実践的カリキュラムにより多数のアニメクリエイターを輩出する東放学園映画専門学校。そのカリキュラム内容について聞いてみました!

 

実践的な実習により映画・MV・CM・アニメ・CG・小説などのクリエイターを輩出し続ける東放学園映画専門学校。
なかでもアニメーション・CG科(2021年4月にアニメーション映像科から名称変更)は、これまで30年以上の長きにわたりアニメ業界、ゲーム業界で活躍できる人材を育成しています。
今回はアニメーション・CG科の景利康弘様に、東放学園の特徴、アニメーション・CG科のカリキュラム内容、そして活躍できるクリエイターについて、詳しくお伺いしました!

業界のマナーも教える専門学校。特殊な沿革だからこその教育方針

――まずは、東放学園映画専門学校の歴史や特徴についてお聞かせください。
まず、学校法人東放学園は、元々はTBSの教育事業本部が番組スタッフの育成のために設立した学校を前身としており、1979年に学校法人として認可されました。
そのため、東放学園専門学校は主にテレビ番組のスタッフ育成を目的としています。
その後、専門学校東京アナウンス学院、東放学園音響専門学校とさまざまなグループ校が設立され、我々の東放学園映画専門学校が2004年に誕生しました。

 

アニメーション・CG科という学科は、現在までに多数の変遷を辿っています。
アナログ時代のアニメ制作を学ぶ学科の誕生が1988年で、当時は放送系スタッフを育成する学科でもテレビ番組のなかで使われるCGを学ぶことができました。
1990年代になってマルチメディアのブームが到来すると、マルチメディア系とCG系の学科が登場し、1998年に今の形の前身となるデジタルアニメーション科が誕生します。
そして、2011年に現在のアニメーション映像科に学科名を変更し、次年度(2021年4月)からはアニメーション・CG科として新たなスタートをきることになりました。
時代に合わせて名前が変化しましたが、学ぶことの本質に変化はありません。


〇アニメーション・CG科の景利康弘様

 

――教育方針やコンセプトについて教えてください。

 

東放学園グループでは、実践教育/人間教育/自立教育の3つが教育方針の柱になっていて、各校の教育方針にもなっています。
特に人間教育の部分でいうと、コミュニケーション能力を重視しています。コミュニケーション能力というのは、例えば礼儀礼節などの部分。TBSの教育事業本部が設立した学校時代からの名残で、“挨拶をしっかりしよう”という部分を徹底しています。これは、放送業界だけでなくどの分野にもあてはまることでもあると思います。
本校は専門学校なので、学生が制作現場に出ていくことが目的となります。
社会に出るうえでの1段目のステップを踏むための勉強をしているわけですから、業界で生きていくためのマナーとして、挨拶をしっかりすることの重要性を伝えています。
現在でも、すべての学科で“おはようございます”、“おつかれさまでした”の挨拶は欠かしません。

 

――2021年4月よりアニメーション映像科からアニメーション・CG科に名称が変更されますが、詳しい理由をお聞かせいただけますか?

 

アニメ制作現場で主流となりつつある2D作画と3DCGを組み合わせた“ハイブリッドな絵づくり”に注力すべく、学科名を“アニメーション映像科”から“アニメーション・CG科”に変更します。これまで同様、オーソドックスなアニメ制作工程で求められる基本知識と技術を習得したうえで、近年のアニメでは当たり前のように使われるようになった3DCGを取り入れたアニメ制作工程で求められるスキルを学ぶことで、これからのアニメ業界で活躍できるクリエイターを育成していこうというのが、主な理由ですね。

 

――“ハイブリッドな絵づくり”とはどのような意味でしょうか?

 

今のアニメではさまざまな表現方法がありますが、デジタルツールの発達でこれまで別々に行われていたものが混ざり合うようになってきました。たとえばデジタル作画のソフトウェアで色まで塗れてしまったり、3DCGで作ったキャラクターを作画した絵と同じに見せられるようになったりしています。
作画やCGといったものの境界が、デジタルを媒介にして、いい意味で曖昧になってきているのです。
本校の例としては、アニメの作画志望の学生が動きのある絵を作ったとしたら、その経験をCGのキャラを動かす部分に活用できます。結果、CG方面の職に就くこともできるようになります。
このような例が増えてきているので、作画とCGの知識を相互に活用し、作品づくりができるという意味でのハイブリッドです。

 

本科では、志望職種にかかわらず、アニメ、演出、CGなど、すべてのことを一旦勉強してもらいます。
その中で作画の補助にCGが使えたり、CGのカメラワークに映像の演出技術が活用できたり、すべての知識、技術が相互に繋がっている、ということを教えています。
そのうえで作品づくりに挑戦してみて、自分の向き不向きや興味がある分野の発見につなげてもらえればと思っています。
さらに、この過程で学ぶ内容のウェイトを考え、自分が目指したいものを「木の幹」、それ以外を「枝葉」のように捉え、知識と技術を育てていきます。それらを経て、2年生になる時に志望する職種を決定してもらいます。

 

――次に、景利康弘さんの経歴についてもお聞きできればと思います。

 

アニメーション・CG科の学科主任を務めています。
経歴としては本校を卒業してそのまま職員になったという形です。
当時もCGとアニメを一緒に勉強する学科がありまして、私は両方が好きだったのでそこに入学しました。元々アニメを見ることは好きで、CGを作ることにも興味がありましたからね。
そして、卒業時に担任から学園に残らないかと打診をもらいまして、1年間のアシスタントを経て職員として就職、以後、CG・アニメ畑の学科を担当し続けて24年になります。

 

――どのような経緯で東放学園に入学されたのですか?

 

体験入学に参加した時に見せられたものが、当時一般的でなかったCD-ROMのゲームだったことで興味がわきました。あとはその時に急成長していたインターネット分野の話を聞くことができ、かつそれがカリキュラムに反映されていることを知って、“より先を見据えている”という印象を受けたからですね。
これは現在の学校でも変わりません。
私も新しもの好きなので、学科に取り入れるという形で常に先を見据えて切り込むことを大切にしています。

 

――景利さんは学科主任を担当されていますが、担当する授業などはありますか?

 

CGの分野を専攻していたのでその辺が中心ですが、元々アニメも好きだったのでアニメ史のような研究分野、仕事の中で身につけた映像の見せ方といった演出分野、Adobeをはじめとしたソフトの使い方などを幅広く教えています。
常勤の職員なので、いい意味でオールラウンドに幅広いジャンルの知識をある程度カバーできる役割として仕事をしています。
専門的な部分は非常勤講師に任せて、私ともう1人の常勤職員で基礎的な部分をカバーするスタンスです。
広く、ある程度深く物事を知っている必要があるので、インプットを常に行う勉強の日々ですね(笑)。

実践的な経験を通して即戦力となる人材に育てるカリキュラム

――学科の教育方針やコンセプトについてお聞かせください

 

本校では、目指す人材像や学ぶ目標を明文化しています。アニメーション・CG科で育てる人材イメージとしては、知識だけでなく、作品制作を通して得られる実践的スキルも備えた、現場の即戦力となるアニメ制作スタッフになることです。
目標に関しても同じです。1年次・2年次、前期・後期それぞれに分かれていますが、例えば作画の授業では、“キャラクターを動かす感覚と技術を磨く”、アニメ演出の授業では“映像の構図や編集、照明などの基礎を身につける”など、スキルや感覚を磨くために細かく学ぶポイントが設定されています。能力の伸びについては人それぞれですが、まずは基礎からしっかり学んでいこうという考え方です。

 

 

――カリキュラムの軸は作画、CG、演出とのことですが、このような形になった経緯をお聞かせください。

 

デジタルアニメーション科ができたばかりのころは、今後アニメにCGが急速に取り入れられるだろうという予測がありました。
デジタルを使わない「アニメーション科」の時代、テレビ向けのCGをやっていた時代もあったので、そこでやってきたことを融合させて、さらに東放学園が教えている映像や演出の知識、制作のノウハウは映像作品において基本的に共通しているので、それも教えていこうという経緯だったと思います。
学んだ知識を生かして、実写の業界など他業種に進む卒業生もいます。

 

〇実際の授業風景

 

アニメ映像の制作は、大雑把に分類すると、企画、シナリオ、設定デザイン、絵コンテ等の「プリプロダクション」、次に作画(レイアウト、原画、動画)と仕上げ、並行して制作される美術、3DCG等の「プロダクション(実制作)」、撮影、編集等の「ポストプロダクション」の3段階に分かれています。細分化するともっと膨大になりますが、その中から新卒で就ける仕事は限られており、経験と実績を積むことでステップアップしていきます。

 

――カリキュラムは景利さんが担当されているのですか?

 

我々自身でも考えますし、講師陣をはじめ、企業の方や人材育成に関わる団体にアドバイスをいただくこともあります。
また、自分たちでセミナーにでかけ、情報収集や技術研鑽もしています。
CGは技術の進歩が速いですから、授業内容のアップデートは常に続けています。
基本をそのままに、肉付けされるプラスアルファの部分が変わる形です。
現在、Live2Dや簡易的なモーションキャプチャなどは既に授業で取り入れているので、今後はBlenderやゲームエンジン、ARやVRなどもカリキュラムに取り入るべく日々研究中です。

 

――教育方針のひとつでもある、実践的な教育につきまして、具体的な取り組みを教えてください。
1年次から、短いアニメ作品を制作する授業があります。1年次は半期ごとの短期間で、2年次は卒業制作として1年かけて制作します。
また、2年次には外部から依頼を受けた案件を、仕事のようにシビアな感覚で制作する授業もあります。
さまざまな企業や団体からアニメ制作の協力依頼をいただくので、その中から授業スケジュールに合致できるものをお引き受けして、授業に取り入れています。
企業様からは、これまでの実績や、CGとアニメを同時に学ぶカリキュラムが面白がられ、お話をいただいているようです。

 

これらの作品は、半期授業なら4~7月、10~1月の期間で、かなり短い期間で制作します。
もちろん課題なので、授業外での作業も多く、自宅にある機材で作業する学生や、最近では自分のiPadを持ち歩いて、デジタル作画を行う学生も出てきました。現在は制作のスタイルもさまざまですね。

 

――卒業制作は授業と並行して行われているのですか?

 

はい。卒業制作は通常の授業と並行して、もちろんこれも授業として行われています。
制作しながら授業の中で新しいことを教え込んでいくので、常に作品に新しい技術が反映されるという形です。インプットもアウトプットも日々繰り返されています。

〇横浜市消防局横浜市民防災センターからの依頼で制作した防災アニメーション『協力して命を守ろう』

〇オリジナルアニメーション『青い窯』(卒業制作)

 

世界で活躍するために必要な要素は“自ら道を切り開く情熱”

――東放学園映画専門学校には主にどのような方が入学されますか?
学科としての定員は1学年36人で、毎年30数人が入学します。
高校卒業の現役生が主で、男女比は半々程度ですね。
入学前の技術的な習熟度は、初心者と経験者が半々という印象です。
経験者の中で本格的に作品を作ったことがあるという人は、そのさらに半分くらいですかね。

 

入学までの経験によって能力の伸びやすさは変わってきます。
経験がある学生はこちらでさらに後押しできるので、個別対応で課題を与えることもあります。
ただ、未経験でも積極的に取り組んで能力を伸ばしていく学生もいるので、結局は個々人の差といったところでしょうか。

 

まずは本人の希望を尊重し、うまくいくようであればさらに伸びていけるようサポートしますが、学生によっては適正を見極めて別方面をアドバイスすることもあって、それで花開く場合もあります。
授業を見ながら個別でやっていくというイメージですね。

 

また、学生同士が影響しあうことも学校では大事だと思います。
元々技術があったり、熱心な学生が1人いたりすれば周りもそれに引っ張られていきますから。あまり経験のない学生が上手な学生と作品づくりをすることで、アドバイスをもらいながらグングン伸びていくこともあります。グループで作品づくりをすることで、入学時とは違う自分の適性を見つける者もいます。

 

――卒業後の進路は基本的にはアニメ業界であるものの、その他の進路を取る学生もいるとのことですが、その際に必要になる技術などはありますか?

 

ある程度の部分はアニメもゲームも共通していると思います。
スマホゲームの中では、作画されたアニメ映像は当たり前に使われていますし、遊技機には映像演出があります。実写の世界に進んだ者は、自分でCMの絵コンテを描いていたり、制作の知識を活かしてプロデューサーになっていたりします。
ジャンルに関係なく各方面の知識を活用することはできるので、それをしっかりと身につけてほしいと思います。

 

――卒業後に活躍する人材について在学中の共通点はありますか?

 

貪欲に学ぶ姿勢があったと思います。
どこか尖っているといいますか、抜群にコミュニケーション能力があったり、授業外でもひたすら作品を作っていたりと、なにかほかの人と違う部分がありました。
とは言え、商業アニメーションは基本的に一人では作れないので、そう言った突出した個性がない中でも、グループで作品づくりに取り組む中で力をつけ、就職した現場でグンと伸びて花開く者もいますね。

 

――卒業後、業界で活躍するのに必要な要素は何だと思いますか?

 

現在ではインターネットでさまざまな情報を得られるようになった影響で、知識が平均化されている印象があります。
そこから一歩先んじるには、自ら道を切り開く情熱が必要だと思います。
広い情報の上面を見るだけではなく、情報を自分の目で取捨選択し、深く潜って吸収すること。
そうすることで、流行りモノだけではなく、さまざまな面白いモノを見つけていけると思います。
幅広い物事を教えている都合上、授業だけでなく、自主的に知識、技術、センスを磨けるようになってほしいですね。そうしていくための足掛かりになるようなことは、学校からたくさん提供していきたいと思っています。

 

――学生が目指す人物像について、求めるビジョンなどはありますか?

 

ここ数年は、授業の中でさまざまな新技術を取り上げ、教えています。
今はひとつのツールだけで作品を作るのではなく、さまざまなツールを使って、効率よく高いクオリティを実現するのが一般的になっています。なので、ひとつの手段に固執せず、自分たちで取捨選択できるようになる教え方を取り入れ始めています。

 

一見難しそうなものを作らなければならない時でも、それを実現するための補助や効率化の方法は無数にあることを理解し、考えて見つけ、実践することが大事ということを覚えてほしいです。
そういった経験と思考を繰り返すことで、良い作品を作れるようになってほしいですね。

 

――最後に、入学を検討している読者へのメッセージをお願いします。

 

学校のメリットは仲間がたくさんいる、自分にないスキルを持つ人がいる、一緒に作品を作るという経験ができる、プロと面と向かった状態で学習できる、企業と距離が近いなどさまざまです。
業界の入り口として、いい意味で利用してほしいです。
目標にたどり着くための方法は無数にありますから、それを体験入学や学校説明会でお話しさせていただいているので、興味がある方はぜひ一度参加してほしいですね。

 

――ありがとうございました。

東放学園映画専門学校では“体験入学”を実施中!

東放学園映画専門学校では、模擬授業を受けられる“体験入学”
https://www.tohogakuen.ac.jp/movie/experience/)が実施されています。
体験入学では、仕事内容や現場の雰囲気、授業の様子をリアルに体感できるとのこと。
毎月異なる内容となっており、何度でも参加できる他、“保護者説明会”も同時開催されているので、気になる人はぜひ参加してみては?

〇オープンキャンパスの様子