コンテンツ制作のプロを目指す「マルチメディア検定」について徹底解説!
ゲームクリエイターはコンピュータゲームの開発者全般の呼称です。
そのため、企画や立案を行うゲームプランナーやコンテンツ制作プロジェクトの中心を担うコンテンツディレクターもコンテンツ制作に携わる職種であると言えます。
本記事では、以前紹介した“CGクリエイター検定”、“CGエンジニア検定”と同じ“CG-ARTS検定”のうちの1つで、コンテンツ制作に携わる職種、つまるところゲームクリエイターと呼ばれるあらゆる人材にかかわりのある資格“マルチメディア検定”について紹介します。
CG-ARTS検定は試験日程や申し込み方法が共通しているので、CGクリエイター検定、CGエンジニア検定を紹介した以前の記事も併せてチェックしてみてください!
プログラマーのおすすめの資格“CGエンジニア検定”について徹底解説!
CGデザイナーのための資格“CGクリエイター検定”について徹底解説!
目次
マルチメディア検定とは?
運営団体について
CGクリエイター検定やCGエンジニア検定と同じく、マルチメディア検定の運営はCG-ARTSが行っています。
CG-ARTSは、各種検定試験や教育カリキュラムの策定、カリキュラムにもとづく書籍の出版を行っており、画像を中心とした情報分野のスキルアップを目的とした5つの検定試験がCG-ARTS検定です。
本試験を通じて、情報発信の担い手としてさまざまなデジタル情報を活用した価値の創造を行える人材を育成するとともに、同分野の関係者へのサポートを行っています。
試験の概要及び目的
マルチメディア検定はCG-ARTS(公益財団法人画像情報教育振興協会)が主催する5つの検定試験CG-ARTS検定のうちの1つです。
CG-ARTS検定は、文部科学省認定の公的資格“画像情報技能検定”を前身とした文部科学省後援の民間資格で、特定のソフトウェアやマシン環境に依存しない知識や応用力を評価します。
マルチメディア検定では、マルチメディアに関連するデジタルコンテンツ、情報技術の基本的な知識、日常生活や社会へのマルチメディアの応用などの知識を測ります。
CGクリエイター検定やCGエンジニア検定との違いとしては、専門的な知識ではなく、コンピュータやインターネットをはじめとしたマルチメディアの社会に関する幅広い知識と技能が求められるという点です。
ベーシック
マルチメディア検定ベーシックでは、マルチメディアの扱い方やインターネットを用いたコミュニケーション技術に関する基礎知識に加えて、多様な生活の場面で知識を利用する能力を測定します。
“マルチメディアの特徴”、“デジタル端末”といった基礎的な内容が科目として設定されています。
エキスパート
マルチメディア検定エキスパートは、ベーシックから一歩進んだ内容となっており、マルチメディアを用いたコミュニケーションやプレゼンテーション技術に関する専門的な理解の他、製品開発のビジネスなどに対する知識の応用能力を測ります。
科目は“コンピュータのしくみと技術”、“インターネットの応用”など、基本的ではあるものの、ベーシックに比べると多少難易度が上昇しています。
合格によるメリット
マルチメディア検定合格のメリットとしては、コンピュータやインターネットをはじめとしたマルチメディアの社会に関する幅広い知識と技能を身に着けられる点です。
CGクリエイター検定やCGエンジニア検定と併願して受験することで、それぞれの試験では勉強しなかった知識を補強できます。
一方、民間資格であることや難易度の低さから能力の証明としてはあまり期待できないという点も事実です。
能力の証明を期待する場合は、試験範囲に重複する部分があるITパスポート試験へのステップアップを考えておくべきでしょう。
必要となる職種
マルチメディア検定の難易度は低いですが、マルチメディアの扱い方やインターネットを用いたコミュニケーション技術に関する基礎知識を学ぶことから、冒頭で述べた通り、ゲームクリエイターと呼ばれるあらゆる人材にかかわりのある資格と言うことができます。
推奨する企業はともかく必須とする企業がないことから、必ず取得する必要はありませんが、ゲームクリエイターになるためには本試験で求められる知識や能力を備えている必要があるといっても過言ではありません。
試験について
試験日程・時間
CG-ARTS検定の試験日程は全科目難易度共通で、7月第2日曜日の前期、11月第4日曜日の後期の年2回です。
開催スケジュールは午前がベーシック(60分)、午後がエキスパート(80分)となっており、1日最大4試験までの併願受験も可能です。
併願受験は午前がベーシック2検定まで、午後がエキスパート2検定までとなっており、試験時間が変更されます。
■CG-ARTS検定の試験時間一覧
ベーシック単願:午前60分
エキスパート単願:午後80分
ベーシック併願:午前100分
エキスパート併願:午後150分
ベーシック単願+エキスパート単願:午前60分/午後80分
ベーシック併願+エキスパート単願:午前100分/午後80分
ベーシック単願+エキスパート併願:午前60分/午後150分
ベーシック併願+エキスパート併願:午前100分/午後150分
受験料
受験料は難易度ごとに共通で、ベーシックが5,600円(税込)、エキスパートが6,700円(税込)です。
併願の場合は受験する試験の数だけ受験料が上乗せされます。
■CG-ARTS検定の受験料一覧
ベーシック単願:5,600円(税込)
エキスパート単願:6,700円(税込)
ベーシック併願:11,200円(税込)
エキスパート併願:12,300円(税込)
ベーシック単願+エキスパート単願:13,400円(税込)
ベーシック併願+エキスパート単願:17,900円(税込)
ベーシック単願+エキスパート併願:19,000円(税込)
ベーシック併願+エキスパート併願:24,600円(税込)
申し込み日程・受験資格
CG-ARTS検定の申込期間は全科目・難易度共通で、大抵の場合は試験の3カ月前から申込が開始されます。
申込はインターネット申込と郵便局申込の2種類で、申込時に希望受験地を設定し、受験地にもとづき協会が指定した会場で受験します。
申込期間中はインターネットから受験検定(同じレベルかつ試験数内)や受験地を変更可能です。
受験資格は特に存在せず、試験難易度も自由に選択できます。
障がい者向けの特別措置も行われており、補聴器やルーペなどの持参使用、試験時間の延長などの措置を受けることができます。
合格発表日
試験の合否は受験日から約30日後に各受験者のマイページで公開され、合否通知や合格証は受験日の約60日後に発送されます。
また、受験日より5日後の金曜日にCG-ARTSの公式サイト上で解答が公開されます。
試験難易度について
出題形式及び出題範囲
ベーシック
マルチメディア検定ベーシックの出題科目は“マルチメディアの特徴”、“デジタル端末”、“コンテンツ制作のためのメディア処理”、“インターネットと通信”、“インターネットで提供されるサービス”、“インターネットビジネス”、“デジタルとネットワークで進化するライフスタイル”、“社会に広がるマルチメディア”、“知的財産権”の9つとなっています。
科目数こそ多いですが、いずれも基礎的な内容となっており、日ごろからコンピュータやスマートフォンといった情報機器に触れていれば答えが出てくるような内容となっています。
人によっては“テキストを購入したが、勉強の必要すらなかった……”というケースもありうる内容なので、まずは公式サイトの過去問から自分がどれだけ内容を理解しているのか確かめてみるのがオススメです。
①マルチメディアの特徴
アナログとデジタル
マルチメディアを構成する要素
ヒューマンインタフェース
人間の感覚
②デジタル端末
マルチメディアを扱う端末
コンピュータの構成
オペレーティングシステム
ポータブル記録メディア
③コンテンツ制作のためのメディア処理
ファイルフォーマット
文書の作成
画像の処理
映像や音声の編集と再生
3次元CGの作成
Webページの作成
④インターネットと通信
インターネットのしくみと役割
インターネット接続
ブロードバンドネットワーク
モバイル通信
⑤インターネットで提供されるサービス
WWW(World Wide Web)
コミュニケーションサービスやツール
インターネット上で提供されるサービス
⑥インターネットビジネス
オンラインショッピング
金融サービス
コンテンツ配信
広告とマーケティング
⑦デジタルとネットワークで進化するライフスタイル
情報家電
テレビと映像コンテンツ
サービスロボット
ゲーム機の変化
⑧社会に広がるマルチメディア
ICカード
街角のマルチメディア
交通
医療と福祉
学術と文化
行政と政治
セキュリティ
個人情報の保護
⑨知的財産権
知的財産権
エキスパート
マルチメディア検定エキスパートの出題科目は“人間の知覚とヒューマンコンピュータインタラクション”、“マルチメディアの処理技術”、“コンピュータのしくみと技術”、“ネットワークと通信”、“マルチメディアアプリケーションの実現”、“インターネットの応用”、“社会に広がるマルチメディア”、“知的財産権”の8つとベーシックから減少しています。
しかし、ベーシックのように普段の生活において実際に触れる機会がある内容は減っており、流石にテキストなどを用意せずに挑戦するのは心もとない難易度となっています。
こちらも過去の問題を確認してから、必要に応じて教材を用意するのがよいでしょう。
①人間の知覚とヒューマンコンピュータインタラクション
情報の伝達とメディアの役割
感覚と知覚
視覚
聴覚
触覚・力覚
記憶と学習
コミュニケーションのしくみとデザイン
ヒューマンコンピュータインタラクション
②マルチメディアの処理技術
マルチメディアの特徴
文書
音声と音響
色
画像
図形
3次元CG
映像とアニメーション
③コンピュータのしくみと技術
ハードウェア
ソフトウェア
仮想化
クラウド
プログラミング
データベース
④ネットワークと通信
コンピュータネットワーク
インターネット
無線通信
ネットワークセキュリティ
電話と携帯端末
放送と通信
⑤マルチメディアアプリケーションの実現
アプリケーションの目的/実例/構成/開発/運用
⑥インターネットの応用
コミュニケーションツール
情報の共有
ネットビジネス
マーケティング
⑦社会に広がるマルチメディア
生活を豊かにするICT
ICTと情報機器の応用
交通
ネットワーク社会
情報リテラシー
セキュリティ対策
⑧知的財産権
知的財産権
著作権
産業財産権と不正競争防止法
合格率
マルチメディア検定ベーシックは、応募者数は後期に多く、合格率はムラこそあるものの6割以上が合格できる形となっています。
一方、マルチメディア検定エキスパートは、応募者数が前期に多く、合格率はベーシックの半分以下となっています。
CGクリエイター検定やCGエンジニアと比較すると、応募者も合格率も低く、3つの試験の中では人気に劣るということがうかがえます。
■マルチメディア検定の応募者数および合格率
●ベーシック
2018年度前期:684/72.0%
2018年度後期:1180/61.0%
2019年度前期:749/65.30%
2019年度後期:1,269/71.80%
2020年度後期:1,608/74.29%
●エキスパート
2018年度前期:619/22.9%
2018年度後期:379/30.4%
2019年度前期:640/25.00%
2019年度後期:480/22.10%
2020年度後期:640/20.86%
過去問
公式サイトで過去2回分の解答および試験問題が公開されている他(検定実施後一週間程度で更新)、CG-ARTSから教材も出版されています。
教材としては『入門マルチメディア』、『実践マルチメディア』が出版されており、前者が初心者向けの入門書で後者はインターネットや情報リテラシーなどの基礎知識の解説書となっています。
前述のとおり、ベーシック試験は難易度があまり高くないので、自信がないということでなければ『実践マルチメディア』からの購入でも問題ないかもしれません。
問題集は『マルチメディア検定エキスパート・ベーシック公式問題集』が出版されており、エキスパート3回分、ベーシック3回分が掲載されています。
自信がある人はこれ1冊で教材を賄うという選択肢もアリかもしれません。
まとめ
記事内で何度も述べたことではありますが、マルチメディア検定では幅広い知識を学ぶことができるものの、求められるレベルが高くないことから資格としての効力はあまり大きくありません。
そのため、必ずしも取得する必要はありませんが、ゲームクリエイターとして活動する上では必ず何らかの形で活用できる知識があることも事実です。
簡単な資格と侮らず、本試験で求められることを自分は理解できているのか一度は試してみるのもよいかもしれません。
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