「ナラティブ」(ナラティブゲーム)とは?概要について紹介します

近年「ナラティブ」という言葉がしばしば使われており、ゲーム業界でも「ナラティブなゲーム」という表現が多用されています。しかし、「ナラティブ」の意味を分かりやすく説明できる人は少ないようです。そこでこのコラムでは、「ナラティブなゲーム」がどんなものなのかを検討・考察していきます。

1. 「ナラティブなゲーム」とは

「ナラティブ(narrative)」という言葉をまず解説します。英語のnarrativeを翻訳すると、「物語」という訳が上位に出てきます。そのためドラマなどの筋書きとしての「story」と同様の言葉と考えられがちです。

しかし、narrativeの語源には「声に出して読む」といった意味があるため、「story」よりも「story telling」と考える方が近いかもしれません。

小説の表現方法として、特定の人物の視点で描く場合を一人称と言います。ナラティブとは客観的視点を持つ三人称より、特定の目線で語る一人称と考えればよりわかりやすいでしょう。

医療の分野でもナラティブは利用されています。症状や経過を客観的に語るよりも、患者自身の気持ちや感覚を交えて語ることで、医療者がアプローチしやすくなるため、近年はナラティブに語ってもらうことが重視されているのです。

ではナラティブなゲームがどんなものかを事項で説明していきましょう。

1-1. 「ナラティブなゲーム」の特徴

ゲームにはキャラクターが存在しますから、上記の定義を踏まえれば主人公の一人称目線のゲームと考えることもできます。しかし、ユーザーの体感としては自身がプレイすることで物語が紡がれるわけですから、プレイ体験が記憶となって残り、のちになっても語られるゲームがナラティブと考えたほうが良いでしょう。

ただ、プレイヤーの体験や感じ方はそれぞれなので、「Aはナラティブなゲームで、Bはナラティブではない」と明快な線を引くことはできません。

とはいえ、ストーリーやタスクに自由度が無く、決められたラインを追っていくだけのゲームは、ナラティブと表現されることは少ないと考えて良いでしょう。

2. ナラティブなゲームとして代表的な作品

前述したように、ナラティブの定義は主観的であり、曖昧さが伴います。そのためこれから上げるゲームも「これがナラティブ!」と言い切れるものではありません。あくまでもナラティブなゲームを理解するうえでのサンプルとしてご理解ください。

2-1. The Stanley Parable

The Stanley ParableはGalactic Cafe社から2011年にリリースされたゲームです。進め方によって複数のエンディングがあるため、プレイヤーが個々に体験や感情を持てるゲームとして仕上げられています。

また、プレイヤーの選択にゲーム内のナレーターがツッコミを入れるという、他では見られないメタフィクション構造が評価され、複数の賞も取っています。

特に2013年にサンフランシスコで開催されたGame developers Choice Awardsで、Best Narrative部門に選ばれている点でもここに記す価値があるでしょう。

2-2. Thomas was alone

2012年にリリースされた2Dパズルプラットフォーマーゲームです。キャラクターは画像上では手足どころか顔もない四角形で、キャラクターの見分けは色と大きさでしかできないという、ゲーム黎明期のようなデザインが特徴です。それでもプレイしていけば主要キャラクターの個性が伝わる仕組みがあります。

近年のムービーゲームのように派手な演出はありませんが、ゲームの世界観はプレイすればしっかり体験可能です。むしろ四角形でしか表現されないからこそ、各キャラクターのイメージがプレイヤーの脳内に存在するという点で、ナラティビティが高いゲームと言えるでしょう。

2-3. 風ノ旅ビト

風ノ旅ビトはThat game companyというアメリカのスタジオで開発され、2012年にリリースされています。

文字情報がほとんどなく、オンラインでほかのプレイヤーと同じ画面上にいるのに会話できないという不思議な構造が特徴です。自由に意思疎通できないもどかしさもありますが、それだけに想像力を掻き立てる作りに仕上がっています。シーンの解釈もプレイヤーに任されるので、それぞれのナラティブを紡いでくれるゲームと言えるでしょう。

2-4. ワンダと巨像

2005年に日本でリリースされたタイトルです。失われた少女の魂を取り戻すために巨象と戦う青年ワンダ、という基本設定はありますが、各キャラクターの細かい設定はわからないまま戦いが続きます。そのため、プレイヤーは自分なりのナラティブを作りながら戦っていくことになるのです。

また、戦いを終えた後の体験も用意されているので、このゲームならではの記憶が自分のものとして残りやすいのもナラティブなゲーム的と言えるでしょう。

2-5. Demon’s Souls(DARK SOULS)

Demon’s SoulsとDARK SOULSは、いわゆる「死にゲー」と呼ばれるほどの難易度の高さを特徴としています。フロムソフトウェア社が手掛ける人気シリーズで、2009年にDemon’s Soulsがリリースされ、それ以降シリーズ化しています。

ソウルシリーズの世界観は重厚でありながら、作中では語りつくされることがありません。そのためプレイヤーは自然な感情で謎を解きたいという気持ちを持ちます。さらに、キャラクターが強くなるためのゲーム上の手助けはほとんどないので、プレイヤーは何度も死にながら強くなるしかありません。

これらの体験が、ソウルシリーズならではのナラティブとなってプレイヤーたちに語り継がれていくのです。

3. まとめ

「ナラティブ」という言葉について説明し、「ナラティブなゲーム」がどんなものか実例をあげて解説しました。

とはいえナラティブとは個人の体験によってのみ語られるものなので、ゲーマーごとに解釈は違う可能性があります。そのため、ここで紹介したゲームをプレイして自分なりのナラティブを築き上げていくのも良いですし、今までのゲーム体験の中にナラティブを見出してみるのも面白い体験となるでしょう。

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