ゲーム会社の福利厚生はどんなものがある?基本のものからユニークなものまで紹介
福利厚生には法的に決められた健康保険や年金などの制度がありますが、会社ごとに定める法定外福利厚生と呼ばれるものもあります。
会社を選ぶときはどうしても事業内容や給与面に目が行きがちですが、福利厚生が整っているかどうかで働きやすさは大きく変わります。
そこで本コラムでは、一般的な福利厚生について解説し、個性的な福利厚生を実施しているゲーム会社についても紹介していきます。
目次
1. ゲーム業界に限らない、知っておきたい福利厚生の基本
そもそも「福利厚生」とは、賃金の規定などとは別に従業員の暮らしを豊かにするための制度です。
福利厚生が充実しているほど働きやすい職場になりますから、従業員が前向きになり、生産性を向上することに繋がります。
企業側としてはコストはかかりますが、良い人材を維持できる手段としても有効ですし、社会的信用が得られる利点もあります。
この項目ではまずゲーム業界だけに話を絞らず、一般的に「福利厚生」と呼ばれるのはどんなことなのかを解説しておきましょう。
1-1. 福利厚生には「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」がある
福利厚生には法律で定められた法定福利厚生と、企業ごとに自由に定める法定外福利厚生があります。
・法定福利厚生
法定福利厚生には雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、厚生年金保険、児童手当拠出金などがあります。
これについては法的に決まっているもので、会社ごとの差はないのでここでは詳しくは記載しません。
・法定外福利厚生
法定外福利厚生には、まず自社内で提供するものとして家賃補助や住宅手当、通勤費、家族手当、健康診断の補助、慶弔や災害時の補助などがあります。
また、社外に委託するなどして行う、宿泊や旅行の補助、自己啓発や研修の支援、社内食堂やカフェの設置、誕生日や長期勤続を称える休暇、財形貯蓄や投資教育、懇親会やサークル活動への補助、イベントの開催などもあります。
1-2. 「法定福利厚生」がない会社はブラック企業である可能性が高い
「ブラック企業」自体が明確に定義されているものではありませんが、法的に決められている法定福利厚生を無視していたり、独自に低く設定しているような企業はブラックと呼ばれる傾向にあります。
ちなみに、「福利厚生は正社員だけのもので、パートやアルバイトで働く人には適用されない」と思っている人もいるかもしれませんが、法定福利厚生は働いている人すべてに適用されるものです。
雇用側は知っているべきことなので、社員以外には福利厚生の権利がない、と決めている会社はブラックと考えてよいかもしれません。
1-3. 法定外福利厚生が充実しているのは大企業・パブリッシャーのみ?
一般的に大きな会社ほど福利厚生が充実しているイメージは強いと思います。
「大手」と呼ばれるような会社であれば社会的信用もありますから、大企業やパブリッシャーの方が平均的に福利厚生を整えているのは確かでしょう。
しかし、中小企業やベンチャー企業でも福利厚生をしっかり整えている会社は少なくありません。
特にゲーム会社はベンチャーと呼ばれる状態でも非常に大きな売り上げ、利益を出している会社もありますから、イメージだけで判断せず、募集要項などをしっかり見てみましょう。
1-4. 福利厚生の範疇
ここでは法定外福利厚生の範疇でどんなものがあるかを、少し詳しく紹介します。
・家賃補助や住宅手当
賃貸住宅に住んでいる場合、持ち家がある場合などに会社が行う補助です。
法的な決まりはないので支給しない会社も多いですし、あっても金額などには会社ごとに違いがあります。
支払われた金額は所得として税金の対象になります。
・通勤費
通勤手当とも言い、自宅から会社に行くためにかかる電車やバスの定期代、車であればガソリン代などを会社が負担してくれるものです。
多くの会社で導入されているので「福利厚生」の一つと認識していない人も多いでしょう。
しかし、通勤費を会社が負担するのは義務ではないので、まったく支払われない会社も存在します。
一定額以下なら、社員にとっては非課税である点も魅力です。
・家族手当
配偶者や子どもがいる人に支払われる福利厚生で、2019年時点で採用している会社は78%も存在しています。
配偶者を対象としない会社もありますし、子どもの人数に対して一律に払う企業もあれば人数で変動するケースも見られます。
・健康診断の補助
企業は労働者に対する健康診断を実施することが義務付けられており、違反すれば罰金があります。
費用は会社が負担するべきと決められているので、労働者が支払うことはありません。
・慶弔や災害時の補助
出産や結婚の祝い、病気の見舞いや香典、災害時などの見舞いを設定している会社もあります。
2017年にある研究機関が行った調査では、9割程度の企業が何らかの形で導入していることが分かっています。
・自己啓発や研修の支援
研修等の参加費を会社が負担するもので、全額の場合や部分的な場合もあります。
また、スキルアップなどに役立つ本の購入を福利厚生の範囲で認めている企業も存在します。
・社内食堂やカフェの設置
アウトソーシングして社内に食堂やカフェを置く企業が増えています。
会社側としては一律にポイントを配布するなどで対応している例が多いです。
また、規模が小さい企業ではカフェの設置などは難しいですが、食事手当を出している会社も存在します。
・誕生日や長期勤続を称える休暇
労働者の誕生日や、長期勤続を称賛する形でお金や物品を支給する企業があります。
ただし、お金や高価な物品であれば所得税の対象になります。
・財形貯蓄や投資教育
住宅購入に向けた資金の貯蓄を会社が補助したり、株式の所有に向けた教育を行ったりする会社もあります。
・懇親会やサークル活動への補助
懇親会やサークル活動を福利厚生として負担している会社もあります。
経費としては一部の人だけが利用するサークル活動は福利厚生に当たらないこともあって、導入していない会社の方が多いです。
2. ゲーム業界のユニークな福利厚生
ここからはゲーム業界でユニークな福利厚生を行っている例を、企業名や概要を具体的に紹介していきましょう。
2-1. ゲーミング手当・ゲームソフト購入補助
ユニークな福利厚生の一つとして有名なのが、株式会社レベルファイブの「ゲーム補助金支給制度」です。
また、株式会社グラニは会社が奨励するゲームをプレイして基準をクリアしたら手当てを出す制度や、ゲームを購入する費用を支給する制度を作っています。
どちらもさすがゲーム会社、と言いたくなる福利厚生ですね。
→https://www.level5.co.jp/recruit/career/fukuoka/public_relations.html
→http://grani.jp/recruit/system
2-2. クラブ活動補助
株式会社Cygamesでは「オフィシャルクラブ制度」という名称で補助金を出し、従業員の交流や親睦を推奨しています。
実際に格ゲー部、球技部、ボードゲーム部などがあるそうです。
→https://recruit.cygames.co.jp/benefits/
また、株式会社コーエーテクモホールディングスには「KT会」というサークルがあり、会社から補助金が出されています。
活動としては文科系ではゲーム部、アーケードゲーム部、人狼部、e-sports部、映像研究会などがあり、体育系のサークルも15以上もあります。
→https://www.koeitecmo.co.jp/recruit/welfare/
2-3. 育児補助
株式会社カプコンには「カプコン塾」という従業員の子どもを預かる制度を設置しています。
月極保育や一時保育、幼稚園児や小学生向けのアフタースクールとして利用できます。
単純な預かりサービスにとどまらず、食育や英会話の機会を作ったり、ゲーム開発に触れる体験もできるそうです。
→http://www.capcom.co.jp/recruit/company/diversity/index.html
株式会社セガでも「企業内保育所(そらもり保育園)」を設置して、産休や育児休養の後にも従業員が復帰しやすい状況を整えています。
独身の時には着目しにくい福利厚生制度ですが、育児の補助は働きやすさを支えるうえで大きな力になります。
→https://www.sega.co.jp/recruit/welfare/
2-4. ゲームプレイし放題・マンガ本読み放題
株式会社ヘキサドライブは、ゲームプレイし放題の環境を整えるというゲーム会社ならではの福利厚生を行っています。
娯楽や息抜きの意味もあるでしょうが、クリエイターとして古いゲームや他社のゲームに触れることの意味もあるでしょう。
さらに社内にストックされたマンガも読み放題という嬉しい福利厚生も実施中です。
→https://hexadrive.jp/recruit/company/culture/
3. まとめ
このコラムでは、福利厚生の概要と特定のゲーム会社が実施している福利厚生の例をいくつか紹介しました。
福利厚生は業務内容や給与体系に比べると着目しにくい部分ではありますが、就職を考えている企業がどの程度「働きやすさ」を考えているかという観点で見ることもできます。
今まで気にしていなかったという人も、今後はエントリーする前に、ぜひ福利厚生にも着目してください。
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