文字を紡ぐという、クリエイティブな遊びを提供するゲームが生む喜びとは


万国共通の遊びは、いずれもシンプルで奥深く楽しめるゲームにあふれていますが、中でも言葉遊びゲームの類はそのバリエーションと遊び方においては千差万別です。

文字の欠片を操作して世界中の言葉をパズル形式で浮かび上がらせていく『Sticky Terms』は、そんなワードパズル系ゲームにおける新感覚の遊びを提供してくれます。

 

“言葉遊び”のゲームとは

言葉遊びはどのようなジャンルのゲームになるのか

今回のメインテーマである『Sticky Terms』の紹介の前に、言葉遊びゲームに関する内容をまずは説明します。

小学館が発行するデジタル大辞泉によると、言葉遊びという単語の意味は“言語の発音や意味を利用した遊び。早口言葉・なぞなぞ・尻取り・洒落(しゃれ)・はさみ言葉・さかさ言葉など。”となっています。
これをゲームとして落とし込むならば、内容としては論理的考察や試行錯誤を通して問題に対する回答を導き出すパズルゲームがもっとも近いものとなります。
また、“言葉遊び”という単語について“言葉を使って遊ぶ”というそのままの意味で扱った場合もまたパズルゲームが内容としてはもっとも近いものとなります。

 

言葉遊びの種類

前項にて、言葉遊びがどのようなゲームに落とし込まれるのかについて定義できたところで、言葉遊びの種類についても見ていきたいと思います。
小学館が発行する精選版 日本国語大辞典における“言葉遊”の解説は“ことばの発音の類似や同音異義などを利用しての遊び。尻取り・なぞなぞ・しゃれ・もじり・語呂合わせ・さかさ言葉・早口言葉など。若者言葉や隠語なども、ことば遊びに発するものが多い。”となっています。
単語の最後の文字から始まる別の単語を出す尻取りや、ことわざなどに対して口調・音声が似た意味の異なるこっけいな句を作る語呂合わせなどが言葉遊びとしては代表的です。

 

“言葉を使って遊ぶ”という意味での言葉遊びとしては、『Sticky Terms』のようなパズルに始まり、ヒントから交差したマスに言葉を当てはめるクロスワードパズルや単語などに対して文字の入れ替えで別の意味にさせるアナグラムが存在します。

 

話題になった言葉で遊ぶゲーム

『Sticky Terms』のように言葉をモチーフにした、あるいは言葉を使って遊ぶゲームは多数存在しています。

 

『ことばのパズル もじぴったん』
バンダイナムコエンターテインメントより発売されているパズルゲームのシリーズで、ステージごとに決められた文字のセットから1文字ずつマスに置いていき、言葉を作っていく内容となっています。
“文字を並べることで、言葉を作る”というコンセプトは、アルファベット26文字を用いて単語を作成し得点を競うアメリカのボードゲーム『スクラブル』と同様ですが、使用する言語や細かいルールは異なります。

 

共闘RPGコトダマン
セガゲームスが開発しXFLAGが配信・運営を行うiOS/Android用アプリで、五十音を頭文字に持つ文字の精霊“コトダマン”の組み合わせで言葉を作り、敵を攻撃するRPGです。
ジャンルこそRPGとされていますが、文字の組み合わせで攻撃を行う戦闘システムはクロスワードパズルに似ています。

 

はぁっていうゲーム
米光一成市がゲームデザイナーを担当したボードゲームです。
各ユーザーは複数のシチュエーションが設定された台詞を読み、そのシチュエーションを当ててもらいます。
現在発表されているのは、米光氏が2017年5月に発表した『はぁって言うゲーム』および“JELLY JELLY GAMES”版『ベストアクト』に、新しいお題を加えて再構成した新版となっています。
また、『はぁって言うゲーム2』、『はぁって言うゲーム3』も発表されています。

 

 

世界中の言葉で遊ぶ『Sticky Terms』

アルファベットを使い、世界中の言葉をパズル形式で浮かび上がらせていく『Sticky Terms』は、そんなワードパズル系ゲームにおける新感覚の遊びを提供してくれます。

https://apps.apple.com/jp/app/sticky-terms/id1495581633?mt=8

 

アルファベットで単語を作ろう

スマホゲームとしてリリースされた『Sticky Terms』は、プレイヤーが選択する言語に合わせた言葉を、アルファベットで作り上げることでクリアとなるパズルゲームです。

 

使用する文字がアルファベットということもあり、英語やドイツ語といった欧米の言語はもちろんのこと、文字が全く異なる日本語などの言語にも対応しているということで、どの国のプレイヤーでも気軽に遊べるのが魅力です*1。

 

ワードパズルゲームは、どうしてもそれが開発された国の言語に依拠するか、全て英語で作られるというケースが多く、プレイヤーはその国の人か、英語圏の国の人、英語が理解できる人にのみ遊ばれる傾向にありました。

 

しかし『Sticky Terms』は各国の言語に対応できる環境を構築することで、グローバルに遊んでもらえるワードパズルゲームとしてリリースされました。

 

特定の言語にとらわれず、それでいながらゲームシステムや操作感にも変化がない、新感覚のワードパズルということができるでしょう。

 

パズル形式で、一筋縄ではいかない「言葉遊び」

『Sticky Terms』が特徴としているのは、何と言ってもこのゲームの醍醐味である、文字を組み立てていく感覚です。

 

最も一般的なワードパズルといえば、空けられたマスに当てはまるよう文字を記入したり、与えられたアルファベットを組み替えて言葉を作るといった遊びです。

 

しかし、『Sticky Terms』の場合、言葉は文字のかけらを組み合わせながら紡いでいくという形式を採用しており、その時のくっつく感覚がなんともいえない快感を生んでくれるよう設計されています。

 

https://youtu.be/5KfKxvVyeic

 

一見すると文字なのかどうかわからない破片も、もう一つのかけらと組み合わせることで、見覚えのある文字が浮かび上がってきます。

なんとなく完成図を予想しながら、出来上がる言葉を予測しながらアプローチしていくところに、このゲームの最も面白い部分が詰まっているといっても過言ではありません。

 

そして、正しい言葉が完成された瞬間、断片は元の形状を思い出したかのようにくっつきあい、一つの言葉へと収斂していきます。

妙に弾力のある言葉の断片をくっつける快感は、何度でもプレイしたくなる重要な役割を果たしてくれてもいるのです。

 

大人気国産クロスワードパズルの「もじぴったん」シリーズ

『Sticky Terms』は海外のゲームですが、国産のワードパズルとして見逃せないのが、やはり「もじぴったん」シリーズです。

 

誰にでも理解できる日本語クロスワードゲームのクラシック

「もじぴったん」シリーズの遊び方は非常にシンプルで、簡単にいえば日本語のクロスワードパズルでハイスコアを狙うゲームです。

 

様々な形状のマスが用意されたり、お題を提示されるので、それに合わせて文字を入力していき、連鎖をつないだり、難しい言葉を入れてみたりすることで、文字が繋がっていく快感を気軽に楽しめます。

 

適当に言葉を入力しても、自分の知らなかった言葉でマスを埋めることもできるので、知的好奇心もしっかりとくすぐってくれるのが嬉しいところです。

 

公式サイト:https://encore.mojipittan.jp/

 

ずっと遊べる不朽の名作

「もじぴったん」の第1作は2001年にアーケードゲームとしてリリースされたものですが、今日に至るまで、数多くの移植作品や新作が販売されてきた、クラシックシリーズでもあります。

 

PS2やニンテンドースイッチといった家庭用ゲーム機から、ニンテンドーDSなどの携帯ゲーム機、さらにはガラケーやスマホといった携帯電話向けのゲームとしてもリリースされ、多くの人がその名前を知るところとなっています。

 

もともとクロスワードパズルなど、知育系の遊びは老若男女を問わず親しみやすいゲームでもあるので、気軽に遊ぶゲームとしては非常に手に取りやすいジャンルです。

 

操作方法も文字を配置するだけという、非常にシンプルな操作しか要求しないため、誰にとっても遊びやすく、かつどんなハードウェアにも移植しやすい作品となっています。

 

「もじぴったん」シリーズは誰にでも思いつきそうな作品でありながら、ビデオゲームにおける「手に取りやすいパズルゲーム」の地位を絶対的にした、数少ないブランドの一つと言えるでしょう。

 

言葉遊びがもつクリエイティブの源泉とは

このように、言葉遊びはビデオゲームとしてもその色を失わない面白さがありますが、なぜ、この遊びはここまで人を惹きつけるのでしょうか。

 

無限の選択肢から可能性を探る楽しさ

言葉遊びの魅力は、やはりその無限のイマジネーションを駆り立てられるところにあるでしょう。

 

パズルゲームは基本的に、誰にでも遊べる単純明快なルールをもつ反面、クリアまでに要する時間と労力は、並のゲームのそれではありません。

 

操作方法を理解するのに時間を割かなくて良いぶん、いつまでもステージクリアのために頭のリソースを割くことができるというのは、カジュアルゲーマーにとって嬉しいところです。

 

気軽に自分の創造力やイマジネーションを刺激できる言葉遊びは、古今東西で行われてきた、古典的なゲームであると言えるでしょう。

 

ひらめきが降りてきた時の喜び

パズルゲームの醍醐味の一つは、つい数秒前までは思いつかなかったようなひらめきが、突如として降ってきた時の喜びです。

 

なんでそんなことに気がつかなかったのか、この手があったかという快感を味わえるように作られているのがパズルゲームです。

 

最新スペックを生かした、シネマティックで壮大なゲームもいいですが、シンプルだからこそ生まれる天才的なひらめきの快感を味わえる喜びは今も昔もパズルゲームの楽しみの一つとして親しまれているのです。

 

おわりに

誰にでも馴染みのあるワードパズルゲームは、いつの時代も変わらないゲーム本来の楽しみを、プレイヤーに与えてくれます。

 

単純明快だからこそ楽しめる遊び方もあるということを、『Sticky Terms』や「もじぴったん」は教えてくれているとも言えるでしょう。

 

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出典:

*1 ゲームキャスト「文字をくっつけて世界中の言葉を作るパズル『Sticky Terms』iOSに登場。『ベーコン』や『Song of Bloom』のKami Box最新作」

http://www.gamecast-blog.com/archives/65958846.html

 

ライター名:Satoru Yoshimura

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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