『Lofi Ping Pong』に見る、気持ちいいリズムゲームの作り方
90年代から根強く続いてきたリズムゲームの文化ですが、現代でもその進化が止まることはありません。
『Lofi Ping Pong』は、シンプルながらも魅力的なプレイ体験で、話題を読んでいます。
目次
卓球と音楽を掛け合わせた『Lofi Ping Pong』
今作が基調としているのは、卓球にあるリズムと音楽性を掛け合わせたゲームシステムです。
ラリーを続けてリズムを刻め
タイトルに「Lofi」と挿入されていることからも分かるように、このゲームは卓球のラリーを単に楽しむだけではなく、音楽に合わせて打ち合いを繰り返し、リズムを奏でることが目的です。
卓球といえば、ピンポン球の「カッ」という独特の軽快な反射音が特徴的なスポーツですが、ここに音楽を重ねることで、まるで卓球で演奏しているかのような体験を味わうことができます。
相手から飛んでくる打球の方向をうまく見極めながら、それでいてリズムよく打ち返さなければならず、意外にも難易度は高めのプレイ感です。
ただ、操作は横画面と縦画面の両方に対応しており、状況に応じて好きなスマホの使い方で遊ぶことができるため、どこでも気軽にプレイできるのは嬉しいところです。
卓球の楽しさとリズムゲームの楽しさの相乗効果
卓球は競技種目であるため、最終的にはどちらかが勝たなければいけないというゲーム性のあるスポーツです。
しかし、その一方でカジュアルな遊び方としては、相手とひたすらにラリーを続け、どこまで続けられるかを楽しむような遊び方も見出すことができます。
そこに勝ち負けはありませんが、相手と息を合わせながら、テンポよくお互いに球を撃ち合うというのは、なんともいえない心地よさがあります。
リズムゲームもまた、同じような楽しみ方をすることができます。
リズムゲームはどれだけうまくリズムに合わせながら入力ができるかに挑むゲームですが、誰かと競うような競技性は重視されません。
もちろん、結果はスコアとしてポイントに換算されるため、ある程度他人との実力の違いが明らかにはなるものの、最終的には自己満足の世界で完結しています。
どちらも異なるジャンルではあるものの、リズムが重要であること、そして競技性が比較的小さい遊び方ができるという点では、共通項を持ったゲームです。
人々が求める新しいリズムゲーム
ユニークなリズムゲームは、何も『Lofi Ping Pong』だけではありません。
他のゲームジャンルと音楽を融合することで、新たなケミストリーを狙った作品はまだあります。
FPSとリズムゲームを掛け合わせた作品も
リズムゲームと全く異なるジャンルのゲームを掛け合わせた作品としては、『BPM: BULLETS PER MINUTE』も印象的な作品です。
今作では人気シューティングジャンルのFPS(一人称視点シューティング)と、リズムゲームをミックスし、リズムシューティングという新たなジャンルにチャレンジしています。
Steam販売サイト:https://store.steampowered.com/app/1286350/BPM_BULLETS_PER_MINUTE/
このゲームの中では、あらゆる動作がリズムに合っていなければ、まともに操作することができないという、非常にシビアなシステムが採用されています。
移動やジャンプなどは行えるものの、銃の射撃やリロード、回避行動や特殊能力の発動などはリズムに限定されており、適当に操作していては一向にクリアすることはできません。
ゲームプレイ中はBGMが流れており、これに合わせてプレイすることが求められ、軽快なリズムに合わせてテンポ良くアクションを行わなければ、瞬く間にゲームオーバーとなってしまいます。
一見関係のないジャンルの融合に見えますが、FPSにもリズムは存在します。
軽快なアクションの動作はリズミカルで、音楽と合わせて操作することにより、非常にスタイリッシュな演出を楽しめます。
リズミカルな動きは通常のFPSでもスムーズに行動するために重要な動作であるため、「BPM」はこの点に注目したゲームであるとも言えるでしょう。
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何事にもリズムは存在する
このことからも分かるように、心地よいリズムというのはどんなゲームにも潜在的に抱えているものです。
リズムやテンポは音楽に限らず、人間が心地よく行動するためには不可欠な要素であるとも言えます。
「テンポ良く動く」「リズムよく仕事をこなす」といった言葉が日常でも使われるように、意識してみると様々なリズムが生活に密着していることが分かるでしょう。
新しく、心地よいリズムゲームの作り方とは
ユニークなリズムゲームを生み出すための源泉を発掘するには、ゼロから導き出すよりも、周りに目を向けながらアイデアを組み立てていくことが重要になります。
身の回りにあるリズムをくまなく探す
まず大切なのは、身の回りにあるリズムへ注目し、その面白さを明らかにすることです。
前述の通り、私たちの身の回りには様々なリズムが潜んでおり、無意識にそのリズムに則って生活していることも少なくありません。
「リズムに乗る」というのは音楽だけの話ではなく、仕事で一定のパフォーマンスを発揮したり、スポーツで良い結果を出したりするためには必須の能力です。
そんな人間のリズム感に注目すると、リズムゲームの幅はより一層広がることになるでしょう。
荷物を運ぶのもリズムゲームになりますし、複雑なデスクワークにもリズムで解決できる要素が潜んでいるかもしれません。
音楽を聴きながら作業を行うと効率が上がると言われることがありますが、これはまさに人間のリズム感を生かしたパフォーマンスが科学的に証明されているケースとも言えます。
日常に潜む毎日のリズムに注目し、ゲーム化したら面白そうな事象はないか、気を配ってみると良いでしょう。
爽快感の相乗効果を目指す
リズムゲームの面白さは、うまく動作とリズムがマッチした時の気持ちよさにあります。
音楽を演奏する楽しさは、他の人の演奏と自分の演奏のハーモニーを感じられた時、そしてリズムが自分の動きと噛み合った時に生まれます。
リズムゲームの楽しさも、そんな音楽の演奏に近い体験を味わえるからこそと言えますが、新しいリズムゲームを生み出す時も、そのような爽快感に注目をすべきでしょう。
『Lofi Ping Pong』は軽快にピンポンを打ち返す楽しさと、リズムを刻む楽しみの掛け算が存在しています。
「BPM」も射撃の楽しさと、リズムを刻む楽しさの相乗効果を持っています。
異なる楽しみで合っても、それぞれにどんな爽快感があり、どのようにリズムを使って組み合わせ、相乗効果を生み出していけるのか。
そんなところを考えることに、リズムゲームを作る難しさと、面白さが潜んでいるのではないでしょうか。
おわりに
『Lofi Ping Pong』は新しいスポーツリズムゲームのジャンルを開拓しようとしていますが、このアプローチは多くのアクティビティに応用することができます。
日常に溢れるリズムの多様性に目を向けながら、新しいリズムゲームの開拓にチャレンジしてみましょう。
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『Lofi Ping Pong』app store:https://apps.apple.com/jp/app/lofi-ping-pong/id1539408060
『Lofi Ping Pong』開発者Twitter:https://twitter.com/seravlac
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