今人気急上昇中の「アナログゲーム」!ゲーム開発視点でチェックすべき点


 
近年、さまざまなボードゲームやカードゲームが登場し、多くの人に楽しまれているので、「アナログゲーム」という言葉が多く使われるようになりました。その一方で「アナログゲームって何?」という人も存在するでしょう。
 
そこでこのコラムは、「アナログゲーム」という言葉の意味や、おおまかな種類を解説したうえで、ゲーム開発者の目線から、最近のアナログゲーム事情を語っていきます。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
 

1. アナログゲームとは

この項目では、まず「アナログゲーム」とはそもそもどんなものか、という点から整理していきましょう。
 

1-1. アナログゲームのタイプ

「アナログゲーム」という言葉について、世界的に統一された定義は無いと思われます。とはいえ、このコラムを書く上での分類は必要なので、あえて定義していきましょう。
 
近年のデジタルゲームに馴染んでいる私たちにとってわかりやすい表現を取るならば、アナログゲームとは、ゲーム機やパソコン、スマートフォンなどデジタル環境下でプレイする「デジタルゲーム」の対義語と考えて良いでしょう。
 
例えば、古くから存在するすごろくやトランプ、将棋や囲碁、花札や福笑いなどもアナログゲームに含まれます。また、近年増えているボードゲームやカードゲームのほか、立体的なパーツを使うジェンガや黒ひげ危機一髪などもアナログゲームの範囲です。
 
「電源の有無」でデジタルゲームとアナログゲームを分ける記事も見られますが、例えば電池を使って光る機能があるボードゲームが存在した場合、それはデジタルゲームとは言わないでしょう。世の中には「アナログ家電」という言葉もあり、電源を利用すること=デジタルではありません。
 
ここでは学術的な話は避けますが、プログラムなどの情報処理を行うことを「デジタル」と定義するならば、機械または電気的な情報処理や制御を含まないゲームこそが「アナログゲーム」と呼ばれるにふさわしいでしょう。
 

2. 人気・定番のアナログゲーム

この項目では、多くの人に人気がある定番アナログゲームのタイプを5つ挙げます。ただし、ここで挙げる分類は確定的なものではなく、異なる分け方をする人もいると思われます。そのため、あくまでも参考とお考え下さい。
 

2-1. ボードゲーム

ボードゲームは、名称の通り専用のボード(ゲーム盤)を用いてプレイするものです。日本人になじみ深いもので言えば、すごろくや人生ゲームもボードゲームです。また、より古いものでは将棋や囲碁、チェスやオセロもボードゲームに含まれるでしょう。
 
世界に目を向けると、「カタン(カタンの開拓者たち)」は1995年にドイツで発売されており、2022年4月に4000万個を超える販売数を記録して、ボードゲームの代表的な存在となっています。
 

2-2. カードゲーム

カードゲームも古くから存在しています。日本では、年齢性別に関係なくトランプは広く普及していますし、花札や百人一首、UNOもカードゲームに含まれます。
 
一方、トレーディングカードゲームは上記の古典的なものとは別のジャンルに分類されることが多いです。1993年にアメリカで発売された「マジック:ザ・ギャザリング」がトレーディングカードゲームの始祖と言われています。日本でも1990年代以降、「ポケモン」や「遊戯王」などのトレーディングカードゲームが大流行した歴史があります。
 

2-3. 立体ゲーム

立体ゲームには、ジェンガのようなバランスゲームや、ルービックキューブのようなパズルゲーム、黒ひげ危機一髪などのパーティーゲームなどが含まれます。
 

2-4. ダイスゲーム

ダイスとはサイコロのことですから、サイコロを使っていればすべてダイスゲームと言うこともできます。そのため、ボードゲームに分類されるものと被ることもあるでしょう。
 
また、丁半(ちょうはん)やチンチロリンなどは博打(ばくち)のイメージもありますが、サイコロの重要性が高いゲームでもあります。
 

2-5. テーブルトークRPG

テーブルトークRPGは、会話をしながらロールプレイングゲームを進めていくものです。TRPGと略されることもあります。世界観を記載したルールブックを見ながら、複数の参加者でゴールを目指すスタイルで、多くの場合は1人のゲームマスターを必要とします。
 
「RPG」とついていることから、日本ではゲーム機やスマホを利用するデジタルゲームを考える人が多いかもしれません。しかし、ゲームの進行は、ゲームマスターが用意したシナリオと、参加者の会話、さらにサイコロの目で決まるので、すべてがアナログです。
 
参加者はゲームのキャラクターになりきってプレイする楽しみがありますし、サイコロで予想外の展開が起こる点で緊張感も味わえます。
 

3. ゲーム開発者視点で見る、最近のアナログゲーム事情

この項目では、ゲーム会社開発者の視点から、近年のアナログゲーム事情を解説していきましょう。
 

3-1. Youtubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトの影響でテーブルトークRPGが人気

デジタルゲームをプレイする動画は、すでに何年も前からプロゲーマーや有名人に限らず、一般の人が配信するものもあり、動画の一ジャンルとして確立されています。
 
そんな中で、アナログゲームも、Youtubeやニコニコ動画などで多数配信されており、人気を獲得しているチャンネルが多数あります。
 
例えばTRPGの一ジャンル的な扱いになっているクトゥルフ神話は、動画の世界で高い人気を集めています。クトゥルフ神話は、そもそもアメリカで20世紀に生まれた小説が原点ですが、世界観は多数の作品に受け継がれています。そのため、TRPGファンとクトゥルフ神話ファンの両方が人気を盛り上げている側面もあるのです。
 

3-2. 気軽に遊べる「人狼」要素はインディーゲームでも好調

「人狼」要素を持つゲームはアナログのカードゲームで始まっていますが、近年はデジタルゲームでも多くの人に楽しまれています。
 
「人狼」の始祖は、1986年にロシアで生まれた「Mafia」だと言われています。その後2000年代になってアメリカで生み出された「汝は人狼なりや?」や、日本で発売された「タブラの狼」はかなり一般化しました。
 
人狼要素をうまく生かしたデジタルゲームとして大ヒットしているのが、アメリカで開発された「Among Us」です。このゲームは宇宙を舞台にした人狼要素ゲームで、開発したのはインディーゲーム会社です。2018年のリリース時には大きな反応はなかったのですが、2020年に有名ストリーマーが紹介したことをきっかけに、世界中で人気となり、「この年、世界中で最も遊ばれたゲーム」とも表現されました。
 

3-3. あえてアナログ要素を演出するゲームが増加

人狼ゲームやボードゲームが世界各国で楽しまれていることを受けて、最近はデジタルゲームでも「あえてアナログ感」を出すことで「むしろ目新しい」という評価を狙うタイトルが複数生まれています。
 
もちろん、開発する側としては、アナログゲームファンをユーザーとして取り込みたいという意識もあるでしょう。
 
次の項目では、その代表的なタイトルを紹介しましょう。
 

4. デジタルであえてのアナログ!?アナログゲームをモチーフにしたタイトル

この項目では、デジタルゲームでありながら、あえてアナログゲームをモチーフとしているタイトル(シリーズ)を3つ紹介しましょう。
 

4-1. 世界のアソビ大全51

任天堂が2020年にリリースしたタイトルです。名称の通り、51の「アソビ」をSwitch上でプレイすることができます。
 
その中には、将棋や五目並べなど日本人に愛着があるゲームのほか、ブラックジャックやポーカーなどのトランプを使ったゲームもあります。さらに、ゴルフやフィッシング、エアホッケーやダーツなど一般に知られた内容があるだけではなく、アフリカの知育ゲーム:マンカラや、ヨーロッパのすごろく:ルドーなど、幅広い「アソビ」を楽しむことができます。
 

4-2. Voice of Cardsシリーズ

「Voice of Cards」シリーズは、スクウェア・エニックスが2021年からリリースしています。2022年12月現在は3作品が出ています。
 
アナログ感のあるカードは美麗に書き込まれていますし、有名声優がゲームマスターを務めていることや、独特なクセを持つシナリオ展開など、多様な魅力があふれるシリーズです。
 

4-3. INSCRYPTION

「INSCRYPTION」は、アメリカのインディーゲーム会社Devolver Digitalが2021年にリリースしたタイトルです。
 
このゲームは、一見するとアナログ感のあるローグライクなカードゲーム(Slay the Spire系)と予測する人が多いでしょう。しかし、デッキを工夫しながら敵を倒す、といったカードゲームのセオリーは若干薄めで、むしろ謎解き要素やサイコロジカルホラー要素、脱出要素などを強く持っており、プレイヤーは予期せぬ展開に翻弄されることでしょう。
 
PC版がリリースされて約3ヶ月で100万本売れるというインディーゲームとしては大ヒット作品となっています。また、国内でも「日本ゲーム対象2022」のゲームデザイナーズ部門で大賞を獲得するという高評価を得ています。
 

5. まとめ

近年話題に上がることが多い、「アナログゲーム」について、言葉の意味や大まかな種類をまとめたうえで、デジタルゲーム開発者の目線から、近年のアナログゲーム事情を解説しました。さらに、アナログゲーム感を意図的に演出する近年のデジタルゲームも紹介しています。
 
アナログゲームは、世界各国で古くから娯楽として生み出され続けているので、無限に存在すると言っても過言ではありません。その中でトランプや麻雀、将棋やチェスなどは長い歴史を持ちながら、現在も多くの人に楽しまれていますし、デジタルゲームでも広く親しまれています。
 
また、古くから伝わるものばかりではなく、20世紀に登場したテーブルトークRPGなどは娯楽にあふれた現代でも、多くの人が進んでプレイするほどの人気を得ています。
 
今後もTRPGやボードゲームは次々と生み出されていくでしょうし、そのアナログ感をあえて取り入れたデジタルゲームも多数開発されていくことでしょう。
 

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