「タワーディフェンス」とは?ジャンルとしての魅力や開発する上でのポイント
このコラムは、「タワーディフェンスゲーム」とはどんなものなのかを解説し、ゲームの流れやジャンルとしての魅力を紹介します。また、開発者からの目線でタワーディフェンスゲームを作るときの注意点にも言及します。
これからタワーディフェンスゲームをプレイする人も、開発に関わる人もぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
1. タワーディフェンスゲームとは
タワーディフェンスゲームは、自分の陣地を守るために工夫を凝らすことを目的とするゲームです。具体的には、自陣防御のために設備の設置やキャラクターの配置などを行い、敵の攻撃を防御・撃退します。
ゲーム性自体は非常にシンプルですが、プレイヤーは「どのように防御すれば良いか」と真剣に考え、その狙いが当たったときに楽しみを覚えます。つまり、操作テクニックを争うシューター系や格闘系のゲームとは異なり、戦略を練ってその成果を得ることが重要なジャンルなのです。
以下の用語紹介も併せてご確認ください。
→「タワーディフェンス」
2. タワーディフェンスゲームの主な流れ
この項目では、タワーディフェンスゲームをプレイする際の主な流れを解説します。
2-1. ユニット設置フェーズ
タワーディフェンスゲームの基本は、自陣の防御です。そのため、まずは敵の大群から陣地を守るための備えを行います。
どのように防御するかはゲームによって異なりますが、砲台や城壁、要塞やトラップなどを設置して敵の進撃を阻んだり、敵に対抗するキャラクターを配置したりすることが多いです。
2-2. 戦闘ウェーブ開始
続いて敵の攻撃が始まり、防御を行う段階に進みます。タワーディフェンスゲームでは敵は単体ではなく、大群が波状攻撃をしてくることが多いので、攻撃を波に例えて「ウェーブ」と表現することが一般的です。また、攻撃を第1波、第2波と分類するものも少なくありません。
敵の攻撃に対しては、設置した砲台やキャラクターが自動的に防御・攻撃してくれるタイプが多いですが、戦闘中に操作を行うタイプもあります。どちらのタイプであっても、敵の進撃を防ぎきれなければ敗北となります。
2-3. 戦闘ウェーブの間にユニット補充・強化
敵軍の攻撃に耐えたら、次のウェーブが来る前に防御のためのユニットを補充したり、強化したりします。この工程はゲームによって大きく異なりますが、育成的な要素を含むものが多いです。
2-4. 最終ウェーブまで生き残る
最終ウェーブまで生き残るか、あるいは自陣を守り切れば勝利です。また、単に「守る」のではなく、迎撃して敵を全滅させることで勝利となるタイトルもあります。
なお、完全に息切れになってゲームオーバーになるまでエンドレスにウェーブが止まらないものもあります。その場合、何ウェーブまで生き残れたかで結果を競います。
3. タワーディフェンスゲームの魅力
この項目では、タワーディフェンスゲームをプレイする際の楽しみや、ゲームが持つ魅力について解説しましょう。
3-1. 高い戦略性
多くのタワーディフェンスゲームは、戦略性の高さを要求されることが多いです。防御のためのユニット配置はコストなどで制限されますから、限られた物資を有効に使う必要があります。
また、敵の攻撃ルートやパターンが決まっている場合と、ランダムに攻撃してくる場合とではディフェンス方法も変わるので、それを踏まえた準備も考えなければなりません。つまり、プレイヤーの予測や判断がゲームの勝敗を左右するので、戦略を練る工程を楽しむゲームでもあります。
3-2. やりごたえのある難易度設定
タワーディフェンスゲームは難易度が高めに設定されることが一般的です。これはタワーディフェンスゲームが敵の攻撃を待って、地の利を踏まえて相手を迎撃するタイプのゲームだからです。
格闘ゲームやシューター系のゲームなら、対峙した相手と技を競って倒すことに喜びを見出しますが、タワーディフェンスゲームは相手を策略にはめることができるので、ある意味プレイヤーが有利です。それでもなお、面白さを保つためには、戦略の難易度が高い必要があるのです。
3-3. ゲームの世界観の幅が広い
タワーディフェンスゲームは世界観を広げやすいジャンルと言えます。
まず背景として、SFやファンタジー、歴史ものやホラーなど、戦闘要素があれば成り立ちます。また、拠点をめぐる攻防という構造さえ守っていれば、拠点を攻める側としてプレイするスタイルにもできるでしょう。
さらに、狡猾な罠を仕掛ける悪玉的な立場でディフェンスを楽しむシナリオにすることも可能です。
4. タワーディフェンスゲームを開発する上で注意したい点
この項目では、タワーディフェンスゲームを開発する際に注意すべき点について解説しましょう。
4-1. ユニット(敵味方)やシナジー(戦略)のパワーバランスに注意する
タワーディフェンスゲームは拠点を守るための戦略を楽しむことを基本とするので、ハクスラやシューター系のゲームとはプレイヤーにとっての喜びの種類が異なります。戦略的に勝つことに喜びを覚えるためには、ある程度の難易度が無ければならないからです。
そのため、敵味方の強弱のバランスに配慮する必要があります。また、戦略が成り立つためにマップやキャラクタースキルなどに工夫を凝らすことも重要です。
4-2. 放置ゲーとして特化するかウェーブ中も干渉できるようにするのか決める
タワーディフェンスゲームは、相手の攻撃を予測して砲台やキャラクターなどを配置して結果を待つ「放置ゲー」と、ウェーブ中にもプレイヤーが操作で干渉できるタイプに分けることができます。
このため、開発する際はどちらのタイプで作っていくのかをあらかじめ決定しておく必要があります。
4-3. ユーザーに「もう一回挑戦したい」と思わせるような作りにする
タワーディフェンスゲームは、ある程度の難易度があった方が面白いと考えられていますが、単に敵が強すぎるだけでは再度挑戦する意識を持てません。これを防ぐためには、試行錯誤が有効であることをユーザーに理解してもらえるように構成する必要があります。ユニットの配置で防御効果が変化したり、特定の局面で活きるユニットがあったりすれば、ユーザーは再挑戦の意欲を持つことができます。そして、工夫して勝利をつかむことが快感となり、プレイを続けるモチベーションになるのです。
また、些細なミスで最初からやり直しになり、同じウェーブまで行くのに時間がかかる…となると再挑戦の意欲が削がれるでしょう。この場合は、到達したことがある地点まで倍速機能を使えるようにする、そもそものゲームスピードを早くするなどの対策が考えられます。
5. 代表的なタワーディフェンスゲーム
ここからは、代表的なタワーディフェンスゲームを4タイトル紹介します。
5-1. アークナイツ(明日方舟)
「アークナイツ(明日方舟)」はHypergryphが開発、Yostarがリリースしているゲームです。2020年1月にリリースされています。
オペレーターと呼ばれるキャラクターを配置して、敵の攻撃を防ぐことがゲームの目的です。オペレーターはそれぞれにスキルを持っているので、どの位置に、どの順序で配置するかで勝敗が左右されます。
世界観はハードですが、オペレーターたちはキャッチーで美麗なアートで描かれており、映像的な美しさやキャラクターの個性も楽しめます。また、戦闘の勝敗に興奮するだけでなく、オペレーターの育成や資金の調達なども楽しむことができます。
5-2. 勇者のくせになまいきだ。シリーズ
「勇者のくせになまいきだ。」は2007年にリリースされて以来、シリーズ化されている人気タイトルです。初期作品はアクワイアが開発し、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが発売しています。
プレイヤーは魔王を守るために勇者と戦うという特徴を持っています。タワーディフェンスゲームの構造の通り、地下にダンジョンを掘り、魔物を育成して勇者を迎え撃たなければなりません。魔物の育成には手間がかかりますし、育成に失敗すると全滅してしまうこともあります。また魔王自体は弱いので、勇者と対峙すると簡単に連れ去られてしまいます。
そのため、育成と配置の両面を戦略的に進めていくことが、勝利をつかむための必須条件なのです。
5-3. 影牢シリーズ
1998年にテクモが発売した「影牢~刻命館 真章~」がシリーズ第1作となって、その後何度も作られています。
アクション要素はありますが、プレイヤーが操るキャラクターはトラップ以外攻撃手段を持っていません。天井や壁、床にトラップを配置して敵にヒットすればポイントが上がります。複数のトラップが一定条件で起動すれば、コンボが成立してさらにポイントが稼げるので、トラップを配置する工夫と、トラップに誘い込む立ち回りが問われるゲームです。
5-4. にゃんこ大戦争
2012年にポノスがリリースしたストラテジーゲームです。シリーズ化されて複数のタイトルが出ていますが、第1作は2023年2月に8000万ダウンロードを超えた大ヒットタイトルとなっています。
「自軍から派遣したにゃんこたちが敵陣を攻略すれば勝利」というシンプルなゲーム性と、かわいいようでシュールさもあるねこたちが魅力です。ねこの能力が複数あるので戦略性が楽しめる点や、ねこをレベルアップすることで強くなっていく点など、気軽でありながら奥の深さも見られます。
ほかのゲームやアニメとのコラボイベントもあり、飽きずに楽しめるような工夫も豊富です。
6. まとめ
タワーディフェンスゲームについて、ゲームとしての特徴やゲームの流れなどをまとめました。また、開発者目線で見た場合の注意点や代表的なタワーディフェンスゲームタイトルも紹介しています。
タワーディフェンスゲームの魅力は、何と言っても戦略的に勝利をつかんでいく点にあります。ユニットのコストや特性を踏まえて配置を考え、試行錯誤しながら勝利をつかむことがプレイヤーの喜びなのです。
ただし敵軍と自軍のパワーバランスや難易度の調整が面白さのカギとなるので、開発側としては注意すべき点も多数あります。単純に戦闘で勝利することや自軍の強化だけに集中させるのではなく、プレイヤーがある程度負けながら、工夫して勝利をつかめるようにゲームを構成することがタワーディフェンスゲームを成功させる秘訣です。
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