「ポケコロ」「猫のニャッホ」のココネに聞く“暮らすような会社”が生み出す効果

 

ココネ株式会社は今年2020年で創業12年目を迎えており、人気声優の梶裕貴さん・小野賢章さんとのコラボレーションを実施した『ポケコロ』や主人公役の声優を杉田智和さんが務めたことで話題を集めTVアニメ化も果たした『猫のニャッホ~ニャ・ミゼラブル~』を展開しています。

 

社員が働きやすい環境を整備するためにさまざまな取り組みやイベントを行っており、2018年から3年連続で日本の“働きがいのある会社”ランキング・ベストカンパニーに選出されました。
今回はココネが東京オフィスを六本木から三軒茶屋に移転したということで、取締役弁護士・石渡真維さんに新たなオフィスのコンセプトやそこに通う社員に対する思いに関するお話を伺いました。

 

石渡真維さん

 

※記事内におけるココネのオフィス内の写真は、移転作業の途中の状態のものです。
※インタビューは2020年7月に実施されたもので、内容もそれに準じたものとなります。

 

――まずは、簡単な自己紹介をお願いいたします。

 

取締役弁護士・石渡真維です。
元々は弁護士をやっていまして、10年くらいたった2014年ごろにココネに出会い、入社しました。

 

弁護士をやっていたころは社員になることは想定していませんでした。
社長、役員の皆さんの話や会社の展望に関する話を聞いて“ここは良い会社なんだな”、“これは聞けるだけでも勉強になるな”と思っていたところに「ぜひお手伝いしてほしい」とお声がけいただいたことがきっかけです。
入社当時はバックオフィスの仕事をすべて行っていて、給与計算などもやっていました。
その後は、「ポケコロ」の事業部門を2年ほど見させてもらって事業がわかるようになったり、「マイリトルドール」というディズニーの版権アプリのリリース時の事業部長をやらせていただいたり、子会社であるCocone Educationの代表になって幼稚園“インターナショナル・モンテッソーリ・ミライキンダーガーデン”の経営に携わったりしてきました。

 

現在ではCSとバックオフィスを見ながら広報、幼児園を見て……何でもやっているという感じです(笑)。
横断的に何でもやらせてもらえていまして、そのおかげで今どのような事業が弱いのかといったことがわかりやすく、自身の仕事に生きていると思います。
ココネでは、創業の意図を理解して、その文化をよくしようとする人がコアにいます。
それは開発者やデザイナーなどでも同じというイメージですね。

 

言い忘れていましたが、専門ですので法務も見ています(笑)。
2019年に福岡のハンゲームを買収した際にはすべてハンドリングしましたし、必要なコーポレート系のこともやっています。
担当してきた仕事は誰かに引き取ってもらうことがありますが、法務だけは手放したことがないですね。

 

なお、ココネの紹介については、過去3回のインタビューでも行っておりますのでそちらも確認いただければと思います。

 

 

 

デザイナー、開発者などのクリエイター視点からオフィスをデザイン

 

――オフィス移転について、コンセプトやデザインの経緯などお聞かせください。

 

オフィスのコンセプトは“暮らすように働く”です。
オフィスは、1日のうち8時間くらい、毎日相当な割合を過ごすことになる場所ではないかといつも考えています。
ギリギリの環境で仕事をするのではなく、余裕をもって、健康的に、ここで住むように暮らしてもらいたいという思いからこのようなコンセプトのデザインとなりました。

 

三軒茶屋を選んだ理由は、自分たちで好きなようにカスタマイズできる、自由設計できる場所であることと、住むために必要なキッチンが作れたことです。
また、環境が仕事の品質に与える影響が大きいと考えているので、デザイナーや開発者のクリエイティブを刺激できる遊び心を意識し、電球の色も複数から比較して調整しました。
暮らす・創造性を高めるためのオフィス設計となっています。

 

 

デリスペース。

 

――デザインの細部は社員の方々が行ったということでしょうか?

 

デザインについては“引っ越し委員会”というものを一度作りまして、委員会に設計会社まで選んでもらいました。
設計会社のコンペディションでは、最後に残った2社のうち片方は役員が、もう片方は委員会が推している会社という状況になり、最終的には委員会が推していた会社が採用となりました。

 

通らなかった案もおもしろい内容ではありました。
机やパーテーションを独自に作って自由に組み替えられるというもので、テーマパークのような遊び心がある案でした。
ただ、委員会としては社内異動が多いので、あまりに凝ったパーテーションなどだと、動かすのに労力がかかって大変になりそうということから現在の案となりました。

 

コンペディションの後は、大体のコンセプトは設計会社と一緒に役員が進めて、最後の仕上げのところでデザイナーにもう一度かかわってもらって、色味を見てもらうなどの工程を挟んで仕上げました。

 

――オフィスを移転する際に重要視した設備やテーマはありますか?

 

ココネは“いつでも他の人に話しかけていい”、“話しかけられた時には絶対答えてあげる”という文化ができあがっています。
とはいえ開発者の人は集中したいですし、いつも話しかけられると大変だということで、集中ブースを作りました。
また、六本木のオフィスの時にソファーコーナーを増やしたら、みんながそこで昼寝をするということが分かったので、昼寝をするためのシエスタブースも設置しています。
この2つが今までにはなかった設備ですね。
その他には、図書館コーナーも作りました。
以前はさまざまな場所に本があったので、一箇所に集めてノウハウを共有することが目的です。

 

集中ブース。

 

シエスタブース。

 

図書館コーナー。

 

さらに、以前のオフィスにあったバーの使用頻度がなかなか高かったので、1つから3つに増やしました(笑)。
今どきのおしゃれなスタンディングのバーと、昭和の雰囲気を再現したバーがあるので雰囲気によって飲み分けることができます。
1階入り口のエントランスのバーにはビールサーバーもあります。
以前、恵比寿にオフィスがあった時、入り口付近のキッチンがついている小さいスペースをバーとして使用していたのですが、バーの利用者が帰りがけの人を捕まえるということがありまして。
その経験から帰りがけの導線上にお酒を飲める場所を作りたいという意見が出て設置されました。

 

昭和の雰囲気を再現したバー。

 

こちらのバーは、壁部分の装飾が途中で完成時には木目の部分が緑になるとのこと。

 

1階入り口のエントランスのバー。

 

その他、現在はまだ工事中ですが地下2階はすべてジムとなっていて、器具なども置いてあります。
まだ完成しておらず、少しホコリっぽいですが使用可能となっています。
外見としては3階建てですが、実際のところは地下2階までありまして、駐車場もあります。

 

地下2階のジムスペース。最終的には壁で囲って空調が入るとのこと。

 

ジムスペースには本格的な器具も多数設置されています。

 

充実した社員による会社を作る。良いサービスを生み出し、世の中に貢献していくための新オフィスへの思い

 

――設備が非常に充実していると感じます。どのような意図によるものなのでしょうか?

 

ココネでは、いい会社を作り、働く人ができる限り幸せな状態でナンバーワンになることを目標としています。
働く人が幸せか? という点が利益率よりも先に来るので、キッチンやジム、休む場所などの気持ちよくいられる環境づくりを一番大事にしています。
今回の移転でも、オフィス内に火を使えるキッチンを設置できることが物件を探す条件でした。

 

――設備の充実に対する社員の反響はいかがですか? また、設備の活用度合いなどにつきましてもお答えいただければと思います。

 

今は社員が全員出社している状態ではないですが、ビールサーバーの使用率が高いです(笑)。
その他ですと、オンラインジム(オンラインレッスン)は1~3月の平均が約250人で、4月は利用者が減少したのですが、5月は延べ500人くらいと始まって以来の参加率になりました。
移動の必要がなく、ビデオをオフにすれば運動する姿を見られたくない人でも参加でき、家族と一緒に出るといったこともできます。
結果として、女性の参加率が上昇しました。
これはオフィスの移転によるものというよりは、新型コロナウイルスの影響によるものだと思います。

 

さまざまな器具を購入し、専属のスタッフを用意してはいるものの、それでは集客できない社員がたくさんいたということと、オンラインで人の目に触れずにヨガっぽいストレッチができるというのがニーズだったという気づきがありました。
オフラインジムにこだわってしまうと、どうやって社員をジムに連れてくるかということしか考えられなかったので、目が覚めたような気持ちでした。
オフィス移転による効能ということではないですが、新しくさまざまなことができたかなと思います。

 

似たような例ですが、宅配デリも人気が高いです。
リモートワークを行った際に食事に関するアンケートを取ったら、食事が偏っているというデータが出て“これは、まずいな”と思った時に“宅配すればいい!”と考えたことから始まりました(笑)。
その一環でカレーのレトルトパウチ化を進めていてパッケージも作成しています。
新型コロナウイルスの流行を受けて、“バーを使用する場合は2人まで”などの禁止・制限も多いですが、先ほどお話しした集中ブースなどの新しく設置した設備は気分転換でみんな使ってくれています。

 

デリに関しては、今までの食事も温かい料理は出せていたのですが、今ではオフィス内にキッチンがあることにより、ここで作った熱々の料理を出せるようになりました!
リモートワークを実施した際に、改めてデリのありがたみがわかったというアンケート結果も出ました。
当たり前になった環境が改めて認識してもらえたかなと思っています。

 

インタビュー時にいただいたランチ。栄養バランスはもちろん、美味しさへのこだわりも伺えるレストラン顔負けの逸品でした。

 

やはり場所などが変化することが好きな人が多いわけではないので、「また引っ越しですか?」という雰囲気があったのですが、リモートワークが功を奏してか“会社に行きたい!”という意見も出てくるようになりました。
我々が先に引っ越して準備を行って、社員たちを待っている中、テラスや近所のコーヒーショップの写真を社内SNSに上げると「行きたい!」とスタンプを付けてくれました。
そういう意味では、リモートワークの期間があったおかげで新しいオフィスに集まれているという幸せを認識できたというところはあります。

 

――社員への健康ケアの充実が生かされた実例などがあればお聞かせください。

 

やせた人が結構います(笑)。
2年くらい前ですが、ジムに行くのが当たり前のような文化にシフトした瞬間を感じていて、“シュッとしたな”と感じた人は大体ジムに行っていたり、健康士と一緒にファスティングダイエット始めていたりしていました。
以前のインタビューでも話題があったと思うのですが、そもそもファスティングダイエットは社内で自然発生した習慣でして、そういったタイミングでジムが一般化したと感じました。

 

その他には、マーケティングチームが火曜日の14時から全員でストレッチを行うなど、ジムを使った習慣が業務に組み込まれ始めている例がありました。
業務だけのコミュニケーションでは雰囲気が張りつめてしまいますが、チームで一緒に何かをすることで気分転換以外にも無駄な会話ができて、信頼関係の土台ではないですが、心理的に社員同士が話しかけやすくなると思います。
そういう場にするためのさまざまな施設でもあります。
デリの食事スペースを眺めることがよくあるのですが、意外な組み合わせの人たちの交流や、元気そう、疲れているといったみんなの様子を見ることができます。
実際に痩せたり、バランスのいい食事をしたりする以上に、関係の潤滑さや良好な雰囲気のチームになるような作用など、さまざまな部分で効果が出ていると思います。

 

その他、5年働くことで1カ月の休みを取得できる“5年完走休暇”というものがあります。
この取り組みの効果としては、ストレスチェックを行ったところ在籍6年目の人たちの結果がとてもよい内容となっていました。
5年完走休暇を取得した人たちがリフレッシュしたと聞いて、数字に表れることを感じました。
ただ、最近取得できていない人が多いので買取できるようにしようという意見も出ています。
しかし、それでは6年目の人たちは元気になれないでしょうし……なかなか難しいところです。

 

――社内環境の充実によって実現したい効果などはありますか?

 

仕事のパフォーマンスを高めるためにおいしいものを出しているのではなく、まず幸せでいてほしいという思いからやっています。
ココネの仕事はクリエイティブな分野のものなので、健康でいい気持ちでいてくれたら、結果としてよい仕事ができるのではないかとは、考えています。
怠けてもよいということではないですが、気が乗らない時はダメでもいい、気が乗っている時にバリバリ仕事してくれればいいのです。
この考え方は、ココネを創業した千良鉉会長がずっと言っていることでもあります。

 

ちなみに、「記事などに書かれていることは本当ですか?」と聞かれることはあります(笑)。
何年か口説いた末に入ってくれたデザイントップの人も「最初はきな臭いなって思ったけど、実際に見ると本気でやっていたことに感動して入っちゃいました」と言っておりまして(笑)。
一見きれいごとのようなイメージはありますが、本気でやっています!

 

会長の創業に対する気持ちが強くて、ジムやデリも、採算としては赤字になるので、みんな反対して、会長の強い思いで、少しワンマン気味に始めたのですが、今ではみんなよかったと思っています。
ジムやデリなど取り組みに対して関心を持ち、現状をこまめに確認しようとする部分は昔からブレないです。
ワンマンな部分もありますが、社員からの声に対して聞いたフリじゃなくてちゃんと耳を傾けてくれます。

 

本当の意味での“優しい会社”を目指すココネのこれから

 

――今後、より環境を充実させるために取り入れたいと思っているものなどはございますか?

 

中継システムに力を入れていければと考えています。
以前、会社の全社総会をオンラインで行ったらすごく盛り上がりました(笑)。
普通は喋る人、聞く人、寝る人、スマホを見る人……みたいな感じゃないですか。
オンラインにしてメッセンジャーと一緒にしたら気軽にコメントできて、新入社員の紹介時に“いらっしゃーい!”というコメントが出てきたり、疑問が出た際には気軽に投げかけてくれたりと、人気の動画配信サイトのような双方向の形になりました。
先日行われた納会はグリーンバックで合成して番組みたいにしまして、表彰式のBGMを決めるなど一番上の開発者がノリノリでやってくれました。
ココネは先日からバックオフィス系にインフラチームがいるので、よりニーズを汲みやすくなっているのではないかと思います。
オンライン総会が楽しいという意見が出てきたところで、設営の大変さから「これは常設しよう!」ということになりました。
オンラインの働き方に合わせた設備はもともと想定していなかったので、その部分を新しく付け加えようとしています。

 

――最後に、読者やココネ様に入社したいと考えている人に向けたメッセージなどあればお願いします。

 

ココネは優しい会社と言われることが多く、たまにイージーと思われることがあります。
実際にはそちらの意味ではなくて、残業もバリバリありますし、仕事の成果や働き方に対する改善も問われます。

 

我々は、ココネを本当の意味で優しい会社にしたいと思っています。
成長したいと思っている人やチャレンジをしたい人、自分の意見で改善していくことが楽しい人が合うのではないかと思っています。
そういった人であれば、会社と一緒に自分も大きくなっていくような体験を実現できるのではないかと考えています。
逆に、決まったことを決められたとおりにやる人だと、ココネは変化が多いので大変かもしれません。

 

ココネで活躍している人は、挑戦するために入社してきたという人が多いです。
そういった人たちはチャレンジして、それが成果となってマネージメント層などになっています。
福利厚生だけでなく、仕事についてもしっかりと向かわせてもらえる、キャリアを築ける場所でもあると思います。

 

ココネはベンチャー企業であり、これからまだまだ成長できると思っているので、どう会社に貢献するかということはお互いに質問しあっている状態です。
決してイージーではないですが、社員に対する環境や状況は優しいと思います。

 

 

――ありがとうございました。