名作「レミングス」をクリエイティブに復活させたゲームとは?


いくらグラフィックが進化しても、かつての名作がもたらしてくれたゲームの面白さは、衰えることはありません。

 

ネズミを操るパズルゲームの「レミングス」もまたそんな名作の1つですが、これを現代版としてうまくリメイクした作品が登場しました。

 

「レミングス」を踏襲する『Zombie Night Terror』

『Zombie Night Terror』と名付けられた今作は、「レミングス」らしいゲームプレイを実現しつつも、その世界観はまるでオリジナルと異なっています。

 

B級映画の世界観で展開されるパズルゲーム

ゾンビという恐ろしいテーマを扱う今作ですが、基本的にはパズルゲームとなっており、街に感染症を蔓延させ、すべての人をゾンビに変えるのが目的です。

 

ゲームは2Dで進行し、ゾンビを上手く操りながら人間を襲わせるのが基本的なプレイ方針。

 

具体的な主人公は存在しませんが、プレイヤーはステージごとに登場するゾンビをコントロールし、ミッションのクリアを目指します。

 

モノクロの世界で、ノロノロと歩くゾンビが練り歩く様はさながらロメロ映画を彷彿とさせるクラシックなゾンビと言え、ゾンビ映画好きには馴染みのある世界観です。

 

ステージを進めるごとにゾンビの種類も増えていき、様々な特殊能力を持つゾンビをコントロールすることもできるようになります。

 

いつもなら人間側のサバイバルを楽しむはずが、今作ではゾンビの意識を操り、ひたすらに人間を追い詰めることが目的になっている点もユニークです。

 

遊び方はほぼ「レミングス」

意思のないゾンビは、必ずしもプレイヤーの思惑通りに動いてくれるとは限りません。

 

目の前に崖があればそれを飛び越えるようなことはできず、引き返させなければそのまま落下していってしまいます。

 

常識が通用しないゾンビを、どれだけ能力を活かしてコントロールできるかがポイントとなりますが、このパズル要素は往年の名作、「レミングス」に近いとも言えます*1。

 

レミングスは1991年にイギリスで誕生した名作パズルゲームで、ネズミを上手く誘導しながら出口へと導くのが目的です。

 

『Zombie Night Terror』ではゲームの目標が人を襲ったり、感染者を増やしたりすることに変更されていますが、意思のないキャラクターを操作する点では同じです。

 

何もしないとただキャラが死んでいくだけのところを、プレイヤーが上手くコントロールしてゴールへと導くシステムは、「レミングス」由来のゲーム性と言えるでしょう。

 

『Zombie Night Terror』はいかに「レミングス」を現代版にリメイクしたのか

名作のリメイクはこれまでに何度も行われてきましたが、必ずしも全てが良作とは言い難いものです。

 

現代では過激すぎた「レミングス」

あどけないネズミを上手く出口へ操って連れていくというゲーム性は、一見すると可愛らしいゲームのようにも思われますが、実情はもう少し過激です。

 

ステージには随所にトラップが仕掛けられており、ネズミたちは様々な方法で死を迎えることが確定的になっています。

 

落下や水没、溶岩といったものから、場合によってはプレイヤーによって爆破されるレミングまで多岐にわたり、死のバリエーションが異常に富んでいるのが特徴です。

 

ステージクリアの条件も、すべてのネズミをゴールに導くのではなく、一定数を導くことができればクリアと、明らかにネズミの犠牲が前提となったゲームとなっています。

 

もはや、ネズミの死に方のバリエーションを眺めるゲームに近しいとも言えるような作品になっているのです。

 

そのため、規制が厳しく、倫理観も高い水準にある現在のゲーム業界では、この作品をそのまま現代版に移植することは難しいと言えます。

 

ネズミとはいえ、人間と同じ哺乳類を粗末に扱う表現は、あまりに非道徳な世界観であるためです。

 

こき使われるネズミにダークな設定を追加

かといって、ネズミの扱いをマイルドにしてしまっては、バリエーション豊かなネズミの最期が見どころでもあった「レミングス」の良さが半減してしまいます。

 

中途半端な規制はその作品の長所を奪ってしまう可能性もあるのです。

 

しかし『Zombie Night Terror』は、キャラクターをネズミではなくゾンビという架空のモンスターにすることで、この表現の問題を上手く回避することに成功しました。

 

実は、ゾンビの扱いはファンタジーのキャラクターということで、どれだけ人型に近くとも、かなりの残虐性を伴った表現も許される傾向にあります。

 

小さなネズミの死を軽視することは許されなくとも、明らかに人間の面影があるゾンビの欠損表現は許されるということに疑問を覚える人は少なくないでしょう。

 

しかし、それはあくまでも主観的な判断に過ぎず、「レミングス」のゲーム性をいかに現代でも楽しめるようにするかを工夫するための手段に注目するべきでしょう。

 

ネズミをゾンビに置き換えることで、派手な死に様を安心して楽しむことができ、独特の緊張感を持ったパズル要素をアップデートすることに成功しています。

 

クリエイティブにゲームをリメイクするためのポイント

面白いゲームをより面白く、あるいは異なるアプローチで違った面白さを提供するためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか。

 

基本的なゲームシステムは踏襲

まず大切なのは、ゲームの基本的な面白さをしっかりと維持することです。

 

『Zombie Night Terror』で言えば、オリジナルの「レミングス」の過激な表現や、意思のない生き物をコントロールするもどかしさをしっかりと受け継いでいる点がそれです。

 

「あのゲームは何が面白かったのか」をしっかりと言語化し、どうすれば現代でも喜ばれるような作品にアップデートできるかが、しっかりと考えられている点が重要です。

 

変にファンシーでマイルドな死に方に差し替えるのではなく、B級映画的な独特のゴア表現の面白さを上手く昇華できているところが、今作の優れたポイントと言えます。

 

現代的な味付けの方法を考える

当時はいくら面白かったとされている名作は、必ずしも現代においても同様に楽しめるとは限りません。

 

当時と違い、今では多くのゲーム作品が世の中に登場し、たくさんの人を楽しませています。

 

そんな中で昔ながらの作品をそのままリリースしていては、明らかに他の作品とは見劣りしてしまうものです。

 

そこで、過去の名作のエッセンスを抽出し、現代的に改修するプロセスが重要になります。

 

今作ではゲーム界におけるゾンビブームを踏襲し、ネズミをゾンビに置き換え、現代人でも愉快にゴア表現とシビアなパズルの難解さを楽しめるように仕上がりました。

 

現代への名作のアップデートは、倫理とエンターテイメントの両軸で考える必要があるのです。

 

おわりに

「レミングス」は確かに愉快なゲームでしたが、そのままの作品を今でも楽しめるほどの強度はありません。

 

『Zombie Night Terror』によって上手く現代のパズルゲームとして復活させ、新しいプレイヤーの心を掴んでいったことは、評価されてしかるべきポイントです。

 

参考:

*1 ゲームキャスト「かわいいネズミをゾンビに置き換え、“汚いレミングス”誕生。ゾンビを行進させて人間社会を襲う『Zombie Night Terror』レビュー」

http://www.gamecast-blog.com/archives/65944856.html

 

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ライター名:Satoru Yoshimura

 

プロフィール:ライター。20年以上の付き合いがあるビデオゲームとアメリカ音楽をテーマとした活動が中心。「日本のゲーム音楽がヒップホップに与えた影響」などブログで公開中。

 

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『Zombie Night Terror』App Store:

https://apps.apple.com/jp/app/zombie-night-terror/id1450635907?ign-mpt=uo%3D4

 

『Zombie Night Terror』公式HP:https://www.zombienightterror.com/

 

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