでキャラクターを獲得する意欲が増えますし、関連グッズの購入を考える人もいるでしょう。
他にも、プレイを有利にするアイテムやチケットなどを配布することで、プレイの楽しみを味わってもらうなど方法は多数あります。
いずれにしても、ただ配布するだけでなく、ログインボーナスがユーザーの楽しみにつながって、その先に課金があることが重要です。
3-3. ログインボーナスのリセット時間を考える必要がある
毎日配布されるタイプのログインボーナスは、1日のどこかのタイミングでリセットしなければなりません。デイリータイプの報酬はログインしなかった日の分は消えるように設定されることが一般的です。一方、メールボックスなどに送られるタイプなら一定日数は受け取りの猶予期間が設けられることが多いです。
リセット時間として比較的多いのは、深夜0時、つまり日付が変わるタイミングでリセットするゲームや、多くの人が眠っている深夜3時から5時の間にリセットするゲームです。
深夜0時にリセットされる場合、多くの人にとってわかりやすいメリットがあります。しかしその一方で、起きている人も多い時間なので、その時間にアクセスが集中してサーバーに負荷がかかりやすいのが難点です。0時以降の深夜帯にリセットするゲームが多いのは、アクセスが集中することを避け、サーバーに負担をかけない意味があります。
4. まとめ
ソーシャルゲームのログインボーナスについて、名称や報酬の種類、付与条件などを紹介したうえで、開発者目線で見るログインボーナス実装のメリットと注意点を解説しました。
ログインボーナスは、上手に配布すればユーザーのモチベーション維持効果によってゲーム離れ防止に役立ちます。また、獲得に条件付けをすることで、ゲームをプレイすることや課金を促すこともできるでしょう。
一方、ログインボーナスが豪華すぎると、課金が鈍化することがあるなど、開発者として注意すべき項目も多数あります。そのため、まずログインボーナスを実装する目的を明確にすること、それぞれの目的に沿って効果的に配布することなどが重要です。
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