今さら聞けない「リセマラ」とは?ユーザー・ゲーム開発者の両方の意見
ソーシャルゲームに関連して使われる「リセマラ」という言葉について、「聞いたことはあっても意味はよくわからない」という人は少なくないでしょう。
リセマラとはリセットマラソンの略語なのですが、このコラムは、なぜそんな言葉が使われるようになったのか、どんなメリット・デメリットがあるのか、などをわかりやすく解説します。
ユーザー目線と開発者目線の両面から解説することで内容を深めていますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
1. 「リセマラ」(リセットマラソン)とは
「リセマラ」(=リセットマラソン)は、基本無料でインストール直後に無料ガチャがあるタイトルで行われます。ゲームスタート時点の無料ガチャで強力なキャラクターやレアキャラクターを獲得できれば、その後の展開を優位に進めることができます。また、課金してもなかなか入手できないクラスのレアキャラが、ゲーム開始キャンペーンなどで含まれていれば、手間と時間をかけてもリセマラを行う意味があると考える人もいるでしょう。
上記のような点に着目して、満足できる状態になるまで、インストールとアンインストールを繰り返す行為がリセマラです。何度もリセットを繰り返して時間と手間を消費することから、時間が長く身体的にもきついイメージがあるマラソンに例えているわけです。
リセマラという言葉が使われ出したのは2012年頃で、当時の2ちゃんねるで生まれたと言われています。
1-1. 一般的なリセマラの一連の流れ
ここではリセマラの一連の流れを紹介しましょう。
基本的にリセマラは「望む状態」になるまで繰り返すので、まず何を望むのか、どの程度が妥協ラインなのか、情報をネットなどから仕入れておくことが一般的です。
例えば、SSRなどキャラクターのレア度の高さを求める場合や、レア度だけでなく推しキャラを入手したいという動機で行うこともあるでしょう。
「望む状態」がきまったら、対象となるゲームをインストールしてチュートリアルを終わらせて、無料ガチャができる段階まで進みます。仮に1回で「望む状態」が完成すればそこで終わりですが、レア度の高さを望む場合はそれだけ出現率も低いですから、初回で叶えられないことが多いでしょう。
そのため、「望まない状態」であれば無料ガチャ終了後、即座にアプリをアンインストールして再度インストールし、再びチュートリアルを経てガチャを行うわけです。このループを満足するまで繰り返すのが、いわゆるリセマラです。
1-2. リセマラを取り巻くゲームの開始
ここでは、リセマラに対して昨今のゲームがどのように対応しているかを解説します。
1-2-1. リセマラができないシステムのゲーム
リセマラをシステム的に防止しているゲームが複数存在します。例えば、アンインストールしてもデータ消去ができないゲームや、その日にアカウント消去できないゲーム、サーバーにデータが残るゲームの場合、基本的にシステム上の理由でリセマラはできません。
1-2-2. リセマラをしなくても良い(システムに組み込んでいる)ゲーム
わざわざリセマラをする必要が無いように、ガチャを引き直せるゲームも存在します。また、チュートリアル直後のガチャより、ある程度ゲームを進めてから引く無料ガチャの方がレアキャラを取得しやすいゲームや、獲得後の育成の方がキャラクターの強弱を決める要素が強いゲームもあります。
このようなケースの場合、そもそもリセマラをする意味はありません。
1-2-3. そもそもシステムや規約でリセマラを禁止しているゲーム
「リセットマラソンを禁止する」という形で規約に明記しているゲームはほぼ見られませんが、アカウントを複数持つことはほとんどのゲームが禁じています。
複数アカウントのすべてがリセマラというわけではありませんが、データ削除ができないタイプのゲームでリセマラをする場合、結果的には別のアカウントを作るしかありません。その場合は明記されていなくてもリセマラが禁止されているのと同じことと考えて良いでしょう。
2. リセマラされた数はDL数に入っている?
リセマラに関するユーザーの見解で、「DL数を増やして人気タイトルと呼ばれるようにリセマラを放置している」という認識を持っている人がいます。
しかし、近年リリースされたタイトルや、大手ゲーム会社が扱う有名タイトルなどは、リセマラによるDLは総数にカウントしないことがほとんどです。これは、無理にDL数を上げるよりも、炎上などでイメージダウンしてユーザー離れが起こる方がダメージとなるからです。
実際の手段としては、ダウンロード回数自体ではなく、ダウンロードした端末の数をカウントすれば、リセマラはカウントされないので、技術的には難しいものではないのです。
3. ユーザー目線で見るリセマラのメリット・デメリット
この項目では、ユーザーの立場から見るリセマラのメリット・デメリットについて解説しましょう。
3-1. 無料で引き直せる!リセマラのメリット
ユーザーが手間と時間をかけてでもリセマラをするのは、基本的に無料ガチャでレアキャラを獲得するためです。これによってゲームスタート時点で有利な展開ができます。
ゲーム内の進捗や勝敗によってさらにガチャチケットを獲得できるシステムも多いですから、最初に強力なキャラを入手することがその後も強くあり続けることにつながる例もあるでしょう。
また、苦労して入手したキャラであれば愛着もわきますから、ゲームを長く楽しく続ける原動力になるケースもあります。
3-2. 時間がかかる!?リセマラのデメリット
ユーザーにとってリセマラを行うデメリットは、とにかく時間を消費することです。ダウンロードだけでも時間を使いますし、チュートリアルもスキップしながらでもやはり時間を消費します。また、レアキャラほど出現率が低いですから、数十回もリセマラを繰り返しても獲得できない場合もあります。
さらに、何度も同じ作業を繰り返すのは、多くの人にとって楽しいものではありません。そのため、場合によってはそのゲームをプレイする気力自体が萎えてしまい、無駄に時間を消費しただけ、という結果も起こり得ます。
もう一点、リセマラはかなり通信容量を使いますから、Wi-Fi環境下でない場合は貴重な通信容量を消費することになるので注意が必要です。
4. ゲーム開発者目線で見るリセマラのメリット・デメリット
この項目では、ゲーム開発者の立場から見るリセマラのメリット・デメリットについて解説しましょう。
4-1. 広告効果がある!?リセマラのメリット
リセマラを実行したユーザーはSNS等で成果を公表することも多いでしょうから、それ自体がゲームの宣伝効果を生みます。また、新規タイトルがリリースされた直後にはリセマラをガイドする記事も多数ネット上に登場するので、やはりユーザーの関心を引く効果があるでしょう。
もう一点は、やや消極的な内容ですが、リセマラを許容すれば、対策に時間や費用をかけずに済むというメリットです。ただでさえゲーム開発費が高騰している昨今、工程を増やさないことをメリットと考えることもあるでしょう。
4-2. サーバーに負荷がかかる!?リセマラのデメリット
リセマラはDLとチュートリアルを繰り返す行為ですから、多くの人が一斉に行うとサーバーに大きな負荷がかかります。特に話題のゲームであるほどリリース時にユーザーが集中しますから、そんな時にサーバーにトラブルが起こって多くの人がプレイできなくなると、ゲーム会社としてはダメージとなるでしょう。
また、そもそもリセマラが必要であると認識されること自体がマイナス、という観点もあります。昨今はガチャを組み込まないタイトルやガチャ比重が低いタイトルも増えていますから、ガチャによってゲームの展開が大きく左右されるとユーザーに思われることは得ではありません。さらに、リセマラを放置するタイトルと認識されると、ユーザー離れが起こる可能性もあります。
実際にはリセマラの数をDL数にカウントしないゲーム会社は多いですが、それを知らないユーザーも多数存在します。そのためリセマラを放置するゲーム会社は、「DL数稼ぎを考えるあざとい会社なのでは」と考えられるリスクもあるのです。
5. 今後のゲームにおけるリセマラの在り方を考える
ここからは、開発者目線で今後のゲームにおけるリセマラの在り方や必要性を検討していきましょう。
5-1. 開発しているタイトルのユーザー層がリセマラを望むかどうか考える
リセマラは多くの人が行っている行為ではありますが、リセマラを好まない人もかなりの数が存在しています。また、年少者向けの要素が強いゲームで、「リセマラは当たり前」という雰囲気があると、保護者から敬遠される可能性もあるでしょう。そのため自社のタイトルがどのような層をターゲットとしているかを踏まえることも重要です。
5-2. リセマラを容認する場合はリスクなどを考慮した上で決定する
開発時点でリセマラを容認する考え方もあるでしょう。ここまで書いてきたように、リセマラはデメリットもありますが、ユーザーにも開発側にもメリットが存在します。
とはいえ、やはりデメリットやリスクはしっかりと考えておく必要があります。サーバーへの大きな負荷や、リセマラが行われることのマイナスイメージなどを考慮したうえで、「それでも容認する意味がある」という結論が出せるかどうかを検討しておくことをおすすめします。
5-3. 今後のユーザーのトレンドを想像する
リセマラを明確に容認したうえでリリースしたものの、リセマラ関連で炎上して後から仕様変更に追い込まれるというケースもあり得ます。また、数年前に比べるとリセマラに対する見方は厳しくなっていますから、今後はリセマラを不許可にしたり、不要にしたりするタイトルがトレンドとなることは予想できます。
そのような流れで、すでにリリースしているタイトルの仕様変更を行った場合、変更後に参入してくるユーザーと先行しているユーザーとの間に溝ができる可能性もあります。
本来は「楽しさ」を提供するためのゲームなのに、ユーザーに対立が生じるのはだれも望まないことです。そのため、ぜひトレンドの変遷を踏まえて検討することをおすすめします。
6. まとめ
ソーシャルゲームで行われているリセマラ=リセットマラソンについて解説しました。リセマラは2012年頃から言葉として認識されていますが、近年は各ゲーム会社やタイトルによって対応が分かれています。現在は、リセマラを容認するケースと明確に禁止するケース、システム内でリセマラを不要にするケースなどがあります。
今後も現在のように混在したままなのか、どのタイプかが主流になっていくのかは明確ではありませんから、ゲーム開発者はリセマラに関するトレンドにアンテナを張っておく必要があるでしょう。
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