QTE(クイックタイムイベント)とは?メリット・注意点を考察


 
このコラムでは、ゲームの途中で突然挿入されるQTE(クイックタイムイベント)という手法について解説します。
 
プレイヤーがドラマチックにゲームに参加できる点で高評価を得る場合もありますが、賛否が分かれることも多いQTE。まず言葉の意味やメリットを解説し、QTEを採用した代表的なタイトルを紹介していきます。
 
また、ゲーム開発者に向けたQTE導入時の注意点も記載していますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
 

1. QTE(クイックタイムイベント)とは

この項目では、まずQTE(クイックタイムイベント)という言葉の意味や概要を説明します。
 
まずQTEとは、ゲームをプレイしている中で通常操作とは異なる指示が出されて、決められた時間内に何らかの操作を要求される演出のことを指します。
 
QTEの具体的な使用方法としては、例えばバトルシーンの途中でQTEが挿入されて、成功することによって敵へのダメージを強化したり、ポイントがアップしたりする使い方もあります。また、ゲーム内で起こる危機を回避することを目的としてQTEが挿入される例もあり、成功すると次の展開に進めるものの、失敗するとやり直し、というケースもあります。
 
QTEが導入されていることに対する賛否はさまざまで、評価される場合は「臨場感が高まる」、「自分の操作によって敵にとどめを刺すことに快感を持てる」といった点が多いようです。
 
一方、評価されないケースでは「操作が面倒」、「失敗時のダメージが大きいとゲームへの意欲が下がる」、「失敗すると何度も同じムービーを見せられる」などがあるようです。QTEの賛否には操作レベルの高さも絡んでくるので、この点はこのコラムの後半にて詳しく解説します。
 

2. QTEのメリット

この項目では、ゲームにQTEを取り入れることでプレイヤーが得られるメリットについて解説します。
 

2-1. 鑑賞しかできなかったムービーシーンにプレイ感を追加できる

QTEを導入したことが成功につながった例として語られることが多い「シェンムー」について、開発者である鈴木 裕氏は「映画とプレイの融合」という言葉を使っています。
 
この言葉の通り、QTEがうまく挿入されていると、単に鑑賞するだけであったムービーシーンに、プレイヤーが参加できるメリットが生まれます。また、バトルとうまく絡めると、スリリングな展開を自らの操作によって勝利する快感が得られることもQTEの大きなメリットです。
 
さらに、プレイヤーの操作によって展開が変わるタイプのQTEなら、「一方的に与えられたストーリーを消化している」という感覚がなくなり、ゲーム内のキャラクターとの一体感を持ちやすいという利点もあるでしょう。
 

2-2. 派手な演出を更に盛り上げることができる

演出の一環としてQTEを挿入して、ゲームを盛り上げることもできます。例えばボスバトルで相手のHPがかなり減少し、勝利が近い段階になってQTEに入るといった使用方法がこれに当たります。
 
この場合、強敵に苦労して勝利する喜びと、派手なアクション演出と、プレイヤーの操作が関連付けられることになります。そのため、プレイヤーの喜びや快感は大きく増幅されることとなり、ゲームの楽しさをアップすることにつながります。
 

2-3. 技術的・ハードの成約的に難しいゲーム体験をサポートしてくれる

QTEの元祖とも言われる「シェンムー」が初めて登場したのは1999年で、この後多数のタイトルにQTEが導入されたことには、開発技術やハードウェアの限界を補う目的もありました。
 
しかし、近年はAIなどの発展によって技術的な問題が軽減されているので、「QTEに頼る」必要はほとんどなくなっています。
 

3. QTEが導入された代表的なタイトル

この項目では、QTEが導入された代表的なタイトル4選を紹介していきましょう。
 

3-1. シェンムー

1999年にセガからリリースされた「シェンムー 一章 横須賀」は、当時としてはまだ珍しかったオープンワールドを扱っており、横須賀の町並みが非常にリアルに作り込まれていた点で高い評価を得ました。
 
バトルシーンや演出的なQTEが多数挿入されており、QTEによってゲームの展開が変わることもあるなど重要な役割を占めています。QTEに似たシステム自体はシェンムー以前にもありましたが、QTEという名称を付けたのは本作が初めてとされています。
 
そのため、QTEを語る際には、「シェンムー」シリーズは必ずと言ってよいほど語られるタイトルでもあります。
 

3-2. バイオハザード4

2005年にカプコンがリリースした、「バイオハザード」シリーズのナンバリングタイトルです。それ以前はアドベンチャー要素が強かったシリーズですが、今作ではアクションに重点を置いた点が話題になりました。
 
QTEが複数の場面で取り入れられており、ゲーム内の危機回避を決定する要素として多用されました。失敗するとゲーム内で死に至ることや、限られた操作でしかクリアできないことなど、比較的シビアなQTEを取り入れたタイトルとして知られています。
 

3-3. ゴッド・オブ・ウォー

ソニー・コンピュータエンタテインメントのSCEサンタモニカスタジオが開発、日本ではカプコンが2005年11月に発売したハクスラ要素が強いアクションアドベンチャーゲームです。
 
グラフィックの美しさや世界観の壮大さ、謎解きの面白さなどが高く評価され、シリーズ化されています。第一作から15年以上が経過していますが、2022年11月に最新作である「ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク」がリリースされるなど、現在でも多くのユーザーを引き付ける話題作です。
 
ゴッド・オブ・ウォーではボスバトルでの後半でQTEが多用され、臨場感を盛り上げる目的で挿入されていました。
 

3-4. HEAVY RAIN

フランスのクアンティック・ドリームが開発し、ソニー・コンピュータエンタテインメントから2010年に発売されています。ジャンルとしてはミステリーアドベンチャーゲームで、日本語版には「心の軋むとき」という副題もついています。全体的に細かいキャラクター操作を要求される場面が多く、それだけに没入感が高いという評価を得ています。
 
このタイトルではQTEが非常に多く挿入されます。QTEの失敗によってそのシーンをやり直すのではなく、そのまま継続していくゲームスタイルが徹底されている点は、本作のQTEを語るうえでの大きな特徴です。つまり、ストーリーにプレイヤーの操作が絡む方向でQTEが使用されているわけです。
 

4. QTEをゲームに導入するにあたって意識したい注意点

ここからは、ゲーム開発者の目線で、QTEを導入する際の注意点を解説していきます。
 

4-1. 失敗した時のデメリットの重さによってはストレスに感じる

QTEの成功/失敗をどのように扱うかは、ゲームごとに大きく異なります。
 
例えば敵へのダメージが加算または減算されるケースでは、QTEを失敗したとしてもデメリットはさほど大きくありません。しかし、失敗するといったんゲームオーバーになったり、そのシーンを何度もやり直しになったりするゲームでは、QTEをストレスに感じるプレイヤーが多くなってしまいます。
 
今回紹介した4タイトルの中では、「バイオハザード4」はQTE失敗がゲーム内の死に直結することが多いので、この問題を強く抱えていると言えるでしょう。ただし、常に死と隣合わせというのを実感させる、という意味では上手く演出されていると言い換えることができます。
 

4-2. 常に緊張感を持ってプレイする必要が出てくるため、疲れてしまう

QTEは突然挿入されることが多く、一定の操作を要求されるので、プレイヤーに緊張を強いることになります。その点が没入感の高さやゲームとの一体感にもつながるので、良い側面でもありますが、疲れを感じるユーザーもいることは確かです。QTEが要求する操作レベルが高いと、特にこのデメリットが強く感じられがちです。
 
また、「ムービーは鑑賞するものとしてじっくり見たい」と感じるプレイヤーにはQTEの存在自体がマイナス要素となることもあります。
 
これらの点を踏まえて、ゲーム全体がどのようなユーザーをターゲットとしているか、を考える必要があるでしょう。
 

4-3. ゲーム感が出てしまい、感情的な内容を希薄なものにしてしまう

ムービーの途中にQTEが挿入されると、指示される操作をすることで手いっぱいになってしまい、せっかくのストーリーや演出に集中できなくなることがあります。すると、本来は「感動」や「興奮」があるはずのシーンが、「作業」になってしまうことがあるので注意が必要です。
 
特にクリアが難しいQTEで、失敗するとムービーを見ることも含めてやり直すように作られている場合は注意が必要です。このケースでは、悪い意味での「ゲーム感」ばかりが強調されてしまいがちだからです。こうなると、プレイヤーは「何のために操作をしているのかわからない」、「無意味で面白くない操作を何度も強要されている」と感じて、ゲーム自体の評価が低くなるリスクも伴います。
 

5. まとめ

ゲームに挿入されるQTE(クイックタイムイベント)について、その意味やメリットを解説したうえで、QTEを導入した代表的なタイトルを紹介しました。また、ゲーム開発者の目線から、QTEを導入する際の注意点も記載しています。
 
QTEはうまく使用すれば、ゲームとプレイヤーとの一体感が生まれたり、自分の操作がゲームを動かしているという感覚が得られたりします。
 
一方、QTEが要求する操作を面倒に感じる人がいますし、QTE失敗時のダメージが大きいと不満が高まりがちです。そのため、QTEを導入することは開発者にとって「諸刃の剣」として作用する側面があります。
 
もちろん、「シェンムー」のようにQTEがあることで高く評価されているタイトルもあるので、QTE自体が否定されるものではありません。開発時には、ぜひこれらの点を考慮して、プレイヤーにとって楽しみや興奮を生むことができるよう、当コラムを参考にしてください。
 

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