【訪問レポート】『パズル&ドラゴンズ』を開発・運営するガンホー・オンライン・エンターテイメントで活躍できる人材とは!?
GAME CREATORS編集部がゲーム企業へ訪問し、聞いてきた内容を紹介する「訪問レポート」!
今回は、17年間続くPCオンラインゲーム『ラグナロクオンライン』や誰もが知っている『パズル&ドラゴンズ』を開発・運営している、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社(以下ガンホー)にお邪魔し、主に就職希望者が気になっている情報を聞いて来ました!
●新陳代謝のために若い人が必要
――今回は訪問レポートということで、ガンホーがどんな企業なのか。また、ガンホーにおける仕事のやり方や、求める人材などについてお話を伺いたいと思います。まずはガンホーという会社の強みについて教えて下さい。
当社はPCの『ラグナロクオンライン』を日本で運営するために2002年に設立された会社です。
設立以来、運営業務やマーケティング、ユーザーサポートを含め、ほとんどの業務を一貫して社内で行う形を継続しています。
もちろん、協力会社さんにお願いしている作業もありますが、それも社内にお越しいただき、一緒のチームになってゲーム作りや運営を行っている。
我が社にお越しいただければ、社内外含め、経験豊富なメンバーと同じチームでゲームを作ったり、運営したりという経験ができます。
これまで運営してきたタイトルとして複数のMMORPGだけでなく、過去には格闘ゲームからTPSまで様々な実績があります。
現在も、PC、コンシューマ、スマホを含めてありとあらゆるジャンルのゲームを手掛けています。
だから特定のジャンルにこだわることなく、面白いと思うことはやってみるし、社内に様々な知見が溜まっている。
それこそユーザーサポートでも、サーバー関連でも……デバッグだけは、外の会社さんに大部分の協力をお願いすることも多いですが、社内でいろんな経験ができます。
ひとつのことに尖っていくよりは、広い視野で「面白いことってなんだろう?」と考え、挑戦していけるのがうちの会社の魅力です。
――いま社内的にチャレンジしていることで、特に読者さんに対して推しておきたいことはありますか?
どこの会社でもやっていることですが、いま力を入れているのは、チームの新陳代謝です。
できるだけ新しい人間を入れて、チームを若返らせようとしています。
それはゲームを長く運営していくためでもあるし、新しいメンバーがそれまで気付けなかった、手を付けていなかった部分を見直してくれるという期待もある。
経験を積んだ人間が新しいプロジェクトに移動してリーダーや担当セクションのメインを張るようになり、また別の経験ができる面もあれば、教えられていた人間が教える側に回ることで、いい感じに巡って行くという面もある。
それにより、いろんなゲームで新しい取り組みが実現できていると思います。
――代替わりのサイクルというのは、具体的にどのくらいの期間で行われるものなのでしょうか?
ゲームを作った人がずっと運営し続けるパターンというのもあるのですが、そうでなくとも大体リリース後1年間くらい、同じメンバーが運営しています。
1stアニバーサリーを迎えて次に何をやるかというタイミングで新しい人を入れたいので、大体1年が基準ですね。
あとは新しいプロジェクトを立ち上げる時に成功、または失敗の経験を積んだ人間を活かしたくて、マネジメント都合で既存チームのメンバーを抜くことがある。
するとサブだった人間がメインになって順番に繰り上がって、下に人が入る、というパターンもあります。
これはサイクルというより、新しいプロジェクトが立ち上がったタイミングに合わせての新陳代謝ですね。
どちらにせよ、若い人にバトンを渡す形にしている。
そのタイミングで「失敗してもいい。君たちのタイトルになったんだから、キミたちが決めて、キミたちが実現するんだ」という話はします。
それで、若手側もせっかくのチャンスだから頑張れる、という形がどのプロジェクトでもあるかなと。
――失敗した人間でも、それを経験として次のプロジェクトを任されることがあるんですね。会社の文化なのでしょうか?
当然、会社としてクオリティやゲーム性はチェックして、一定のラインを担保している。
それでも、世に出したものがお客様に受け入れられるかは、出してみないとわからないんです。
例え喜んでいるお客様がいても、アップデートの受けが良くない場合もある。
そういったゲームは数字としては失敗という結果が出るし、実際に会社としてもそう受け止める面もあります。
ただ新しいチームが、自分たちで考え、大きなトラブルもなく実装してお客様に遊んでもらえた。
それで能力としては、既に合格なんです。
それができるのであれば、次のアップデートや新しいプロジェクトを任せても問題ない。
お客様が何を求めていて、自分たちはどうすべきだったか、自ずと省みてくれるリーダーなりチームになるんですね。
その人たちは新しいプロジェクトでも、ちゃんとリカバーできる。
失敗を経験した人間のほうが真剣に考えるので、マネジメント側から「数値の結果は出なかったけど、最後までやりきった点を評価する」と、次の挑戦をさせてあげることはよくあります。
――風土として、恐れることなく挑戦できるシステムがあるんですね。公式サイトの社長メッセージにも挑戦と創造が掲げられていましたが、実際にそうなっている。
そうですね。
基本的に私たちマネジメント側は運営の責任者なので数字を見るし、チームにも言うけど、実は私たちより上のレイヤーから数字の話はされないんです。
されないというか、問い詰められない。
唯一あるのはトラブルが発生した時に、なぜ起きたか、どう解決するのか、今後どうするのか、に対して説明を求められます。
そこをクリアできれば、何をチャレンジしてもいい。
新しいゲームに関しても同じで、「これってリクープできるの?」とか「市場性はどうなの?」とかいう話は、ゲームの企画やプロトタイプを作る時点でまったくされないんです。
もちろん人と時間のコストを考えて、プロジェクト化しないことはあります。
ただうちで最初に検討するのはそこではなく、「それって面白いの?」なんです。
誰もやっていなくて価値がある新しいことなのか、面白そうか、という部分を見る。
……まぁデメリットとして、「面白いかどうか」のジャッジが厳し過ぎて、あまりタイトルをたくさん世に出せないという側面があったりはするんですが。
――企画があまり通らないんですね。といってもいまいちイメージできないので、どのくらい企画が提出されて、どのくらい通る、みたいな数字ってわかりますか?
プロトタイプとか本開発とか、ステータスはバラバラですが、大体社内で常時5本から10本は企画が動いています。
その下の企画の数は、把握できていません。
というのも、うちは社内の新規企画が承認されて役員に上って、というフローが明確じゃないんです。
やりたいことがあれば、自分で資料をまとめて周りの人間を巻き込んで、社長の森下に持って行って直接話をする。
それ以前の過程として相談や確認はあるのですが、私やほかの役員、自分が所属するプロジェクトリーダーの承認は一切必要ない。
だから相談に来たら「この資料じゃわからない」とか「ここを突っ込まれるよ」とかは言うんですが、社内に個人が企画している企画がどれだけ存在するかは正直不明です。
――まるでスタートアップやベンチャー企業の企画ですね。大きい会社は自分のやりたいことをやれなくて言われたことをやる、というイメージがあるのですが、そうではない。
若い子にはすごくいい環境だと思います。
ただ「一から十まで自分で企画したゲームを世に出したい」というのが一番の目的なら、「うちの会社じゃないほうがいいですよ」と、中途採用の企画志望やディレクター志望の方には言います。
新企画は本当に面白いのか、革新的なのかがジャッジされ、個人が考えた企画がそのまま通る確率はかなり低いので。
――中途でも、既存タイトルに新しい価値をつける部分がやりたい人には、ピッタリですね。
これは自分たちのタイトルだ、という考えで仕事ができる人には充実感があると思います。
ただそうなると、新陳代謝でメンバーを入れ替える際、タイトルから離れてもらうのが大変ですけどね(笑)。
――ずーっと同じタイトルに残る人もいるんですか?
もちろんいますよ。
入社してからひとつのタイトルしかやってないって人もいます。
ただ長く続けていても、そのチームやタイトルのなかで、役割が変わって行く。
なので、同じことをやり続ける訳ではありません。
●求めるのは”やり込み”を語れる人!
――ガンホーはプラットフォームにこだわらずにゲームを開発している印象があります。
この間『TEPPEN』というゲームを発表しました。
あれもうちの森下がカプコンさんと、「何か新しいゲームを一緒に作りましょう」という話をしたのがスタートなんです。
だから「こういうカードゲームが作りたい」から始まった話ではない。
『妖怪ウォッチ ワールド』にしても、レベルファイブさんにコラボしませんか、という話を持って行ったら、せっかくだからもっと面白いことをやろうという話になった。
そこから何をやるかと考えた時に、当社には『パズドラレーダー』で位置情報ゲームのノウハウがあったので、それを使って『妖怪ウォッチ ワールド』を考えた。
そういう風に何かしらの「面白いこと、新しい何か」から企画が始まっているので、プラットフォームもゲームの形も、企画に合わせて最適な形を探すんです。
――このIPだからプラットフォームにプレイステーションを入れておこう、という企画ありきの話ではないんですね。
森下はどうやったら多くの方に、特に子供たちに自分たちのゲームを遊んでもらえるのか、という視点をすごく大事にしています。
だから最初からSwitchで子供にも遊んでもらえるもの……それ以外は何も決まっていない。
みたいな企画もあるけど、通常はやりたいことがあって、それに最適なプラットフォームなりジャンルなりを模索するところからスタートすることが多いですね。
社内も開発本部というひとつの組織で動いていて、それ以外の縦割りも横割りもセグメントも、一切ない。
全部プロジェクト単位で動いている。
だからスマホの部署、コンシューマの部署みたいなものがなくて、並列なんです。
コンシューマの経験しかない人間にも「スマホのタイトルをやって」という話をするし、本人が了承すればやってもらう。
スマホのゲーム作っている若手にコンシューマやりたいという人間がいて機会さえあれば関わることもできるし、コンシューマをすごい長い期間作ったから、今度はスマホでお客様の反応を随時もらいながら開発したいという人もいます。
――そんな体制の社内で、ガンホーが求めている人材について教えて下さい。新陳代謝のために若い人が欲しいという話はお聞きしましたが……。まず、読者にわかりやすいよう頂いた資料の内容を確認してから、その他のポイントを聞いていきましょうか。
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【ガンホーが求める人材】
・自分にできる事を全力でやり切れる方
・できる事をふやす意欲があり挑戦できる方
・諦めない方
・面白さの追求ができる方
・コミュニケーションが取れる方
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ここに書いてある通りなんですが、前提として、まず若い人が即戦力になるとは思っていません。
そこは入社してから学んでくれればいい。
ただ面接でひとつだけでいいから、他人に自慢できるものを語って欲しいんです。
それはゲームのやり込みの話でもいい。
聞きたいのはただ単に時間をかけてやった、という話ではなく、目標を立てて、試行錯誤をして、その結果どうなったのかという話です。
ゲームのやり込みって、ひとつの才能だと思うんですよ。
面接に来るのはゲームが大好きな人ばかりなので、「あなたのやり込みを教えて下さい」と聞くと、語ってくれる。
そこから、なぜやろうと思ったのか、何が上手くいったのか、なぜ途中で折れなかったのか、という話を聞き込みます。
この話がちゃんとできる子というのは、あとから専門学校の先生に聞くと、集団制作だけど実質ひとりでゲームを作った、みたいな人だったりするんです。
――即戦力でなくていいというお話は、社内の教育に自信があるということですよね。そこが分かっていれば、若い子も安心して入って来れるかと思います。
新人はちゃんと自分で考えて行動できる素養があれば、技術や知識はなくて大丈夫です。
どのプロジェクトに興味があるかという話と、受け入れる側のプロジェクトにちゃんと教育できる余裕があるのか、という部分はこっちで調整します。
あとはプロジェクトに配属されたあとでも、メンター、いわゆる新人のお師匠さんになる人なんですが、この人と合う合わないがある。
もし合わなかった時に、そのプロジェクトとメンターが仕事のすべてになると逃げ場がない。
あとは辞めるしかないとなるとリスクが高いしお互い不幸なので、プロジェクトと関係ない研修にも参加してもらっています。
この研修はタイトルやプラットフォームに関係ない、ミスをなくすためには、とかエンジニアとの付き合い方、とかそういう内容で、マネジメントレイヤーや管理側の人間が開催する。
だからここで直接メンターに言えないことや、合う合わないという話があれば、聞くことができます。
一応、ちゃんと考えてメンターにつけるので大概は大丈夫なんですが、大丈夫じゃなくても逃げ道は用意してあるという話です。
それもあって新人は「これができる」というよりは、「何をやりたい」、「何が得意」、というものがあるほうが、それを活かすプロジェクトに送ってあげられるのでありがたいですね。
――ガンホーの講習はちょっと受けてみたいんですが、具体的にどんな内容なんでしょうか?
うちはいわゆる新卒採用という形で新卒を一気に採用する訳ではないので、毎年決まった時期に新人研修を一定期間やるというよりは、必要に応じて若い子を集めて講習、という形で定期的にやっています。
もちろん若手だけでなく、運営に関わる人間が誰でも参加できるような講座もあります。
例えばデータ分析のチームが、依頼されて渡したデータがちゃんと活かされているのかフィードバックがないのでわからない。
だからこういう風に使って下さいとか、こういうデータが出せます、といった声をあげたので、講座を開いたこともあります。
あとはミスをなくすための取り組みは、ミスが死に直結する医療や航空業界に倣うべきだと考えた人物がいて、彼がいろいろ調べて、手に入れた知識を社内に展開した講座もありました。
これはすごく面白かったし、仕事上でも役に立った。
さっきも言った職種ごとの付き合い方講座、みたいな割とカジュアルな内容のもあります。
エンジニアが眉間にしわを寄せている時は手が動いていなくても真剣に考え事をしているから、なるべく話しかけない、とか(笑)。
●新しくて面白いことを考え続ける!
――ガンホーは7時間労働が基準で残業があまりないと聞いているのですが、働き方改革の影響はどのくらいあるのでしょうか?
マネジメント側のケアで、全体の残業時間は減らせます。
具体的には若い子を追加で入れてチームの編成を豊かにして、負荷分散するとかですね。
ただプロジェクトのキーマンとか、「これは俺のタイトルだ」と思っている人間って、誰からも強制されていないのに残業しちゃうんですよね。
そういう人には雑用を引き受けてあげるとか、本当にコアな部分だけに集中してやれる環境を作ってあげたりはします。
あと、うちはもともと盆暮れ正月に使うことを想定した6日間の特別休暇があるんです、実際に休む時期はいつでも構わないのですが。
それは有給休暇と違って1年で消えてしまうので、プロジェクトの進行に合わせて、必ず取るようにしようということにはなっています。
有給休暇もプロジェクトの佳境でもない限り、取りやすいようには配慮していますよ。
取ってない人には、来年に持ち越せないぶんくらいは取るように指導もしますしね。
ただ、本格的に有給休暇の100%取得を目標に掲げているような企業のような数字は出せません。
取れないんじゃなくて、仕事にやりがいを感じているとか楽しくて仕方ないとか理由は様々ですが進んで取らない人がいるので。
それはそれで個人の自由なので、健康を害さない範囲であれば良いと判断しています。
管理側としては休める時は休んで欲しいですが。
――社内の割合的には、協力会社の人間が多い感じですか?
そうですね。
全部社内でやれるのが理想ですけど……。
プロジェクトにもよりますが概ね社員と協力会社の方で半々くらいでしょうか。
新卒採用という形の募集をずっとしてなかったんで、若い方向けの募集をし始めてからもなかなか応募が来ないんですよ。
だからこれからは若い方にもっとガンホーを知ってもらって、、入社してもらい、一緒に面白いことができるように育てていきたいというのがうちの方針です。
2018年のTGSへ出展した際に『Ninjala』の専門学校対抗イベントをやったんですが、その優勝の副賞が森下の講義……が受けられるかもしれない権でした。
半年後くらいにその講義をヒューマンアカデミーさんでやらせていただき、森下も面白かったと言っていたし、学生さんにも喜んでいただいて、予定時間を相当オーバーしました。
そういう活動で、専門学校生にガンホーを知ってもらって、といったことを少しずつやっているところです。
――いまも少しお話がありましたが、今後の展望について教えて下さい。
直近で話題になっているところだと、Google社が発表した『Stadia』をはじめとしたクラウドゲームサービスがあります。
私たちの主たる事業はオンラインゲームサービス事業ですので当然注目しており、これまでと同じく、こだわりなく新しいものを取り込んで行くつもりです。
例えばVRなんかも、正式なタイトルとしてはリリースしていませんが、ガンホーフェスティバルで『パズドラ』のVRを作って、来場いただいたお客様に遊んでいただいたことがある。
ARもそうだけど、新しい技術が出て来た時にやってみたい、調べてみたいという人間がうちには山ほどいるんです。
そこでやってみて面白いかどうか、お客様の反応がどうか、というのは常に調べています。
――あとは全体のまとめとして、ガンホーファンや採用を目指している方へのメッセージをお願いします。
面接の時に話すのは、普段どういうゲームをプレーしていて、なんでそれを面白く感じているのか、なぜ続けているのか、という話です。
これはゲームについて自分はどう考えていて、どうしたいのかが話せる、というのを社員の前提にしたいからです。
それプラス、何かひとつでも武器があれば、あとは会社と合う合わないだけなので、まずは気軽に話を聞きに来るつもりで応募してみて下さい。
――ありがとうございました。
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