『Crying Suns』に見る、ゲームシステムとシナリオを組み合わせる設計の魅力とは


名作を生む条件の一つとして、既存のジャンルに新しい要素を加えるというアプローチがあります。

 

新しい要素といっても、全く未知の世界観を盛り込むだけでなく、これまで試されてこなかった組み合わせを提案することで、時にゲームへ新鮮さをもたらすことができます。

 

『Crying Suns』は、ローグライトの要素を最大限活用し、このジャンルをさらに飛躍させる可能性を見せてくれた作品です。

 

ローグライト系ストラテジーの『Crying Suns』

『Crying Suns』ではプレイヤーが宇宙船を操る提督となり、人類滅亡の危機を救う物語が展開されます。

 

トライアンドエラーを繰り返す戦略ゲーム

ストーリーは宇宙進出を果たした人類が住む、とある惑星からスタートします。

人工知能によって社会をコントロールしていた人々は、突如AIが機能を停止したことにより、一転して滅亡の危機を迎えます。

 

このような危機も想定していた人類は、最後の切り札として控えさせていた独立型の基地に培養していたクローン軍隊に出動を命じ、事態の収拾を図ります。

 

プレイヤーはそんなクローン軍隊の司令官となり、辺境の惑星で発生した異常事態の正体を求め、出撃していくというわけです。

 

ゲーム内容としては、リアルタイムストラテジー、いわゆるRTSを楽しめる作品です。

条件に応じて最適な船員を出撃させ、宇宙空間における戦艦同士のぶつかり合いが展開されます。

 

敵の攻撃を戦闘機の展開を繰り返しながら分散させ、砲撃で相手の母艦を沈めるという、戦略的なアクションを楽しめる設計です。

 

何度もゲームオーバーを繰り返しながら、少しずつ攻略を進めていくというローグライト仕様とRTSの要素を織り交ぜた作品となっています。

 

星系の至る所で発生している人工知能の停止の原因を探りつつ、行く手を阻む戦艦を沈め、物語を進めていきます。

 

ゲームオーバーを繰り返すことが前提のシナリオ

今作はやや難易度が高く、あらかじめ複数回死ぬことが想定されていますが、面白いのはゲームオーバーによる死の概念を、メタ設定としてではなく、ストーリーにも盛り込んでいるという点です。

 

一般的なゲームの多くは、主人公が道中で死ぬことはなく、エンディングまで生き残るのが前提です。

例えゲームオーバーになり道半ばで倒れても、それは演出上「無かったこと」として扱われ、死ぬ直前、あるいは最初からプレイできるように設計されています。

 

しかし、『Crying Suns』では当たり前のようにプレイヤーの死が受け入れられています。

彼らはあくまでクローンの軍隊なので、死んでもかわりはいるためです。

 

そして、プレイヤーの艦隊が全滅するたびに、ランダムイベントも発生します。

冒険を進めるのはもちろんのこと、プレイヤーがゲームオーバーを迎えるたびに展開される物語もあり、いずれにせよ目が離せない展開へとつながっていきます。

 

「ローグライト」の要素を最大限活用した作品

今作の最大の魅力が、ローグライトならではの「やり直し」プレイをシナリオに落とし込み、自然な形でゲームオーバーを前提とした設計になっている点です。

 

ローグライトとシナリオの重厚さが噛み合う名作

『Crying Suns』では、買っても負けてもシナリオに影響を及ぼし、何らかのイベントが発生するというシステムを採用しています。

 

通常、シナリオというのは主人公が足を止めたり、失敗していては先に進むことができないというのが基本的な設計です。

しかし今作においてはプレイヤーが敗北してもシナリオは進み、新しい展開が待ち受けているというシステムに仕上がっています。

 

これは、これまでのゲームの常識とはかけ離れた仕組みでもあります。

成功したら報酬を与え、失敗すれば罰を与えるという「飴と鞭」の設計ではなく、勝利も敗北も事実として片付けられ、ゲームは進行するのです。

 

プレイヤーが勝っても負けても世界は動き、その展開の奥深さへますます吸い込まれていくような設計は、あまり見られなかったシステムです。

 

失敗もストレスにならない設計

通常、ゲームオーバーは失敗にあたるため、それまでにかけた時間やアイテムなどは全て募集という「罰則」が強調されます。

 

プレイヤーはこれを避けるため、何としてでも勝利してやろうという動機付けが与えられるのですが、『Crying Suns』においては勝っても負けても何らかの進歩が見られるため、実は失敗のストレスは小さいゲームでもあります。

 

失敗がかさんでくると、例えゲームでもプレイヤーには不快感が募るため、途中で心が折れてそのゲームを遊ばなくなってしまうかもしれません。

近年は無数のゲームが市場に溢れているため、自分が気持ち良くなれるようなゲームを遊ぶようにもなるでしょう。

 

しかし、今作では例え失敗しても、またプレイしたいと思わせるかのごとくストーリーが展開されます。

失敗してもまた挑戦したいと思わせる仕組みを、うまく作り上げているのです。

 

『Crying Suns』に見る、ゲームに魅力的な設計をもたらす方法

『Crying Suns』のように、魅力的なシナリオとゲームプレイングを上手く実現するためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。

 

詰め込むのではなく、組み合わせる感覚を大切に

最近では、様々なゲームジャンルを組み合わせ、新しいジャンルのゲームを開拓していこうという動きも活発です。

 

これはスマホ市場の活況によって、安価に気軽にゲームを作り、発表できるようになったことが背景にもありますが、結果的に様々な名作の誕生も促してきました。

 

例えば、スマホゲームの代表格である「パズドラ」などは、新ジャンル開拓のパイオニアとも言えるでしょう。

パズルゲームとRPGを組み合わせたこの作品は、後に登場するゲームにも大きなインスパイアを与えてきました。

 

このようにうまくゲームジャンルを組み合わせ、開拓していく上で重要な点は、ジャンルをごちゃ混ぜにするのではなく、うまく組み合わせていこうという試みが大切です。

 

『Crying Suns』のように、どうすればローグライトの設定をゲームに活用できるかなど、組み合わせを考えるというのは魅力的なゲームシステムの構築には欠かせないプロセスでもあります。

 

辻褄のあう設計を意識する

組み合わせる感覚を養う上で、重要なのが辻褄を合わせるという意識です。

つまり、理屈がある程度通っている必要があるということです。

 

『Crying Suns』では、設定こそフィクションそのものではありますが、クローン部隊という全く同じものを代替可能な存在を主人公にすることで、何度死んでも生まれ変われることに理屈が存在します。

 

また、ゲームオーバーを無かったことにするどころか、ゲームオーバーにも理屈をつけ、それによって動き出すイベントを用意し、プレイヤーの失敗が無駄にならないよう工夫されています。

 

ゲームシステムの全てに辻褄を合わせることで、大きなストレスの軽減と満足度の向上が見込まれるのです。

 

おわりに

新感覚で、満足度の高いゲームというのは意外にもちょっとした工夫で実現するものです。

『Crying Suns』もゲームシステムだけを見ればRTS系ローグライトですが、ゲームオーバーを前向きなイベントとして活用することで、全く新しい感覚を提供しています。

 

小さな工夫の積み重ねは、新たな新ジャンルの開拓にもつながるかもしれません。

 

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ライター名:Satoru Yoshimura

 

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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『Crying Suns』Twitter:https://twitter.com/cryingsuns

 

『Crying Suns』App Store:https://apps.apple.com/jp/app/crying-suns/id1514360059

 

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