ゲームをシリーズ展開していくメリット・注意点とは?マンネリ打破のポイント
ある程度ヒットしたゲームは、シリーズ化されるケースが多く見られます。シリーズ展開をすると前作の人気を引き継げる可能性もありますが、注意点も複数存在します。
そこでこのコラムでは、ゲームをシリーズ展開していくことのメリットや注意点のほか、マンネリ化を防ぐポイントなどを解説します。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
1. ゲームのシリーズ展開の種類
この項目では、まずゲームのシリーズ展開の手法について解説します。
1-1. ナンバリング
「ナンバリング」とは、番号を着けることでシリーズ作品であることを示す手法です。
例えば『ドラゴンクエスト』シリーズや『ファイナルファンタジー』シリーズ、『バイオハザード』シリーズには、番号が着いたナンバリングタイトルと、番号がついていないスピンオフ的な作品があります。
ナンバリングタイトルは、前の作品の続編であったり、キャラクターや設定を受け継いでいるもの、あるいは時間的に未来や過去であったりするものが多いです。とはいえ、ナンバーを付けたら必ず設定やキャラクターを引き継ぐという決まりがあるわけではありません。例えば『ファイナルファンタジー』はナンバリングシリーズでありながらも、作品ごとに独立した世界が描かれることが多く、むしろその点が特徴となっています。
1-2. スピンオフ
ヒットしたタイトルに「2」などの番号を着けてシリーズ化するのではなく、世界観や特定のキャラクターだけを活かしたスピンオフ作品でシリーズ展開されることもあります。
例えば『ドラゴンクエスト』では、ナンバリングタイトルとは別に『モンスターズ』シリーズが存在しています。ナンバリングタイトルは勇者の冒険を楽しむファンタジーRPGですが、『モンスターズ』シリーズはモンスターの育成や対戦がメインなので、楽しみ方が大きく異なります。
2. 代表的なゲームシリーズ作品
この項目では、日本における代表的なゲームのシリーズを紹介し、簡単に説明します。
・ファイナルファンタジー
1987年から続くシリーズで、日本を代表するRPGです。2023年現在、ナンバリングタイトルが16作出ています。
・ドラゴンクエスト
1986年の第1作以来、日本のRPGをけん引してきたシリーズです。2023年現在ナンバリングタイトルが11作リリースされています。
・マリオ
任天堂の「マリオポータル」を見ると、マリオの歴史は1985年から始まっています。その後、カートやゴルフ、テニスやバトルなどさまざまなコンセプトでマリオは活躍しています。
・ゼルダの伝説
1作目は1986年にリリースされており、それ以来多くのファンを獲得し続けています。シリーズ内の歴史も各所で語られていますが、歴史の分岐もあって一本道ではなくなっています。また派生作品もあり、現在はさまざまなゼルダを楽しむことができます。
・ポケットモンスター
1作目は1996年にリリースされており、ナンバーではなく、赤や緑などの色や、ルビーやダイヤモンドなどの宝石がタイトルとなっていることが多いのが特徴的です。
・バイオハザード
第1作は1996年に発売され、サバイバルホラーと呼ばれるジャンルを確立してきたシリーズです。ナンバリングシリーズのほかにスピンオフ作品も複数あります。
・ストリートファイター
日本の格闘対戦ゲームの代表的存在です。2023年現在、ナンバーは6まで存在しますが、例えばⅡがシリーズ化されるなど、何度もリリースされているシリーズとしても知られています。
・モンスターハンター
2004年リリースの第1作目以来、メインシリーズのほかに、ポータブルシリーズなどが派生しており、さらにスピンオフ作品が複数リリースされています。
・テイルズ(オブ)
1995年リリースの『テイルズオブファンタジア』が、ストーリーの面白さとキャラクターの魅力で絶大な人気を獲得し、「テイルズ オブ」シリーズ化されています。本編は「マザーシップタイトル」、外伝は「エスコートタイトル」として区別されています。
3. ゲームをシリーズ展開するメリット
この項目では、ゲームをシリーズ展開するメリットについて解説しましょう。
3-1. 完全オリジナル作品よりも安定して売上を伸ばせる可能性が高い
ゲーム開発には時間も費用も掛かります。そのため、売れるかどうかわからない新作ばかりを作り続けるのは常にリスクを背負い続けることでもあります。
一方、ある程度ヒットしたタイトルの続編であれば、一定数のユーザーが見込めるので開発への投資もしやすいという実情があります。
3-2. 会社を挙げて「◯◯といえばこのシリーズ」という看板的なイメージをもたせられる
ゲーム業界の中で地位を確立している会社には、「看板」と呼べるタイトルやシリーズがあります。例えば、スクウェア・エニックスと言えば、『ファイナルファンタジー』シリーズや『ドラゴンクエスト』シリーズなど世界的に有名なタイトルがありますし、任天堂にも『マリオ』シリーズや『ポケットモンスター』シリーズなどが存在しています。
シリーズ化されればゲームに詳しくない人にも名前が知られやすいので、会社自体の知名度を上げることにも役立ちます。
3-3. 前作で作った世界設定やシステム、グラフィックなどを再利用できることがある
シリーズ化する場合、前作の世界観やキャラクターを引き継げるので、すべてをゼロから生み出す苦労を軽減できる場合があります。
とはいえ、何の変化もないとユーザーからは飽きられてしまうので、仮に同じキャラクターが出るとしても、続編向けのデザインが行われることが一般的です。また、わずか数年の間でもゲーム開発の技術は大きく進歩するので、前作の映像などをそのまま使えることはそれほど多くはありません。
4. ゲームをシリーズ展開する際の注意点
この項目では、ゲームをシリーズ展開する際に注意すべき点を解説しましょう。
4-1. 工夫や新しい試みをしなければマンネリ化・テンプレのレッテルを貼られるリスクがある
過去に人気を得た作品でも、ほとんど変わりない作品がリリースされた場合、多くのユーザーは満足しません。むしろ前作を意識しすぎて、新しい部分が無い場合、「マンネリ」、「ネタが尽きた」など酷評される可能性もあります。
また、シリーズ化と言っても、前作からストーリーやキャラクターをそのまま継続する方法もありますし、世界観やゲーム性以外は一新してしまうなど、手法はさまざまです。
そのため、シリーズ展開を成功させるには、「何を残して何を変えるのか」をしっかり考える必要があります。
4-2. 「過去作をプレイしていないとダメなのでは」と考え購入を控えるユーザーが一定数現れる
「続編」と聞くと、「前作をプレイしていないので手を出しにくい」と思う人は一定数います。そのため、シリーズ化する場合、新しいユーザーが入りやすい工夫を行う必要があります。
例えば前作とそれほどストーリーなどのつながりが無い場合、「前作をプレイしていなくても楽しめる」という告知を行う方法は有効です。また、前作からの続きの要素が強いのであれば、シリーズ新作の発売前に前作に触れやすくするキャンペーンを行うのも良いでしょう。
シリーズ化されるということは、前作は高評価を得ており、プレイしていない人にもそのうわさが届いていることは十分に考えられます。そのため、プレイのきっかけを作るような広告戦略を行うなど、参入のハードルを下げる取り組みを行いましょう。
4-3. シリーズものばかり作っているとユーザーからの会社の評価が下がる可能性がある
シリーズものは前作のファンには歓迎される傾向が高く、一定数のユーザーを獲得できるメリットがあります。しかしその一方で、新作を強く求める人からは、「新しいチャレンジをしない会社」、「新たな発想が無い会社」とネガティブな反応があるでしょう。
また、シリーズものはファンだけではなく、否定派も引き継ぐことになります。特に個性的な作品ほど、肯定的評価の裏側に否定的意見もあります。そのため、「なぜあんな作品をシリーズ化するのか?」といった批判を受けることもあるでしょう
5. ゲームのシリーズ展開にありがちなマンネリ化(ユーザー離れ)を防ぐポイント
この項目では、シリーズ展開したときに起こりがちなマンネリ化や、飽きによるユーザー離れを防ぐためのポイントを紹介します。
5-1. 作品ごとにテイストの変更や創意工夫を心がける
シリーズ化する場合、前作から踏襲する要素と、変更する要素を決めることや、踏襲するとしてもその部分に創意工夫を凝らすことが重要です。
例えば、バイオハザードシリーズでは、ナンバリング1~3では「ラジコン操作」と呼ばれる独特の操作性で、ヘリコプターを操っているような感覚が特徴的でした。しかし、4~6では視点をTPSにして背後も見渡せるように工夫されています。さらに、7以降はFPS視点を採用しており、手元だけが見えることで没入感を高める演出が重視されるようになりました。
このように操作性が大きく変われば、必ず「以前の方がよかった」という声も出るでしょうが、作り手が強い意志を持って変化を取り入れていくこともシリーズを長く維持する要素となります。
5-2. 前作に盛り込んで評価が好評だった・イマイチだったシステムをしっかり意識して再構築する
シリーズものであれば、各リリース時の評価をしっかり受け止め、システムやキャラクター性、ストーリーなどの賛否を分析する必要があります。
近年は特にSNSやレビュー、ゲーム実況などが豊富に存在することで、ユーザーの生の声は届きやすくなっていますから、高評価だった部分と不評だった部分との棲み分けをしっかり行いましょう。
5-3. シリーズの根幹を成す要素、逆に変えてよい要素をしっかり考える
前の項目で、前作の評価を調査し次回作に活かすという趣旨を書きましたが、それはユーザーの指摘に迎合するということではありません。例えば「展開が遅い」、「途中で退屈する」という指摘があっても、単純に展開を早くすれば良いとは限りません。仮に重厚な世界観が特徴のゲームであれば、安易に展開を早くして重厚さが失われては、シリーズの根幹が崩れてしまう可能性もあります。
上記のような例であれば、ゆったりした展開のままユーザーを退屈させない工夫を盛り込むなど、シリーズの重要な要素を守りながら、評価を高める努力が必要です。
6. まとめ
ゲームのシリーズ展開について、シリーズ化の手法や有名シリーズを紹介したうえで、注意点などをまとめました。手塩にかけたタイトルが評価され、シリーズ化して長く愛されるようになるのは、ゲーム開発者にとって大きな名誉ですし、ゲーム会社にとっても収益を上げるチャンスとなります。
それだけに、せっかくシリーズ化にこぎつけた後に、「前作は良かったのに今回はつまらなかった」といった酷評を受けるのは避けたいところです。
シリーズ化する上では、何を残し、何を変えていくのかをしっかりと考え、長く支持されるシリーズを目指してください。
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