「マーチャンダイジング」とは?言葉の意味やゲーム会社における役割とは


 
商品やサービスの売上・利益を伸ばすための手法・概念として「マーチャンダイジング」という言葉があります。
 
頻繁に使われている言葉なので、聞いたことが無いという人は少ないと思いますが、明確に説明できる、十分に活かしているという人はまだまだ少ない実情があります。
 
そこでこのコラムでは、マーチャンダイジングの一般的な手法を解説したうえで、ゲーム業界でどのように活用できるかをわかりやすく解説します。
 

1. マーチャンダイジングとは

まずは、マーチャンダイジングがどんなものかを解説します。
 
マーチャンダイジングを日本語で表す場合、「商品政策」や「商品化計画」と言われることが一般的です。よりわかりやすく言えば、利益を上げるための販売手法と考えて良いでしょう。
 
マーチャンダイジングという言葉はアパレルや雑貨など小売り業界で広く使われていますが、ゲーム業界でも使用されます。ゲームソフトの多くがパッケージ販売されていた時代には、販売手法を語るときにマーチャンダイジングという言葉が多数使用されていました。
 
ソーシャルゲームの商業的戦略でも使われていますが、物品ではなくダウンロードするアプリに使用されることは比較的多くないようです。
 
一方、キャラクターグッズを販売する場合などに「マーチャンダイジング事業を開始する」といった使い方をすることは多く、言葉自体はゲーム業界でも広く浸透しています。
 

1-1. マーケティングとマーチャンダイジングの違い

マーケティングとマーチャンダイジングは、商品へのこだわりや価格決定などの要素においては共通しています。しかし、マーチャンダイジングには市場調査などを含むターゲッティングや流通方法は含みませんし、アフターサービスやプロモーションの概念もありません。
 
つまり、マーケティングは広く商品販売とその促進を示す言葉ですが、マーチャンダイジングはマーケティングの一部として小売りなどに特化して使用されると理解してください。
 
また、マーチャンダイジングを解説する際には、「適切(英語ではRight)」という言葉が多用される点からしても、マーケティングより細かい販売手法と考えたほうが良いでしょう。
 

2. マーチャンダイジングを考える上で大事な5つの要素(適正)

この項目では、マーチャンダイジングを考える上で必要とされる5つの要素を、まずゲーム業界に限定せず一般論として開設していきます。
 

2-1. 適切な商品(The Right Product)

「適切な商品」というと「品質」を考える人が多いかもしれませんが、マーチャンダイジングにおいては「品揃え」と言い換えられます。
 
「品揃え」は商品数の多さも含みますが、単に多いだけでは意味がありません。ニーズを踏まえた商品展開を考え、店舗やブランドの特徴を活かす商品がそろっていることこそが、マーチャンダイジングで語られる「適切」の概念なのです。
 

2-2. 適切な数量(The Right Goods)

「適切な数量」は、商品をどの程度仕入れて、どの程度在庫を持つかを考えることを示唆しています。物品を扱うあらゆる業界において、大量の在庫を持つことはリスクです。その一方で、売れるタイミングなのに在庫切れしては利益を最大化できません。そのため物品の販売であれば、適切な在庫数を常に考える必要があります。
 
また、売れないものを在庫しないということも「適切な数量」の概念の中で考えるべきことです。
 

2-3. 適切な場所(The Right Place)

「適切な場所」の項目で考えるべきなのは、店舗の雰囲気と陳列方法、入り口から商品に至るまでの導線などです。また、商品の陳列をカテゴリで分けるか、関連で分けるかも考える必要があるでしょう。
 
例えばキャラクター商品であれば、作中でペアになることが多いキャラを並べることで両方の商品を同時に購入することが増えるなど、陳列方法によって購買意欲は変化します。
 

2-4. 適切な価格(The Right Price)

「適正な価格」はターゲットや時期によって変化します。ブランド自体がカジュアルで低年齢向けであれば価格設定はあまり高くできませんが、ハイブランドであれば品質も価格も変わってきます。
 
また、値引きをするのかどうか、値引きする場合どの程度まで許すのかなども考えておく必要があるでしょう。
 

2-5. 適切な時期(The Right Time)

「適切な時期」は、アパレルや食品であれば季節に付随することが多いでしょう。夏であればアパレルは半袖、食品なら冷たいものといった具合です。
 
また、顧客の購買量や額が増加するクリスマスから年末年始などの時期や、ハロウィンなどのイベント時期も踏まえることも大切です。
 

3. マーチャンダイジングの仕事に求められるスキル

この項目では、マーチャンダイジングを担当する人(マーチャンダイザー)に求められるスキルについて解説しましょう。前の項目で解説した5つの要素(適正)を踏まえることはもちろんですが、以下で解説する点も考慮することで収益は変化していきます。
 

3-1. トレンドを意識・把握するスキル

提供するものが物品であれサービスであれ、市場でどのようなものが評価されているのかを知ることは欠かせません。同業他社が提供しているものを意識・把握することはもちろんですが、世の中全体のトレンドに目を向けることも怠らないようにしましょう。
 
マーチャンダイザーとしては、市場の動向を商品開発部門に伝達することも重要ですし、仮に自社の商品自体は変わらなくても、陳列方法、ポップなどにトレンドを取り入れるだけでも売り上げを伸ばせることがあります。
 

3-2. 分析しPDCAを回すスキル

マーチャンダイジングはあくまでも手法、概念であって、具体的に何が「適正」なのかは提供している商品やブランドイメージ、顧客の傾向などで異なります。
 
そのため、やみくもに新しい取り組みを試すのではなく、狙いを明確にしながら計画を立て、実行することが重要です。そのうえでうまくいった部分とそうでない部分をしっかりチェックし、客観的に分析したうえで次のプランに活かしていくというPDCAのサイクルを繰り返すことで、自社なりのマーチャンダイジングを確立していくことができるでしょう。
 

4. ゲーム会社におけるマーチャンダイジングの重要性

ゲーム業界でも、キャラクターグッズなどに関してはここまでに解説したマーチャンダイジングの考え方をそのまま活用することができます。そのため、一定の認知を持つIPを利用した物品販売などを「マーチャンダイジング事業」と名付けて取り組んでいるゲーム会社は多数存在します。
 
また、マーチャンダイジングはECサイトでも広く利用されていますから、サイト上で有料のアプリを販売する場合もほとんど同様の考え方が有効です。
 
一方、ソーシャルゲームなどで「基本無料」ガチャなどで課金するシステムには当てはまらない、と考える人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
 
以下ではゲーム業界での物品販売におけるマーチャンダイジングと、アプリ上の課金で収益を得る双方の事業に関して、マーチャンダイジングの5つの要素(適正)に当てはめて解説します。
 
・適切な商品
商品やサービスの「品質」は、扱うものが有形でも無形でも変わりありません。大手ゲーム会社であれば、ブランドイメージを踏まえて雑なタイトルは扱えないでしょうが、まだ知られていないゲーム会社であればアイデアに特化したゲームでもリリースすることができます。つまりハイクオリティな方向に向かうのでなく、市場で勝負できる者こそが「適切な商品」なのです。
 
また、キャラクターグッズの販売においても、ユーザーのニーズを意識することが重要です。例えば、ゲームに登場するキャラクターをグッズ化する場合、キャラクターの特徴を活かすこと、ゲームの世界観を反映させることが重要です。そのうえで、ターゲットが若年層であれば価格を抑えること、ある程度年齢層が高いのであればハイブランドに寄せることなど、「適切」さは変化するのです。
 
・適切な数量
ソーシャルゲームにおいては「在庫」の概念はありませんが、例えばガチャを引くのに必要なトークンをどの程度ゲーム内で提供するのか、キャンペーンで配布するのか、というのは似通っています。配布しなさすぎてもユーザーが離れ、配布しすぎても課金が減ってしまうため、どのバランスで出すかが「適度さ」と言えます。
 
・適切な場所
店舗でキャラクターグッズを販売している場合、店舗自体の雰囲気が重要ですし、陳列でも購買意欲をそそる必要があります。この点はサイト上でグッズを販売する場合も、アプリのダウンロードに誘導する場合も同様です。
 
ゲーム関係であればユーザーの興味をひく画像や動画の配置も重要ですし、出来るだけ少ないストレスで決済できるシステムを採用していることも購買量に関連します。
 
・適切な価格
価格に関しては、グッズの販売であれ、課金への誘導であれ、ターゲットがどの程度の出費を考えるかを踏まえる必要があります。
 
・適切な時期
ソーシャルゲームであれば、やはり季節に即したイベントで課金を増やすことは重要でしょう。また、ゲーム業界では季節のみでなく、周年記念やダウンロードが一定数に達したタイミングも見逃せません。
 
さらに、アニメやマンガなどとのタイアップのタイミングなども、課金や物品販売を促進するための重要な「時期」です。
 

5.まとめ

「マーチャンダイジング」という言葉について、言葉の意味や一般的な活用方法を紹介したうえで、ゲーム業界でも活かせる概念であることを解説しました。
 
マーチャンダイジングはアパレルや食品、雑貨などの小売り業界で使われることが多い言葉ですが、近年はECサイトの売上向上にも浸透しています。一方、ゲーム業界でもキャラクターグッズなどに関しては店舗販売やサイト上での販売は多数ありますから、マーチャンダイジングの手法はそのまま適用できます。また物品を販売しないソーシャルゲームなどにおいても、ガチャなどの課金による収益を最大化するために、マーチャンダイジングを知っておくことは非常に便利です。
 
ぜひこの機会に、マーチャンダイジングを取り入れて収益のアップにつなげてください。
 

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