
ゲーム業界の「営業職」とは?仕事内容や必要な知識を説明
ゲーム業界への就職・転職というとクリエイターのイメージが強いですが、ソフトやサービスを販売提供している以上「営業」という職種も存在します。
このコラムではゲーム会社の営業が行っている業務内容や、求められるスキル、中途転職を希望する場合のアピールポイントなどを挙げていきます。
目次
1. ゲーム会社における営業の役目
ゲーム会社での「営業」とはどんなことを目的として、どんな活動を行っているのでしょうか?その動きはイメージしやすい自社商品の販売促進から、メディアとの連携、プロモーション活動、異業種企業とのアライアンスの強化など多岐にわたります。
以下で具体的にその内容を紹介します。
1-1. ゲームショップや流通本部とやり取りし、自社のソフトを扱ってもらうよう直接アプローチをする
ゲームショップや販売店などの流通本部に対して自社のソフトやサービスを扱ってもらうように働きかける、という仕事があります。この業務については、物理的にショップや客先の事務所を訪問して売り込みや打ち合わせを行う必要もあるので、担当地区を振り分けられるケースが多いでしょう。
その場合、担当エリアは県単位であったり、関東や関西などの地区単位であるケースもあれば、日本全国に及ぶこともあるかもしれません。
契約を取り付けることが目的ですから、一般的に言う「営業」というイメージ通りの仕事内容がほとんどです。売りたいソフトの特徴、アピールポイントを理解・分析して、どうやって相手に売り込んでいくかを考えることも重要です。
また社外の人と接触することが多い職種ですから、市場が求めているニーズや売りやすい商品の傾向などを自社に伝える役割を求められるケースもあります。
1-2. DL販売が増加傾向のため、広報と協力し様々なメディアにプロモーション活動を行うケースも
近年はDL販売(ダウンロード販売)が増加する傾向が強くなっています。
会社としてパッケージでの販売を行っていないケースも多くなっていますから、その場合は営業対象は販売店やゲームショップではなく、直接ユーザーに購入してもらうスタイルです。そのため「契約を取る」といった業務内容は存在せず、どうやって自社のソフトをユーザーに認知してもらうか、ダウンロードしたいと思わせるかが仕事の中心です。
広報担当者が存在する会社なら、連携してどんなメディアに対してどのように売り込んでいくか、などの戦略を練ることもあるでしょう。影響力の強いメディアに自社のソフトやサービスをプロモーションしてもらったり、効果的なイベントを企画するなども業務の範囲に入る可能性があります。
1-3. ゲームタイトルの販売だけでなく、国内外のゲーム会社、IPホルダーと新規コネクション作成も営業の業務
ゲームタイトルとしての販売がメインの業務であるケースが多いですが、場合によってはゲーム会社同士での連携が必要なこともあります。
またIPホルダーとのコネクションを作って行くことも重要な業務です。IPホルダーとは、固有のキャラクターやマンガ・アニメなどの知的所有権を有する相手のことです。
人気のある作品やコンテンツのゲーム化が出来れば自社の利益に直結しますから、この動きは非常に重要です。
1-4. ゲーム業界に固執せず、アライアンス先の選定や締結なども大切
営業を行う相手はエンドユーザーやIPホルダーだけとは限りません。自社が発展し続けるために、またより良いサービスの提供や、新たな方向性を模索していくためには、異業種の企業や海外の企業とのアライアンスの検討や締結実施を任されることもあります。
1-5. その他、受託開発や開発ツール、利用サーバーにおける営業など、仕事は多岐にわたる
ソフト会社の多くは受託開発を依頼しているパートナー企業との関係を持っており、その拡大や関係性の強化を求められることもあります。
あるいはゲーム製作に使用される各種のゲームエンジンとの連携も必要です。
さらに最近は利用サーバー(AWS)における営業の必要性も高まっています。AWSはAmazon Web Servicesの略で、本来はAmazon社の機関でしたが現在ではあらゆる業種にWEB上のサービスを提供していることから、導入・パートナーシップを組む企業が増加しています。ゲーム会社としてはAWSのパートナー企業からの営業を受けることもあれば、自社として営業をかけていくケースもあります。
今後も事業の効率化やコネクション拡大を担う可能性を秘めており、営業として無視できないものになっています。
2. ゲーム会社の営業に求められるスキル
2-1. 営業力
ゲーム会社というと「自由な社風」を想像する方も多いかもしれませんが、「営業職」である以上、身なりを清潔にしたり、打ち合わせに際してのビジネスマナーなどは必須です。
さらに商談の際には直近の利益と相手との長期的な関係性のバランスを判断する力も求められます。
押しどころと引きどころを見るセンス、不利な状況をカバーできる回転の速さ、臨機応変な対応力などを持っていれば、社内での自分のポジションを高めていけるでしょう。
昇進していけば自分自身のポイントアップが期待できますが、長いスパンでの会社の利益を考える力も要求されるようになります。
2-2. 自社タイトル・サービスに対する理解
営業職として利益を上げるには、自社が新たに発表したゲームタイトルや既に持っているサービス内容などをしっかりと理解し、アピールポイントを明確に上げ、他者に説明できるスキルが必要です。
内容を理解せずにアピールをしても相手には何も伝わりません。「ただ売ればよい」という考えではなく、どの要素が自社商品のストロングポイントなのかを知っていることは必須です。
2-3. 普通自動車免許やオフィスを活用できるスキル
都市圏では電車などでの移動がメインですが、地方に行った際は公共交通機関の本数やカバーできるエリアが狭いことがありますから、普通自動車の運転免許は持っているに越したことはありません。
また、営業成果の報告書や利益を数値分析を行うための表作成、プレゼン資料の作成も必要ですから、オフィスなどのソフトを活用できる技能も身につけておきましょう。
2-4. ゲーム業界特有の知識
ゲーム会社の営業職として成果を上げるためには、業界特有の知識が欠かせません。まずゲーム会社にはパブリッシャー、デベロッパーの違いがありますが、その関係性は必ずしも固定ではありません。
また、スマートフォン向けアプリ、家庭用ゲーム、PCゲームといったプラットフォームごとにビジネスモデルや市場規模が異なることも知っておくべきでしょう 。
上記のような大枠とは別に、最近流行っているゲームや、ジャンルごとの有名タイトルの名称や特長、位置づけなども知っておくと便利です。たとえば新タイトルを表現する場合、「○○」に近い世界観を持ちつつ、プレイ感覚は「△△」寄り、といった表現ができれば共通認識が得やすいからです。
さらに、ゲーム開発の重要なツールであるゲームエンジン(UnityやUnreal Engineなど)の知識も重要です。開発現場で使われる最低限の技術を理解していなければ、クライアントや自社のエンジニアと円滑なコミュニケーションを図ることはできません。
ほかにも、有名他社の企業文化やゲーム業界における「人月単価」の相場感を把握することも重要です。人月単価とは、エンジニアやクリエイターが1ヶ月稼働した際の標準的な費用のことです。この知識は、プロジェクトの予算交渉や人材の提案を行う際の重要な指標となります。
これらのゲーム業界に特化した知識を持つことで、社内の開発メンバーやクライアントからの信頼を獲得しやすくなります。
2-5. 技術のトレンドをキャッチするアンテナの高さ
ゲーム業界は非常に変化が激しく、技術の進歩やヒットの傾向などは目まぐるしく変化します。そのため、常に最新の技術トレンドをキャッチするアンテナの高さが営業職にも求められます。
新しく登場した開発手法やグラフィック技術、ミドルウェアの動向などは、ゲームの企画や開発体制に直接影響を与えます。営業職はこれらの情報をいち早く察知し、自社のビジネスにどう活かせるかを考えなければなりません。
例えばクライアントが新しい技術を用いたゲーム開発を検討している際、そのトレンドに関連する技術が自社にあれば、ビジネスチャンスにつながります。逆に最新技術の話題についていけなければ、提案の機会すら得られません。
これを踏まえて、日頃から業界専門サイトや、開発者向けのカンファレンスなどに目を配り、情報をアップデートし続ける姿勢が大切です。自ら能動的に学ぶ習慣を持つことで、激しい競争の中でも活躍できる基礎を作ることができます。
3. 営業であれば他業種からゲーム会社に入りやすい?
他業種であっても営業職で得た経験があれば、それはアピールポイントとして有効です。そのため、どのような営業をしていたのか、どのような取り組みや成果があったのかを整理し、効果的にアピールしましょう。特にゲーム業界では法人営業の経験や、無形商材を扱った実績は、評価される傾向にあります。
しかし、異業種での営業経験は特別に有利な材料とまでは言えません。そもそもゲーム業界は比較的転職が多い特徴があるため、ゲーム業界経験者も少なからず転職活動をしています。特に世の中に名前が知られているようなゲーム会社であれば、他業種の営業経験はプラス材料であっても大きな武器になるとは限りません。
また、「ゲームが好き」という情熱は重要ですが、漠然とした憧れだけではゲーム業界に入ることはできません。
これらを踏まえて、ここまでの項目で書いてきたスキルをしっかり磨き、自分の長所をアピールすること、転職後にやりたいことや貢献できることを明確にして転職に臨みましょう。
4. ゲーム業界における営業職の給与平均
ゲーム業界全体の平均年収は、他業種と比較して高めであると言われています。日経転職版が過去に実施した業界別の平均年収調査(【2023年最新】営業の平均年収・給与はどのくらい?業界別ランキングを公開)によると、ゲーム業界の営業職の平均年収は699.1万円と報告されています。
上記の調査によれば、ゲーム業界の営業の平均年収は、投資・投信・投資顧問、総合商社、鉱業より低いものの、医療・バイオ、通信・ネットワーク機器、コンサルティングファーム・シンクタンクなどよりやや高く、営業職の中でも高めの年収を得やすいことが理解できます。
さらに、ゲーム会社はヒットタイトルが出れば決算ボーナスなどの形で、収入にも反映されやすい気風があります。そのため営業を担当したタイトルが収益的に良い結果を得られれば、臨時ながらも収入アップが期待できます。
ただし、上記はあくまでも平均年収であり、大手パブリッシャーであればより高め、小規模なゲーム会社であれば低めという傾向が多少あることはご了承ください。
ちなみに、国税庁が発表している「令和6年分 民間給与実態統計調査」(2026年5月現在、国税庁が出している情報では最新)では日本の給与所得者の平均年収は478万円なので、ゲーム業界の営業職は日本の平均より約220万円上回る年収水準を得られる仕事だとわかります。
5. ゲーム会社の営業に中途で就職するには
5-1. 前職が営業の場合、ストレートに営業力の高さをアピールする
過去に営業職を経験しているのであれば、その実績はストレートにアピールしましょう。異業種であっても「営業力」そのものは強力な武器になります。
その際に単純に「頑張った」といったアピールではなく、どんな工夫でどの程度の利益を向上した、などの例が挙げられれば説得力も高まります。
(ただし前職の具体的収益を暴露するような資料を提出するのは「軽率な人」という印象を与えますから、開示する数値には注意しましょう。前職の企業名は履歴書に記載するので明記しても問題ありませんが、当時のクライアント名や細かい金額の表示は避け、「○○の営業展開を提案して実際に行動し、◯ヶ月で利益率を◯%アップさせた経験を持つ」といったアピールが出来れば理想的です)
また異業種からの転職であれば、「なぜゲーム業界を希望しているのか」という質問は必ずあると考え、答えを用意しておきましょう。
5-2. 前職が営業以外の場合、どういった経験が営業に有利に働くと考えているかわかりやすく説明する
営業職の経験がない場合でも自分の過去経験をしっかり分析し、「営業力」に繋がるポイントを明確にしてアピールしましょう。
例えば、事務職を経験してきたので数値管理に強く傾向の分析や改善箇所の指摘が素早くできる、人脈が豊富なのでパートナー企業の紹介やメディア戦略に役立てられる、など具体的に自分が入社することでその会社の何をもたらすことができるかを説明しましょう。
また、転職理由やその会社を志望する動機についても答えを用意しておきましょう。
6. まとめ
ゲーム会社の「営業職」について、仕事の内容や求められるスキルなどをまとめました。
ゲーム業界は変化が激しい分野なので、ここで書き表せなかったような仕事内容を任される可能性もありますが、営業職である以上、自社商品のアピールして会社の利益に繋げていくことが一番の業務内容です。
そのために必要なものは何か、と考えることを常に行っていれば、必要なスキルの取得にも自然と足が向きます。良い就職、転職活動ができるよう要所を抑える力を身につけましょう。
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