ゲームデザイナーを志すなら見ておきたい、『see/saw』の洗練ぶり


テクノロジーの発達により、ビデオゲームの世界で表現できる物事は大きく広がりを見せました。

まるで映画のように繊細でダイナミックな映像を展開するものもあれば、一方で往年のレトロゲームを思わせる、どこか懐かしいインディーズゲームもあるものです。

 

『see/saw』はそんな多様な表現がゲームで可能になった今日において、ゲームにとって「本当に必要なもの」を取捨選択の上で削ぎ落としたような、無駄のない作品になっています。

 

『see/saw』の遊び方

スマートフォン向けゲームは、家庭用ゲームに比べて不自由を感じることも多いのですが、このゲームはプレイ時のストレスを最小限に抑えた仕掛けにあふれています。

 

アクションとパズルの融合

see/sawは、ステージ内にあるコインを全て集めることができればゲームクリアという、システムとしては非常にわかりやすい、クラシックなゲームです。

 

ただ、ステージ中を自由に走り回るだけでクリアできてしまってはゲームとしての面白みもあったものではありません。

 

ステージごとに様々なギミックがプレイヤーの行く手を阻んでおり、ただがむしゃらに突き進むのではなく、いかにしてコインを集めるかということを考えさせつつ、アクションゲームとしての爽快感も抑えたプレイングが可能になっています。

 

感覚的な操作方法

このゲームはステージクリアに必要な操作も独特の進化を遂げた作品になっています。

 

see/sawという名前の通り、このゲームはスクリーンの右側と左側に用意された、2つの移動ボタンのみを使用してプレイヤーを操作します。

端的に言えば右と左にしかプレイヤーは直接進むことはできず、ジャンプやしゃがむといった上下の運動は、行うことができません。

 

ただその代わり、プレイヤーの移動には慣性の力が加わります。

カーブを描いているところを全力で駆け上がり、不意に逆方向へボタンを入力してやることで、空中に浮かんでいるコインを取得することができるように、右と左の入力だけで想像力豊かなプレイングをプレイヤーは求められることになります。

 

考えるといっても操作方法は左右ボタンを押すだけなので、複雑なプレイングを求められることはありません。

プレイヤーの挙動を何度もプレイすることで見極め、確実にコインをゲットできるルートを開拓していくのがこのゲームの面白みです。

 

『see/saw』の持つ魅力

デザインという言葉はユーザーやプレイヤーが抱える問題を解決することを言うともされますが、see/sawと言うゲームはまさにビデオゲームを現代風にデザインした作品の代表格です。

 

家庭用ゲーム機にはない操作性

魅力は何と言ってもその操作性です。

前述の通り、このゲームには左右移動のための2つのボタンしか存在せず、家庭用ゲーム機のように幾つものボタンを同時に操作する必要はありません。

 

最近のゲームに多いのは、複雑な操作を扱いこなすことでスタイリッシュなアクションを発動し、爽快感を得るという手法です。

確かに苦労した末に扱うことができるようになった複雑なコマンドによるアクションは、まるでスポーツのような爽快感を得ることができる手段であることに違いはありません。

 

ですが、複雑な操作をプレイヤーに強いることは、同時にカジュアルプレイヤーを選別してしまう役割も果たしてしまいます。

 

誰でも機器を持っているという特性上、スマホゲームユーザーは割合としてはカジュアルプレイヤーが大半を占めるので、スマホゲームで複雑な操作というのは少し無理のあるデザインであるとも言えます。

 

アクションゲーム本来の面白さ

魅力は単純操作ですが、この単純操作がかえって爽快感を生んでいると考えることもできます。

スマートフォンのゲームは通常のビデオゲームとは異なり、画面を直接タッチしてプレイする必要があります。

 

そのため、あまりにボタンが多いとゲーム画面に集中できないだけでなく、そもそものゲームの印象が薄くなったり、派手なアクションを目で楽しむこともできなくなってしまいます。

 

このゲームはその点に配慮したアクション性を追求しており、必要最低限のボタン配置によって、存分にプレイヤーがステージを駆け回る姿を楽しみつつ、プレイに興じることができるよう設計されていると言えるでしょう。

 

飽きのこないやり込み要素

see/sawは操作やクリア条件こそ単純ですが、この単純さに奥深さを加えているのが、ギミックです。

プレイヤーの行く手を阻むのこぎりや、コインゲットの手助けをしてくれるジャンプ台まで、その種類は豊富です。

 

このゲームではこれらの豊富なギミックの配置を組み替え、コースの形状を組み替えることで、非常に多彩なステージの数々を楽しむことができるようになっています。

 

『see/saw』は何を捨てたのか?

洗練とは余計なものを削ぎ落とすという意味合いも含まれますが、see/sawは何を捨てることで優れたデザインを手に入れたのでしょうか。

 

複雑な操作

これはすでに何度も述べているように、まず複雑な操作を撤廃することで、アクションゲームの楽しさのエッセンスを体験できるよう作られています。

 

スマートフォンは家庭用ゲームに比べてスペックが劣ることは明らかなので、そういったゲームの真似をしていては古臭い印象のゲームに仕上がってしまうことがほとんどです。

 

なので、see/sawの場合は手始めに操作を左右に限定してしまうことで、アクションゲームの醍醐味を堪能できるようデザインされているのです。

 

グラフィック

2つ目はグラフィックです。

グラフィックも昨今のハイエンドなPCゲームなどに比べれば雲泥の差があるため、スマホゲームの場合はある程度取捨選択をしなければ、まともに動作させることもままなりません。

 

このゲームはあえてグラフィックの全てを剥ぎ取り、ゲームに必要な最低限のビジュアルによって、ゲームとして成立させています。

その代わりプレイの爽快感やステージのボリュームにリソースを割くことで、プレイヤーの満足度を高めることに成功しているのが大きなポイントと言えるでしょう。

 

何しろこのゲームはコインという名の○を獲得するゲームですから、この徹底した「削ぎ落とし」の覚悟が節々に見られる点も、かえってこのゲームのユニーク性を助長していると言えます。

 

おわりに

インディーズゲームの開発は何よりリソース不足に悩まされるところですが、see/sawはビジュアルからゲームシステムに至るまで、徹底した取捨選択が行われているところが特徴です。

 

何を残し何を捨てれば良いのか、と悩んでいる人にこそ、このゲームの思い切りの良さから学べることは多いのではないでしょうか。

 

ライター名:Satoru Yoshimura

プロフィール;ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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