『AI革命を起こし、未来を創っていく』。将棋AIを開発したHEROZ株式会社に、DX推進を支えるAIテクノロジーについて聞いてみました!



「将棋ウォーズ」等の開発を通じて蓄積した機械学習等のAI関連の手法を固有のコア技術とし、トップエンジニアをはじめとするAIエンジニアが日々AI技術の開発に取り組む、HEROZ株式会社。今回は同社のCTO井口圭一様(左)第一回電竜戦で優勝した将棋AIの開発者川島馨様(右)に、HEROZ株式会社の事業内容、今後のAI技術の展望やHEROZのAI技術について、詳しくお話をお伺いしました!
※インタビュー中は敬称略

AI技術に強みを持つHEROZ株式会社について

――まずはお二人のご経歴について教えてください

井口
井口圭一と申します。HEROZ株式会社の開発部長兼CTOを務めております。
大学では情報工学を専攻しており、GAやAIの研究を行っていました。その後NECの研究所において、XML通信の分野に関する研究をしたのち、ゲーム開発会社の開発部長を経て、2013年にHEROZに入社しました。
代表の髙橋とはNEC時代から面識があり、当時HEROZが行っていたAI事業について面白そうだなと思い、入社を決めました。
現在はHEROZの開発、プロジェクトの統括を主に行っています。

〇井口圭一 様

 

川島
AIエンジニアの川島馨と申します。
元々は官公庁系システムのシステムエンジニアをしており、趣味で開発した将棋AIの開発をしていた中でHEROZを知り、2019年に入社しました。

 

元々将棋に興味があったわけではなかったのですが、2016年頃にDeepMind社が開発した囲碁の人工知能「AlphaGo」というAIが話題になっていました。当時はAIにとって囲碁は最も難しいゲームと言われていて、AIが人間を超えるのに10年かかると言われていた中で、AlphaGoはディープラーニングと強化学習を用いて当時の最強棋士を破りました。

 

その時に衝撃を受け、囲碁で出来るなら将棋でやってみようと思い、論文を読んで仕組みを勉強した後に将棋AIを作りました。

 

現在は主にエンターテインメント領域のクライアント様と仕事をしており、ゲームに組み込むAIや、ゲームのテストプレイに必要なAI、デバックツールなどを開発しています。

〇川島馨 様

 

――次に、HEROZの事業内容についてお聞かせください。

 

井口
BtoC事業とBtoB事業を展開しています。

 

BtoC事業は、日本将棋連盟公認の日本最大の将棋ゲームアプリ『将棋ウォーズ』の運営を行っており、こちらは従来の将棋アプリには無い派手な演出や、AIによるアドバイスでオンライン対局が出来る対戦プラットフォームです。
2012年から運営しており、現在の通算対局数は6億局を超えています。

 


〇日本将棋連盟公認「将棋ウォーズ」

 

また、2021年4月に対局の盤面をカメラで撮影した映像をAIで解析し、棋譜の記録を自動化するシステム「HEROZ Kishin Eye」の運用を開始しました。
将棋ウォーズに搭載される将棋AI「棋神」に由来するBtoBサービス「HEROZ Kishin」と、画像解析する眼(Eye)を組み合わせて、「HEROZ Kishin Eye」と名付けています。

BtoBサービス「HEROZ Kishin」とは?

――「HEROZ Kishin」について詳しくお聞きできればと思います。

 

井口
BtoB事業は、主に金融、建設、エンタメ業界の会社様へのAI導入支援を行っています。
AI導入の構想策定から開発、運用まで行っており、当社で開発したAIのブランド名として「HEROZ Kishin」と名付けています。
AI導入を検討されているお客様の課題をヒアリングするコンサルティングを通し、課題の整理やプロジェクトの目的、機械学習のモデル構築から既存システムとの接続などの導入フェーズから、導入後のKPIモニタリングやモデルにチューニングといった運用まで、一気通貫で行っています。

〇HEROZ Kishinの主なサービス内容(企業公式HPより抜粋)

 

――お客様はどのような課題を持っていますか?

 

井口
お客様によって様々ですね。
例えば、小売業の会社様だと、売上予測をAI導入により精緻化したい、過去の実績などを用いて、どれくらいの在庫を持つのが良いか最適化したいといった要望もあります。
多く伺う課題に対しては、パッケージの提供もしており、サーバーの自動監視・異常検知を行うHEROZ Kishin Monitor、広告やコンテンツの自動ABテストが出来るHEROZ Kishin WebOPT、アプリにおける最適配信/顧客満足度の最大化のためのHEROZ Kishin ASO等をパッケージとして展開しています。

 

具体的な案件としては、金融業界においてはAIを活用した個別株式ポートフォリオサービス、住宅ローンの不正利用検知システムの開発などを手掛けており、企画から運用まで基本的にはお客様と共同で開発しています。

 

エンタメ領域では、コーエーテクモゲームス様との共同で、『三国志ヒーローズ』の開発を行いました。また、ネットマーブルモンスター様の『マジック: マナストライク』の開発にも協力させて頂き、最新のAI技術を活用してゲームバランスの調整等を行いました。

DX推進企業 HEROZが語る、AI導入のメリットとは?

――企業がAIを導入するメリットについて、どのようにお考えですか?

 

川島
例えばゲーム企業様の場合だと、ゲームのテストを行う際、回数や時間が大幅に取られる事があると思うのですが、その部分をAIが受け持つことが出来れば、より企画やブラッシュアップに時間を費やすことが可能になると思います。

 

井口
AI導入のメリットとしては、”人間的じゃない作業”を全てAIに任せる事で、企画や発想といったクリエイティブな部分に注力出来るという点が挙げられるかと思います。
ただ、多くの企業様が認識するべき事としては、DX(デジタルトランスフォーメーション)が整ったうえでのAI活用でないと意味が無いという事です。

 

お客様からAI導入の依頼が来た際、社内のデータ管理が煩雑になってしまっていたり、社内においてDXが推進されていなかったりする企業様が多いです。そのため、我々はまずお客様のDX部分を整備する提案から始まり、AIの技術で強化するというコンサルティングも行っています。

 

――会社によっては課題感が整理できていないところもありますか?

 

井口
そうですね。「とりあえずAIを入れたい」、「AIってすごいんでしょ?」といった認識でご相談される事も多いのですが、社内のどの部分をAI化したいのか明確では無い場合があります。AIという単語だけ一人走りしてしまっている感があるので、その部分からヒアリングをしています。
弊社はコンサルティングファーム出身のメンバーもいるので、そういった課題整理のような領域から進めていくことで、AI導入もスムーズに行うことが出来ます。

 

――今後導入を進めていきたい業界などはありますか?

 

井口
建設、金融、エンタメは引き続き進めていきたいです。特にインフラにかかわる分野については、AI導入による経済的メリットも多いですから。
それ以外の業界でいうと小売業界も伸ばしていきたいと思っています。2020年10月には、アイリスオーヤマ様の商品販売予測に寄与するために、国内製品を対象に販売予測AIの開発と運用を開始しました。

 

川島
もちろん、エンタメ領域も今後伸ばしていきたいと考えています。弊社のお客様は比較的大手企業様が多いのですが、先述したようにテストプレイ、販売予測、サーバー監視等、ゲーム業界においてもAI導入による利点や解決できる課題が沢山あります。
規模が大きくない会社でも導入が出来る様なパッケージの開発も進めていきたいです。

 

井口
ゲーム会社で働いている方の中で、AI分野を研究している人も多いと思います。しかし社内のAIに対する理解が得られないため、自社ゲームに搭載してもらえないという声をよく聞きます。
HEROZにおいてはAI導入が前提で案件が進むので、ゲームに使われるAIを作りこみたい人にとっては最適な環境だと思います。

 

川島
HEROZには、AIを社会に導入していくというビジネス的観点。そしてAI技術を高めていくエンジニアリング的視点という両側面があります。
私はエンジニアなので、自分の開発技術が仕事で活かせている実感があるので、非常にやりがいになっていますね。

 

――求める人物像について教えてください。

 

井口
我々は「世界を驚かすサービスを創出する」という経営理念の下、「驚きを心に何事も楽しむ」をバリューとして仕事に取り組んでいます。まずはこの理念とバリューに対する共感して頂きたいと思っています。
経験でいうとまずは機械学習の研究経験が必要です。今の世の中はAIツールであふれているので、『AIツールを使ったことがあります』という経験だけだと、当社のように独自のAIを開発して使っていただく業務では役に立ちません。新しい論文を読み、実際に研究したりした経験が生きてくるので、研究経験は必須項目としています。
C++、Java、Python等による、人工知能、探索アルゴリズムなどの実装経験も求めている部分ですね。

 

具体的な職種でいうと……今募集しているのが16職種なのですが、全職種で良い人材を求めていますね(笑)。
ただ、チームを引っ張ってくれるマネージャー職や、テックリード人材は欲しいですね。プロジェクトの課題を解決するための計画や設計を策定したり出来る方は、HEROZに興味を持っていただけると嬉しいです。

 

――ありがとうございました。