ゴール不在のゲームがなぜ面白いのか?『Townscaper』に見るシミュレーションの魅力
ビデオゲームといえばスコアを獲得する遊びと思われるものですが、多様化した今日において、ゲームの楽しみ方は様々です。
『Townscaper』は街づくりシミュレーションとも言える作品ですが、従来のシミュレーターよりもさらに現代的な工夫が施されており、注目を集めています。
目次
『Townscaper』とは
今作はコミカルな街を指一本で作成できるだけでなく、いとも簡単に美しい街並みを形成できるというシステムを備えています。
砂遊びのように楽しめる街づくり
『Townscaper』は、「シムシティ」シリーズのような街づくりを楽しめるシミュレーションゲームの一種です。
プレイを開始すると、まずは何もない海上が与えられます。
ここへ建物や土地を選択し、タップ操作で建設を行うことで、少しずつ土地と建物が与えられ、景色が豊かになっていくという仕組みです。
「シムシティ」のようにあらかじめ土地が与えられるのではなく、土地からプレイヤーの手で作成していく必要がありますが、それだけに自由度の高い街づくりシミュレーションを楽しむことができます。
地形の制限を受けることなく、自由に街を作っていくことができるため、クリエイティブなポテンシャルという意味では従来の街づくりシミュレーヤーよりもはるかに高いと言えるでしょう。
簡単操作で美しい街並みをクリエイト
自由度の高いシミュレーションにつきものなのが、複雑な操作です。
ドライブシミュレーターなど、現実の挙動を忠実に再現しようとする作品は、どうしても操作が複雑になり、カジュアルな気持ちで遊ぶことが難しくなることもあるものです。
しかし、『Townscaper』についてはジャンルこそシミュレーションの一種ですが、操作方法は非常に簡単に作られています。
必要な操作はタップ操作だけで、大体のイメージと作りたいものを決めておけば、瞬く間に魅力的な街並みを形成することができます。
プレイが始まると、いきなり海上に放り出されてしまうものの、操作そのものは簡単なだけに、余計なストレスを感じることなくプレイに専念することができるはずです。
『Townscaper』の魅力を引き出す自動生成技術
街づくりシミュレーションは、自由に街を作れる反面、クリエイターのセンスやスキルが問われる側面もあります。
しかし、今作においては街づくりをより簡単に楽しめる機能も備わっており、より万人に開かれたゲームに仕上がっています。
ワンタップで街が生成される技術力
今作は操作方法が簡単に設計されているだけでなく、実際の操作以上に魅力的な街づくりを楽しめるよう作られています。
建物を建てようと指を振るえば、AIが自動的に地形情報や他の建物情報を把握し、その場に最適な建物の設計を採用し、街並みを形成します。
路地や運河など、建物周辺のインフラについても自動で設計し、生成されていくので、街づくりに関するデザイン力が問われることはありません。
従来の街づくりシミュレーションの場合、どのように道路をひけば良いのか、水道や電気を適切に配置するにはどうすればいいのかなど、何かと考えなければならないことは決して少なくありませんでした。
こういったインフラの設計を楽しみたい人にとっては魅力的な要素でしたが、純粋に街の風景だけを楽しみたいとなると、少々厄介なシステムでもあったのです。
そして、このような煩わしい要素を排除し、純粋な街の様子を楽しむことに特化した作品が、『Townscaper』というわけです。
建物を作り自由に街を作る楽しさだけを味わえます。
魔法のような体験を実現
『Townscaper』の手軽な街づくり体験は、シミュレーションと呼ぶにはやや手軽すぎるプロセスとなっているため、硬派なシミュレーターを期待していた人にとっては物足りなく感じてしまうかもしれません。
しかし、手軽に街づくりと町並みの観察を楽しみたい人にとっては、これ以上ないほど快適に設計されたゲームに仕上がっているのも事実です。
シミュレーションゲームはややニッチなジャンルであるだけに、その多くは硬派な作風に仕上がることがほとんどです。
ディテールの作り込みにこだわる作風は確かに魅力的ですが、ポピュラーな層にとってはそれが重荷となってしまうこともあります。
『Townscaper』は、街づくりをよりカジュアルに楽しめるゲームとして、魔法のような体験を提供します。
タップ操作で瞬く間に土地と建物が生み出され、やがては街として形成されていくという、ある種の爽快感を与えてくれるのが強みです。
街づくりをカジュアルに楽しみ、しげしげと眺められるゲームは、そう多くはありません。
カジュアルシミュレーションゲームとしての可能性を、今作が切り開いているとも言えるでしょう。
ゴールがなくてもゲームが面白い理由
このような街づくりを楽しむゲームには、アクションゲームやRPGのような「目標」が備わってはいません。
しかしそれでも多くの人が注目するのには、どんな魅力があるからなのでしょうか。
プロセスの体験価値を最大化
これはあらゆるシミュレーションゲームに言えることですが、『Townscaper』を含め、プレイの過程に重点を置いた作品の価値は重要です。
少しずつ街が出来上がっていく様子を眺めたり、どのように街を作ろうかとあれこれ考えたりする時間は、非常に豊かな体験としてプレイヤーに価値を与えます。
今作には大きな目標こそないものの、タップ操作で誰でも魅力的な街を作り上げることができ、その過程を視覚的に存分に楽しめる設計になっています。
面倒な設定や操作もないため、初めて街づくりシミュレーションをプレイする人にとっては、街づくりの楽しさのエッセンスを存分に理解できる仕組みに仕上がっています。
また、今作はスマホ対応ということで、ちょっとした時間に楽しめるという点も重要な要素です。
通勤時間や待ち合わせの合間など、熟慮する余裕はないが、シミュレーションを楽しみたいというユーザーニーズにも応えられるでしょう。
「ハイスコア」だけがゲームの目的ではない
ビデオゲームといえばハイスコアやエンディングを目指すことにばかり注目が集まりますが、必ずしもそれだけではないということも覚えておく必要があります。
『Townscaper』はまさにそのようなゲームとは対極にある作品で、プレイヤーにエンディングを見せることを強要する作品ではありません。
隙間時間に気軽に遊べるゲームに求められる要素とは、穏やかな時間を与えてくれる作品とも考えられます。
ハイスコアやエンディングを目指して頑張るゲームというのは、むしろ腰を据えて本格的に遊びたい人向けの需要でもあります。
カジュアルゲームに求められるのは、終わりはないものの、あるべき姿も決まっていない、リラクゼーション効果のある作品と考えることもできるのではないでしょうか。
おわりに
『Townscaper』はシミュレーションゲームにしてはカジュアルすぎる作品ですが、その気軽さが喜ばれる需要も確実に存在します。
ゴールがなくても楽しめるゲームとは何か、そして、なぜゴールがなくても楽しめるのかについて考えてみることで、新しいゲーム作りのヒントになるかもしれません。
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ライター名:Satoru Yoshimura
プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。
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『Townscaper』Steam:https://store.steampowered.com/app/1291340/Townscaper/?l=japanese
『Townscaper』Twitter:https://twitter.com/osksta
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