全世界2000万人以上のユーザーを誇るMMORPGゲーム『黒い砂漠』を運営するPearl Abyss（以下パールアビス）の日本支社である株式会社Pearl Abyss JP（以下パールアビスジャパン）。今回は同社代表の李同校（イ・ドンギョ）様に、パールアビスジャパンの事業内容や社風、『黒い砂漠』の魅力についてインタビュー！後半では新作の魅力についてもお伺いしました。
・まずはパールアビスジャパンに入社されるまでの経緯について教えて下さい
将来は韓国の大手ゲーム会社の開発者として就職しようとしていましたが、PMとしてスカウトされたことが入社のきっかけです。
当時のパールアビスは『黒い砂漠』を日本に展開し初めた時期。今日にいたるまで『黒い砂漠』と共に会社は大きく成長し、会社と共に自分も成長出来たので良い判断だったと思っています。
・現在の業務内容について教えてください。
現在は代表として経営の意思決定や企画実行までのフローを統括しています。いかにユーザーの皆さんに喜んでいただけるか、お金儲けだけのゲーム作りでは無く、常にユーザーファーストのゲーム制作という点を意識しつつ、社内外の企画にも反映させています。
パールアビスジャパンはどんな会社？
・パールアビスジャパンについて教えて下さい
パールアビスジャパンは、「世界最高のMMOゲームを作る」というビジョンの基、MMORPGゲーム『黒い砂漠』を始めとしたゲームパブリッシング事業を行う会社です。
パブリッシング業務では、運営、CS、マーケティングをオンラインオフライン問わず行っており、日本での戦略立案から実行といったサービス改善の全てを業務としています。
皆さんのパールアビスへの認識は、“韓国が本社で日本は支社“という認識かもしれませんが、本社と支社の関係ではなくオフィスがある場所（国）が違うだけという前提で動いています。
韓国のパールアビスは安養市にあり、実際の開発を韓国で行い日本での展開はパールアビスジャパンが企画してユーザーの求めている事をリアルタイムで開発とすり合わせる様な体制を整えています。
・パブリッシングするうえで、ユーザーが求めている物はどのように判断していますか？
CSに集まってくる意見はもちろんですが、Twitter、YouTubeを始めとしたSNS、公式チャンネルに集まっている意見を精査し、ユーザー動向を調べています。
他のゲームとの違いでいうと、MMORPGという特性上ユーザー間の問題解決も議題に上がる事が特徴だと思います。
様々な人が様々な目的の下ゲーム内に共存するという意味では、ゲーム自体が1つの国家の様になっています。その中で企画し施策を実行していかなければならず、ユーザーはいつでもゲームを離れることが出来てしまう。既に出来上がったコミュニティに対して、いかに楽しいコンテンツを提供するかが、仕事の難しさでもあり、やりがいでもあります。
特に日本ユーザーはゲームのディテールに関するご意見を多く寄せてくださいます。コンテンツに対する愛が強くて我々もびっくりする事が多いですし、開発側にそのまま反映できるくらいの高いクオリティの意見を貰えます。個々のプレイスタイルの幅も広く、作品への愛が深い事はとても嬉しく感じています。
・追加コンテンツを企画する際に定めている軸や方針はありますか？
『黒い砂漠』はダークファンタジーな舞台と世界観が特徴です。その世界観を絶対に崩さないという方針はブラさない様にしています。
例えばIPとコラボする際も、どれだけ魅力的なIPだとしても『黒い砂漠』との世界観がマッチしなければ、ユーザーにも疑問が生じてしまいます。様々な意見や要望がありますが、世界観やストーリーはゲームとして重要な部分であり、我々が伝えたかった根本でもあります。例えば以前コラボした『ベルセルク』は、ダークファンタジーという世界観が共通していた事もあり、ゲーム内イベントも盛り上がりました。
もう1つ意識している点はゲームバランスの調整です。正直完璧なゲームバランスというものが存在するのか？と常に悩みますが、過去の経験を基に常に改善を続ける様にしています。
・パールアビスではYouTubeを通した動画コンテンツにも定評がありますよね
動画コンテンツは自社で専門チームを設けており、動画が撮影できるスタジオも社内に併設しています。企画を考えてすぐに撮影することができるのでユーザーさんへと情報を届けるスピードとバリエーションには自信があります。
以前は動画コンテンツを外注していた事もありましたが、パールアビスジャパンが見せたい内容がしっかり映らない事もあるため、現在はなるべく内部で制作しています。
○動画コンテンツの撮影が行われる専用スタジオ
・HPにもあるパールアビス研究所についても教えて下さい
パールアビス研究所は、弊社の強みである開発技術を支える専用スタジオです。
『黒い砂漠』にも使われているゲームエンジンはパールアビス研究所の自社開発であり、リアルな質感の表現と自然な光源効果、最高水準のグラフィックやプラットフォームの互換性、クラウドサービスへの対応などを目標に常に改良を続けています。他社ゲームエンジンを使うときと比べて改良や新機能の追加も速いです。
また今年には約1300坪規模の「パールアビスアートセンター」の完成を予定しています。
すでに弊社は韓国国内最高レベルのモーションキャプチャースタジオと3Dスキャンスタジオ、レコーディング設備を取り揃えたオーディオ施設など、自ら運営しながらゲーム技術投資に積極的に取り組んでいます。
新規モーションキャプチャースタジオでは、50台のモーションキャプチャーカメラや天井高9m以上で柱一つない広い空間を確保する事で、実写に非常に近しい3Dグラフィック、クオリティの高いイラスト、派手なアクションシーンの実現を可能にしています。
世界規模で見てもここまでの規模を持つスタジオは少ないため、今後リリースされる新作ゲームにも存分に活かす事で、より良いゲーム体験をユーザーに届けることが出来ると思っています。
・貴社の社風についても教えて下さい
一言では中々難しいですが、悩む前に行動しようという社内の方針があり、それを体現できている人が多い会社だと思います。
役職や立場は関係なく自由に発言できる事が強みでもあります。
社員と私との距離も近く、一緒にゲームを遊ぶこともあります。現在在籍しているメンバーの好きなゲームも把握しています。最近はおかげさまでメンバーが増えてきたので少しきつくなってはきましたが(笑)
・企画の総量やスピードについてはいかがですか？
先述の通り悩むよりも動くという方針のため、企画書を作る事に時間を費やすよりかはまずは議論する事で肉付けしています。毎週様々な企画を実施しているのですが週換算でも10件以上の企画が常に動いている状態が出来ていますね。
声を挙げる事を社内としても推奨しているので、沢山の企画から洗練された企画が世に出る事になる。企画に正解はありませんが、スピード感も他の現場と比べても速いと思うので、働く環境としてかなりエキサイティングな場だと思います。
『黒い砂漠』の魅力について
・まずは、『黒い砂漠』をパブリッシングするに至った経緯について教えて下さい
現在『黒い砂漠』は、PC、モバイル、コンソールのプラットフォームで展開しています。元々PCゲームは別の会社がパブリッシングしていましたが
出来るだけユーザーの声を早めに拾い、ゲーム改善のスピードを上げたいと方向転換したこともあり、パールアビスジャパンが韓国側と協力しながらパブリッシングを手掛けるに至りました。
・『黒い砂漠』の特徴について教えて下さい(ジャンル/ゲームシステム/ストーリー/ユーザー数等)
○『黒い砂漠』
ジャンルはMMORPG、躍動感あふれるグラフィックとリアリティ感あふれるサウンドを実装した広大なオープンワールドでゲームを楽しむことが出来ます。
細かい設定はプラットフォームごとに多少の違いはありますが、“最高の冒険を楽しむ”ためのシステムやストーリーは共通しており、細かなコンテンツを作りこんでいる事が特徴の1つです。
例えば、主軸のストーリーだけでなく、釣り、栽培、作曲、料理、馬を育てるなど沢山あり、釣りであれば漁船を使って自分だけの釣りスポットを見つける、作曲であればMIDI機能を使って作曲や演奏が出来る、馬を育ててゲーム内で商売を楽しむといった楽しみ方が出来、建物を立てたり配置にこだわったりと、オープンワールドの世界観を生かして幅広い楽しみ方が出来る様に設計しています。
○本作では作曲、釣りなど様々なコンテンツを楽しむ事が可能
・『黒い砂漠』の魅力はどのような点ですか？
自社開発エンジンによる美麗なグラフィック、大迫力の戦闘など挙げるとキリがなくコンテンツの幅広さがユーザーにも刺さっているのかなと感じています。
NPCとの会話時や戦闘に役立つ知識コンテンツ、先ほど紹介した生活コンテンツ、また自身のキャラクターをカスタマイズできる機能もあり、自分の手で作りあげたキャラクターがゲーム内で活躍するところはユーザーも楽しんでくれています。
キャラメイキングだけでも楽しめ、キャラメイク職人がSNSで話題になったりと、ユーザー同士で盛り上がってくれています。
・運営面ではどのような部分に気を付けていますか？
まず運営における企画段階で、各プラットフォーム別に専門部署があります。モバイル、PC、コンソールと担当者も違い、開発スタジオも異なるため、適宜連携を取りつつ運営業務全般を行っています。
全ての業務に共通するのですが一番重きを置いているのはユーザーとの信頼関係です。
これまでの運営で得た経験や反省を生かして、ユーザーの期待を裏切らない為の信頼関係作りには常に気を使っています。
・イベントやSNS展開でも信頼関係をベースに展開されているんですね
そうですね、ユーザー様からの意見は全て目を通すように心がけております。システム上できない事や方針上変えられない部分もありますが、なるべくユーザーの皆様が気持ち良くプレイするための仕組み作りは意識しています。
特にSNSであれば、ゲーム内で実現できない企画を実行するためのプラットフォームとして最大限に活用しており、毎月のTwitterイベントやYouTubeでの生配信を通して、“ユーザーと一緒に楽しむ”をコンセプトとして運営しています。
またオンライン、オフライン問わずイベントも行っています。オフラインに関しては昨今の時勢もありなかなか実現出来ていない事項があるものの、去年の10月に開催したオンラインイベントでは、地域対抗戦のライブイベントを行うといった挑戦をしてきました。
オフラインで出来ない事はオンラインで行うと工夫をしながら展開しているのですがタイミングを見て出来るだけファンの方と現地でお話もしたいです。
今後の展望
・次の展開として、コンソールゲームの『ドケビ』、『紅の砂漠』『プランエイト』のリリースが控えていますが、それぞれのゲームについて教えて下さい。
3作品ともPCとコンソールでのリリースを予定しており、『紅の砂漠』はオープンワールド・アクション・アドベンチャーゲーム、『ドケビ』は収集オープンワールドアクションアドベンチャー、『プランエイト』はエクソスーツMMOシューターとそれぞれジャンルが分かれています。
『紅の砂漠』はパールアビスの次の主力タイトルとして鋭意制作中のオープンワールドアクションアドベンチャーゲームです。戦争に染まった中世ファンタジーの世界でストーリーが繰り広げられます。
また収集オープンワールドアクションアドベンチャー『ドケビ』はパールアビスとしては独特の挑戦で、『黒い砂漠』の様なダークファンタジーゲームと違い、ポップで明るい世界観になっています。開発プロデューサー自身が、親子で一緒にプレイできるゲームを作りたいという事で、老若男女問わず、幅広い層に好きになってもらうためのゲームとしてIP展開も併せて準備しています。
※『ドケビ』トレイラー映像
エクソスーツMMOシューター『プランエイト』はまだ多くは発表していませんが、パールアビス発のシューティングゲームとして新しいゲームエンジンで開発を進めています。パールアビス=MMORPGという印象が強いかもしれませんが、シューティングゲームとして世界で戦えるレベルに高めて開発を進めています。
・複数ジャンルの作品を一度に発表された経緯について教えて下さい
『黒い砂漠』のイメージが強いパールアビスが、次のステージに進んでいく事を銘打つ意味も含め複数作品の発表に至りました。
面白いゲームをリリース出来る会社である事を訴求したいという背景があります。
一気に複数ジャンルの新しいゲームを発表する事で、ジャンル問わず色んなゲームを作れる会社だと世の中にアピールする意味も含まれています。
とはいえ、『黒い砂漠』の運営をおろそかにする事は絶対にしません。黒い砂漠と新作ゲームはそれぞれ相乗効果を生み、より新しい体験を黒い砂漠ユーザーにも提供していきますので、どちらも併せて期待して頂きたいです。
・今後の事業展望について教えて下さい
『黒い砂漠』を含め、これから出すタイトル全てでトップを目指していきたいです。そのためにも会社を皆さんに知っていただき、ファンを増やしていくことも目標としています。
まずはそれに対応できる組織作りと、期待を裏切らないサービス提供が事業としての目標です。
・最後に、パールアビスの作品に対して期待を持っている方々に一言お願いします
『黒い砂漠』は今年で7周年を迎えますが、幅広いプラットフォームでプレイしてくださるユーザーには感謝の気持ちしかありません。韓国のゲームが日本ユーザーに受けるか不安な点もありましたが、諦めずにゲームパブリッシングにおける企画やローカライズ含めやってきたので、先ほどお伝えした信頼関係をこれからも大事にしていきたいです。またやはり現地でファンの方と触れ合う事でいろんな意見を聞きたいので、今年は直接会いに行きながら一緒にパールアビスを盛り上げていきたいと思っています。
・ありがとうございました！
権利表記：© Pearl Abyss Corp. All Rights Reserved.
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