ゲームにおける「周回要素」とは?概要をユーザー・開発者目線で解説!
「周回」という言葉は、近年のゲームでは非常に多く使われています。この「周回」については、オフラインとオンラインのゲームでは意味が異なりますし、ソーシャルゲームでも違った意味を持っています。
そこでこのコラムでは、ゲームにおける「周回要素」について、さまざまな角度から説明します。また、周回要素について、ユーザーと開発者の両方の目線を持って解説しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
1. ゲームにおける「周回要素」とは
この項目では、ゲームにおける「周回要素」について、オフライン、オンライン、ソーシャルゲームの3つの角度から解説します。
1-1. オフラインゲームの場合
オフラインゲームで「周回」という言葉を使う場合、主にクエストやストーリーをいったんクリアした後に、再度最初からプレイすることを指します。
特にRPGだと、クエストを後戻りできないものもあるので、1周目では細かい点を気にせずまずクリアを目指し、2周目以降(いわゆる周回)で細かい部分にも目を向けていく、という楽しみ方があります。
レベルアップした状態であれば初回にプレイしたときとは違う楽しみが味わえますし、1回目に獲得できなかったアイテムをゲットできることにも喜びがあるのです。
このように究極の状態までいった後のやりこみプレイを、「エンドコンテンツ」と呼ぶ場合もあります。エンドコンテンツという言葉は、「終わってしまったコンテンツ」と勘違いされることもありますが、もともとは英語のエンドゲーム(大詰め)から来ている言葉です。つまり、ゲーム開始時には味わえない、そのゲームをクリアしたからこそ楽しめるコンテンツと言っても良いでしょう。
1-2. オンラインゲームの場合
オンラインゲームでもオフラインゲームと同様に、いったんクリアした後に最初に戻ってストーリーを周回することもあります。ただし、比較的オフラインゲームにはなく、オンラインゲームで多く見られる周回要素としては、ゲームをクリア(実装時点までのコンテンツ)するためのレベルアップや強化、アイテム収集を目指した周回です。
例えば、メインクエストの強敵をなかなか倒せないので、クエストの途中イベントや、別コンテンツを繰り返して素材を収集し、強化してから強敵撃破を目指すための周回を繰り返すことがあります。また、なかなかドロップしないアイテムを周回数重ねて狙うケースも多いです。
この場合、オフラインゲームで見られた、クエストクリア後のみに味わうエンドコンテンツが目的でなく、強化や報酬自体が目的で周回するわけです。
1-3. ソーシャルゲームの場合
ソーシャルゲームの場合、「周回」という要素の意味が大きく、解説することも多数あるので、次の項目で細かく解説します。
2. ソーシャルゲームにおける周回要素とは
近年のソーシャルゲームの多くは、「周回」自体がメイン要素となっています。買い切りのゲームソフトであれば明確なラストシーンを用意したものが多いので、ユーザーはゲームクリアを目的とします。一方ソーシャルゲームの場合、シナリオの区切りとして盛り上がるシーンはあっても、サービスが終了しない限り無限に続くことがほとんどです。そのため、感動のラストシーンを迎えた後に再度全体を楽しむ形の「周回」はあまり一般的ではありません。
しかし、終わりがないゲームに向けて無限にシナリオを作り続けることは現実的にはできません。そのため、周回してキャラクターの強化を続けることがゲームの目的として設定されます。この方法なら長くプレイして強くなった人も、始めたばかりであまり強くない人も楽しめるので、開発・運営側はプレイ時間を確保させることができます。このような理由で、ソーシャルゲームには「周回」がメイン要素として取りいれられているのです。
ここからはソーシャルゲームの「周回」の細かい目的や、開発や運営側が「周回」を飽きさせないためにどうしているか、などを解説します。
2-1. 周回の目的はゲームやコンテンツによってそれぞれ異なる
「周回」することによってユーザーが得られるメリットは、ゲームやコンテンツによって異なります。
例えば、ゲーム内キャラクターの経験値や強化素材を集めることやレアアイテムの獲得、ランキングの順位を上げて達成感を得ること、またランキングの順位を上げて多くの報酬を獲得することなどが、ユーザーが周回コンテンツに挑むモチベーションとなります。
2-2. 「周回したことになる」スキップ機能があるタイトルもある
周回を続ければ何らかの報酬があるとわかっていても、ユーザーは同じことを繰り返すことに飽きてきますし、苦痛に感じてゲームから離れてしまうこともあります。
そのため、近年は周回をスキップできる機能を持つゲームが増えています。スキップ機能を利用するためには、ゲーム内で価値を持つ石やチケットが要求されたり、一定レベルに達していることなど、条件を付加したりすることが一般的です。これは、最初からスキップできるのであれば、そのコンテンツ自体が楽しみとして認識されないからです。また、一定レベルに達することでスキップできれば、レベルを上げ続けるモチベーションにもなります。
2-2-1. 最近はオート周回機能が搭載されていることもある
周回プレイを楽にこなすために、近年はオート周回機能を搭載するゲームも増えています。多くのゲームでは、オート周回機能を使うために、一定のレベルに達していることなどの条件を設定しています。そのような条件があっても、ユーザーにとって手間と時間をかける周回プレイが苦痛にならないメリットがあるのです。
ゲーム開発者にとってはオート周回機能を実装する際の注意点がありますが、その点は当コラムで後述する「 基本的に「周回は飽きるもの」として対策する必要がある」の項目で詳しく解説します。
3. 開発者は意識しておきたい!周回要素の注意点
この項目では、周回要素がユーザーにどのように感じられているか、周回要素を実装する際に、開発者は何に注意するべきかを解説します。
3-1. 基本的に「周回は飽きるもの」として対策する必要がある
近年のゲームの多くには周回要素が盛り込まれていますし、特にソーシャルゲームにおいて周回は無くてはならないとも言える位置づけになっています。
最初は「どうやっても勝てない」と思ったモンスターに、繰り返し工夫を重ねてようやく勝てるようになり、周回するごとにアイテムや強化素材が手に入るようになる工程は、ユーザーにとって大きな喜びとなるでしょう。また、周回数が少ないうちは、お気に入りのキャラのバトル演出を見るなどの楽しみもあります。
しかし、何度か周回を重ねると、最初に存在した喜びは次第に薄れていき、最終的には「時間がかかるだけの退屈な作業」になってしまいます。つまり、「アイテムや強化素材が手に入るとしても、何度も周回するとなれば面倒でしかない」というのがユーザーの本音です。
そんな事態を避けるためにあるのが、倍速やスキップ、オート周回機能です。倍速機能があればコンテンツ消化にかかる時間を短くできますし、スキップがあればそもそも演出を見ることも無くなります。また、コンテンツに必要な石などがあれば、無限にオート周回してくれる機能も便利です。
オート周回をセットして数時間後に見たら強化素材が劇的に増えているとなれば、勉強や仕事の合間にゲームの強化もできます。そのため、ユーザーとしては手間がかからず、飽きることなくゲームを楽しめるメリットがあります。
さらに、周回を行うモチベーション強化のために、特定数の周回をこなせば報酬がもらえるという手段もあります。この点は次の項目で詳しく記載します。
3-2. 周回が必要な回数はそのままゲームの寿命になるが、必要数が多すぎるとユーザー離れを起こす
前述したように、周回に飽きさせないための手段として、特定の周回数をこなせば報酬を出す方法もあります。例えば1周回で得られる強化素材もありつつ、10回、または100回ごとに別の報酬を出すといった方法です。
ただしこの場合、報酬をもらえる上限数まで周回したら、そのコンテンツが寿命を迎える可能性もあります。そのため、1周回ごとの報酬と、特定周回数でもらえる報酬は別の種類にすること、回数上限を迎えても1周回でもらえる強化素材が継続して必要なこと、などに注意する必要があります。
3-3. 周回した先に報われたと思える報酬をしっかり用意する必要がある
倍速やスキップ、オート周回や周回数に対する報酬などは、あくまでも「ユーザーが飽きずに周回を重ねるための工夫」であって、周回の目的ではありません。
ユーザーが周回を重ねるためには、「獲得した強化素材などで戦力を増強して、それ以前には歯が立たなかった強敵を倒す」、「ラスボスを倒した先のストーリーを見たい」、「特定の報酬を得るためには周回を乗り越えなければならない」といった目的設定や報酬が必要です。
これを踏まえて、目的と周回数、周回コンテンツの手間などのバランスを考えることが、ユーザー離れを防ぐためには欠かせないことを覚えておきましょう。
3-4. 周回前提のゲームデザインだと「早くゲームを始めた人」の有利さが目立つため、新規ユーザーにもメリットのあるイベントなどを用意する
強化を「周回要素」に頼ったゲームでは、かけた時間によって強弱が決まるので、後から始めた人はどうやっても先に始めた人に勝てない、という現象が起きがちです。そのため、新規ユーザーにメリットのあるイベントを定期的に実装する工夫も必要です。
とはいえ新規ユーザーへの優遇が強すぎると、早くからプレイしているユーザーが離れてしまうリスクもあります。そのため、新規加入者への特典を増やし過ぎるのも好ましくありません。
さらに、ユーザーの中には、課金を重ねて早くレベルを上げるタイプや、微課金で周回に時間をかけて少しずつレベルを上げていくタイプが存在します。このように、プレイスタイルが異なってもそれぞれに楽しめる工夫も周回ゲームには欠かせません。ユーザーがそれぞれの楽しみ方ができるように、対戦モードなどでは、レベルが同等の相手と対戦しやすい工夫などもあると良いでしょう。
4. まとめ
ゲームにおける「周回要素」について、その意味や使われ方などを解説しました。周回要素はオフラインゲーム、オンラインゲーム、ソーシャルゲームなど、ジャンルによって意味が異なります。
大きく分類すると、いったんゲームをクリアしたあとにエンドコンテンツとして楽しむ「周回」と、強化・収集のための「周回」に分けることができます。特にソーシャルゲームでは、周回自体がゲームの大部分を占めるので、ユーザーを飽きさせないように、倍速やスキップ、オート周回や周回回数による報酬付与などさまざまな工夫がなされています。
ゲーム開発者にとっては、ユーザー離れを起こさないための配慮が多数必要なので、ぜひこのコラムを参考にしてください。
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